抵抗ていこう)” の例文
少年しょうねん抵抗ていこうすることもできなく、またほかをあるいて、どうしようというかんがえもこらず、そのまましおしおと宿やどにもどってきました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
助手格の貝原が平気な顔で見張船の用意に出かけたりする働き振りにみょう抵抗ていこうするような気持が出て、不自然なほど快活になった。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
地球ちきゆうはさういふ性質せいしつ薄皮はくひもつおほはれてをり、深海床しんかいしようまた地下ちかふかところは、ゆるはたらちからたいしてしぶとく抵抗ていこうしないので
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
修繕が終わって正九郎が空気ポンプでタイヤの中に空気を送っていたとき、急に空気の抵抗ていこうがなくなって、ポンプがきかなくなってしまったのだ。
空気ポンプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
一小私塾のささやかな教育的抵抗ていこうの記録であり、その精神の解明である、と言ったほうが適当であるのかもしれない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ぼくみたいに、弱気な人間には、ひとから侮辱ぶじょくされて抵抗ていこうの手段がないとあきらめ切る時ほど、悲しい事はありません。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
余りいつまでも打たれているうちささえることの出来ないいかり勃然ぼつぜんとして骨々ほねぼね節々ふしぶしの中から起って来たので、もうこれまでと源三は抵抗ていこうしようとしかけた時
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
どのような邪悪じゃあくと難苦にも抵抗ていこうして、堂々と歩いてゆける自信がお父さんの心の底からきあがってきた。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
或は権力けんりょくと不正に極端な抵抗ていこう意識をもって俗習ぞくしゅう断乎だんこ拒否せんとする態度もどこかに残っているようだ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
先生はなんの抵抗ていこうもせずにこの地方の教育界の将来のために喜んで十字架についたのである、先生は浦和の町人まちびとがかならずその不正不義を反省するときがくると自信しているのだ。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「おばはん、何すんねん、無茶しな」しかし、抵抗ていこうする元気もないかのようだった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
ほのほなゝめにさうしてかたむきつゝ、群集ぐんしふみゝには疾風しつぷうひゞきうばつて轟々ぐわう/\つづいた。おと疾風しつぷう抵抗ていこうしてちからたくましくしようとするほのほふか木材もくざい心部しんぶにまで確乎しつかつめけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……私がほとんど夢中むちゅうで彼女のうでをつかまえたのは、そんなこんがらがった気持の中でだった。彼女はちょっと私に抵抗ていこうしかけたが、とうとうその腕を私の腕のなかに切なそうに任せた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
苦心くしん苦心くしんかさねた結果けつくわ六種ろくしゆある金屬きんぞく合成がうせいは、現世紀げんせいきける如何いかなる種類しゆるい彈丸だんぐわんまた水雷等すいらいとうをもつて突撃とつげききたるとも、充分じゆうぶんこれ抵抗ていこうあまりありとしんじて、その新式合成裝甲板しんしきがうせいさうかうばん
抵抗ていこうしないのを承知で圧迫あっぱくをくわえる。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「今からでも決しておそくはないから、ただちに抵抗ていこうをやめて軍旗のもとに復帰するようにせよ。そうしたら、今までの罪は許されるのである。」とさとし、また
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
それはした鐵心てつしんいたるまでは玄武岩質げんぶがんしつのものもしくはそれに鐵分てつぶんくははつたもので出來できてゐて、これは急速きゆうそくはたらちからたいしてきはめてしぶとく抵抗ていこうする性質せいしつそなへてゐるけれども
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
なにしろ、てきはトーチカにじこもり、機関銃きかんじゅう乱射らんしゃして、頑強がんきょう抵抗ていこうするのです。ついに、決死隊けっしたいつのられました。我先われさきにともうたので、たちまちのあいだ定員ていいんたっしたのです。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
だが、復一にはまだ何か焦々いらいら抵抗ていこうするものが心底に残っていて、それが彼を二三歩真佐子から自分を歩き遅らせた。復一は真佐子と自分を出来るだけ客観的に眺める積りでいた。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
それで大地震だいぢしん出會であつて容易よういいくらかの傾斜けいしやをなしても、それがためにくさびはじめてしてることになり、其位置そのいちおい構造物こうぞうぶつ一層いつそうかたむかんとするのに頑強がんきよう抵抗ていこうするにあるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
たとえひそやかなものではあっても、その時代への抵抗ていこうは決して「非行」ではないはずだ。民族生活の将来にえがくその理想と、その実現のための実践じっせんは、決して「非善」とは言えないはずだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そこはありのほうが勇敢ゆうかんで、ともかばねうええて、目的もくてきかって前進ぜんしんをつづけるというふうで、この無抵抗むていこう抵抗ていこうには、こちらが、かえって根負こんまけをしてしまったよ。そのとき、かんじたんだ。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)