トップ
>
豪
>
えら
ふりがな文庫
“
豪
(
えら
)” の例文
「少さなやくざもの」の兄は肺病で斃れるまで、弟を
豪
(
えら
)
い作家にしやうとして、有らゆる犠牲を払つた。そして終に死んでしまつた。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
ハイカラな新式な美しい女門下生が、先生! 先生! と世にも
豪
(
えら
)
い人のように渇仰して来るのに胸を動かさずに誰がおられようか。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「あっ、そうか。いや、早いものじゃ。燻製の効果が、こうも早く出てくるとは思わなかった。いや偉大なものじゃ、
豪
(
えら
)
いものじゃ」
地軸作戦:――金博士シリーズ・9――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あんたや水町さんは訳が分っていますけれど、我々文化人はなんて言って、自分達ばかり
豪
(
えら
)
いつもりでいる人もあるんですから」
田園情調あり
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
桂は顔を挙げて
小供
(
こども
)
に解りやすいようにこの大発明家のことを話して聞かし、「坊様も大きくなったらこんな
豪
(
えら
)
い人におなりなさいよ」
非凡なる凡人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
何じゃ騒しいな。ふ、ふ、あ、あ、それは結構。何さ、しかし心配には及ばぬよ。殺されたものは損、照子殿は
豪
(
えら
)
い
功
(
てがら
)
じゃ、
妖物
(
ばけもの
)
を
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あなたは、それだから困るのね。どうせ、あんな、
豪
(
えら
)
い
方
(
かた
)
になれば、すぐ、おいそれと書いて下さる事はないでしょうから……」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今学校のある丘の上には、長鍬の長者と云ふ田が千町、畑が千町、山が千町合せて三千町の土地を持つた
豪
(
えら
)
い長者が住んでをつたのぢや。
黄金の甕
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「
貴樣達
(
きさまたち
)
はあの
時
(
とき
)
の
中根
(
なかね
)
の
行爲
(
かうゐ
)
を
笑
(
わら
)
つたかも
知
(
し
)
れん。
然
(
しか
)
し、
中根
(
なかね
)
は
正
(
まさ
)
しく
軍人
(
ぐんじん
)
の、
歩兵
(
ほへい
)
の
本分
(
ほんぶん
)
を
守
(
まも
)
つたものだ。
豪
(
えら
)
い、
豪
(
えら
)
い‥‥」
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
旦那それじゃア此の金を
私
(
わっち
)
にくれますかえ、
豪
(
えら
)
いなア、どうも驚いた、
私
(
わっち
)
を
悪
(
にく
)
んで
打
(
ぶ
)
ったのだから、大抵の者ならくれた処が五両か七両
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一種の
軽蔑
(
けいべつ
)
的な
豪
(
えら
)
がりからやはりつづけて足を運んだ。クリストフの室にはいっても、不安ではあったがなんとも言わなかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
又雑婚が盛んになって総ての犬が尽く合の子のカメ犬となって了ったように、純粋日本人の血が亡びて了うと悲観した
豪
(
えら
)
い学者さえあった。
二十五年間の文人の社会的地位の進歩
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
自分独りで
豪
(
えら
)
くなったように思って、
恣
(
ほしいまま
)
に羽根を伸したり、新手を編み出したりする者があれば、それは能楽界の外道である。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
晋安王来りしも進む能わず、聡手を以て頭を
按
(
おさ
)
え地に
著
(
つ
)
けその両目を閉ざしめ、王を召し展礼せしむとはなかなか
豪
(
えら
)
い坊主だ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「いやはや。君は
豪
(
えら
)
い心理学者だよ。しかしそんなけれんは外の病人に遣って見せ
給
(
たま
)
え。そんなあさはかな手には、僕は乗らないからね。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
「何だエ」と伯母は眼を
円
(
まる
)
くし「
其様
(
そんな
)
豪
(
えら
)
い
婦人
(
ひと
)
で、
其様
(
そんな
)
歳
(
とし
)
になるまで、一度もお嫁にならんのかよ——異人てものは妙なことするものだの」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
何も彼もが師匠は
豪
(
えら
)
いという気がしてる弟子の目には、師匠の行住座臥すべてが憧れの的であるのは当然だと思います。絵は勿論のことです。
絹と紙の話と師弟の間柄の話
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
植田丹後守様とて
受領
(
ずりょう
)
まである歴々の御社家、あの御主人はなかなか
豪
(
えら
)
いお方で、奥様も親切なお方、あのお邸へお願い申しておけば
大盤石
(
だいばんじゃく
)
。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
つまり、よく五十年も我慢した、両方とも
豪
(
えら
)
い! というんで、国家的勇士としての栄誉と待遇をあたえるわけなんだろう。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
わたしの知り合いにも一人あそこにいるものもおりますが、シンガポールの英人の
豪
(
えら
)
さには、なかなか感心しておりました。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
すると
他
(
ほか
)
の
小猿
(
こざる
)
が「おれの
父様
(
ちやん
)
はもつと
豪
(
えら
)
いや、
鬼
(
おに
)
ヶ
島
(
しま
)
を
征伐
(
せいばつ
)
にいつたんだもの」「うそだあ、ありや
昔
(
むかし
)
の
事
(
こと
)
ぢやないか」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
然しそれは、酒を
喰
(
くら
)
ひ、博奕をうち、喧嘩をするから畏れるといふのではなく、其時の私には、世の中で源作叔父程
豪
(
えら
)
い人がない様に思はれたのだ。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
豪
(
えら
)
い奴だ」と大勢が叫ぶ。競馬好に極まつてゐる、長年
馬盗坊
(
うまどろばう
)
をして来た、この男達は馬の蹄で地を踏む拍子を真似て、平手で腰をはたいてゐる。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
豪
(
えら
)
いから女ができないんだといつもこぼしてる。ところがわれわれは皆多少なりと情婦を持っている。だからばかになる、言い換えれば勇敢になる。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
しかし仕事が
豪
(
えら
)
いから割増をしてこれだけ
遣
(
や
)
るのだ。その上にもまた酒代が欲しいのか。酒代は遣らぬとはいわない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼等は口先ばかりで
豪
(
えら
)
そうなことを言って、その生活はむしろその言うところの反対を行っているのが少なくない。
青年の元気で奮闘する我輩の一日
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
誰が云うのか、彼女には豊かな霊能があるから、それを磨けば何でも見透せるような
豪
(
えら
)
い者になる。とおだてられ、せっせと心霊研究とやらを始めた。
魔性の女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
先生を訪問して、殆ど何も話すことができないで帰ってくる学生にしても、決して窮屈を感じたのではない。そんなところに先生の
豪
(
えら
)
さがあると思う。
西田先生のことども
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
悠々として天命を楽むのは実に
豪
(
えら
)
い。例えば「死」なる問題は、今の所到底理論の解決以外だ。が、解決が出来たとした所で、死は
矢張
(
やっぱ
)
り
可厭
(
いや
)
だろう。
予が半生の懺悔
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「占いで幽霊の処置はできん。
彼
(
あ
)
の新幡随院の
和尚
(
おしょう
)
はなかなか
豪
(
えら
)
い人で、わしも心やすいから、手紙をつけてやる、和尚の処へ往って頼んでみるがいい」
円朝の牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
豪
(
えら
)
いもんになつて、今まで私たちをバカにした人をうんと見返してやればいゝわ、ねえ兄さん、さうすればいゝぢやないの? 兄さんはさう思はないの?
父の帰宅
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
「えゝ。」負け惜しみに、やつぱり
躊躇
(
ちゅうちょ
)
もなく私はかう答へる。それに、あの人が
豪
(
えら
)
くならうと、なるまいと、それが私に取つてたゞ一つの問題ではない。
脱殻
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
で私もキリストの友誼より
豪
(
えら
)
いことは言わぬつもり、否皆さんがとうに知ってることをいってみたいと思う。
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それはいうまでもなくそんな事を考えたのは、一葉女史の在世中の私ではない、その折はあまり私の心が子供すぎて、ただ
豪
(
えら
)
いと思っていたに過ぎなかった。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
女が何で独り弱者でしょう。男も随分弱者です。日本では男の
乞食
(
こつじき
)
の方が多いことを統計が示しております。男が何で独り
豪
(
えら
)
いでしょう。女は子を産みます。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
女房思いで気の弱い伊助が、途方に暮れておろおろしているところへ、間もなく、小間物屋亀安の番頭が、頭から湯気を立てて、
豪
(
えら
)
い
権幕
(
けんまく
)
で乗り込んで来た。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「えッ、それはほんまかいな」玉島は仰天しながら、「友木はん、あんたは貧乏してても、どことなく他の人と違うと思ったが、やっぱり
豪
(
えら
)
い。感心なものや」
罠に掛った人
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「算盤もいらない。職人が銭勘定するようじゃ駄目だ、彫刻師として
豪
(
えら
)
くなれば、字でも算盤でも出来る人を使うことも出来る。ただ、一生懸命に
彫刻
(
ほりもの
)
を勉強しろ」
幕末維新懐古談:06 高村東雲の生い立ち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
才物だ。なかなかの才物だとしきりに
誉
(
ほ
)
め
称
(
そ
)
やし、あの高ぶらぬところがどうも
豪
(
えら
)
い。
談話
(
はなし
)
の面白さ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
私は友達の
喜
(
き
)
ィ公の
父
(
とと
)
さんは
喇叭卒
(
ラッパそつ
)
であることを思い出して、喜ィ公の
父
(
とと
)
さんは
豪
(
えら
)
イなあと思った。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「生縄一家の用心棒、磯貝先生は、話に今も
遺
(
のこ
)
っている
笹川繁蔵
(
ささがわしげぞう
)
の処の
平手酒造
(
ひらてみき
)
よりも
豪
(
えら
)
い方だ」
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
食
(
たべ
)
るかね、相変らず
豪
(
えら
)
い勢いだ。僕もまだ飯前だから一緒に遣ろう。お登和や、早速ここへお膳を
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「中々
豪
(
えら
)
いえな、女の子よりも上手や、この調子では、今に自分の着物位縫へるやうになるえ。」
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
正直な所、亭主より
豪
(
えら
)
い女が出来ては困る! と云うのが支配階級とその亜流の心情なのです。
婦人作家の「不振」とその社会的原因
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
吾人の『万葉』の
豪
(
えら
)
いとするところは要するにその歌が生き生きして居る点にあるが、第一に作者の詩的感懐が高い、材料の観取が非常に広い、言語の駆使が自在である
子規と和歌
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
昔下らない事を云ひ合つてゐたこの友人の頭の中に
豪
(
えら
)
い魂が動いてゐるとは信じられないが、この世の中ではかういふ男が得意な生活をするといふことは疑はれなかつた。
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
わたしは自分の方からは決して何もしない、とさも
豪
(
えら
)
そうに広言をはきましたが、義姉が帰ったあとで部屋を出ると、子供のおびえたような、みじめな姿が眼に入りました。
クロイツェル・ソナタ:01 クロイツェル・ソナタ
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
君は他人より古い、小さい、弱いと思っては満足できぬ人間なのだから、エミネンシイに対する欲求も無理とはいわない、がそこを忍耐しなくては
豪
(
えら
)
い哲学者にはなれない。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
『これはいつまでも伯母さんが預かつて置きませう……今にそんな事もあつたかねえと言ふやうな時が必と來ますよ。まあ何でも可いから勉強して
豪
(
えら
)
い者になつて下さいよ。』
反古
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
堆書狂で名高かったのは、十九世紀初葉のオランダの貴族ウェストリーネン・ヴァン・ティエランドであるが、此男が
豪
(
えら
)
い蔵書家で、且つ蔵書を人に見せたがらない奇人だった。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
豪
常用漢字
中学
部首:⾗
14画
“豪”を含む語句
富豪
豪奢
豪家
豪気
豪華
豪商
大富豪
豪雨
豪勢
豪儀
豪宕
豪傑
豪邁
豪放
豪猪
豪語
豪傑肌
豪傑連
豪農
豪侠
...