トップ
>
讒
>
ざん
ふりがな文庫
“
讒
(
ざん
)” の例文
孔明は色をあらためて恐らくはこれ何か内官の
讒
(
ざん
)
に依るものではありませぬかと、突っこんでたずねた。帝は黙然たるままだったが
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あまりに昇進の早いのを
嫉
(
ねた
)
む同輩のために
讒
(
ざん
)
せられて、山口藩和歌山藩等にお預けの身となったような
境涯
(
きょうがい
)
をも踏んで来ている。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
〔評〕或ひと岩倉公幕を佐くと
讒
(
ざん
)
す。公
薙髮
(
ていはつ
)
して岩倉邸に
蟄居
(
ちつきよ
)
す。大橋
愼藏
(
しんざう
)
、
香
(
か
)
川
敬
(
けい
)
三、玉松
操
(
みさを
)
、北島
秀朝
(
ひでとも
)
等、公の志を知り、深く
結納
(
けつなふ
)
す。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
その神経を
亢奮
(
こうふん
)
させその肉体を衰弱させ、そうして常に
讒
(
ざん
)
を構えては忠臣義士を追い退けないしは義明をして手討ちにさせた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
十年来、衛は南子夫人の乱行を中心に、絶えず
紛争
(
ふんそう
)
を重ねていた。まず
公叔戍
(
こうしゅくじゅ
)
という者が南子排斥を
企
(
くわだ
)
てかえってその
讒
(
ざん
)
に遭って魯に亡命する。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
是以
(
こゝをもつて
)
君を
廃
(
はい
)
して親王を立、
国柄
(
こくへい
)
を一人の手に
握
(
にぎら
)
んとの
密謀
(
みつぼう
)
あり
法皇
(
ほふわう
)
も是に
応
(
おう
)
じ玉ふの
風説
(
ふうせつ
)
ありと
言
(
ことば
)
を
巧
(
たくみ
)
に
讒
(
ざん
)
しけり。時に 延喜帝御年十七なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
盡さんと心懸しに却て小栗美作が爲に
讒
(
ざん
)
せられ終に永の暇を給はり其後未だ
斯々
(
かく/\
)
して居るなり
然
(
され
)
ども忠臣は二君に仕へずとの金言を守り一錢二錢の
袖乞
(
そでごひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
父が
讒
(
ざん
)
せられた後の母は計られない世が身にしみて空を行く渡り鳥の行末さえ案じ乍ら見送りました。
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
氏郷に毒を飼ったのは三成の
讒
(
ざん
)
に本づくと、蒲生家の者は記しているが、氏郷は下血を患ったと同じ人が記し、面は黄に黒く、
項頸
(
うなじ
)
の
傍
(
かたわら
)
、肉少く、目の下
微
(
すこ
)
し
浮腫
(
ふしゅ
)
し
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かの戦国の時、楚の名士屈原が
讒
(
ざん
)
せられて放たるるや、「挙世皆濁れり、我独り清めり」と歎息し、江の浜にいたりて懐沙の賦を作り、石を抱いて
汨羅
(
べきら
)
に投ぜんとした。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
尊氏の野心を早くも察せられたのは、建武中興に大功労のおはしました護良親王で、打倒尊氏を策せられたが、却つて尊氏の
讒
(
ざん
)
に遭ひ、鎌倉に流され幽閉され給ふに至つた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
それから、
監察御史
(
かんさつぎょし
)
や
起居舎人
(
ききょしゃじん
)
知制誥
(
ちせいこう
)
を経て、とんとん拍子に
中書門下
(
ちゅうしょもんか
)
平章事
(
へいしょうじ
)
になりましたが、
讒
(
ざん
)
を受けてあぶなく殺される所をやっと助かって、
驩州
(
かんしゅう
)
へ流される事になりました。
黄粱夢
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
虎
毎
(
いつ
)
も我生処種姓形色力勢皆師子に勝る我日々好美食を得師子わが後を逐うて残肉を食うと言うと、それから虎にもかように告げて師子を
讒
(
ざん
)
す、後二獣一処に集まり眼を
瞋
(
いか
)
らして相視る
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
はじめお村を
讒
(
ざん
)
ししお春は、素知らぬ顔にもてなしつゝ
此家
(
このや
)
に勤め続けたり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼はまた従来金には淡白なる武男が、三千金のために、——たとい偽印の事はありとも——法外に怒れるを怪しみて、浪子が
旧
(
ふる
)
き事まで取り
出
(
い
)
でてわれを武男に
讒
(
ざん
)
したるにあらずやと疑いつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
人を
讒
(
ざん
)
すべからず、まさしく国法を守りて
彼我
(
ひが
)
同等の大義に従うべし。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
実はそれなる老職がまえからくだんの妻女に年がいもなく懸想していたためで、まずその目的を果たすためには浪人させる必要があるというところから、君侯に
讒
(
ざん
)
を構えてまんまと江戸に追いたて
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼女の袂へ忍ばすなどの
腐心
(
ふしん
)
までこころみたが、ついには彼女の良人高貞を亡き者とするに
如
(
し
)
かずと考え、将軍家に
讒
(
ざん
)
して、討手を向け
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
是以
(
こゝをもつて
)
君を
廃
(
はい
)
して親王を立、
国柄
(
こくへい
)
を一人の手に
握
(
にぎら
)
んとの
密謀
(
みつぼう
)
あり
法皇
(
ほふわう
)
も是に
応
(
おう
)
じ玉ふの
風説
(
ふうせつ
)
ありと
言
(
ことば
)
を
巧
(
たくみ
)
に
讒
(
ざん
)
しけり。時に 延喜帝御年十七なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
国境に至りて大いに戦い、敵国をして降を乞わしむ。皇帝喜び賞を与え僧を少林寺に帰さんとす。
隆文耀
(
りゅうもんよう
)
、
張近秋
(
ちょうきんしゅう
)
、二人の大官皇帝に
讒
(
ざん
)
し、少林寺の僧を殺さしむ。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が、昨夜、夜更けの庭に耳にした咳払の主が、主君に自分たちを
讒
(
ざん
)
したのではあるまいかという微かな懸念は持っていた。彼は常よりも更に粛然として、主君の前に頭を下げた。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
照
(
てら
)
し給はぬにや國にては
惡人
(
あくにん
)
小栗美作
(
をぐりみまさか
)
が爲に
讒
(
ざん
)
せられ終に
浪人
(
らうにん
)
して
斯
(
かく
)
零落
(
れいらく
)
困窮
(
こんきう
)
に及び其上にも此度斯る
無實
(
むじつ
)
の難にあふ事はよく/\
武運
(
ぶうん
)
に
盡果
(
つきはて
)
たりしか夫に付ても
恨
(
うら
)
めしきは新藤市之丞殿が當時の名前并びに
町所等
(
ちやうどころとう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「それこそ、それがしのことを、つねに司馬懿に
讒
(
ざん
)
している
秦朗
(
しんろう
)
でしょう。司馬懿にいいつけられて、追手に来たものでございましょう」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(同月七日従二位にすゝみ玉へり)此
密事
(
みつじ
)
いかにしてか時平公の
聞
(
きゝ
)
にふれしかば、事に
先
(
さきん
)
じて 帝に
讒
(
ざん
)
するやうは、君の御弟
斉世
(
ときよ
)
親王は
道真
(
みちざね
)
の
女
(
むすめ
)
を
室適
(
しつてき
)
して
寵遇
(
ちようぐう
)
厚
(
あつ
)
し。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
けれどそういう幸福には、きっとわざわいがつきやすいもので、一人の恋仇が現われました。あの丑松でございます。丑松は父に
讒
(
ざん
)
をかまえ、観世様を地の底の、造船工場へ追いやりました。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
老公は由来、幕府から
忌
(
い
)
まれておいでになる。老公の
御事業
(
おんじぎょう
)
は、反幕的の
尤
(
ゆう
)
なるものと、幕府の学者はみな口をそろえて、将軍家へ
讒
(
ざん
)
している。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(同月七日従二位にすゝみ玉へり)此
密事
(
みつじ
)
いかにしてか時平公の
聞
(
きゝ
)
にふれしかば、事に
先
(
さきん
)
じて 帝に
讒
(
ざん
)
するやうは、君の御弟
斉世
(
ときよ
)
親王は
道真
(
みちざね
)
の
女
(
むすめ
)
を
室適
(
しつてき
)
して
寵遇
(
ちようぐう
)
厚
(
あつ
)
し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
親藩
(
しんぱん
)
の、しかも副将軍たるひとを、
讒
(
ざん
)
するなど、むずかしいとも思えるが、直接、声をひそめるには及ばないのである。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右にいふ兄弟の父
岩城判官
(
いはきはんぐわん
)
正氏
(
まさうぢ
)
在京
(
ざいきやう
)
の時
讒
(
ざん
)
にあひて家の亡びたるは永保年中の事なり、今をさる事およそ七百五十余年也。兄弟の
怨魂
(
ゑんこん
)
今に
消滅
(
せうめつ
)
せざる事
人知
(
じんち
)
を以論ずべからず。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「では、
女奏
(
にょそう
)
の
讒
(
ざん
)
を用いて、宮を初雪見参の夜に、
陥
(
おとしい
)
れたのは誰ですか。兄者、あなたの計ではないか」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
右にいふ兄弟の父
岩城判官
(
いはきはんぐわん
)
正氏
(
まさうぢ
)
在京
(
ざいきやう
)
の時
讒
(
ざん
)
にあひて家の亡びたるは永保年中の事なり、今をさる事およそ七百五十余年也。兄弟の
怨魂
(
ゑんこん
)
今に
消滅
(
せうめつ
)
せざる事
人知
(
じんち
)
を以論ずべからず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「
否
(
いな
)
とよ君。それは常識の解釈というもの。よく忠臣の言を入れ、
奸臣
(
かんしん
)
の
讒
(
ざん
)
をみやぶるほどなご主君なら、こんな大敗は求めない。おそらく田豊の死は近きにあろう」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諫言をすすめて、主君に容れられず、政務に忠ならんとして、朋人に
讒
(
ざん
)
せられ、職を退いて、野に流れ住むこと三年になるが、何とて、故主の恩を忘れ得ましょうや。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、一蹴したので、十常侍たちはこもごもに、天子に
讒
(
ざん
)
したので、帝はたちまち、朱雋、皇甫嵩のふたりの官職を剥いで、それに代るに、
趙忠
(
ちょうちゅう
)
を車騎将軍に任命した。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、准后の
廉子
(
やすこ
)
が、てもなく、尊氏方へ廻って、大塔追放の
讒
(
ざん
)
に、大きな役割をつとめたなどは、むしろ彼女自身の凱歌としたところなので、これなどもよくわかる。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただいえることは「これも尊氏が女奏の
讒
(
ざん
)
に始まったことだ」という恨みだけなのである。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「村重様の
戦功
(
せんこう
)
と、ご出世をそねんで、明智日向守様が、ひそかに信長公へ
讒
(
ざん
)
したのが
因
(
もと
)
だとか。いや、毛利家の方から手を廻して、非常な恩賞を約して誘いこんだものとか」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それもこれも、ただ朝家のお為と、たくさんな人命の
犠牲
(
にえ
)
を惜しむばかりに申したことで、決して、尊氏をおそれ、左中将殿にお恨みがあって、
讒
(
ざん
)
したわけなどではありませぬ」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こっちの
脛
(
すね
)
にもキズはある。まず高時の耳へ
讒
(
ざん
)
を
咡
(
ささや
)
くにも春の日永のことでいい。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
敗れて漢中に
奔
(
はし
)
り、張魯のため、よい道具につかわれたあげく、一族の楊松などに
讒
(
ざん
)
せられ、腹背に禍いをうけ、名もなき暴戦をして、
可惜
(
あたら
)
、有為の身を意義もなく捨て果てようとは。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は黄匪討伐の征野から
讒
(
ざん
)
せられて、
檻車
(
かんしゃ
)
で都へ送られ、一度は軍の裁廷で罪を宣せられたが、後、彼を陥し入れた
左豊
(
さほう
)
の失脚とともに、
免
(
ゆる
)
されて再び中郎将の原職に復していたのである。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
冷泉家や
斎宮
(
いつきのみや
)
などをとおして、それとなく
当
(
とう
)
の大敵、大塔ノ宮を陥れる
讒
(
ざん
)
を植えてゆき、道誉もそれにあわせて、馴じみの武器商人や公卿
貴紳
(
きしん
)
のあいだに、巧妙な
流言
(
るげん
)
をまいていたのだった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
楊修のうしろ
楯
(
だて
)
があったので長男の
曹丕
(
そうひ
)
よりは、何事にまれ
勝
(
すぐ
)
れて見えたが、やがて自分こそ、当然、太子たらんとしている曹丕は、心中大いに面白くなく、事ごとに楊修を父に
讒
(
ざん
)
していた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
したがって、宋江の就いていた
押司
(
おうし
)
の職なども、重要なだけに、ちょっとした私意や違法の間違いを犯すと、
讒
(
ざん
)
に会って、すぐ
流罪
(
るざい
)
だの家産没取の
厄
(
やく
)
にあい、その
連累
(
れんるい
)
は、一族にまでおよぶ有様。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おまちがいですっ。……何者かの、
讒
(
ざん
)
に相違ございませぬ」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
讒
漢検1級
部首:⾔
24画
“讒”を含む語句
讒言
讒訴
讒謗
罵詈讒謗
讒誣
讒者
讒口
讒臣
讒謗罵詈
讒奏
讒構
讒毒
讒謗者
讒謗律
讒誣罵詈
高家讒訴
喚讒
讒罵
讒佞
讒人
...