しょ)” の例文
こういって、いたいたしげに行者の足をみたのは、道づれになっている女の巡礼じゅんれい——坂東ばんどう三十三ヵしょふだなかにかけた女房にょうぼうである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
随って手洗いしょが一番群集するので、喜兵衛は思附いて浅草の観音を初め深川ふかがわの不動や神田かんだの明神や柳島の妙見や
そしてけて来て両手で抱き付いて、胸と胸とを押し付けた。そして囁いた。「わたくし一しょに死にますわ。」
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
病院びょういん小使こづかい看護婦かんごふ、その子供等こどもらなどはみな患者かんじゃ病室びょうしつに一しょ起臥きがして、外科室げかしつには丹毒たんどくえたことはい。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
このとき、どこからともなく悪魔あくまがあらわれて、一しょけんめいにげようとする自分じぶんいかけるのでした。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
娘は二三ヵ月も家にいないかと思っていると、よくしょかつの警察から電話がかゝってきました。お前の娘を引きとるのに、どこそこの警察へ行けというのです。
(新字新仮名) / 小林多喜二(著)
地蔵堂があった場所は、利根川の屈折部に突き出し、そこを切ったことがあることから「切れしょ」と呼んだが、足利時代の土豪が築城した場所で、空濠があった。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
すべて修行場しゅぎょうばひとによりてめいめいちがう。家屋かおく内部なかかるるものもあれば、やまなかかるるものもある。親子おやこ夫婦ふうふ間柄あいだがらでも、一しょにはけっしてむものでない。
ニールスはおどろいて、すぐさまさがしに出かけました。オッテンビューのかきに、一カしょこわれているところがありましたので、そこからよじのぼることができました。
しきゅう、お話ししたいことがありますので、わたしのじむしょまで、おいでねがえませんか。こちらからうかがうといいのですが、ちょっと、わけがあって、じむ所を
ふしぎな人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
尾州の領分からは、千人もの人足が隣宿美濃落合おちあいのおしょ(継立ての場所)へ詰めることになって、ひどい吹きりの中を人馬共にあの峠の下へ着いたとの報知しらせもある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
勿論その禍の中にまた福も交り候えども、しょせん一生の間難儀さえすれば先の福がある事なり。何の効けんもない事に観音へ頼りて福を求める様の事は本々もともと無益に存じ候。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
(そこの岩にありしたか。)(ええ海百合うみゆりです。外でもとりました。この岩はまだ上流じょうりゅうにも二、三ヶしょ出ていましょうね。)(はあはあ、出てます出てます。)学生は何でももう早く餅を
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ただすこし頭の調子ちょうしが人なみでないから、どうもこれまで一かしょに長くいられなかったが、ご主人しゅじんのほうで、すこしその気質きしつをのみこんでいて使ってくだされば、それはそれはりっぱな乳しぼりだ
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それも所は住吉の浜、四しょのおやしろのある白砂の上でしたから、ひとしお胸にめいじるものがありました。世はいかにあろうとも、お互いはわき目もすまい。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そういうところは、わたしは、いくしょました。みかんのそのやまにあって、そのしたうみがあって、まちのあるところで温泉おんせんるところは、いくしょました。」と、薬売くすりうりはいいました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ただに医者いしゃとして、辺鄙へんぴなる、蒙昧もうまいなる片田舎かたいなかに一しょうびんや、ひるや、芥子粉からしこだのをいじっているよりほかに、なんすこともいのでしょうか、詐欺さぎ愚鈍ぐどん卑劣漢ひれつかん、と一しょになって、いやもう!
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
軍功第一ではないが、授与の筆頭におかれて、飛騨ひだ一国の守護と、十しょの地頭職をさずけられた者は
ところが、丁度ちょうどわたしもこのせつひまもらって、かわった空気くうきいに出掛でかけようとおもっている矢先やさき、どうでしょう、一しょ付合つきあってはくださらんか、そうして旧事ふるいことみんなわすれてしまいましょうじゃありませんか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ただひたすら、めぐりあう日は神仏しんぶつのおむねにまかせて、坂東ばんどう三十三ヵしょのみたまいのりをおかけなさい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この裏道うらみちをくるのにも、とちゅう、一、二ヵしょ山関やまぜきがあったが、小人数こにんずう関守せきもりや、徳川家とくがわけの名もない小役人などは、この一こうのまえには、鎧袖がいしゅうしょくあたいすらもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが、発表になってみると、佐用さよしょうしょを賜う、とあるだけだった。