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都々逸
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どどいつ
ふりがな文庫
“
都々逸
(
どどいつ
)” の例文
「何しろお柳と來ては、一とかどの女學者で、四書五經がチヤンチヤラ可笑しく、唐天竺の
都々逸
(
どどいつ
)
に節をつけて、寢言に讀み上げる——」
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
都々逸
(
どどいつ
)
の声などがそっちから聞えて、うるさく手が鳴った。誰かが、「ちょッ」と舌うちして、
鼻唄
(
はなうた
)
を
謳
(
うた
)
いながら起って行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
俳句のリズムと
都々逸
(
どどいつ
)
のリズムとが、「いき」の表現に対していかなる関係を有するかは問題として考察することができる。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
もうヘベレケに酔っ払った
吉原
(
よしわら
)
帰りのお
店者
(
たなもの
)
らしい四五人
連
(
づれ
)
が、肩を組んで調子外れの
都々逸
(
どどいつ
)
を
怒鳴
(
どな
)
りながら通り過ぎた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その頃故エドウィン・アーノルドが東京に来寓し、種々筆した内に「初め冗談中頃義理よ、今じゃ互いの実と実」てふ
都々逸
(
どどいつ
)
を賞めて訳出した。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
されど数年間文学
専攷
(
せんこう
)
の結果は、余の愚鈍をして半歩一歩の進歩を為さしめたりと信ず。少しく文字ある者は
都々逸
(
どどいつ
)
を以て
俚野
(
りや
)
唾
(
だ
)
すべしとなす。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
義雄は申しわけに鶴次郎と一緒にへたの
端唄
(
はうた
)
や
都々逸
(
どどいつ
)
を歌つたが、實際の氣分は重苦しいので、それを醉ひにまぎらし
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
部屋へ帰ったら、まだ講話は始まらず、かっぽれが、ベッドにひっくりかえって、れいの
都々逸
(
どどいつ
)
なるものを歌っていた。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「あんたが水商売でわては
鉱山
(
やま
)
商売や、水と山とで、なんぞこんな
都々逸
(
どどいつ
)
ないやろか」それで話はきっぱり決った。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
面白いことにはその歌の半数以上が、
嶺
(
みね
)
を隔てた
長久保
(
ながくぼ
)
の
新町
(
しんまち
)
あたりで、
妓女
(
ぎじょ
)
の歌っていた
都々逸
(
どどいつ
)
の文句であった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
のような、つまり、近世民謡の流行形式である
都々逸
(
どどいつ
)
形式のようなものにまで変ってきた。そして更に、どしどし新しい体が生れようとしているのである。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
お菊ちゃんは、自分は杯へ手も触れないくせに、人へ
酌
(
さ
)
すのは好きだった。酔うと、武市は
嗜
(
たしな
)
む古詩を
微吟
(
びぎん
)
し、桂は、即興の
都々逸
(
どどいつ
)
を作って見せたりした。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と色で
纏
(
まと
)
まる
壮佼等
(
わかものども
)
、よしこの
都々逸
(
どどいつ
)
唱い連れ、赤城の裏手へ来たりしが、ここにて血の
痕
(
あと
)
途断
(
とぎ
)
れたり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あいのおさえのという
蒼蠅
(
うるさ
)
い事の
無
(
ない
)
代
(
かわ
)
り、
洒落
(
しゃれ
)
、
担
(
かつ
)
ぎ合い、大口、高笑、
都々逸
(
どどいつ
)
の
素
(
す
)
じぶくり、替歌の伝受
等
(
など
)
、いろいろの事が有ッたが、
蒼蠅
(
うるさ
)
いからそれは略す。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
得たりとそこへ飛び込んでいって無理にその婆さんに
都々逸
(
どどいつ
)
を弾いてもらって二つ三つ歌っていたら
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
いたって貧乏なケチな店だったが、『
金毘羅利生記
(
こんぴらりしょうき
)
』を出版してマンマと失敗した
面胞
(
にきび
)
だらけの
息子
(
むすこ
)
が少しばかり
貸本屋
(
かしほんや
)
学問をして
都々逸
(
どどいつ
)
や
川柳
(
せんりゅう
)
の咄ぐらいは出来た。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「晴れて嬉しい新世帯」
都々逸
(
どどいつ
)
のような見だしの下に、新夫婦が睦じそうにさし向いになっている。やがて口論の場面が来、最後には奇想天外的に一匹の猿が登場する。
高台寺
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
あなたは「
都々逸
(
どどいつ
)
」が
採譜
(
さいふ
)
の出来ないことを知っていられますか、謡曲も採譜が出来ません、あれは耳から耳へ伝わっている曲で、同じ「ア」という
音
(
おん
)
を引伸ばしながら
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
漢詩の一部を除くのほか
都々逸
(
どどいつ
)
、
端唄
(
はうた
)
、
川柳
(
せんりゅう
)
はもとよりのこと、長詩とか小説とかいうものに至るまでそれは季題などとは没交渉といってもさしつかえないのであります。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
三沢は病院の二階に「あの女」の
馴染客
(
なじみきゃく
)
があって、それが「お前胃のため、わしゃ腸のため、共に苦しむ酒のため」という
都々逸
(
どどいつ
)
を
紙片
(
かみぎれ
)
へ書いて、あの女の所へ届けた上
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さもないと
却
(
かへ
)
つて小説家が(小説としての威厳を捨てずに)大衆文芸家の領分へ斬りこむかも知れぬ。
都々逸
(
どどいつ
)
は抒情詩的大衆文芸だ。
北原白秋
(
きたはらはくしう
)
氏などの
俚謡
(
りえう
)
は抒情詩的小衆文芸だ。
亦一説?
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そうした時代に、浮川福平は
都々逸
(
どどいつ
)
の新作を
矢継早
(
やつぎばや
)
に発表し、また仮名垣魯文の如きは、その新聞の
殆
(
ほと
)
んど半頁を、大胆にも芝居の記事で埋めて、演芸を復活させようとつとめた。
明治十年前後
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
さ今度は
都々逸
(
どどいつ
)
都々逸。お婆さん頼むぜ、いいかいエヘン。船じゃ寒かろ着て行かしゃんせ、わしが着ているこの
褞袍
(
どてら
)
。エヘヘヘヘヘ。ああいい気持ちにやッとなった。どッこいしょと。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
左の
都々逸
(
どどいつ
)
は、私が数年前に作ったものだが、私の一生はこれに尽きている。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
いかがでございます、時々は狂歌、
都々逸
(
どどいつ
)
、
柳樽
(
やなぎだる
)
の
類
(
たぐい
)
をおやりになっては。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
多吉夫婦は久しぶりで上京した半蔵をつかまえて、いろいろと東京の話をして聞かせるが、
寄席
(
よせ
)
の芸人が口に上る
都々逸
(
どどいつ
)
の
類
(
たぐい
)
まで、英語まじりのものが流行して来たと言って半蔵を笑わせた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
僕一人の観て以て通俗となすもの世人果して然りとなすや否やいまだ知るべからざるなり。通俗の意はけだし世と共に変ずべきものなるべし。
川柳
(
せんりゅう
)
都々逸
(
どどいつ
)
は江戸時代にあつては通俗の文学なりき。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そうしたときでも、いつもあなたには逢いたいような、逢いたくないような気持が、
例
(
たと
)
えば、『逢わぬは逢うにいやまさる』といった
都々逸
(
どどいつ
)
の文句のように
錯綜
(
さくそう
)
して、あなたを
慕
(
した
)
っていたのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
お糸さんも細いすきとほつた声で、中音に
都々逸
(
どどいつ
)
や
端唄
(
はうた
)
を歌ふ。
素人
(
しろうと
)
ばなれのした立派な歌ひ
振
(
ぶり
)
であつた。さう云ふ中で私も負けぬ気でうろおぼえの
御所車
(
ごしよぐるま
)
などを歌ふのである。ある晩お糸さんが
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「ねえ、あたしまだ
都々逸
(
どどいつ
)
がよく歌えないの。教えて頂戴。」
春
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
都々逸
(
どどいつ
)
氏
(
し
)
歌うて曰く
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「何しろ荘左衛門という人は、町人のくせに学問が好きで、小唄も
碁
(
ご
)
将棋
(
しょうぎ
)
もやらないかわりに、四角な文字を読んで、
唐
(
から
)
の
都々逸
(
どどいつ
)
を作った」
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
初めは
呻吟
(
しんぎん
)
、中頃は
叫喚
(
きょうかん
)
、終りは
吟声
(
ぎんせい
)
となり放歌となり
都々逸
(
どどいつ
)
端唄
(
はうた
)
謡曲
仮声
(
こわいろ
)
片々
(
へんぺん
)
寸々
(
すんずん
)
又継又続
倏忽
(
しゅっこつ
)
変化
自
(
みずか
)
ら測る能はず。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ほかの罪人たちよりは一段と高いところに坐らされながら、次郎兵衛は彼の自作の
都々逸
(
どどいつ
)
とも念仏ともつかぬ歌を、あわれなふしで口ずさんでいた。
ロマネスク
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
下手な調子で
銅鑼聲
(
どらごゑ
)
を張りあげ、清元やら、長唄やら、常磐津やら、新内やら、
都々逸
(
どどいつ
)
やらのお
浚
(
さら
)
ひをして歩いた。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
彼が、そう呟いている間にも、倉の中では、いい声を張りあげて、誰か、
都々逸
(
どどいつ
)
を唄っている。それがすむと、手をたたく、げらげら笑う、
散財囃子
(
さんざいばやし
)
で、騒ぎをやる。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或人が
不斗
(
ふと
)
尋ねると、
都々逸
(
どどいつ
)
端唄
(
はうた
)
から
甚句
(
じんく
)
カッポレのチリカラカッポウ
大陽気
(
おおようき
)
だったので、
必定
(
てっきり
)
お客を呼んでの
大酒宴
(
おおさかもり
)
の
真最中
(
まっさいちゅう
)
と、
暫
(
しば
)
らく
戸外
(
おもて
)
に
佇立
(
たちどま
)
って
躊躇
(
ちゅうちょ
)
していたが
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
(今日の民謡と称するものは少くとも大部分は詩形上
都々逸
(
どどいつ
)
と変りはない。)この眠つてゐる王女を見出すだけでも既に興味の多い仕事である。まして王女を
目醒
(
めざ
)
ませることをや。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
一人
(
ひとり
)
が一人に向かって、口答試験を
都々逸
(
どどいつ
)
で負けておいてくれると、いくらでも歌ってみせるがなと言うと、一人が小声で、
粋
(
すい
)
なさばきの博士の前で、恋の試験がしてみたいと歌っていた。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その歌を南方先生が字余り
都々逸
(
どどいつ
)
に訳すると「わが眼ほど耳がきくなら逃げ支度して人に
捉
(
と
)
られはせぬものを」だ。鶯も蛙も同じ歌仲間というが敷島の
大倭
(
おおやまと
)
での事、西洋では蝮が唄を作るのじゃ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
寄席
(
よせ
)
の高座で、芸人の口をついて出る
流行唄
(
はやりうた
)
までが変わって、それがまた英語まじりでなければ納まらない世の中になって来た。「待つ夜の長き」では、もはや因循で旧弊な
都々逸
(
どどいつ
)
の文句と言われる。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
可哀そうだは可愛いってことよと
都々逸
(
どどいつ
)
風に云い直している。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
都々逸
(
どどいつ
)
に
咏
(
よ
)
んだものに
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
俳句の相談役など、じっさい、文句入りの
都々逸
(
どどいつ
)
以上に困ると思った。どうにも落ちつかず、閉口の気持で、僕は
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「そんなものかも知れない、——ところで
運座
(
うんざ
)
はどんな具合だつたえ、——俺は俳諧も
都々逸
(
どどいつ
)
も知らないが」
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一体合乗俥というはその頃の川柳や
都々逸
(
どどいつ
)
の無二の材料となったもので、狭い俥に両性がピッタリ
粘着
(
くっつ
)
き合って一つ膝掛に
纏
(
くる
)
まった容子は余り見っともイイものではなかった。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
早く内へ帰れば善いとばかり思いつめて居る。車はズーズーズーズー往た。暗い森の間をズーズーズーズー過ぎた。何だか書生が
都々逸
(
どどいつ
)
を歌って居るのに出逢ったが、それもどこか知らぬ。
熊手と提灯
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
人殺しの
傍
(
わき
)
で
都々逸
(
どどいつ
)
を歌うくらいの対照だ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かっぽれには、僕以上に固パンの英語が
癇
(
かん
)
にさわるらしく、小さい声でれいの御自慢の
都々逸
(
どどいつ
)
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「ウンザのケエですよ、——何んとかや、
哉
(
かな
)
つて、十七文字並べる奴、
都々逸
(
どどいつ
)
の
端折
(
はしを
)
つたの」
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“都々逸”の解説
都々逸(どどいつ)とは、江戸末期に初代の都々逸坊扇歌(1804年-1852年)によって大成された、口語による定型詩。七・七・七・五の音数律に従う。
(出典:Wikipedia)
都
常用漢字
小3
部首:⾢
11画
々
3画
逸
常用漢字
中学
部首:⾡
11画
“都々逸”で始まる語句
都々逸坊扇歌
都々逸坊仙歌