不可能ふかのう)” の例文
不可能ふかのうで、また其目的そのもくてきのみの大學だいがくでもなし博物館はくぶつくわんでもない、ゆゑ今一息いまひといきといふ岡目をかめひやう其所そこ突入とつにふするだけの餘地よちいでもい。
苟且かりそめにも血液けつえき循環じゆんくわん彼等かれら肉體にくたい停止ていしされないかぎりは、一たんこゝろうつつたをんな容姿かたち各自かくじむねから消滅せうめつさせることは不可能ふかのうでなければならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これは容易よういならぬ爲事しごとであるが、しかしながらたん困難こんなんであるだけであつてけつして不可能ふかのうではない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
濱口内閣はまぐちないかく出來でき以前いぜん左樣さやうなことが出來できたらうか、おそらくは不可能ふかのうであつたらうとおもはれる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
だが、萬々一金之助が下手人だとしたところで、俵屋の家は鐵桶てつとうのやうに嚴重に締つてゐた筈です。それを外から開けて入るといふことは、先づ絶對に不可能ふかのうのことです。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
しかしはえを取りつくすことはほとんど不可能ふかのうに近いばかりでなく、これを絶滅ぜつめつすると同時に、うじもこの世界から姿すがたを消す、するとそこらの物陰ものかげにいろいろの蛋白質たんぱくしつ腐敗ふはいして
蛆の効用 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それも「常盤ときわ」の「しるこ」に匹敵ひつてきするほどの珈琲コーヒーませるカツフエでもあれば、まだ僕等ぼくら仕合しあはせであらう。が、かう珈琲コーヒーむことも現在げんざいではちよつと不可能ふかのうである。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
したがってその全部ぜんぶ公開こうかいすることは到底とうてい不可能ふかのうで、わたくしとしては、ただそのなかから、心霊的しんれいてき参考さんこうになりそうな個所かしょだけを、るべく秩序ちつじょててひろしてたにぎません。
なぜなら子供こどもあたまで、いつまでも、まちをおぼえていることは不可能ふかのうであったから……。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ことあたらしい專門的術語せんもんてきじゆつごはおほくは日本化にほんくわすることが困難こんなんでもあり、また不可能ふかのうなのもあるので便宜上べんぎじやう外語ぐわいごをそのまゝ日本語にほんごとして使用しようしてゐるのが澤山たくさんあるが、勿論もちろんこれは當然たうぜんのことで
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
不可能ふかのうであるならば、あのとき爲替相場かはせさうば四十三ドルぶんの三は到底たうてい維持ゐぢ出來できないのであつて、段々だんだんさがつてることはあきらかなことで、あの時期じき爲替相場かはせさうば極端きよくたんさがつたならば
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
お富を一人殘して、徳之助だけ店へ歸すのは、彦兵衞の方では不可能ふかのうなことでした。
たとへれば彼等かれらせばいとはいひながらはねてはせぬほりへだてゝ、かも繁茂はんもした野茨のばら川楊かはやなぎぼつしつゝをんなやはらかいらうとするのである。れは到底たうていあひれることさへ不可能ふかのうである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
實際じつさい地震ぢしん豫知問題よちもんだい解決かいけつ至難しなんわざであるに相違そういない。しかしながらけつして不可能ふかのうのものとはおもはない。著者ちよしやごときは、此問題このもんだいすでにある程度ていどまでは机上きじようおい解決かいけつせられてゐるとおもつてゐる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
頂上ちようじようちかくに茶店ちやみせ宿屋やどや數軒すうけんあり、冬季とうきでも登攀とうはん不可能ふかのうでない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それをあきらめることは不可能ふかのうでなければならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)