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嘲笑
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ちょうしょう
ふりがな文庫
“
嘲笑
(
ちょうしょう
)” の例文
「そうだ、これこそ人生だ、貧乏と、屈辱と、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
と、そして明日の望みのなくなったときこそ、はじめて我々は人生に触れるのだ」
溜息の部屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それで彼は、彼のめちゃな言葉を聞いて
給仕
(
ボーイ
)
が
嘲笑
(
ちょうしょう
)
的な様子をしたのを、ひどく気に病みながらも、
強
(
し
)
いて平気でいようとつとめた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この説を初めから問題ともしないでいたずらに
嘲笑
(
ちょうしょう
)
の的にしようとする人のみ多い事にも疑いをいだかないわけには行かなかった。
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そうかと云って、そうであるまいとすると、私はてんから、情熱と魂を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
してしまうような気がする。私は果して書きうるのか。
二十七歳
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
あらゆる多くの人々の、あらゆる
嘲笑
(
ちょうしょう
)
の前に立って、私は今もなお固く心に信じている。あの裏日本の伝説が
口碑
(
こうひ
)
している特殊な部落。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
巻煙草だのパイプだのをくわえたのや、
頭巾
(
ずきん
)
をかぶったのや、無作法な
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を浮かべた頭が、そこからにょきにょき突き出された。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
わたしは
北京
(
ペキン
)
滞在中、山井博士や牟多口氏に会い、たびたびその
妄
(
もう
)
を破ろうとした。が、いつも反対の
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を受けるばかりだった。
馬の脚
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その時分の
勢
(
いきおい
)
からいうと、日本的なもの、伝統的なもの、と説くことが因循
姑息
(
こそく
)
なものとして、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
軽蔑
(
けいべつ
)
されやすい立場にあった。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
まさか親子連れで火をつけに歩きまわるやつもなかろうじゃないかと私は
嘲笑
(
ちょうしょう
)
してやったんだ、それにしても疑われるのは損だからね
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
ほんの一瞬の差が一時間のあとには
莫大
(
ばくだい
)
もない懸隔をつくるのである。今の安倍には、慰めや同情も
罵詈
(
ばり
)
や
嘲笑
(
ちょうしょう
)
とおなじであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
言うこともほかにありそうなものを自分の悲しみを
嘲笑
(
ちょうしょう
)
するにあたるようなことをお言いになるとはと院は心に
思召
(
おぼしめ
)
しながらも
源氏物語:42 まぼろし
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
遠い国許にいる
知辺
(
しるべ
)
の顔が、みな
嘲笑
(
ちょうしょう
)
の歯を向けているように
僻
(
ひが
)
まれる。いや僻みではない、当然そう思われているに違いない。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二十面相は、この最後の大場面をかざるために、思い出の青銅のよろいを身につけて、追手に見せびらかし、追手を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
しているのです。
青銅の魔人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わざと一番を敬遠したくなる競馬心理を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
するように、やはり単で来て、本命のくせに人気が割れたのか意外な好配当をつけたりする。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
このような手紙を、もし
嘲笑
(
ちょうしょう
)
するひとがあったら、そのひとは女の生きて行く努力を嘲笑するひとです。女のいのちを嘲笑するひとです。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
漸く彼は自分の意志から進むことが出来そうに成って来た。彼は種々な方面から自分の身に集って来る
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を予期した。非難を予期した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私たちの常識は、こういう望みがこの世の中に在るということに対してすら、ひょっとかすれば
真面
(
まとも
)
に
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を浴びせてしまうかも知れない。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ちいさな、てんしんらんまんたる幼子だからこそ、赤ン坊でいえば虫が笑わせるといった笑い——この場合では
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を禁じ得なかったのだ。
旧聞日本橋:17 牢屋の原
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この上は
恥
(
はじ
)
を忍び、あえて
満都
(
まんと
)
の
嘲笑
(
ちょうしょう
)
に耐えて、しっかりした推理の足場を組みたてて事件の真相を
掴
(
つか
)
まなければならない。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
Kは女中の言うことを考えこんだようにじっと聞いていたが、ほとんど
嘲笑
(
ちょうしょう
)
的な
眼差
(
まなざし
)
をして、驚いているグルゥバッハ夫人のほうに振返った。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
そしてなにかわたしにわからないことを言うと、夫はふふんと
笑
(
わら
)
った。かの女の
冷淡
(
れいたん
)
と、わたしの父親の
嘲笑
(
ちょうしょう
)
とが
深
(
ふか
)
くわたしの心を
傷
(
きず
)
つけた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
かくのごとき問題を取り扱うには、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
はその場所を得ないように吾人には思われる。善も悪も、すべてが真剣なのである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
当時の社会主義運動には「分派」の争いが激しく、憎悪、反感、
罵詈
(
ばり
)
、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
、批難、攻撃が、ずいぶんきたならしく両派の間に交換されていた。
赤旗事件の回顧
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
世の
嘲笑
(
ちょうしょう
)
や批難に堪えてゆけるだけの
確乎
(
かっこ
)
たるものはなかったが、どうかすると、彼はよく
昂然
(
こうぜん
)
と、しかし、低く
呟
(
つぶや
)
いた。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
細い目のちょいと下がった
目尻
(
めじり
)
に、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
的な微笑を湛えて、幅広く広げた口を囲むように、左右の頬に大きい
括弧
(
かっこ
)
に似た、深い皺を寄せている。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「
大坂
(
ダイハン
)
は、熊本と、もう何回
接吻
(
せっぷん
)
をした」 とか 「お
尻
(
しり
)
にさわったか」とか、
或
(
ある
)
いは、もっと悪どいことを
嬉
(
うれ
)
しそうにいって、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
するのでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
十八世紀の「素朴人」をもってしても、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
するには足りる。しかし今日の力戦のためにはそれはあまりに虚弱である。英雄が必要である。英雄たれ!
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
世間の非難と
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を一身に集めたような葉子との関係にも、肩身の狭い思いがしているので、少しばかりのことで気まずい思いをするのもいやだった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
あの人は芝居というものを信用しないで、いつもわたしの夢を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
してばかりいた。それでわたしも、だんだん信念が
失
(
う
)
せて、気落ちがしてしまったの。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
どッ! と、浪のような笑声が、諸士の口から一つに沸いて、
初春
(
はる
)
らしく、豊かな
波紋
(
はもん
)
を描いた。が、笑い声は
長閑
(
のどか
)
でも、どうせ
嘲笑
(
ちょうしょう
)
である。
愚弄
(
ぐろう
)
である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
弱音を吹いて見たところで、いたずらに
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を買うまでで、だれあって一人同情をよせるものもない。だれだってそうだといわれて見るとこれきりの話だ。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
不思議にも人情は今までのところ
茶碗
(
ちゃわん
)
に東西相合している。茶道は世界的に重んぜられている唯一のアジアの儀式である。白人はわが宗教道徳を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
した。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
彼と一緒になって
嘲笑
(
ちょうしょう
)
もしなかったかということは、多くの不安な年月のあいだ、私には解きえぬ
謎
(
なぞ
)
であった。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
嘲笑
(
ちょうしょう
)
、私語。気違い、気違いなどと
囁
(
ささや
)
き合っている。……文麻呂の背後には、正装した大納言大伴ノ御行。……
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
それは何時の間にか私の
堪
(
たま
)
らなくなる種類のものをやります。先程の婦人がそれにつれて踊るであろうような音楽です。時には
嘲笑
(
ちょうしょう
)
的にそしてわざと下品に。
橡の花
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
どこか
夢想的
(
むそうてき
)
な所があり、そのため、相当な位置にいたにもかかわらず、いつも人々の
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を買っていた。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
専門学者はすべてその虚構を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
したのであるが、その後専門学者がだんだん研究に着手してみると、ただにベルト氏の言った事が間違いにあらざるのみならず
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
それが
嘲笑
(
ちょうしょう
)
の意味でなくって、好意から来たものか、また好意らしく見せるつもりなのか、私は即坐に解釈の余地を
見出
(
みいだ
)
し得ないほど
落付
(
おちつき
)
を失ってしまうのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ぼくは、自分の弱さをそのまま投げかえされ、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
されるのは、もうたくさんだと考えたのだ。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
女を甘やかす今の
欧羅巴
(
ヨーロッパ
)
の„Dame“社会状態は、全
亜細亜
(
アジヤ
)
人からも、それから古代
希臘
(
ギリシヤ
)
、古代
羅馬
(
ロオマ
)
の人々からも
嘲笑
(
ちょうしょう
)
されるに
極
(
き
)
まっているといったショペンハウエルは
妻
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
佐助はこの事が春琴に知れたら定めし機嫌を損ずるであろうただ与えられた手曳きの役をしていればよいのに丁稚の
分際
(
ぶんざい
)
で生意気な
真似
(
まね
)
をすると
憫殺
(
びんさつ
)
されるか
嘲笑
(
ちょうしょう
)
されるか
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そのような人間が虚栄的であることは何人も直ちに理解して
嘲笑
(
ちょうしょう
)
するであろう。しかるに世の中にはこれに劣らぬ虚栄の出来事が多いことにひとは容易に気附かないのである。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
もっともタミル族の女給どもは、老博士を、というよりも、いつも博士の椅子を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
したのだが、しかし、この椅子の存在なくしては、博士自身の存在もあり得ないのである。
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
多勢の顔には、驚きと非難と、そしてほのかな
嘲笑
(
ちょうしょう
)
が浮んで来ます。この時、狭い川を隔てて猿屋町のお角の家からは、三味線の
音
(
ね
)
につれて、
艶
(
なまめ
)
かしい歌が漏れていたのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
金魚のように風に吹かれている芝居小屋の旗をみていると、その旗の中にはかつて私を愛した男の名もさらされている。わっは、わっは、あのいつもの声で私を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
している。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
市井
(
しせい
)
の間の小人の争いて販売する者の
所為
(
しょい
)
と何を以てか異ならんや、と云い、先賢大儒、世の尊信崇敬するところの者を、
愚弄
(
ぐろう
)
嘲笑
(
ちょうしょう
)
すること
太
(
はなは
)
だ過ぎ、其の口気甚だ憎む可し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
極めて
生真面目
(
きまじめ
)
にして、人のその笑えるをだに見しものもあらざれども、
式
(
かた
)
のごとき白痴者なれば、
侮慢
(
ぶまん
)
は常に
嘲笑
(
ちょうしょう
)
となる、世に最も
賤
(
いやし
)
まるる者は時としては
滑稽
(
こっけい
)
の材となりて
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
俺は貴女のその笑顔を、初はどんなに楽しんでいたか分らないが、だん/\見ていると、貴女のその美しい笑顔の皮一つ下には、俺に対する
憎悪
(
ぞうお
)
と
嘲笑
(
ちょうしょう
)
とが、一杯に
充
(
み
)
ちているのだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
毎日石造りの
陰鬱
(
いんうつ
)
な大きな部屋に通って、慣れない交換台に向かって、加入者の
罵声
(
ばせい
)
を浴び、仲間からは粗末な服装を
嘲笑
(
ちょうしょう
)
され、両親から譲られた唯一のものである
美貌
(
びぼう
)
を
嫉視
(
しっし
)
されて
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
かれはその食事をも終わることができなく、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
一時に起こりし間を立ち去った。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
嘲
常用漢字
中学
部首:⼝
15画
笑
常用漢字
小4
部首:⽵
10画
“嘲笑”で始まる語句
嘲笑的
嘲笑癖
嘲笑者