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うきあが
ふりがな文庫
“
浮上
(
うきあが
)” の例文
パッと又
浮上
(
うきあが
)
るその面白さは……なぞと生意気をいうけれど、一体
新内
(
しんない
)
をやってるのだか、
清元
(
きよもと
)
をやってるのだか、私は夢中だった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
と昔語りに話して聞かせた
所為
(
せい
)
であろう。ああ、薄曇りの空低く、見通しの町は
浮上
(
うきあが
)
ったように見る目に浅いが、
故郷
(
ふるさと
)
の山は深い。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
はっとして振向いたとたんに、——本船の左舷殆ど十メートルほどの波間に、
巨
(
おお
)
きな、
凡
(
およ
)
そ十
呎
(
フィート
)
もあるかと思われる灰色の怪物が
浮上
(
うきあが
)
っていた。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
真空、ガラス箱、氷、製氷会社、
鹽
(
しお
)
づけ、防腐剤、クレオソート、石炭酸、…………死体防腐に関するあらゆる物品が、意識の表面に
浮上
(
うきあが
)
っては沈んで行った。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
青い空の中へ
浮上
(
うきあが
)
ったように
広〻
(
ひろびろ
)
と潮が張っているその上に、風のつき抜ける日蔭のある
一葉
(
いちよう
)
の舟が、天から落ちた
大鳥
(
おおとり
)
の一枚の羽のようにふわりとしているのですから。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
ふわりと
浮上
(
うきあが
)
ると私たちは大変高い所に来たように思いました。波が行ってしまうので地面に足をつけると海岸の方を見ても海岸は見えずに波の脊中だけが見えるのでした。
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
死人を
沼辺
(
ぬまべり
)
へ
下
(
おろ
)
して火葬にして沼の中へ
投
(
ほう
)
り込んでしまったから、
浮上
(
うきあが
)
っても
真黒
(
まっくろ
)
っけだから、知れる
気遣
(
きづか
)
いないが、
彼
(
か
)
の様子を知った車夫、生かして置いてはお互いの身の上と
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
するとその
歸
(
かへ
)
るさ、
私
(
わたし
)
は
路
(
みち
)
を
急
(
いそ
)
いでをりますと、
此
(
こ
)
の
鼻
(
はな
)
さきに
大
(
おほ
)
きな
眞黒
(
まつくろ
)
い
山
(
やま
)
のやうなものがふいと
浮上
(
うきあが
)
りました。
眼
(
め
)
がくらくらツとして
體
(
からだ
)
が
搖
(
ゆ
)
れました。まつたく
突然
(
だしぬけ
)
の
出來事
(
できごと
)
です。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
霞
(
かす
)
む眉、黒い瞳、赤い唇——と次第に道具立がはっきりすると、やがてしなやかな首筋、
細
(
ほ
)
っそりした肩から、ふくらんだ胸、帯から脚へ流るる線と、くっきり雪の中に
浮上
(
うきあが
)
って来るのです。
猟色の果
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おやと気をつけると、暗いところがほんのり
明
(
あか
)
るくなって、自分は沈みもしなければ
浮上
(
うきあが
)
りもしないで、水の中にふっと止まっている。向うを見ると、
薄
(
う
)
っすらと
人陰
(
ひとかげ
)
が見えて、糸を
繰
(
く
)
る音がする。
糸繰沼
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
眼が暗さに慣れるにつれ、中に散乱した
彫像
(
ちょうぞう
)
、器具の類や、周囲の
浮彫
(
うきぼり
)
、
壁画
(
へきが
)
などが、ぼうっと眼前に
浮上
(
うきあが
)
って来た。
棺
(
かん
)
は
蓋
(
ふた
)
を取られたまま投出され、
埴輪人形
(
ウシャブチ
)
の首が二つ三つ、傍にころがっている。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「よし。
浮上
(
うきあが
)
れ。」
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
左
(
ひだり
)
の
脇腹
(
わきばら
)
のあたりに
坐
(
すわ
)
りました、
其
(
そ
)
の
女性
(
をんな
)
の
膝
(
ひざ
)
は、
寢臺
(
ねだい
)
の
縁
(
ふち
)
と、すれ/\の
所
(
ところ
)
に、
宙
(
ちう
)
にふいと
浮上
(
うきあが
)
つて
居
(
ゐ
)
るのですよ。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見よ、海水がにわかに泡立ったと見る間に、意外‼ 意外‼ そこへぬーっと
許
(
ばかり
)
に一町四方もあろうかと思われる島が、
浮上
(
うきあが
)
ったではないか。人々は思わず
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まだ
変
(
かは
)
つた
事
(
こと
)
には、
舷
(
ふなばた
)
を
霞
(
かすみ
)
が
包
(
つゝ
)
んで、ふつくり
浮上
(
うきあが
)
つたやうな
艫
(
とも
)
に
留
(
と
)
まつて、
五位鷺
(
ごゐさぎ
)
が
一羽
(
いちは
)
、
頬冠
(
ほゝかぶり
)
でも
為
(
し
)
さうな
風
(
ふう
)
で、のつと
翼
(
つばさ
)
を
休
(
やす
)
めて
向
(
むか
)
ふむきにチヨンと
居
(
ゐ
)
た。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蒼黒くぬるぬる光る体、
鰭
(
ひれ
)
のような物のついている尖った頭、
蹼
(
みずかき
)
のある手足、……爆発の
勢
(
いきおい
)
で自由を失ったのであろう、海面へ
浮上
(
うきあが
)
ったまま苦しそうにもがいている。
水中の怪人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
泥
(
どろ
)
だらけな
笹
(
さゝ
)
の
葉
(
は
)
がぴた/\と
洗
(
あら
)
はれて、
底
(
そこ
)
が
見
(
み
)
えなくなり、
水草
(
みづくさ
)
の
隱
(
かく
)
れるに
從
(
したが
)
うて、
船
(
ふね
)
が
浮上
(
うきあが
)
ると、
堤防
(
ていばう
)
の
遠方
(
をちかた
)
にすく/\
立
(
た
)
つて
白
(
しろ
)
い
煙
(
けむり
)
を
吐
(
は
)
く
此處彼處
(
こゝかしこ
)
の
富家
(
ふか
)
の
煙突
(
えんとつ
)
が
低
(
ひく
)
くなつて
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
泥だらけな笹の葉がぴたぴたと洗われて、底が見えなくなり、水草の隠れるに
従
(
したご
)
うて、船が
浮上
(
うきあが
)
ると、堤防の
遠方
(
おちかた
)
にすくすくと立って白い煙を吐く
此処彼処
(
ここかしこ
)
の
富家
(
ふか
)
の
煙突
(
えんとつ
)
が低くなって
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
首
(
くび
)
を
締
(
し
)
めて
殺
(
ころ
)
さば
殺
(
ころ
)
せで、
這出
(
はひだ
)
すやうに
頭
(
あたま
)
を
突附
(
つきつ
)
けると、
真黒
(
まつくろ
)
に
成
(
な
)
つて
小山
(
こやま
)
のやうな
機関車
(
きくわんしや
)
が、づゝづと
天窓
(
あたま
)
の
上
(
うへ
)
を
曳
(
ひ
)
いて
通
(
とほ
)
ると、
柔
(
やはらか
)
いものが
乗
(
の
)
つたやうな
気持
(
きもち
)
で、
胸
(
むね
)
がふわ/\と
浮上
(
うきあが
)
つて
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“浮上”の意味
《名詞》
浮 上(ふじょう)
水中から水面上または水面ちかくへ浮かび上がること。
磁力、風圧などの力により空中に浮かび上がること。
順位などが下位から上位へ上がること。
問題などが表面にあらわれること。顕在化すること。もちあがること。
(出典:Wiktionary)
浮
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“浮”で始まる語句
浮
浮世
浮標
浮々
浮雲
浮彫
浮気
浮木
浮腫
浮子