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拒
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ふせ
ふりがな文庫
“
拒
(
ふせ
)” の例文
その猴取って置きの智慧を
揮
(
ふる
)
い、戸を開いてその上端に厚き毛氈を打ち掛け、戸の返り閉づるを
拒
(
ふせ
)
ぎ、やすやすと目的を遂げたそうだ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いつとなし足をぬいて、前借は
据置
(
すえおき
)
のままに
大増
(
だいます
)
の女中に住みこむなど、激しい気象のお神にも、
拒
(
ふせ
)
ぐに手のない
破綻
(
はたん
)
は仕方がなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
家屋の目的は
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐので、人を
拒
(
ふせ
)
ぐのでないと云ふのが先生の哲学だ、戸締なき家と云ふことが、先生の共産主義の立派な証拠ぢやないか
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
威を畏れ徳に
懐
(
なず
)
き、静を買い安を求めざるなし、高麗命を
拒
(
ふせ
)
ぎ、天討再び加う。伝世百一朝にして殄滅す。
豈
(
あ
)
に逆天の咎徴、衝大の明鑒に非ずや。
岷山の隠士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
土蔵の上には五六人ばかり人が上つて
頻
(
しき
)
りに
拒
(
ふせ
)
いで居た様子だつたが、これに
面喰
(
めんくら
)
つてか、一人/\下りて、今は一つの黒い影を止めなくなつて了つた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
彼女
(
かのぢよ
)
が
今
(
いま
)
までの
悔
(
くゐ
)
は、ともすれば
言
(
い
)
ひ
譯
(
わけ
)
の
楯
(
たて
)
に
隱
(
かく
)
れて、
正面
(
まとも
)
な
非難
(
ひなん
)
を
拒
(
ふせ
)
いでゐたのを
知
(
し
)
つた。
彼女
(
かのぢよ
)
は
今
(
いま
)
自分
(
じぶん
)
の
假面
(
かめん
)
を
引剥
(
ひきは
)
ぎ、その
醜
(
みにく
)
さに
驚
(
おどろ
)
かなければならなかつた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「韓信にも背水の陣があったことを知らぬか。孫子もいっている。死地ニ生アリ——と。ご辺は、歩兵をひきいて岸に
拒
(
ふせ
)
げ。おれは馬武者をひきいて、敵を蹴破るから」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はじめの鉄柱にしばりつけるまえに、口に鉄管をふくませて舌を噛むことを
拒
(
ふせ
)
いだという。
せいばい
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
文矦
(
ぶんこう
)
、
呉起
(
ごき
)
が
善
(
よ
)
く
兵
(
へい
)
を
用
(
もち
)
ひ・
(七五)
廉平
(
れんぺい
)
にして
能
(
のう
)
を
盡
(
つく
)
し
士
(
し
)
の
心
(
こころ
)
を
得
(
え
)
たるを
以
(
もつ
)
て、
乃
(
すなは
)
ち
以
(
もつ
)
て
西河
(
せいが
)
の
守
(
しゆ
)
と
爲
(
な
)
し、
以
(
もつ
)
て
秦
(
しん
)
・
韓
(
かん
)
を
拒
(
ふせ
)
がしむ。
魏
(
ぎ
)
の
文矦
(
ぶんこう
)
既
(
すで
)
に
卒
(
しゆつ
)
す。
起
(
き
)
、
其子
(
そのこ
)
武矦
(
ぶこう
)
に
事
(
つか
)
ふ。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
かの
鰲背
(
ごうはい
)
を
聚
(
あつ
)
めて丘の如く、その
勢
(
いきほひ
)
を
拒
(
ふせ
)
がんと為れど、触るれば払ひ、当れば
飜
(
ひるがへ
)
り、長波の
邁
(
ゆ
)
くところ
滔々
(
とうとう
)
として破らざる
為
(
な
)
き
奮迅
(
ふんじん
)
の力は、両岸も為に震ひ、
坤軸
(
こんじく
)
も為に
轟
(
とどろ
)
き
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かれは夢の中で、心の散乱を
拒
(
ふせ
)
ごうとして努力する。それにもかかわらず、ちらちらする感じがつづいて起る。目をあげてよく見れば、それは尊像の台座から離れた蓮弁である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
立處
(
たちどころ
)
其
(
そ
)
の
手足
(
てあし
)
を
炙
(
あぶ
)
るべく、
炎々
(
えん/\
)
たる
炭火
(
すみび
)
を
熾
(
おこ
)
して、やがて、
猛獸
(
まうじう
)
を
拒
(
ふせ
)
ぐ
用意
(
ようい
)
の、
山刀
(
やまがたな
)
と
斧
(
をの
)
を
揮
(
ふる
)
つて、あはや、
其
(
その
)
胸
(
むね
)
を
開
(
ひら
)
かむとなしたる
處
(
ところ
)
へ、
神
(
かみ
)
の
御手
(
みて
)
の
翼
(
つばさ
)
を
擴
(
ひろ
)
げて、
其
(
その
)
膝
(
ひざ
)
、
其
(
その
)
手
(
て
)
、
其
(
その
)
肩
(
かた
)
、
其
(
その
)
脛
(
はぎ
)
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
張士誠
(
ちょうしせい
)
が
平江
(
へいこう
)
を陥れたので、
江浙左丞相達織帖睦邇
(
こうせつさじょうそうたつしきちょうぼくじ
)
が
苗軍
(
びょうぐん
)
の軍師
楊完
(
ようかん
)
という者に檄を伝えて、江浙の参政の職を授け、それを嘉興で
拒
(
ふせ
)
がそうとしたところが、規律のない苗軍は掠奪を
肆
(
ほしいまま
)
にした。
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
本流に「へ」の字をやや平にしたような橋が架っている、取りつきに杭を組んであるのは、牛馬の向岸へ渡るのを
拒
(
ふせ
)
ぐためだ、横の棒を一本外して、人は出入をする、橋の
半
(
なかば
)
に佇んで振り仰ぐと
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
御所方も固く守りて
拒
(
ふせ
)
ぎ戦ひけるほどに、いつ果つべきとも見えず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
四世紀の交に
基督
(
キリスト
)
教の
羅馬
(
ローマ
)
に入り来り、神力に頼る大なる威厳を以て、千古の疑問たる婦人問題に一夫一婦制の解決を下すや、多少の反対はあったけれども、
汨々
(
いついつ
)
として
漲
(
みなぎ
)
り来る潮勢の
拒
(
ふせ
)
ぎ
難
(
がた
)
き如く
婦人問題解決の急務
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
木山の
本営
(
ほんえい
)
を
引揚
(
ひきあ
)
げる前、
薩軍
(
さつぐん
)
が
拠
(
よ
)
って官軍を
拒
(
ふせ
)
いだ処である。今は
附
(
つ
)
け
剣
(
けん
)
の兵士が番して居た。会釈して一同其処を通りかゝると、蛇が一疋のたくって居る。
蛇嫌
(
へびぎら
)
いの彼は、色を変えて立どまった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
邪を
拒
(
ふせ
)
ぎ、淫を
斥
(
せき
)
し、
仮
(
か
)
を棄て、真を求むるは、教の大本なり。
教門論疑問
(新字新仮名)
/
柏原孝章
(著)
倘
(
も
)
し、この危機に処して、一家の女房たるものが、少しく
怜悧
(
れいり
)
であつたならば、
狂瀾
(
きやうらん
)
を既に倒るゝに
翻
(
ひるがへ
)
し、危難を
未
(
いま
)
だ来らざるに
拒
(
ふせ
)
ぐは、さして難い事では無いのである。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
拒
(
ふせ
)
ぎ闘うひまも与えず閣中へ混み入って、折ふし今日も遊宴していた丁儀、丁廙を始め、弟君の植をも、ことごとく捕縛して車に乗せ、たちまち、
鄴
(
ぎょう
)
の魏城へ帰ってきた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また『西域記』十二に
古
(
いにし
)
え
瞿薩旦那
(
くさたな
)
国王数十万衆を整えて東国の師百万を
拒
(
ふせ
)
ぎ敗軍し、王は
虜
(
いけど
)
られ将士
鏖
(
みなごろし
)
にさる、その地数十
頃
(
けい
)
血に染みて赤黒く絶えて
蘗草
(
くさ
)
なしと見ゆ、南インド
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「ついに玄徳は、蜀の力をあげて、
乾坤一擲
(
けんこんいってき
)
の気概をもって攻めてきた。思うに、関羽を討たれた恨みは、彼らの骨髄に徹しているだろう。どうしたらその猛攻を
拒
(
ふせ
)
ぎ得るか」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
拒
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“拒”を含む語句
拒絶
峻拒
拒闘
拒否
差拒
強拒
御拒
抗拒
拒断
拒止
拒絶査定
拒絶論
拒退
拒馬
白招拒