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むすめご
ふりがな文庫
“
娘御
(
むすめご
)” の例文
然るに、その
正道
(
しやうだう
)
潔白なる貴殿が、私共天魔に魅入られ候者に、唯今、
娘御
(
むすめご
)
の大病を癒し呉れよと申され候は、何故に御座候や。
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
此男やがて
膝
(
ひざ
)
をすゝめ娘の母に
対
(
むか
)
ひ
声
(
こゑ
)
をひそめていふやう、今はなにをかつゝみ申さん、
我
(
われ
)
は
娘御
(
むすめご
)
と二世の
約束
(
やくそく
)
をしたるもの也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「じつは、わが輩はもと
渭水
(
いすい
)
で
提轄
(
ていかつ
)
(憲兵)をしておった
魯
(
ろ
)
という者だ。そういう裁きには手馴れている。わが輩を
娘御
(
むすめご
)
の部屋へ案内するがいい」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
パリス かういふ
愁傷
(
なげき
)
の
最中
(
さなか
)
には
祝言
(
しうげん
)
の
話
(
はなし
)
も
出來
(
でき
)
まい。お
内
(
うち
)
かた、おさらばでござる。
娘御
(
むすめご
)
によろしう
傳
(
つた
)
へて
下
(
くだ
)
され。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
侍女一 もしもし、
唯今
(
ただいま
)
のそれは、あの、残らず、そのお
娘御
(
むすめご
)
の身の
代
(
しろ
)
とかにお遣わしの分なのでございますか。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「はい、以前本町に刀屋を開いておいでになった彦三郎様のお嬢様と申せば、旦那様にも奥様にもおわかりになるそうで、このお
娘御
(
むすめご
)
がそれでございます」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「その
娘御
(
むすめご
)
は世に美しいお方じゃそうに承りました。きょうもお宿でござりまするか」と、千枝太郎は訊いた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ひと様の
娘御
(
むすめご
)
を何といふことだと、その時修一に見た冷酷さが今はわが身に振り掛るかと、寿枝は思つた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
尋
(
たづ
)
ねければ
口惡善
(
くちさが
)
なき下女の
習慣
(
ならひ
)
那
(
あれ
)
こそ近在の
大盡
(
だいじん
)
の
娘御
(
むすめご
)
なるが江戸のさる
大店
(
おほだな
)
へ
嫁入
(
よめいり
)
なされしが
聟樣
(
むこさま
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
否
(
い
)
や
然
(
し
)
からず
舊
(
むかし
)
をいはば三千
石
(
ごく
)
の
末流
(
まつりう
)
なりといふ、さらば
旗下
(
はたもと
)
の
娘御
(
むすめご
)
にや、
親御
(
おやご
)
などもおはさぬか、
一人
(
ひとり
)
住
(
ず
)
みとは
痛
(
いた
)
はしきことなりと、
早
(
はや
)
くも
其
(
その
)
の
人
(
ひと
)
不憫
(
ふびん
)
になりぬ
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
近年かたづかれた末の
娘御
(
むすめご
)
の産み月が近いので、どうしても小人数の家内を手伝ってやらねばならぬからとの、おことわりの手紙が今度も桜花壇の亭主を失望させた。
花幾年
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
了善上人には
御連合
(
おつれあい
)
も先年
寂滅
(
じゃくめつ
)
なされ、
娘御
(
むすめご
)
お一人御座候のみにて、
法嗣
(
ほうし
)
に立つべき男子なく、遂に愚僧を
婿養子
(
むこようし
)
になされたき由申出され候
中
(
うち
)
、急病にて
遷化
(
せんげ
)
遊ばされ候。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「実は、あたくしに取っては、土部さまのお
娘御
(
むすめご
)
のことなぞは、どうでもいいのですけれど、あの男を、あのままにほうッて置くわけにはいかない気がしてならないんです」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
何者とも知れない隻腕の剣豪丹下左膳、そこで、刀痕あざやかな顔に強情な
笑
(
えみ
)
をうかべ、貼り紙を
楯
(
たて
)
に開きなおって、
乾雲丸
(
けんうんまる
)
と
娘御
(
むすめご
)
弥生どの、いざ申し受けたいと鉄斎に迫った。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「さあ、だんだん
時刻
(
じこく
)
がおくれます。
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だが、お
娘御
(
むすめご
)
を
出
(
だ
)
して
下
(
くだ
)
さい。」
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
藩内二百石の馬廻り
某氏
(
なにがしうぢ
)
の
娘御
(
むすめご
)
にしてお奈美殿となん呼べる今年十六の女性なりしが、御家老の家柄にして屈指の大身なる藤倉大和殿夫婦を仲人に立て、娘御の両親も承知の旨答へ来りし
体
(
てい
)
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
もっとも水戸の士族のお
娘御
(
むすめご
)
で出るが早いか倉地さんの所にいらっしゃるようになったんだそうですからそのはずでもありますが、ちっともすれていらっしゃらないでいて、気もおつきにはなるし
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
落魄
(
おちぶ
)
れた華族のお姫様じゃと言うのもあれば、分散した
大所
(
おおどこ
)
の
娘御
(
むすめご
)
だと申すのもあります。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
娘御
(
むすめご
)
の
出世
(
しゅっせ
)
を
願
(
ねが
)
ひ、
其
(
その
)
昇進
(
しょうしん
)
をば
此世
(
このよ
)
の
天國
(
てんごく
)
とも
思
(
おも
)
はしゃった
貴下
(
こなた
)
が、
只今
(
たゞいま
)
娘御
(
むすめご
)
が
雲
(
くも
)
の
上
(
うへ
)
の
眞
(
まこと
)
の
天國
(
てんごく
)
へ
昇進
(
しゃうしん
)
せられたのを、
何
(
なん
)
として
歎
(
なげ
)
かしゃるぞ! おゝ、
安
(
やす
)
らかにならしゃれたを
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
貴殿に対しては恩も
恨
(
うらみ
)
もなき身なれど、このお
小夜殿
(
おさよどの
)
は恩儀ある我が師の
娘御
(
むすめご
)
なり。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あれほどの鋭いお方にも、
娘御
(
むすめご
)
のお胸の中は、図星を差すことはならぬと見える。長崎屋もいうとおり、そなたが、その美しい顔を見せたなら、
忽
(
たちま
)
ちほがらかになるに相違ないに——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
夫
(
それ
)
から
思
(
おも
)
へば
松野
(
まつの
)
どのは
大層
(
たいそう
)
に
老
(
ふ
)
けられたりと
我
(
われ
)
一人
(
ひとり
)
呑込顏
(
のみこみがほ
)
、その
松野殿
(
まつのどの
)
とかは
娘御
(
むすめご
)
の
何
(
なに
)
ぞと
問
(
と
)
はれて、
成
(
な
)
るほどなるほど
御存
(
ごぞん
)
じは
無
(
な
)
き
筈
(
はず
)
なりとて、
更
(
さら
)
に
松野
(
まつの
)
の
爲
(
ため
)
に
頣
(
おとがひ
)
しばらく
働
(
はたら
)
かせぬ
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「お嬢さまは
侍中
(
じちゅう
)
の
呉質
(
ごしつ
)
というかたの
娘御
(
むすめご
)
で、
平陵
(
へいりょう
)
の
劉府君
(
りゅうふくん
)
の奥様ですが、府君はさきにおなくなりになったので、唯今さびしく暮らしておいでになります。決して御遠慮のないように」
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「そなたは、この家の
娘御
(
むすめご
)
か」
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
押
(
おさ
)
ゆる
涙
(
なみだ
)
袖
(
そで
)
に
置
(
お
)
きてモシと
止
(
と
)
めれば
振拂
(
ふりはら
)
ふ
羽織
(
はおり
)
のすそエヽ
何
(
なに
)
さるゝ
邪魔
(
じやま
)
くさし
我
(
われ
)
はお
前
(
まへ
)
さまの
手遊
(
てあそび
)
ならずお
伽
(
とぎ
)
になるは
嬉
(
うれ
)
しからず
其方
(
そなた
)
は
大家
(
たいけ
)
の
娘御
(
むすめご
)
暇
(
ひま
)
もあるべしその
日暮
(
ひぐら
)
しの
身
(
み
)
は
時間
(
じかん
)
もを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ロレ しづまりめされ!
如何
(
どう
)
したものぢゃ!
起
(
おこ
)
ってしまうた
騷
(
さわ
)
ぎは、
騷
(
さわ
)
げばとて
治
(
をさま
)
るものではない。そも/\
此
(
この
)
娘御
(
むすめご
)
は
天
(
てん
)
と
貴下
(
こなた
)
の
兩有
(
りゃうもち
)
ぢゃ、
今
(
いま
)
や
天
(
てん
)
の
獨有
(
ひとりもち
)
となったは
娘御
(
むすめご
)
の
爲
(
ため
)
には
幸福
(
しあはせ
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
娘
常用漢字
中学
部首:⼥
10画
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
“娘御”で始まる語句
娘御樣
娘御用聞