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頑是
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がんぜ
ふりがな文庫
“
頑是
(
がんぜ
)” の例文
けれども、まだなんといっても
頑是
(
がんぜ
)
ない子どもでしたから、あいさつはあいさつであっても、少々ばかりふるった口上でありました。
右門捕物帖:10 耳のない浪人
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
置いて行けといわれて、娘は
蒼
(
あお
)
くなった。
頑是
(
がんぜ
)
ない子供が、夜が明ければ空腹を叫ぶので、止むに止まれず親戚へお縋りに行った。
食べもの
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
……このソーニャちゃんも、あのころはまだ、ほんとにお小さくって、
頑是
(
がんぜ
)
なくって。……さあさ、おいでなさいまし、旦那さま。……
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
茂「お前は俄かに
怜悧
(
りこう
)
に成ったの、年が
往
(
い
)
かなくって
頑是
(
がんぜ
)
が無くっても、己が馬鹿気て見えるよ、ハアー
衆人
(
みんな
)
に笑われるも無理は無い」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そんなものを見るために一銭二銭の
金子
(
かね
)
を払って嬉しがっているのは多く
頑是
(
がんぜ
)
ない子供ですが、まことに浅ましい事ではございませんか。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
朱丸は
頑是
(
がんぜ
)
ない六歳だけに、母の膝によって眠っていたが、濃い
睫毛
(
まつげ
)
が
下瞼
(
したまぶた
)
を蔽うて、どこやらに寂しそうなところがあった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
写生文家の人間に対する同情は叙述されたる人間と共に
頑是
(
がんぜ
)
なく
煩悶
(
はんもん
)
し、無体に号泣し、直角に跳躍し、いっさんに
狂奔
(
きょうほん
)
する
底
(
てい
)
の同情ではない。
写生文
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、
頑是
(
がんぜ
)
なく聞分けのない子供は一週間と友人の家に居つかなかった。結局岸本は二人の子供を
手許
(
てもと
)
に置き、一人を郷里の姉の家に
托
(
たく
)
した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「だって、水生にうちへ来て遊んでくれと言われているのですもの」彼は大きな黒い瞳をパッチリと見開いて、
頑是
(
がんぜ
)
なく考え込んでいるのであった。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
良人に残されて
孤屋
(
こおく
)
を守る妻や——父を慕って夜泣きする
頑是
(
がんぜ
)
ない子達や——年老いて子に先立たれてゆく親達や——
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは自分でさえ何の意味か判らないほど切ないまぎれの
譫言
(
うわごと
)
のようなものであった。
頑是
(
がんぜ
)
ない息子は、それでも「あい、——あい」と聴いていた。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
どうかすると彼女は、
頑是
(
がんぜ
)
ない滋幹をたしなめるのと同じ口調で父をたしなめたりしたが、彼女が最もやかましく云ったのは父の飲酒のことであった。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
まるで四つか五つの幼児のように
頑是
(
がんぜ
)
なくわがままになってしまった貞世の声を聞き残しながら葉子は病室を出た。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その
頑是
(
がんぜ
)
ない
駄々
(
だだ
)
っ子のような私どもを、ながい目で見守りつつ、いつも救いの手をさしのべるのが菩薩です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
同一なる言語を使用しても言う人は子供の
頑是
(
がんぜ
)
なきところを述べんとの心なるに、聞く人はおそらく
自
(
みずか
)
らしばしば唄った
甚句
(
じんく
)
か
端唄
(
はうた
)
を思い出したのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
相手はなにしろまだ
頑是
(
がんぜ
)
ない子供ですからなかなか返辞をしやあしません、じれったいけれどもこっちも乗りかかった舟ですからそこは根気よくやりました。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
頑是
(
がんぜ
)
ない子供がやっと積み上げた小石の塔を、鉄の棒を持った鬼が出て来て、みんな突きくずすのじゃ。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
狂い果てた相手を
撫
(
だま
)
して、
敵
(
かたき
)
の子をわが手に抱き取りはしたものの、そして、西も東もしらない、
頑是
(
がんぜ
)
なく、いたいけなこのむつきの子供に、罪も怨みもないと
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
単に
頑是
(
がんぜ
)
ない聴衆の好奇心を
充
(
みた
)
すためならば、入って行く必要もなかったろうと思う説明に入っていることである。これには何か隠れたる約束があるのではないか。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この
界隈
(
かいわい
)
を朝夕に往復し、町から町、店から店と
頑是
(
がんぜ
)
もなく
観
(
み
)
て歩いたもの、今日のように電車などあるわけのものでなく、歩いて行って歩いて帰ることでありますから
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
丹誠一つで着させても着させ
栄
(
ば
)
えなきばかりでなく見ともないほど針目がち、それを
先刻
(
さっき
)
は
頑是
(
がんぜ
)
ない幼な心といいながら、母様
其衣
(
それ
)
は誰がのじゃ、小さいからは
我
(
おれ
)
の
衣服
(
べべ
)
か
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
折柄、賑やかな新宿の騒ぎ唄をよそに
頑是
(
がんぜ
)
ない子を抱きしめてこの正直一途の爺やがホロリホロリと涙しながら角筈さして、進まぬ足を引き摺っていく辺りは、無韻の詩である。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
実
(
げ
)
に人生の悲しみは
頑是
(
がんぜ
)
なき愛児を手離すより悲しきはなきものを、それをすら
強
(
し
)
いて堪えねばならぬとは、これも
偏
(
ひとえ
)
に秘密を
契
(
ちぎ
)
りし罪悪の罰ならんと、われと心を取り直して
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
送ってきた侍達も、わが身の
愛
(
いと
)
しさに、暇を告げて帰ってしまうと、残っているのは、
頑是
(
がんぜ
)
ない子供ばかりである。話相手もないまま、自然想いは、夫大納言の身の上にとんでゆく。
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
統計の示すところによると、親のない子供の死亡率は五十五パーセントにおよんでいる。僕は繰り返して言う、問題は妻の上に、母親の上に、若い娘の上に、
頑是
(
がんぜ
)
ない子供の上にある。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それ以来、私は毎日のように守田座へ行きたくなったのです。それで浅草へお参りに行くと云っては、何も知らない
頑是
(
がんぜ
)
のない綾ちゃん達のお母さんを、連れて守田座へ行ったものです。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
何も知らぬ
頑是
(
がんぜ
)
ない私に、
宥恕
(
ゆうじょ
)
を
乞
(
こ
)
うような
口調
(
くちょう
)
で言ったのを私は覚えている。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
この犬一ぴきが、彼等——老いぼれた不具者と
頑是
(
がんぜ
)
ない
幼児
(
おさなご
)
——にとっては、ただ一人の稼ぎ人、ただ一人の友達、ただ一人の相談相手、杖とも柱ともたのむ、ただ一つの頼りなのでした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
と、いいながら、
頑是
(
がんぜ
)
ない子供のように泣き出した。
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ちょうど村の子供の間には
桶
(
おけ
)
の
箍
(
たが
)
を回して遊び戯れることが
流行
(
はや
)
って来たが、森夫も和助もその箍回しに余念のないような
頑是
(
がんぜ
)
ない年ごろである。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
頑是
(
がんぜ
)
ないこの一子まであの世へつれてゆくに忍びぬので、煩悩とおわらいもあろうが、家臣の端へなと置かれて、どうか成人までお
育
(
はぐく
)
みをねがいたい
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
前様
(
めえさま
)
ア留守勝で
家
(
うち
)
の事は御存じござんねえが、
悪戯
(
いたずら
)
は
果
(
はた
)
すかは知らねえが、
頑是
(
がんぜ
)
がねえ
十
(
とお
)
にもなんねえ正太郎だから、少しぐれえの事は勘弁して下さえ
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
所詮
(
しょせん
)
かの女は
頑是
(
がんぜ
)
ないこどもの大人である。わたしはこの子供に向ってどの手でもっても争う術を知らない。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
叔母の申しますのには子供でもなければなんとか話の持っていきようもあるけれどもお遊さんにはこれから養育していかなければならない
頑是
(
がんぜ
)
ない子供がある。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また唯一のあととり息子たるまだ
頑是
(
がんぜ
)
ないこの拙者の耳に、タコの出るほど言い聞かせていたのは
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
然し北国の寒さは私たち五人の暖みでは間に合わない程寒かった。私は一人の病人と
頑是
(
がんぜ
)
ないお前たちとを
労
(
いた
)
わりながら
旅雁
(
りょがん
)
のように南を指して
遁
(
のが
)
れなければならなくなった。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「知れなかったのは当然ですよ、だって私からそんな物を買ったなどということがわかれば、どんな罰をくうかもしれないでしょう、とにかくこっちはまだ
頑是
(
がんぜ
)
ない子供なんですから」
末っ子
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
健三を物にしようという御常の腹の中には愛に駆られる衝動よりも、むしろ
慾
(
よく
)
に押し出される邪気が常に働いていた。それが
頑是
(
がんぜ
)
ない健三の胸に、何の理窟なしに、不愉快な影を投げた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうであろ、いかに
頑是
(
がんぜ
)
ないころであったにいたせ、生みの母御の、
知死期
(
ちしご
)
の苦しみを、ひしと身にこたえなかったはずがない——かの三斎どのこそ、
父御
(
ててご
)
を陥れたのみではなく、母御を
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
しかも、盗んでさらって売ったものは、
頑是
(
がんぜ
)
ない子どもだというのでした。
右門捕物帖:33 死人ぶろ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
亨
(
う
)
けているものだ。末々、よいさむらいになるだろう。松千代の友だちにはちと
頑是
(
がんぜ
)
なさ過ぎるが、よう育ててやれよ
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの子に聞いても
頑是
(
がんぜ
)
のない
七歳
(
なゝつ
)
か
八歳
(
やっつ
)
の子供ゆえ何も分らず、親類は知れず、仕方がないから江戸へつれて行って私の娘にして育てるのは
当然
(
あたりまえ
)
じゃありませんか
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ぶり返す度に母は
愈々
(
いよいよ
)
こどものように
頑是
(
がんぜ
)
なくなって極度に死を惧れながら、食慾は
慎
(
つつし
)
めないのでした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と、その時案内の車夫は、橋の
欄干
(
らんかん
)
から川上の方を
指
(
ゆび
)
さして、旅客の
筇
(
つえ
)
をとどめさせる。かつて私の母も橋の中央に
俥
(
くるま
)
を止めて、
頑是
(
がんぜ
)
ない私を
膝
(
ひざ
)
の上に
抱
(
だ
)
きながら
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
子供
(
こども
)
の
好
(
す
)
きなお
初
(
はつ
)
は
相変
(
あいか
)
わらず
近所
(
きんじょ
)
の
家
(
いえ
)
から
金之助
(
きんのすけ
)
さんを
抱
(
だ
)
いて
来
(
き
)
た。
頑是
(
がんぜ
)
ない
子供
(
こども
)
は、
以前
(
いぜん
)
にもまさる
可愛
(
かわい
)
げな
表情
(
ひょうじょう
)
を
見
(
み
)
せて、
袖子
(
そでこ
)
の
肩
(
かた
)
にすがったり、その
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ったりした。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
頑是
(
がんぜ
)
なく、今は何も知らねえが、今に泣かされることだろう……と米友は身にツマされてくると、自分たちというものと、ムク犬と、それからこの子熊との間の境がわからなくなり
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一寸
(
ちよつと
)
聞くと丸で
頑是
(
がんぜ
)
ない小供の云ひさうな事であるが、よし子の意味はもう少し深い所にあつた。研究心の強い学問
好
(
ず
)
きの人は、万事を研究する気で見るから、情愛が薄くなる訳である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
世に
質子
(
ちし
)
の身上ほど
不愍
(
ふびん
)
なものはないと思っていたが、それはまだ世間を知らないし
頑是
(
がんぜ
)
ないところもある。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
翁は
頑是
(
がんぜ
)
ない子供が、てれながら駄々を捏ねるように、掌に拳を突き当てつつ
俯向
(
うつむ
)
き勝ちにいった。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これは春部氏祖五郎殿の申さるゝが至極
尤
(
もっと
)
もかと存じます、菊様は
未
(
いま
)
だお
四才
(
よっつ
)
で、何のお
弁
(
わきま
)
えもない
頑是
(
がんぜ
)
ない方をお
世嗣
(
よとり
)
に遊ばしますのも、
些
(
ち
)
と不都合かのように存じます
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
頑
常用漢字
中学
部首:⾴
13画
是
常用漢字
中学
部首:⽇
9画
“頑是”で始まる語句
頑是無