トップ
>
此家
>
ここ
ふりがな文庫
“
此家
(
ここ
)” の例文
此家
(
ここ
)
へお茶漬お艶が、近江屋を虐めた帰り毎夜のように立廻ることを見極めたのは、たしかに葬式彦兵衛が紙屑買いの
拾物
(
ひろいもの
)
であった。
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
もうもう
此家
(
ここ
)
にはいない、今からすぐと父のそばに行って、とそう思いましてね、姑が
臥
(
ふ
)
せりましたあとで、そっと着物を着かえて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
だれが何と言おうと、夜のうちに歩かねば、歩くひまのないお蝶です、どうでも今夜のうちに、
此家
(
ここ
)
を出る決心はうごいていません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
企業的な性質に富んで居た
此家
(
ここ
)
の先代が後半世を、非常に熱心に尽して居た極く小さな農村がこの東北の、かなり位置の好い処にある。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
鳴鳳楼というのは、大川に臨んで建てられた高名の割烹店と云うよりは集会席で、長野の懇親会はいつも
此家
(
ここ
)
で開かれると極って居た。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
▼ もっと見る
「わたしや知りませんよ! わたしや
此家
(
ここ
)
の御主人様ではございませんからね! 出さうと出すまいと、あんたの胸一つですよ!」
村のひと騒ぎ
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「まア、そんな話をして入らっしゃるの。千種さんは
此家
(
ここ
)
へ入らっしゃると、新聞気を出さないお約束になって
在
(
い
)
らっしゃるのよ」
死の予告
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ぢや、私の
家
(
うち
)
へでも來てゐればいゝのに。話の結末がつくまで當分
此家
(
ここ
)
へでも來て
入
(
いら
)
つしやいな。さうしてゐちや惡いのか知らん。」
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
ガクガクする膝頭を踏み締め踏み締め腰を抱えて
此家
(
ここ
)
へ帰りまして「お医者お医者」と
妻
(
かない
)
に云いながら夜具を
冠
(
かぶ
)
って慄えておりました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
断っていた——よござんすか——私も、あなたが大嫌いな、一番嫌いな、何より好かない、
此家
(
ここ
)
へ縁付いてしまったんです。ほ、ほ、ほ。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
馬「旦那
御覧
(
ごろう
)
じろ今の三人
連
(
づれ
)
は顔附でも知れるが
皆
(
みん
)
な助平
連
(
れん
)
で、
此家
(
ここ
)
の娘を見たばっかりでもう煙草入を忘れて
往
(
い
)
きましたぜ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さっきの
袖菊
(
そでぎく
)
へいけば、あそこでは話がしにくい、
此家
(
ここ
)
へ行っていてくれと、あんたがいうから、私はここへ来たじゃないか。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
智恵子が
此家
(
ここ
)
の前まで来ると、洗晒しの筒袖を着た小造の女が、十許りの女の児を
上框
(
あがりがまち
)
に腰掛けさせて髪を結つてやつて居た。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
国を出る時、
此家
(
ここ
)
の伯父さんの先生は、昔困っていた時、
家
(
うち
)
で散々世話をして遣った人だから、悪いようにはして呉れまいと、父は言った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
斯んなことは決して今に始まつた事でないので、僕等が
此家
(
ここ
)
に移つて以來、殆んど數ふるに耐へぬ程起つて居るのである。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
幸い
此家
(
ここ
)
で逢うて見て私は大いに満足した。確かにあなたなれば信ずるに
足
(
た
)
るから、どうか私を日本へ連れていって貰うことが出来ないだろうか
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
三月の赤ん坊を
此家
(
ここ
)
へつれて来るって? 駄目よ、旦那さまはきっと
可
(
い
)
けないと
仰
(
おっ
)
しゃるわ、心配が大変だからね。怪我でもあったらどうするの。
小さきもの
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
時々さう思ふ事がある、あの人の水臭い仕打の有るのは、
多少
(
いくら
)
か自分を
侮
(
あなど
)
つてゐるのではあるまいか。自分は
此家
(
ここ
)
の厄介者、あの人は家附の娘だ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
粕谷で其子を中学二年までやった家は
此家
(
ここ
)
ばかりと云う程万事
派手
(
はで
)
であった故人が
名残
(
なごり
)
は、
斯様
(
こん
)
な事にまであらわれた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
立って
箪笥
(
たんす
)
の
大抽匣
(
おおひきだし
)
、明けて
麝香
(
じゃこう
)
の
気
(
か
)
とともに投げ出し取り出すたしなみの、帯はそもそも
此家
(
ここ
)
へ来し嬉し恥かし恐ろしのその時締めし、ええそれよ。
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
先生のお書きになった何かの記事のうちに
此家
(
ここ
)
に下宿していられたということがあったように記憶していたのでどんな所かその跡が見たくて来たのです。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ある新聞社にいる知人から毎日寄贈してくれる新聞がこの越して来てから二三
日
(
ち
)
届かなかったので、私はきっと配達人が
此家
(
ここ
)
が分らない為であろうと思った。
ある日の午後
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「いいえ、やたらに打ちだしたのは
此家
(
ここ
)
へ引っこんでからですよ。——ちょっとこれを待ってちょうだい。」
二老人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
此家
(
ここ
)
へ来てからまだ五月とたたないのであったが、誘惑されて来たらしい色の黒い田舎娘を坐らせて置いて
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
お前
新網
(
しんあみ
)
へ帰るが嫌やなら
此家
(
ここ
)
を死場と
極
(
き
)
めて勉強をしなけりやあ成らないよ、しつかり
遣
(
や
)
つておくれと言ひ含められて、吉や吉やとそれよりの丹精今油ひきに
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「ほう! 長崎屋が見えたらしいぞ。いつも、わしと一緒じゃで、
此家
(
ここ
)
では今夜も
伴
(
つ
)
れと思うている」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「山の手におると、
乾
(
かわ
)
くような気がすると、
八千代
(
やちよ
)
さんはいうているなあ。
此家
(
ここ
)
へくると、ジュウっと、水が
滲
(
し
)
みわたるようじゃというてたが、わしもそう思います。」
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お前が
此家
(
ここ
)
に居る内はの、太一は怒る、お前が泣く。どちらももつとももつともと聞いてはおれが堪まらぬじや。おれがせつぱを助けると、思ふてちやつと
出立
(
たつ
)
てくれ。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
主人の云うところによると、森本は下宿代が
此家
(
ここ
)
に六カ月ばかり
滞
(
とどこお
)
っているのだそうである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたしも
此家
(
ここ
)
の先生へ用があって来たけれど、お前に会ってみれば御用済みだよ、さあ一緒に帰りましょう、いろいろその後は
混入
(
こみい
)
った事情もあるんだから、さあ帰りましょう
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芝居が
閉
(
は
)
ねてからの芝居でありまするが、つまり
巴里
(
パリー
)
じゅうの有名な女優たちが、木戸を打ってから
此家
(
ここ
)
へ
集
(
あつま
)
りまして、特に皆さんのために珍しい舞踏をお眼にかけようというのであります。
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「酒を飲むのだって仕事をするのだって、結局は同じことだろうよ。どちらも生きてる働きなんだからね。。……だがまあいいさ。それなら、
此家
(
ここ
)
に上等の葡萄酒があるから、そいつでも飲もうよ。」
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「いや、
此家
(
ここ
)
へはもう御遠慮を、いや
此家
(
ここ
)
へはもう斷じて……」
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「これが
大高源吾
(
おおたかげんご
)
の詫証文といって
此家
(
ここ
)
の家の
宝物
(
ほうもつ
)
です」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「さ、いかがです。これでも
此家
(
ここ
)
の例のビスケットではないから大丈夫です。食べて下さい。そしてお国の話でも聞かして下さいな。……だが、何か僕に用がおありだったのですか。それなら、その方から……」
北国の人
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
指
(
さし
)
て立ち出でたり然るに重四郎の段右衞門は
暫
(
しばら
)
くの
足休
(
あしやす
)
めと思ひの
外
(
ほか
)
見世
(
みせ
)
の
繁昌
(
はんじやう
)
大分
(
おほかた
)
ならず何不足も無き身分と成しかば一
生涯
(
しやうがい
)
此家
(
ここ
)
にて我は終らんと其後は惡事も
成
(
なさ
)
ず暮しけるが或日
表
(
おもて
)
の方より來りて旦那は御家にかと
問者
(
とふもの
)
あるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
だが、あくる朝、その苫舟から、男女五人の連れが、
此家
(
ここ
)
へあがって、朝めしをたべ、そして帰ったさきは、いいたがらなかった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わざわざ寒い川岸を通らせて
此家
(
ここ
)
の裏口のあたりまで来ると、急に用事を思い出したから、ここで降ろしてくれ、と言うのです。
銭形平次捕物控:021 雪の精
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おたねは、お札と母の手紙とを夫に見せて、「
此家
(
ここ
)
には神棚があるのに何にも祭るものがなかつたのだから、このお札を
貼
(
は
)
つときませう。」
母と子
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
「あちらが暗くなると、ぽかりぽかり光り出すと言って、……
此家
(
ここ
)
の料理方の才覚でしてね。
矢張
(
やっぱ
)
り生烏賊を、沢山にぶら下げましたよ。」
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山「師匠じゃアあるめえし金を見て気のある奴が有るものか、おゝそれで気が付いた、
此家
(
ここ
)
へ祝儀を遣らなくっちゃアいかん、おい半治包んで」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
してみると、
此家
(
ここ
)
の軒下にべんべんと
止
(
とど
)
まっているということはあまりに図々しく、
且
(
か
)
つ
容
(
ゆる
)
しがたいことなのだ。直ちに決心をしなければならぬ。
父
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
何故
此家
(
ここ
)
に居ると思つたか、此家に来ると其人が言つて出たのか、又、若し
真
(
しん
)
に用があるのなら、午前中確かに居た筈の加藤へ行つて聞けば可い。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「でなにかえ伊助どん。そう追っかけてまで
捩
(
ね
)
じ込んできたんだから、
此家
(
ここ
)
で、お前さん
立会
(
たちえ
)
えのうえで、改めて身柄しらべをしたろうのう、え?」
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「……あなた、新さんがあんなにいうんですから、どうぞ新さんのために別れると思って
此家
(
ここ
)
を出ていって下さい」
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
仕方なしに妾は
此家
(
ここ
)
の台所に寝起きをして、自分の身に附いたものは勿論のこと、
義兄
(
にい
)
さん夫婦の家具家財や衣類なんぞを売り喰いにしていましたが
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いや、消極的といふと大いに語弊があるので、今より以前の女大學流で育て上げられた日本の女性は大方が消極的であるのであるが、
此家
(
ここ
)
のはそれとも違ふ。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
と、浅く日の
射
(
さ
)
している高い
椽側
(
えんがわ
)
に身を
靠
(
もた
)
せて話しているのはお浪で、
此家
(
ここ
)
はお浪の
家
(
うち
)
なのである。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
十時過ぎ、右の食堂で家族打寄り、
梅干茶
(
うめぼしちゃ
)
一
碗
(
わん
)
、
枯露柿
(
ころがき
)
一
個
(
こ
)
。
今日
(
きょう
)
此家
(
ここ
)
で正月を迎えた者は、主人夫妻、養女、旧臘から
逗留中
(
とうりゅうちゅう
)
の秋田の
小娘
(
こむすめ
)
、毎日仕事に来る片眼のかみさん。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
今に伯母さんが——私の
家
(
うち
)
では
此家
(
ここ
)
の夫人を伯母さんと言いつけていた——伯母さんが出て来て
好
(
い
)
いように仕て呉れると、其を頼みにしていると、
久
(
しば
)
らくして伯母さんではなくて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
家
常用漢字
小2
部首:⼧
10画
“此”で始まる語句
此方
此
此処
此奴
此處
此所
此間
此頃
此様
此度