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回向院
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えこういん
ふりがな文庫
“
回向院
(
えこういん
)” の例文
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
是等を救助せずして静まるべきの筋にあらずとて、先づ救民小屋
造立
(
つくりたて
)
の間、本所
回向院
(
えこういん
)
、
谷中
(
やなか
)
天王寺、
音羽
(
おとは
)
護国寺、
三田
(
みた
)
功運寺
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
保吉はこの言葉を聞くが早いか、
回向院
(
えこういん
)
の
境内
(
けいだい
)
を思い出した。川島もあるいは意地の悪い譃をついたのではなかったかも知れない。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
両国橋の脇から舟に乗っていったが、明日は
回向院
(
えこういん
)
の
川施餓鬼
(
かわせがき
)
があるそうで、たて川筋はどこでも
精霊舟
(
しょうろうぶね
)
を作るのに賑わっていた。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
毎朝、夜の明けないうちからする
勤行
(
ごんぎょう
)
の
鉦
(
かね
)
が、
回向院
(
えこういん
)
裏まで聞えて来る頃、いつもそれを時刻に、雨戸を開ける豆腐屋の夫婦であった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふたりは眼にしみる汗をふきながら両国橋をいそいで渡ると、
回向院
(
えこういん
)
の近所には藪入りの小僧らが押し合うように群がっていた。
半七捕物帳:21 蝶合戦
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
この大人形が当ったので、
回向院
(
えこういん
)
で江の島の弁天か何かの開帳があった時に、回向院の地内に、朝比奈三郎の大人形が出来た。
江戸か東京か
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
譬
(
いわ
)
ば
嵯峨
(
さが
)
のお
釈迦
(
しゃか
)
様が両国の
回向院
(
えこういん
)
でお開帳だとか、
信濃
(
しなの
)
の善光寺様の出開帳だとか——そのうちでも日蓮宗は
華
(
はな
)
やかだった。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そうしてその流した子は、一朱内外を添えて、隅田川のほとり、
本所
(
ほんじょ
)
の
回向院
(
えこういん
)
へ収めたという事が書き添えられている。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
柳橋から両国橋を渡って、大川沿いに土手を左へ曲がりながら、そこの
回向院
(
えこういん
)
裏の
横堀
(
よこぼり
)
の奥へどんどんと急ぎました。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
千住の
遊廓
(
くるわ
)
では
嫖客
(
ひょうかく
)
が、日本橋の往来では商家の手代が、
下谷池之端
(
したやいけのはた
)
では老人の易者が、深川木場では荷揚げ人足が、本所
回向院
(
えこういん
)
では僧が殺された。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これを例するに
浅野
(
あさの
)
セメント会社の工場と
新大橋
(
しんおおはし
)
の
向
(
むこう
)
に残る古い
火見櫓
(
ひのみやぐら
)
の如き、あるいは
浅草蔵前
(
あさくさくらまえ
)
の電燈会社と
駒形堂
(
こまがたどう
)
の如き、
国技館
(
こくぎかん
)
と
回向院
(
えこういん
)
の如き
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その時引取手の無い死骸を本所牛島新田に埋め、その上に築いた
伽藍
(
がらん
)
がすなわち
回向院
(
えこういん
)
——そんなことはもう講釈種で皆様よくご存じのことと思います。
奇談クラブ〔戦後版〕:12 乞食志願
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
誠太郎の注文を能く聞いてみると、相撲が始まったら、
回向院
(
えこういん
)
へ連れて行って、正面の最上等の所で見物させろというのであった。代助は快よく引き受けた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
回向院
(
えこういん
)
から東にあたる位置で、一つ目の橋の近くだ。そこには親子三人暮らしの気の置けない家族が住む。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
大学生時代に
回向院
(
えこういん
)
の相撲を一二度見に行ったようであるがその記憶はもうほとんど消えかかっている。
相撲
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
翌朝、吉良の首を槍の柄に結んで、
回向院
(
えこういん
)
無縁寺の門前に勢揃いした一党が、高輪泉岳寺への途中、廻りみちをして永代橋を渡っているとき、行列のなかの武林唯七が
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
読書界が毎年二季のこの附録を迎うるやあたかも
回向院
(
えこういん
)
の番附を見ると同一の感があった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
余は
回向院
(
えこういん
)
の
角力
(
すもう
)
も観たことがないので、
贔屓
(
ひいき
)
角力などはないがどつちかといふと梅ヶ谷の方を贔屓に思ふて居る。さうして子供の時から謙信よりも信玄が好きなやうに思ふ。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
混合
(
こみあ
)
う
人数
(
にんず
)
の崩るるごとき火水の戦場往来の
兵
(
つわもの
)
には、余り透いて、相撲最中の
回向院
(
えこういん
)
が野原にでもなったような電車の
体
(
てい
)
に、いささか拍子抜けの形で、お望み次第のどれにしようと
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
橋手前の広場に
葭簀
(
よしず
)
張りの茶店や麦湯の行灯、橋向うは細い横町を抜けて突当りが
回向院
(
えこういん
)
の表門、橋詰の左の角にデロレン
祭文
(
ざいもん
)
の常小屋、正面の高座に法螺の貝と
錫杖
(
しゃくじょう
)
で二人の太夫
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
自分は知人
某氏
(
なにがしし
)
を両国に
訪
(
と
)
うて第二の避難を
謀
(
はか
)
った。侠気と同情に富める
某氏
(
なにがしし
)
は全力を尽して奔走してくれた。家族はことごとく自分の二階へ引取ってくれ、牛は
回向院
(
えこういん
)
の庭に置くことを諾された。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
名付けて諸宗山無縁寺
回向院
(
えこういん
)
といった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
八歳か
九歳
(
くさい
)
の時か、とにかくどちらかの秋である。陸軍大将の
川島
(
かわしま
)
は
回向院
(
えこういん
)
の
濡
(
ぬ
)
れ
仏
(
ぼとけ
)
の
石壇
(
いしだん
)
の前に
佇
(
たたず
)
みながら、
味
(
み
)
かたの軍隊を
検閲
(
けんえつ
)
した。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
予
(
よ
)
少年の頃は東両国、
回向院
(
えこういん
)
前にてもこのつるし多く売りをりしが、その頃のものと形はさのみ変りなけれど、彩色は段々悪くなり、面白味うせたり。
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
両国の
回向院
(
えこういん
)
ででもあるのかな。回向院ならば自分もよく知っている、どう見直しても回向院ではない。第一、回向院は寺とはいえ、もっと和気がある。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
八つを告げる
回向院
(
えこういん
)
の鐘の音が、
桜花
(
はな
)
を映して悩ましく霞んだ
蒼穹
(
あおぞら
)
へ吸われるように消えてしまうと、落着きのわるい床几のうえで釘抜藤吉は大っぴらに一つ
欠伸
(
あくび
)
を洩らした。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
喧嘩をしても、
回向院
(
えこういん
)
の
相撲
(
すもう
)
のような心持ちのいい喧嘩は出来ないと思った。そうなると一銭五厘の
出入
(
でいり
)
で
控所
(
ひかえじょ
)
全体を
驚
(
おど
)
ろかした議論の相手の山嵐の方がはるかに人間らしい。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その一方は
駿河台
(
するがだい
)
へ延びて
神田
(
かんだ
)
を焼きさ、
伝馬町
(
てんまちょう
)
から
小舟町
(
こぶなちょう
)
、
堀留
(
ほりどめ
)
、
小網町
(
こあみちょう
)
、またこっちのやつは大川を
本所
(
ほんじょ
)
に飛んで
回向院
(
えこういん
)
あたりから
深川
(
ふかがわ
)
永代橋
(
えいたいばし
)
まできれえにいかれちゃった
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その頃の九段坂上は
現今
(
いま
)
よりグッと野暮な山の手だった——富士見町の花柳界が盛りになったのは、
回向院
(
えこういん
)
の
大角力
(
おおずもう
)
が幾場所か
招魂社
(
しょうこんしゃ
)
の境内へかかってから、メキメキと格が上ったのだ。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
日が暮れると、平次の遺骸を板囲いの
中
(
うち
)
から運び出し戸板に載せて、
回向院
(
えこういん
)
に移しました。江戸中の名ある御用聞手先が二三十人、笹野新三郎と一緒に、それに従ったことは言うまでもありません。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
風采
(
ふうさい
)
、千破矢家の
傳
(
ふ
)
たるに足る竜川守膳が、顔の色を変えて血眼になって、その捜索を、府下における区々の警察に頼み聞えると、両国
回向院
(
えこういん
)
のかの鼠小憎の
墓前
(
はかのまえ
)
に、
居眠
(
いねむり
)
をしていた小憎があった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠く——
回向院
(
えこういん
)
の
七刻
(
ななつ
)
がうつつな耳に聞える。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「相生町一丁目……。
回向院
(
えこういん
)
の近所だね」
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
このくらい秘密の
魅力
(
みりょく
)
に富んだ、
掴
(
つかま
)
え所のない問題はない。保吉は死を考える度に、ある日
回向院
(
えこういん
)
の
境内
(
けいだい
)
に見かけた二匹の犬を思い出した。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
というのはこのほど、両国の
回向院
(
えこういん
)
に信州善光寺
如来
(
にょらい
)
のお開帳があるということ。そのお開帳と前後して、回向院の広場をかりて広大な小屋がけがはじまったこと。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
回向院
(
えこういん
)
のそれのように、
一分足
(
いっぷんた
)
らずで引分を期する望みもなく、命のあらん限は一生続かなければならないという苦しい事実に
想
(
おも
)
い至るならば、我等は神経衰弱に
陥
(
おちい
)
るべき極度に
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
明治十二年の大火に蔵だけ残して丸焼けになって、本所の
回向院
(
えこういん
)
境内まで、両国橋を渡って逃げたということであるから、住居の具合は変りもしたであろうが、とにかく、五軒間口の塀は
旧聞日本橋:25 渡りきらぬ橋
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
手はじめは、
回向院
(
えこういん
)
のネズミ小僧の墓だったと思う。イキな
姐
(
ねえ
)
さんや、勇ましいあんちゃんたちの参詣で、四十七士の墓よりも、もっと、香煙もうもうとして、そして、見事に、ぶち欠かれていた。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「つい今し方
回向院
(
えこういん
)
の八つが鳴るのを聞きました」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「なアに。夜明け方、自身番の六兵衛さんに、こうこうだと、早耳に聞いたから、それッ行って見ろってンで、経師屋の安さんや棟梁の
吉
(
きち
)
さんなんかと、松坂町のすぐそばの
回向院
(
えこういん
)
前まで行って見て来たんだ。だから、朝飯もまだ喰ッちゃあいねえ」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大導寺信輔の生まれたのは
本所
(
ほんじょ
)
の
回向院
(
えこういん
)
の近所だった。彼の記憶に残っているものに美しい町は一つもなかった。美しい家も一つもなかった。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつもならば
直接
(
じか
)
に
回向院
(
えこういん
)
の興行場へ行くのに、今日はどこぞ廻り道をするところがあるとみえます。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
回向院
(
えこういん
)
の
相撲
(
すもう
)
か
本門寺
(
ほんもんじ
)
の
御会式
(
おえしき
)
のように
幾旒
(
いくながれ
)
となく長い旗を所々に植え付けた上に、世界万国の国旗をことごとく借りて来たくらい、
縄
(
なわ
)
から縄、
綱
(
つな
)
から綱へ
渡
(
わた
)
しかけて、大きな空が
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
回向院
(
えこういん
)
に有名な墓を遺している鼠小僧は、あるいは実在の人物であったかもしれないが、今となっては小説と戯曲中の美化された侠賊であり、
谷中
(
やなか
)
に墓を遺した毒婦高橋お伝と共に時の浄化によって
随筆銭形平次:14 捕物帖談義
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ほどなく泰さんに別れると、すぐ新蔵が取って返したのは、
回向院
(
えこういん
)
前の
坊主軍鶏
(
ぼうずしゃも
)
で、あたりが暗くなるのを待ちながら、銚子も二三本空にしました。
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ねえ、お嬢様、あの
幟
(
のぼり
)
の一つをごらんなさい、舞鶴駒吉てのがございましょう、あれはね、駿河の生れで、そうですね、安政六年の春でしたか、
回向院
(
えこういん
)
へ来たことがありますよ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
幼稚園は名高い
回向院
(
えこういん
)
の隣の江東小学校の附属である。この幼稚園の庭の
隅
(
すみ
)
には大きい
銀杏
(
いちょう
)
が一本あった。僕はいつもその落葉を拾い、本の中に
挾
(
はさ
)
んだのを覚えている。
追憶
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこで、この連中は、打揃って、程遠からぬ
回向院
(
えこういん
)
の
境内
(
けいだい
)
に、お君の墓参りをして行こうと、花と香とを携えて、門を出ようとする時に、どこからともなくムク犬が現われました。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
国技館の隣に
回向院
(
えこういん
)
のあることは大抵誰でも知っているであろう。
所謂
(
いわゆる
)
本場所の相撲もまだ国技館の出来ない前には回向院の境内に
蓆張
(
むしろば
)
りの小屋をかけていたものである。
本所両国
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
両国橋を渡りきった米友は、
回向院
(
えこういん
)
に突き当って右へ廻って
竪川通
(
たてかわどお
)
りへ出ました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“回向院”の解説
回向院(えこういん)は、東京都墨田区両国二丁目にある浄土宗の寺院、および、過去にその別院であった東京都荒川区南千住五丁目にある寺院。
(出典:Wikipedia)
回
常用漢字
小2
部首:⼞
6画
向
常用漢字
小3
部首:⼝
6画
院
常用漢字
小3
部首:⾩
10画
“回向院”で始まる語句
回向院横