山間さんかん)” の例文
『ジャン・クリストフ』の作者さくしゃロマン・ローランは、西暦せいれき千八百六十六ねんフランスにまれて、現在げんざいではスウィスの山間さんかんんでいます。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
おどしだに山間さんかんから、かわるがわるに手車てぐるまんで竹童ちくどうを助けだしてきた少女たちは、その松原の横へはいって、しきりと彼を看護かんごしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから大分県の山間さんかんの村などでは、これがまたよっぽどちがって、ひき蚯蚓みみずとのまえしょうの話ともなっているのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
山間さんかん湖水こすいのようにった、気高けだかひめのおかおにも、さすがにこのとき情思こころうごきがうす紅葉もみじとなってりました。わたくしかまわずいつづけました。——
一體いつたい新石器時代しんせつきじだい人間にんげんは、どんなところんでゐたかといひますと、もちろん洞穴ほらあなむものもあり、山間さんかんにゐるものもありましたが、海岸かいがんちかくに住居じゆうきよして
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
六、 海岸かいがんおいては津浪襲來つなみしゆうらい常習地じようしゆうち警戒けいかいし、山間さんかんおいては崖崩がけくづれ、山津浪やまつなみかんする注意ちゆういおこたらざること。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
信吉しんきちは、学校がっこうからかえると、野菜やさいみずをやったり、むし駆除くじょしたりして、農村のうそん繁忙期はんぼうきには、よくうち手助てだすけをしたのですが、今年ことしは、晩霜ばんそうのために、山間さんかん地方ちほう
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼は馬に乗り、一人のげなんをつれていた。道は燕趙の間の山間さんかんにかかっていたが、ある日、宿を取りそこねて、往っているうちに岩の聳え立った谷の間へ入ってしまった。
虎媛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
秋は早い奥州の或山間さんかん、何でも南部なんぶ領とかで、大街道おおかいどうとは二日路ふつかじ三日路みっかじも横へ折れ込んだ途方もない僻村へきそんある寺を心ざして、その男は鶴の如くにせた病躯を運んだ。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その後二日間溪流けいりゅうあるいは林中りんちゅうあるいは山間さんかんてビンビテーという駅に着きました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
其時そのとき無論むろん新聞しんぶん號外がうぐわいによつて、市井しせい評判へうばんによつて、如何いかなる山間さんかん僻地へきち諸君しよくんいへどさらあたらしき、さらよろこことみゝにせらるゝであらうが、わたくしことのぞむ! 西にし玄海灘げんかいなだほとりより
吾が同郡どうぐんをかまち旧家きうか村山藤左ヱ門はむこの兄なり。此家に先代より秘蔵ひさうする亀の化石くわせきあり、つたへていふ、ちか山間さんかんの土中より掘得ほりえしといふ、じつに化石の奇品きひんなり、こゝあげ弄石家ろうせきかかんまつ
変遷のいちじるしからざる山間さんかんの古いしゅくではあるが、昔に比ぶれば家も変った、人も変った、自分も老いた。誰に逢っても昔の身上みのうえを知られる気配きづかいもあるまいと多寡たかくくって、彼は平気で町中まちなかを歩いた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼は一人うなずいてから、山間さんかんの森の中に山の神をおとずれました。
コーカサスの禿鷹 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ここは、裾野すその人無村ひとなしむらからも、ずッとはなれている甲斐国かいのくに法師野ほうしのという山間さんかんの部落。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここは、山間さんかんの、停車場ていしゃじょうちかい、まちかたちをした、ちいさなむらでありました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
吾が同郡どうぐんをかまち旧家きうか村山藤左ヱ門はむこの兄なり。此家に先代より秘蔵ひさうする亀の化石くわせきあり、つたへていふ、ちか山間さんかんの土中より掘得ほりえしといふ、じつに化石の奇品きひんなり、こゝあげ弄石家ろうせきかかんまつ
山間さんかんさびしいむらには、あきはやくきました。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)