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勃興
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ぼっこう
ふりがな文庫
“
勃興
(
ぼっこう
)” の例文
時は、洋行帰りの新人や、学者たちの間に、丁度演劇改良熱の
勃興
(
ぼっこう
)
しつつあったおりで、勘弥はその機運をいちはやくも
掴
(
つか
)
んだのだ。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
和歌に代りて起りたる俳句幾分の和歌臭味を加えて元禄時代に
勃興
(
ぼっこう
)
したるも、
支麦
(
しばく
)
以後ようやく腐敗してまた
拯
(
すく
)
うに道なからんとす。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
誇りとすべきことは必ずしも人種の純粋なる点ではない。また国家の
勃興
(
ぼっこう
)
し隆盛となるは人種や血の単一なるによるとも思われぬ。
民族優勢説の危険
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
やはり
上代
(
じょうだい
)
から
漕
(
こ
)
ぎ出して、順次に根気よく人文発展の
流
(
ながれ
)
を下って来ないと、この突如たる
勃興
(
ぼっこう
)
の真髄が
納得
(
なっとく
)
出来ないという意味から
マードック先生の『日本歴史』
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あらゆるものが次から次へと
勃興
(
ぼっこう
)
した事は、一つには退屈と衰亡に際する一種の死の
苦悶
(
くもん
)
から湧き上った処の大革命であったに違いない。
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
▼ もっと見る
殊に、町人芸術の
勃興
(
ぼっこう
)
した徳川期の文化文政以後からその
瓦解
(
がかい
)
時代にはいって
刹那
(
せつな
)
的享楽気分が迎えられて、よけいに著しい。
銀河まつり
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四五年来の女子教育の
勃興
(
ぼっこう
)
、女子大学の設立、
庇髪
(
ひさしがみ
)
、
海老茶袴
(
えびちゃばかま
)
、男と並んで歩くのをはにかむようなものは一人も無くなった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
平安末期から鎌倉時代へかけては、太子讃仰の念の
勃興
(
ぼっこう
)
した時代であるが、この頃の人の信心をうかがうと、実に「愚」で熱烈で真直ぐだ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
その一は
司馬江漢
(
しばこうかん
)
が西洋遠近法の応用、その二には仏国印象派
勃興
(
ぼっこう
)
との関係につきて最も注意すべき興味ある制作なりとす。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
さて皆さん、今も申した通り全国各地に食道楽会が
勃興
(
ぼっこう
)
して食物問題の研究が
盛
(
さかん
)
になれば
我邦
(
わがくに
)
の人は将来何ほどの利益を
享
(
う
)
けるか知れません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
遠く西紀前八世紀に遡って、すでにアッシリア帝国の急激な
勃興
(
ぼっこう
)
があり、ついでダリウス帝のペルシャ帝国の建設がある。
映画『人類の歴史』
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
当時近代音楽の
勃興
(
ぼっこう
)
時代で、
真物
(
ほんもの
)
も
偽物
(
にせもの
)
も、ひたむきに新奇を
趨
(
お
)
うてやまなかった時、ブラームスは雄大、厳重、素朴、
敬虔
(
けいけん
)
な古典精神に
還
(
かえ
)
り
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
衰余の国民が文明国の干渉によって
勃興
(
ぼっこう
)
した例は少ないが、今は商業も著しく発達し、利益と人道とが手を取って行く世の中となって来たから
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
以上は新型式の
勃興
(
ぼっこう
)
に
惰眠
(
だみん
)
をさまされた
懶翁
(
らんおう
)
のいまださめ切らぬ目をこすりながらの感想を直写したままである。あえて読者の
叱正
(
しっせい
)
を祈る次第である。
俳句の型式とその進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
おまけに僕は間もなく
勃興
(
ぼっこう
)
した赤軍の強制募集に引っかかって無理やりに鉄砲を担がせられることになったのです。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
七世紀の半ばといへば、近東に
勃興
(
ぼっこう
)
したサラセンの激浪が、しきりに東ローマ帝国の岸べを洗つてゐた頃である。
鸚鵡:『白鳳』第二部
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
色は物象の面と空間とを埋めるために、面は物象の量と積とを表わすためにのみ用いられた。そして印象派の
勃興
(
ぼっこう
)
はこの固定概念に
幽
(
かす
)
かなゆるぎを与えた。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
植物の研究が進むと、ために人間社会を幸福に
導
(
みちび
)
き人生を厚くする。植物を資源とする工業の
勃興
(
ぼっこう
)
は国の
富
(
とみ
)
を
殖
(
ふ
)
やし、したがって国民の生活を
裕
(
ゆた
)
かにする。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
人は上下に
擘
(
さ
)
かれ貧富に隔てられた。
呪
(
のろ
)
いを以て語られる資本制度は、その帰結であった。事実が示す如く、工藝美の
衰頽
(
すいたい
)
と資本制度の
勃興
(
ぼっこう
)
とは平行する。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
京伝や馬琴の流を汲んだ戯作者の残党が
幇間
(
ほうかん
)
芸人と伍して僅かに
余喘
(
よぜん
)
を保っていたのだから、
偶々
(
たまたま
)
文学
勃興
(
ぼっこう
)
の機運が熟しても
渠
(
かれ
)
らはその運動に与かる力がなくて
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
朝廷は
怨嗟
(
えんさ
)
の
的
(
まと
)
となり、重税をのがれるための浮浪逃亡が急速に各地に起り、おのずから荘園はふとり、国有地は衰え、平安朝の貴族の専権、ひいては武家の
勃興
(
ぼっこう
)
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
生産力の発展や経済的矛盾だけを一元的にいうだけでは、例えば武器や戦争方法の変化、宗教の
勃興
(
ぼっこう
)
、科学技術上の新発明などによる変革は、充分に説明できない。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
教学ともに振起
勃興
(
ぼっこう
)
せるにもかかわらず、民間に下りて見れば、積年の迷信依然としてその勢力をたくましくし、もって教育の進路を遮り、宗教の改良を妨ぐること
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
異国人にまで讃美されたほどなので、今日本趣味の
勃興
(
ぼっこう
)
の
蔭
(
かげ
)
、時局的な統制の下に、軍需景気の
煽
(
あお
)
りを受けつつ、上層階級の宴席に持て
囃
(
はや
)
され、たとい一時的にもあれ
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
欧洲における新教革命の反動として
勃興
(
ぼっこう
)
したる「ジェスイト」派の高僧、
熱信
(
ねっしん
)
篤行
(
とっこう
)
の君子ザウィエールの手によりて、洗礼を受けたるもの、上は
国持
(
くにもち
)
、
城持
(
しろもち
)
の大名より
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
山川さんがこれを反対に
忖度
(
そんたく
)
して、私の議論が専ら資本主義の
勃興
(
ぼっこう
)
に伴う社会的変化を顧慮し
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
日清戦争の結果によって国民全体がその国民的自覚の
勃興
(
ぼっこう
)
を示してから間もなくの事であった。
時代閉塞の現状:(強権、純粋自然主義の最後および明日の考察)
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
即ち
崎陽
(
きよう
)
において、小林に贈るの書中にも、
仮令
(
たとい
)
国土を
異
(
こと
)
にするも、共に国のため、道のために尽し、
輓近
(
ばんきん
)
東洋に、自由の新境域を
勃興
(
ぼっこう
)
せんと、
暗
(
あん
)
に永別の書を贈りし
所以
(
ゆえん
)
なり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
元来、それを破壊することばかりやって来たといっていい信長の
膝下
(
ひざもと
)
に、いまや
画期的
(
かっきてき
)
な新文化がここに
勃興
(
ぼっこう
)
しかけている。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここにおいて徂徠派の病弊を指摘し、その偏見を道破し、
汎
(
あまね
)
く支那歴代の文教を一般に
渉
(
わた
)
って批判攻究すべきことを説く新しい学派が
勃興
(
ぼっこう
)
した。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「独逸物理学の
勃興
(
ぼっこう
)
」などという新聞記事が、何かその学問の大発展を意味するような誤った印象を与えているかも知れないので、その点を注意しておくに過ぎない。
語呂の論理
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
今紫は
大籬
(
おおまがき
)
の
花魁
(
おいらん
)
、男舞で名をあげ、
吉原太夫
(
よしわらだゆう
)
の最後の
嬌名
(
きょうめい
)
をとどめたが、
娼妓
(
しょうぎ
)
解放令と同時廃業し、その後、薬師
錦織
(
にしごおり
)
某と
同棲
(
どうせい
)
し、壮士芝居
勃興
(
ぼっこう
)
のころ女優となったりして
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
戦後の世界は戦前においてさまで優勢でなかった思想が
勃興
(
ぼっこう
)
し初めたために、経済的、政治的、社会的のいずれの方面においても、これまでになかった急激な動揺変化を生じて
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
近ごろわが国でも土俗学的の研究趣味が
勃興
(
ぼっこう
)
したようで誠に喜ばしいことと思われるが
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
西洋では illuminism が
盛
(
さかん
)
に行われた、十八世紀の反動として十九世紀の前半に浪漫的趣味の
勃興
(
ぼっこう
)
を
来
(
きた
)
しました。それが変化してまた客観的態度に復して参りました。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
絶って今日の如き清潔なる食道楽会が全国各地に
勃興
(
ぼっこう
)
しつつあらん事を希望致します
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
学芸によって国の
勃興
(
ぼっこう
)
することもある、学芸によって国が
惰弱
(
だじゃく
)
に流れることもある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
紅葉
勃興
(
ぼっこう
)
当時の文壇は各々私交はあっても団体的に行動する事はなかった。
春廼舎
(
はるのや
)
の
起
(
た
)
つや
半峰居士
(
はんぽうこじ
)
は
伯牙
(
はくが
)
における
鍾子期
(
しょうしき
)
の如くに共鳴したが、
早稲田
(
わせだ
)
は決して春廼舎を声援しなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
心怒りて目
閃
(
ひら
)
めき、情悲んで涙落つ、思うは則ち動くなり。もしこの原則をして、社会の
狂濤
(
きょうとう
)
たる革命に適用するを得ば、心理的の革命、中に
勃興
(
ぼっこう
)
して、事実的革命、外に発作するなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
ロシアに生まれ、リムスキー=コルサコフの影響を受けたが、当時
勃興
(
ぼっこう
)
したディアギレフのロシア舞踊団のために新鮮にして最も魅力に富んだ舞踊曲を書き、一挙にして世界の視聴を集めた。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
和歌に代りて起りたる俳句幾分の和歌臭味を加へて元禄時代に
勃興
(
ぼっこう
)
したるも、
支麦
(
しばく
)
以後
漸
(
ようや
)
く腐敗してまた
拯
(
すく
)
ふに道なからんとす。
是
(
ここ
)
において蕪村は複雑的美を捉へ来りて俳句に新生命を与へたり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
まず織田家の
勃興
(
ぼっこう
)
ぶりを数字のうえで見ると、ここ足かけ三年間に、足利
義昭
(
よしあき
)
を追い、浅井、朝倉を滅ぼして、急激にその領地を拡大している。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先
(
まず
)
浮世絵山水画発達の経路を尋ねてその一を
奥村政信
(
おくむらまさのぶ
)
以来広く行はれたる
浮絵
(
うきえ
)
遠景図に帰し、その二を以て
天明
(
てんめい
)
年間江戸に
勃興
(
ぼっこう
)
せし狂歌の影響なりとなさんと欲す。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いついかなる問題が
勃興
(
ぼっこう
)
して、現在の第一線の問題に取って代わるかもしれない。
物理学圏外の物理的現象
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
だから今もし
小波瀾
(
しょうはらん
)
としてこの自然主義の道徳に反抗して起るものがあるならば、それは浪漫派に違いないが、維新前の浪漫派が再び
勃興
(
ぼっこう
)
する事はとうてい困難である、また駄目である。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
城も城であるが、より以上、信長の性急な
移転
(
ひっこし
)
で、目ざましく促進されたのは、新しい城下町の
勃興
(
ぼっこう
)
だった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
元禄
及
(
および
)
その以前狂歌
勃興
(
ぼっこう
)
の
状
(
じょう
)
を
窺
(
うかが
)
ひ知らんとせば
建仁寺雄長老
(
けんにんじゆうちょうろう
)
が『
新撰狂歌集
(
しんせんきょうかしゅう
)
』、
半井卜養
(
なからいぼくよう
)
が『卜養狂歌集』、
生白庵行風
(
せいはくあんゆきかぜ
)
が『古今夷曲集』、
石田未得
(
いしだみとく
)
が『
吾吟我集
(
ごぎんがしゅう
)
』
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そうしてみると結局日本人の西洋本位思想が少しでも減退してほんとうの国民的自覚が
勃興
(
ぼっこう
)
しない限り、連句が日本人自身から正当に認められる日の来るのはなかなか待ち遠しいかもしれない。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
氏
(
うじ
)
は、菅原の系類で、遠祖は、春日神社の神職をしていたが——武家
勃興
(
ぼっこう
)
の機運から、ここの
城寨
(
じょうさい
)
に
拠
(
よ
)
って、弓矢を
兼
(
か
)
ね、いつか豪族となって、源頼朝の
覇
(
は
)
が成った時
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつの世でも、新しく
勃興
(
ぼっこう
)
するものには、必ずこういう痛撃が出るし、受け身になるものよりは、
駁撃
(
ばくげき
)
するほうへ痛快がるのが、言論の世界の通有性である。かなりの識者のうちでも
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“勃興”の意味
《名詞》
急に勢力を得て盛んになること。
(出典:Wiktionary)
勃
常用漢字
中学
部首:⼒
9画
興
常用漢字
小5
部首:⾅
16画
“勃興”で始まる語句
勃興的
勃興勢力
勃興機運