けれども、まだなんといっても頑是ない子どもでしたから、あいさつはあいさつであっても、少々ばかりふるった口上でありました。
右門捕物帖:10 耳のない浪人 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
……このソーニャちゃんも、あのころはまだ、ほんとにお小さくって、頑是なくって。……さあさ、おいでなさいまし、旦那さま。……
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕―― (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
頑是ない子供がやっと積み上げた小石の塔を、鉄の棒を持った鬼が出て来て、みんな突きくずすのじゃ。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近 (新字新仮名) / 高村光雲(著)
折柄、賑やかな新宿の騒ぎ唄をよそに頑是ない子を抱きしめてこの正直一途の爺やがホロリホロリと涙しながら角筈さして、進まぬ足を引き摺っていく辺りは、無韻の詩である。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について (新字新仮名) / 正岡容(著)
現代語訳 平家物語:02 第二巻 (新字新仮名) / 作者不詳(著)
統計の示すところによると、親のない子供の死亡率は五十五パーセントにおよんでいる。僕は繰り返して言う、問題は妻の上に、母親の上に、若い娘の上に、頑是ない子供の上にある。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
それ以来、私は毎日のように守田座へ行きたくなったのです。それで浅草へお参りに行くと云っては、何も知らない頑是のない綾ちゃん達のお母さんを、連れて守田座へ行ったものです。
フランダースの犬 (新字新仮名) / マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー(著)
と、いいながら、頑是ない子供のように泣き出した。
キャラコさん:02 雪の山小屋 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
また唯一のあととり息子たるまだ頑是ないこの拙者の耳に、タコの出るほど言い聞かせていたのは
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「知れなかったのは当然ですよ、だって私からそんな物を買ったなどということがわかれば、どんな罰をくうかもしれないでしょう、とにかくこっちはまだ頑是ない子供なんですから」
しかも、盗んでさらって売ったものは、頑是ない子どもだというのでした。
右門捕物帖:33 死人ぶろ (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
頑是なく、今は何も知らねえが、今に泣かされることだろう……と米友は身にツマされてくると、自分たちというものと、ムク犬と、それからこの子熊との間の境がわからなくなり
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)