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赤裸
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あかはだか
ふりがな文庫
“
赤裸
(
あかはだか
)” の例文
大方の冬木立は
赤裸
(
あかはだか
)
になった今日
此頃
(
このごろ
)
でも、
樅
(
もみ
)
の林のみは
常磐
(
ときわ
)
の緑を誇って、一丈に余る高い梢は灰色の空を
凌
(
しの
)
いで
矗々
(
すくすく
)
と
聳
(
そび
)
えていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
見
(
み
)
ると、
太陽
(
たいやう
)
がキラ/\と
輝
(
かゞや
)
いて
居
(
を
)
る
東
(
ひがし
)
の
方
(
ほう
)
の、
赤裸
(
あかはだか
)
の
山
(
やま
)
の
頂
(
いたゞき
)
を
斜
(
なゝめ
)
に
掠
(
かす
)
めて、
一個
(
いつこ
)
の
大輕氣球
(
だいけいききゆう
)
が
風
(
かぜ
)
のまに/\
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
飛
(
と
)
んで
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
夏の日は北国の空にもあふれ輝いて、白い
礫
(
こいし
)
の
河原
(
かわら
)
の間をまっさおに流れる川の中には、
赤裸
(
あかはだか
)
な少年の群れが赤々とした印象を目に与えた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
この調子で進んで行くと、一年の
後
(
のち
)
には神経が
赤裸
(
あかはだか
)
になって、空気に触れても飛び上がるかも知れない。——
昨夜
(
ゆうべ
)
小夜子は眼を合せなかった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暴風雨
(
あらし
)
に打たれたままの
赤裸
(
あかはだか
)
で、腰帯に一挺の斧を挿んで、仁王の立ちすくんだような船頭が、思いきった顔色をしてこう言って相談をかけると
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
これはその時までにも、どうかすると師匠が云ひつけた事でございますから、弟子は早速衣類をぬぎすてて、
赤裸
(
あかはだか
)
になりますと、あの男は妙に顏をしかめながら
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は
赤裸
(
あかはだか
)
に生長した精虫のやうにあまりに痛々しく人生を知りあまりにも可憐に現実の姿を見る苦労人でこのかくれたる敏感な表現はいたましいほどの弱々しい人間
小熊秀雄全集-02:詩集(1)初期詩篇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
必死の力を満身にこめてぐいと
一
(
ひ
)
と
踏張
(
ふんば
)
り、看視人たちの手を振りもぎった途端に、
赤裸
(
あかはだか
)
のからだは石畳のうえにころころと転がった。彼は首を
斬
(
き
)
り落とされたかと思った。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
あの
嘴
(
くちばし
)
で
丹念
(
たんねん
)
に、
這奴
(
しやつ
)
我
(
わ
)
が
胸
(
むね
)
、
我
(
わ
)
が
腹
(
はら
)
の
毛
(
け
)
を
殘
(
のこ
)
りなく
毮
(
むし
)
り
取
(
と
)
つて、
赤裸
(
あかはだか
)
にした
處
(
ところ
)
を、いきみをくれて、ぬぺらと
出
(
だ
)
して、
葉隱
(
はがく
)
れに……へたばる
人間
(
にんげん
)
をぎろりと
睨
(
にら
)
んで、
噴飯
(
ふきだ
)
す
由
(
よし
)
。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
醤は、サロン一つの
赤裸
(
あかはだか
)
であった。
頸
(
くび
)
のところに、からからんと鳴るものがあった。それはこの土地に今大流行の、
獣
(
けだもの
)
の
牙
(
きば
)
を集め、穴を明けて、
純綿
(
じゅんめん
)
の
紐
(
ひも
)
を通した
頸飾
(
くびかざ
)
りであった。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
さるにても此まゝにてむすめごが
死
(
うせ
)
給はゞ我が命をめされ候へ、こゝにをられ候人々こそよき
証人
(
しようにん
)
なれといひつゝ、
赤裸
(
あかはだか
)
になりて
髪
(
かみ
)
をもさばき井のもとにはしり
寄
(
より
)
したゝかに水を
浴
(
あび
)
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
中には
赤裸
(
あかはだか
)
の彼がある。見物人は、太陽と雀と虫と樹と草と花と家ばかりである。時々は褌の洗濯もする。而してそれを
楓
(
かえで
)
の枝に
曝
(
さ
)
らして置く。五分間で
火熨斗
(
ひのし
)
をした様に奇麗に乾く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あはれ、さは
赤裸
(
あかはだか
)
なる、
盲
(
めし
)
ひなる、ひとり
笑
(
ゑ
)
みつつ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その
昔
(
むか
)
し自然は人間を平等なるものに製造して世の中に
抛
(
ほう
)
り出した。だからどんな人間でも生れるときは必ず
赤裸
(
あかはだか
)
である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこで
忤
(
さか
)
らわずに付いてゆくと、役人はやがてまた、着物をぬぎ、帽子をぬぐという始末で、山へ登る頃にはほとんど
赤裸
(
あかはだか
)
になってしまいました。
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これはその時までにも、どうかすると師匠が云ひつけた事でございますから、弟子は早速衣類をぬぎすてて、
赤裸
(
あかはだか
)
になりますと、あの男は妙に顔をしかめながら
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
赤裸
(
あかはだか
)
になりて水に
飛
(
とび
)
入りつゞをはづし、
鮏
(
さけ
)
あればつゞのまゝ舟に入れさけをいだす。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
東
(
ひがし
)
の
方
(
ほう
)
の
赤裸
(
あかはだか
)
の
山
(
やま
)
の
頂
(
いたゞき
)
から
吾等
(
われら
)
の
顏
(
かほ
)
を
照
(
てら
)
したが、
一同
(
いちどう
)
生
(
い
)
きた
顏色
(
がんしよく
)
は
無
(
な
)
かつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
彼等は
頂天
(
ちょうてん
)
立地
(
りっち
)
何の恐るゝ処もない
赤裸
(
あかはだか
)
の英雄である、
原人
(
げんじん
)
である。彼等は元来裸である。何ものも
有
(
も
)
たない。有たないから失うことが出来ない。失うものがないから、彼等は恐るゝことを知らぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
小林は受け取ったものを、
赤裸
(
あかはだか
)
のまま
無雑作
(
むぞうさ
)
に
背広
(
せびろ
)
の
隠袋
(
ポケット
)
の中へ投げ込んだ。彼の
所作
(
しょさ
)
が平淡であったごとく、彼の礼の
云
(
い
)
い
方
(
かた
)
も横着であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
おどろいてお伊勢は台所へ駈け付けてみると、
赤裸
(
あかはだか
)
の彼女は大きい
盥
(
たらい
)
からころげ出して倒れている。お伊勢は再び奥へ引っ返して、行燈を持ち出して来た。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
参謀の言葉が通訳されると、彼等はやはり悪びれずに、早速
赤裸
(
あかはだか
)
になって見せた。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
行者はいかりたる
色
(
いろ
)
もなく、なにともいはず
衣服
(
きるもの
)
を
脱
(
ぬぎ
)
てかたへの
水楊
(
かはやなぎ
)
にかけ、
赤裸
(
あかはだか
)
になりて水を
浴
(
あ
)
み
寒
(
かん
)
まゐりする方をふしをがみ、武士の手をとりて
引起
(
ひきおこ
)
しければなにのくもなくおきあがり
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
お秀は兄の弱点が自分のために一皮ずつ
赤裸
(
あかはだか
)
にされて行くので、しまいに彼は
恥
(
は
)
じ入って、黙り込むのだとばかり考えたらしく、なお猛烈に進んだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、
猶
(
なお
)
不安に思われるので、更に
洋刃
(
ないふ
)
を以て
其
(
そ
)
の顔の皮を
剥
(
は
)
ぎ取った。
衣服
(
きもの
)
も剥いで
赤裸
(
あかはだか
)
にして
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いや、それよりはこれまでのどの仏菩薩の
御像
(
おすがた
)
にも似ていないのでございます。別してあの
赤裸
(
あかはだか
)
の
幼子
(
おさなご
)
を
抱
(
いだ
)
いて
居
(
お
)
るけうとさは、とんと人間の肉を
食
(
は
)
む
女夜叉
(
にょやしゃ
)
のようだとも申しましょうか。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
世界が化物になった翌日からまた化物の競争が始まる。着物をつけて競争が出来なければ化物なりで競争をやる。
赤裸
(
あかはだか
)
は赤裸でどこまでも差別を立ててくる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、
其
(
そ
)
の一
刹那
(
せつな
)
に講師が認めた彼の姿は、極めて
背
(
せい
)
の低い、殆ど
赤裸
(
あかはだか
)
で、皮膚の色は
赭土色
(
あかつちいろ
)
で……。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尼僧は
赤裸
(
あかはだか
)
になって、手には鋭利らしい刀を持っていた。彼女はその刀をふるって、まず自分の腹を
截
(
た
)
ち割って臓腑をつかみ出し、さらに自分の首を切り、手足を切った。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
去年私の病気をする少し前に、彼は突然皮膚病に
罹
(
かか
)
った。顔から額へかけて、毛がだんだん抜けて来る。それをしきりに爪で
掻
(
か
)
くものだから、
瘡葢
(
かさぶた
)
がぼろぼろ落ちて、
痕
(
あと
)
が
赤裸
(
あかはだか
)
になる。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
蛇吉が退治に出るときは、いつでも
赤裸
(
あかはだか
)
で、わずかに紺染めの半股引を穿いているだけである。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そのうちでも
妓女
(
ぎじょ
)
に対しては一糸を着けざる
赤裸
(
あかはだか
)
にして、その
身体
(
からだ
)
じゅうを容赦なく打ち据えるばかりか、顔の美しい者ほどその刑罰を重くして、その髪の毛をくりくり坊主に
剃
(
そ
)
り落すこともあり
中国怪奇小説集:16 子不語(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“赤裸”の意味
《名詞・形容動詞》
赤裸(セキラ、あかはだか、文学的:はだかなど)
衣服を全く身に着けていないこと、まっぱだか。
動物などの皮をむかれた様子。
包み隠しのない事、露骨であること。
(出典:Wiktionary)
赤
常用漢字
小1
部首:⾚
7画
裸
常用漢字
中学
部首:⾐
13画
“赤裸”で始まる語句
赤裸々
赤裸裸
赤裸体
赤裸足