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上戸
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じょうご
ふりがな文庫
“
上戸
(
じょうご
)” の例文
貶
(
おと
)
すその評判の
塩梅
(
あんばい
)
たる
上戸
(
じょうご
)
の酒を称し下戸の
牡丹餅
(
ぼたもち
)
をもてはやすに異ならず淡味家はアライを可とし濃味家は口取を佳とす共に真味を
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
怒
(
おこ
)
り
上戸
(
じょうご
)
やアノ泣き上戸。笑い上戸に後引き上戸。
梯子
(
はしご
)
上戸と世間の人が。酔うた姿を見かけの通りに。名前つけるとおんなじ流儀じゃ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おまえさんは
泣
(
な
)
き
上戸
(
じょうご
)
と
見
(
み
)
える。わしは
笑
(
わら
)
い
上戸
(
じょうご
)
で、
泣
(
な
)
いている
人
(
ひと
)
を
見
(
み
)
るとよけい
笑
(
わら
)
えて
来
(
く
)
る。どうか
悪
(
わる
)
く
思
(
おも
)
わんでくだされや、
笑
(
わら
)
うから。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「そちも
泣
(
な
)
き
上戸
(
じょうご
)
ではあるまいな。……おやおや、五郎八がまだそこに手をついて泣いておる。なにが悲しいのか聞いてやれ」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愛之助は廻らぬ
呂律
(
ろれつ
)
で一通り事の次第を話したあとで、込み上げて来る涙を隠そうともせず、丁度泣き
上戸
(
じょうご
)
の様に、メソメソしながら続けた。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
喩
(
たと
)
えば人の性質に
下戸
(
げこ
)
上戸
(
じょうご
)
があって、下戸は酒屋に入らず上戸は餅屋に近づかぬと
云
(
い
)
う位のもので、政府が酒屋なら私は政事の下戸でしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼女は生来笑い
上戸
(
じょうご
)
の快活で穏やかな
質
(
たち
)
であったが、つづく不幸と失敗の結果、すべての人が平和と喜びの中に暮らして
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
それでも日本酒
好
(
ずき
)
になると、何酒よりも日本酒が一番うまいと言ふことは殆ど
上戸
(
じょうご
)
一般に声を
揃
(
そろ
)
へて言ふ所を見ると
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
少し手をかければ、皮をむいて天ぷらのかきあげ——、これは
下戸
(
げこ
)
にもよし、
上戸
(
じょうご
)
にはなお喜ばれるというものだ。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
大川を眺めながら団子を食う、餅もよし
餡
(
あん
)
もよし、ことにツケ焼団子が自慢で、
下戸
(
げこ
)
ばかりか
上戸
(
じょうご
)
も手を出した。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
「知ってるよ。泣かねえでくれよおかみさん。親方が帰ってくるとおれが困るからよう——泣き
上戸
(
じょうご
)
だなあ」
舞馬
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
そうして一たんその飽満点に達したならば、それから上は、いかなる
上戸
(
じょうご
)
でも、もういやだという事になる。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
五郎作は
少
(
わか
)
い時、
山本北山
(
やまもとほくざん
)
の
奚疑塾
(
けいぎじゅく
)
にいた。
大窪天民
(
おおくぼてんみん
)
は同窓であったので
後
(
のち
)
に
迨
(
いた
)
るまで親しく交った。
上戸
(
じょうご
)
の天民は小さい徳利を
蔵
(
かく
)
して持っていて酒を飲んだ。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この
茶店
(
ちゃや
)
の小さいに似合わぬ
繁盛
(
はんじょう
)
、しかし餅ばかりでは
上戸
(
じょうご
)
が困るとの
若連中
(
わかれんじゅう
)
の
勧告
(
すすめ
)
もありて、何はなくとも
地酒
(
じざけ
)
一杯飲めるようにせしはツイ近ごろの事なりと。
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼女はあまり酒を
嗜
(
たしな
)
みはしなかったが、それでも酔うと笑い
上戸
(
じょうご
)
になる方で、殊にその晩は夫にたび/\盃を
強
(
し
)
いられたせいか、ひどく上機嫌にはしゃいでいた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
笑い
上戸
(
じょうご
)
の七平は、尻を
端折
(
はしょ
)
ると、手拭をすっとこ冠りに四十男の恥も外聞もなく踊り狂うのでした。
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは、鳴沢イト子の死である。鳴沢さんは、その前夜に死んだのだ。笑い
上戸
(
じょうご
)
のマア坊が叱られたのもそれでわかる。助手たちは、鳴沢イト子と同様の、若い女だ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
六合に
胡瓜
(
きゅうり
)
の漬物を出して貰い、まだ一缶残っておった牛肉の缶詰を切って、
上戸
(
じょうご
)
は焼酎をグビリグビリ、
下戸
(
げこ
)
は仕方がないので、牛肉ムシャムシャ、胡瓜パクパク。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
上戸
(
じょうご
)
という駅で私たちは汽車を降りた。朝から曇っていたところ汽車を降りたら雨が細かく降り出している。二間ばかりの掘割があって、往来の左右に柳が茂っている。
突堤
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私は自分の言葉で胸をつまらせ、おや、泣き
上戸
(
じょうご
)
になったかなと思った。「——僕はただ彼女が舞台で踊っているのを客席の隅から見て、胸を
躍
(
おど
)
らせているだけで……」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
そうかと思うと部屋の
一所
(
ひとところ
)
で、三十がらみの元気のよい男が、笑い
上戸
(
じょうご
)
の練習をしていた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「ごめんなさい」おのぶは徳利を膳の上へ置き、あいている徳利を盆のほうへ移して、坐りながら云った、「あたしこのごろ、少し酔うと泣き
上戸
(
じょうご
)
になるようなの、としだわね」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とはいえ
彼
(
かれ
)
だって、
近頃
(
ちかごろ
)
は様子が変って、めっきり
痩
(
や
)
せもしたし、相変らず笑い
上戸
(
じょうご
)
ではあったものの、その笑い声は
妙
(
みょう
)
に
鈍
(
にぶ
)
く、毒を
含
(
ふく
)
んで、短くなったし、平生の軽い皮肉や
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
もう
飲
(
いけ
)
やせぬ、と
空辞誼
(
そらじぎ
)
はうるさいほどしながら、
猪口
(
ちょく
)
もつ手を後へは
退
(
ひ
)
かぬがおかしき
上戸
(
じょうご
)
の
常態
(
つね
)
、清吉はや
馳走酒
(
ちそうざけ
)
に十分酔ったれど遠慮に三分の真面目をとどめて殊勝らしく坐り込み
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
福子は笑い
上戸
(
じょうご
)
で通っていた。
睫毛
(
まつげ
)
のふかいパッチリと見開いた丸っこい
眼
(
め
)
が、みるみる三日月になってクツクツと笑いだす。そばにいるものまで、つい、つりこまれて笑い出す始末だった。
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
人おのおの好むところあり。
下戸
(
げこ
)
あり。
上戸
(
じょうご
)
あり。上戸の
中
(
うち
)
更に泣くものあり笑ふものあり怒るものあり。然れども下戸上戸おしなべて好むところのものまたなきにあらず。淫事
即
(
すなわち
)
これなり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
この泣き
上戸
(
じょうご
)
は
他処
(
よそ
)
から来た
寄留人
(
きりゅうにん
)
かと思われるが、どうして泣き出したかは村の衆にもわからぬごとく、諸君ら現代人にも不審であり、また或いは本人にも説明ができなかったかも知れぬ。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
はい。そうでありましたナ。どうやら司令部の有名な怒り
上戸
(
じょうご
)
のアカザル通信兵が出ているようです。司令部であることに、まちがいはないようです。なにしろ、こういう重大報告は、念には念を
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『甲陽軍鑑』一六に、馬に薬を与うるに、
上戸
(
じょうご
)
の馬には酒、
下戸
(
げこ
)
の馬には水で飼うべし、馬の上戸は
旋毛
(
つむじ
)
下り、下戸は旋毛上るとあり。馬すら酒好きながある。人を以てこれに
如
(
し
)
かざるべけんやだ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
熱燗
(
あつかん
)
に泣きをる
上戸
(
じょうご
)
ほつておけ
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
(こいつ泣き
上戸
(
じょうご
)
か)
幽霊を見る人を見る
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
床
(
ゆか
)
しいお家流で「お
雛様
(
ひなさま
)
」だとか「五人
囃子
(
ばやし
)
」だとか「三人
上戸
(
じょうご
)
」だとか、書き
記
(
しる
)
してある、雛人形の箱でございました。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
笑い
上戸
(
じょうご
)
なので、人に笑わされると、声も立てないで体じゅうゆすぶりながら、気分が悪くなるまで笑いつづけるのだ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
上戸
(
じょうご
)
本性で、謹みながら女を相手に話もすれば笑いもして談笑自在、
何時
(
いつ
)
も慣れ/\しくして、その
極
(
きわみ
)
は世間で云う
嫌疑
(
けんぎ
)
と云うような事を何とも思わぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
緋羅紗
(
ひらしゃ
)
を掛けた床の雛段には、浅草の観音堂のような
紫宸殿
(
ししいでん
)
の
甍
(
いらか
)
が聳え、
内裏様
(
だいりさま
)
や五
人
(
にん
)
囃
(
ばや
)
しや官女が殿中に列んで、
左近
(
さこん
)
の桜
右近
(
うこん
)
の橘の下には、三人
上戸
(
じょうご
)
の
仕丁
(
じちょう
)
が酒を
煖
(
あたゝ
)
めて居る。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
おまわりさんが国の女房や子供を干し上げて置いて、大きな顔をして酒を飲んで、
上戸
(
じょうご
)
でもない爺いさんに相手をさせていた間、まあ、一寸楽隠居になった夢を見たようなものですな
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ガラッ八は徳利の酒を一と口、
上戸
(
じょうご
)
らしく、喉をゴクリと鳴らしました。
銭形平次捕物控:085 瓢箪供養
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ほう。ひどくお気に召されたの。てまえも、非番の日は、ちと、晩酌をやりまするで、
上戸
(
じょうご
)
の舌は、わかるとみえる。——だが、田作の唐辛子煮など、余り失礼物ゆえ、どうかと思うて——」
べんがら炬燵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
何
(
なん
)
だね、しんみりと。
泣
(
な
)
き
上戸
(
じょうご
)
のおくの
手
(
て
)
が
出
(
で
)
るかな。ははは。」
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
上戸
(
じょうご
)
は
咽
(
のど
)
を鳴らし
唾
(
つば
)
を呑んで、待遠しがっていたことは同じである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「こりゃ、どうも、お父さんは泣き
上戸
(
じょうご
)
らしいぞ。」
おさん
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「おまえ泣き
上戸
(
じょうご
)
になったぞ」と甲斐が云った。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
酩酊
(
めいてい
)
せる笑い
上戸
(
じょうご
)
の猛獣共、毒蛇の蛇踊り、その間をねり歩く美女の蓮台、そして、蓮台の上には、
錦
(
にしき
)
の
衣
(
きぬ
)
に包まれたこの国々の王様、人見廣介の物狂わしき笑い顔があるのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
酔えば
唯
(
ただ
)
大きな声をして饒舌るばかり、
遂
(
つひ
)
ぞ人の気になるような
忌
(
いや
)
がるような根性の悪いことを
云
(
いっ
)
て喧嘩をしたこともなければ、
上戸
(
じょうご
)
本性
真面目
(
まじめ
)
になって議論したこともないから
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
“上戸”の意味
《名詞》
上戸(じょうこ、じょうご)
(じょうこ)律令制における四等戸(大戸、上戸、中戸、下戸)のうち第二等級。
(じょうご)酒が飲める人のこと。
(出典:Wiktionary)
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
“上戸”で始まる語句
上戸下戸