奇怪きかい)” の例文
おばさんのはなしは、奇怪きかいであります。みんなは、いているうちに、気味きみわるくなりました。野原のはらうえには、たっていたけれど。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると奇怪きかいにも、其処そこに現れた藝術品や藝術論から受ける印象は沙翁の其れにくらべると、んでもない相違のある事を発見した。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もとより龍太郎も忍剣も、この奇怪きかい事実じじつが、意味いみもないものだとは思わなかったが、そうまでの落としあなとは気がつかなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その後間もなくシャクはみょう譫言うわごとをいうようになった。何がこの男にのり移って奇怪きかいな言葉を吐かせるのか、初め近処の人々にはわからなかった。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
歩きながら、どうして世の中にこんな奇怪きかいなことがあるのか、またどうしてそれが自分のからだをおそったのであろうかと、いろいろ考えつづけた。
透明猫 (新字新仮名) / 海野十三(著)
らに奇怪きかいなりしは仏国公使の挙動きょどうにして本来ほんらいその事件には全く関係かんけいなきにかかわらず、公然書面を政府に差出さしいだ
博士はくしは、ぼんやりと前方ぜんぽうを見つめて、考えこんでいたが、ぽとりと新聞を手から落としてしまった。いくらかんがえても、この奇怪きかい事件じけんははっきりしない。
ぼくは一体、人目をはばかったのか、それともそうしたあなたがきらいだったのか、それもわからぬ複雑奇怪きかいな気持で、どうでもなれとバスにられていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
霧は音もなく其上を流れて、まぼろしに似た奇怪きかいなものの姿が大きく、また小さく、あらわれたり隠れたりしているのが眼を惹く。動いているように想われる。いやたしかに動いている。
鹿の印象 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
まるで符牒ふちょうを書いてあるようなものがある。で世人一般に分らない字を知るのをもって教育の最後の目的として居るのですから、実に奇怪きかいなる教育の目的と言わんければならんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
いろいろのふしぎなことがおこり、奇怪きかいなものが、あらわれるようになりました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
しかも、さらに立ち入って眺めると、一口に没落期ぼつらくきの貴族文化の最後の歌い手とは言っても、ツルゲーネフ個人にとっての生家の事情は、すこぶる特異でもあり奇怪きかいでもあるものでした。
「はつ恋」解説 (新字新仮名) / 神西清(著)
あぶら蝋燭ろうそくの燃えさし、欠けたナイフやフォーク、陰気いんきくさいヴォニファーチイ、尾羽おはうちらした小間使たち、当の公爵夫人の立居振舞い——そんな奇怪きかい千万な暮しぶりなんかには
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
そのほかにはこの奇怪きかいな出来事を判断する種になりそうな事は格別ない。ただ小姓たちの言うのを聞けば、蜂谷は今度紛失した大小を平生由緒へいぜいゆいしょのある品だと言って、大切にしていたそうである。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ところがどうでしょうこの私ですが、この……になっている所々へ、恰度ちょうどあてはめるにいいような、不思議な建築や変わった会話や、異様な絵画や奇怪きかいな音楽に、ぶつかったじゃァありませんか。
この奇怪きかいな壁のすがたにはじめて目をとめたものはむすめでした。
大講会だいこうえの空を飛行ひこうして、試合しあいの心をみだす奇怪きかいな女を、拙者せっしゃ一火流いっかりゅう砲術ほうじゅつをもってち落とし、かく衆人しゅうじんのさわぎを取りしずめたものを
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、だれひとり、この奇怪きかいな話をきいて、これからどうすればいいか、はっきりと言える者はいなかった。
少年たちは、だからもうそれ以上博士から奇怪きかいな超人間X号の話を聞くことができなかった。そして割りきれない胸をいだいて、病院を引きあげたのであった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ぼくいしげると、一そらがって、それはきれいであった。しかも、奇怪きかい風景ふうけいというかんじがした。そらは、毎日まいにち灰色はいいろくもっている。そして、さむかぜいている。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
近くの壁画を見れば、やまいぬわに青鷺あおさぎなどの奇怪きかいな動物の頭をつけた神々の憂鬱ゆううつな行列である。顔もどうもないおおきなウチャトが一つ、細長い足と手とをやして、その行列に加わっている。
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
されば物凄ものすごい相貌の変り方について種々奇怪きかいなる噂が立ち毛髪もうはつ剥落はくらくして左半分が禿げ頭になっていたと云うような風聞も根のない臆説おくせつとのみはいし去るわけには行かない佐助はそれ以来失明したから見ずに済んだでもあろうけれども
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そのふしぎな人物をなんとかして地上へおろしてみたら、あるいは、日吉ひよしとうの上にいた、奇怪きかいな人間のなぞもとけようかと考えたのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
国会議事堂の上からころがり落ちた動くマネキン少年人形の肢体したいとともに、おなじ夜に紛失ふんしつした猿田の死体の顔とおなじであったから、ますます奇怪きかいであった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
博士はくしはいわれるままに、たばこを透明人間とうめいにんげんにあたえた。ところが、見るからに奇怪きかいなことが起こった。
こうした奇怪きかいはなしは、これまでに、二めであります。この鉄道線路てつどうせんろは、西南せいなんからはしって、この野原のはらなかでひとうねりして、それからまっすぐに北方ほっぽうへと無限むげんつらなっているのでした。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間の身体からだを見ても、その通り。みんな意味の無い奇怪きかいな形をした部分部分に分析ぶんせきされてしまう。どうして、こんな恰好かっこうをしたものが、人間として通っているのか、まるで理解できなくなる。
文字禍 (新字新仮名) / 中島敦(著)
最近はからずも月世界の赤道せきどうのすこし北にある「危難の海」に奇怪きかい異物いぶつを発見したためであった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
助手じょしゅ小田おださんが、かがみあたらしい木箱きばこにおさめて、北国ほっこく旅立たびだったのは、なつもなかばすぎたのことで、烏帽子岳えぼしだけのいただきから、奇怪きかい姿すがたをした入道雲にゅうどうぐもが、平野へいやおろしながら、うみほうへと
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この奇怪きかいきわまる探偵事件に、主人公を勤める「赤外線男せきがいせんおとこ」なるものは、一体全体何者であるか? それはまたどうした風変りの人間なのであるか? 恐らくこの世におい
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その十人近くの人間と見えたのは、実は人聞だかどうだか解りかねる奇怪きかいなる生物いきものでした。そうです。生物には違いないと思います、こうウヨウヨと蠢いているのですから。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さてそれからはじまった椋島技師の行動こそは、奇怪きかい至極しごくのものであった。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まったく奇怪きかいな事件だ。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)