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ふりがな文庫
“
見物
(
みもの
)” の例文
「いずれにしても、あの村の人たちの運命は
見物
(
みもの
)
だ、どうなることか、わしも、旅でなければ見きわめて行きたい気持にさせられる」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
狙
(
ねら
)
つて居たかも知れない。あの
離屋
(
はなれ
)
から誰の寢部屋へ一番よく道が付いてゐるか
見物
(
みもの
)
だ。庭は
苔
(
こけ
)
が一ぱいだが、五六遍も歩くと跡が付く
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鍛冶屋
(
かじや
)
、仕立屋、水車小屋、せんべや、
樽屋
(
たるや
)
。それから自転車屋など。それらはなんというすばらしい
見物
(
みもの
)
だったことだろう。
空気ポンプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
金十郎は
階
(
かい
)
ノ間に通って、几帳の奥にいる方に進物の口上を披露するのだが、行く先々で
見物
(
みもの
)
にされるのでやつれてしまった。
奥の海
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
死んだ無機的団塊が統整的建設的
叡知
(
えいち
)
の生命を吹き込まれて見る間に有機的な機構系統として発育して行くのは実におもしろい
見物
(
みもの
)
である。
空想日録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
またこの作者の将来もその今の生活のために何んなに変つて行くか、それが
見物
(
みもの
)
であるなどとも言ふことが出来る。それが私には面白かつた。
通俗小説
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
だから、単に積んだ鉄檻の猛牛に
送牛人
(
カベストロ
)
と称する専門家が附いてえんさえんさと都大路を練ってくところは大した
見物
(
みもの
)
だ。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
そこを泳ぐのが人間には面白い
見物
(
みもの
)
らしく、無理にがじがじした岩の中を歩かせるんだもの、尾も鱗も剥がれてしまう。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
私は其
都度
(
つど
)
形容する
煩
(
はん
)
を避けたが、松村がこの苦心談をしている間の、嬉し相な様というものは、全く
見物
(
みもの
)
であった。
二銭銅貨
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして、この元素的な一精力が自余の自然を対手にして戦うありさまは、まことにホーマー的な偉大さを感銘させるところのすばらしい
見物
(
みもの
)
である。
ベートーヴェンの生涯:02 ベートーヴェンの生涯
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「そういう奴を見なけりゃあ話にならない、
明日
(
あした
)
の出し物は
妹背山
(
いもせやま
)
だそうだから、こいつはちょっと
見物
(
みもの
)
だろうよ」
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
また実際ランプの
蓋
(
かさ
)
が風を起して廻る中に、黄いろい
焔
(
ほのお
)
がたった一つ、
瞬
(
またた
)
きもせずにともっているのは、何とも言えず美しい、不思議な
見物
(
みもの
)
だったのです。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
りんりんりんりん、りんりんりんりん、いくら行ってもさした
見物
(
みもの
)
もないので、今度は工場の方へ向きを換えさすと、広い広い一本道を工場へ、駈けた駈けた。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
生憎
(
あいにく
)
この近眼だから、顔は
瞭然
(
はっきり
)
見えなかッたが、
咥煙管
(
くわえぎせる
)
で艪を押すその
持重加減
(
おちつきかげん
)
!
遖
(
あっぱ
)
れ
見物
(
みもの
)
だッたよ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家来の来るのを待つあいだに、大将は
葉巻
(
はま
)
きをふかしながらあちこちと歩き回る。見物の顔にかれがたばこのけむりをふっかけるふうといったら、
見物
(
みもの
)
であった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
そして時に尻尾で水を叩いては渦巻を起し、逃げ迷う小魚を追い廻わすさまはまことに
見物
(
みもの
)
である。
河鱸遡上一考
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
桜島は今だに鹿児島湾のなかに
突立
(
つきた
)
つて、
暢気坊
(
のんきばう
)
のやうにすぱり/\と
煙
(
けぶり
)
を吹いてゐる。梅玉が今度の巡業に、
何
(
ど
)
う
言
(
い
)
ひ
賺
(
すか
)
されて鹿児島へ乗込むかは一寸
見物
(
みもの
)
である。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
気の利いたもの、乙なもの、眼に見えずに凝ったもの、アッサリしたものなぞいう、彼等の鋭い神経にだけ理解されるような生活品や
見物
(
みもの
)
、ききものがもてはやされた。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
希臘
(
ギリシャ
)
の
彫刻
(
ちょうこく
)
で見た、ある
姿態
(
ポーゼー
)
のように、髪を後ざまに
垂
(
た
)
れ、
白蝋
(
はくろう
)
のように白い手を、後へ
真直
(
まっすぐ
)
に
反
(
そ
)
らしながら、石段を引ずり上げられる屍体は、確に
悲壮
(
ひそう
)
な
見物
(
みもの
)
であった。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
朝日
(
あさひ
)
の
光
(
ひか
)
りを
受
(
う
)
けて
金
(
きん
)
ぴかの
品物
(
しなもの
)
が
輝
(
かゞや
)
いてゐるありさまは、なんともいへぬ
見物
(
みもの
)
でありました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
こういう言葉に経験の多い伝三郎の妻は、こういう時政江がどんな態度を示すか
見物
(
みもの
)
であると固唾をのんだ。市治郎の妻は、政江を慰めるために今日一日を費す腹をきめた。
俗臭
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
承香殿
(
じょうきょうでん
)
の女御を母にした第四親王がまだ
童形
(
どうぎょう
)
で秋風楽をお舞いになったのがそれに続いての
見物
(
みもの
)
だった。この二つがよかった。あとのはもう何の舞も人の興味を
惹
(
ひ
)
かなかった。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
さすがは一流の剣客者たるお心がけ、そりゃいっそ
見物
(
みもの
)
でござろう。あっぱれお手のうちを
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〔記憶の及ぶあたはざるまで〕原文、「記憶に伴はざる
見物
(
みもの
)
の中に殘さゞるをえざるまで」
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「S村の小作が、身欠鰊みたいに、ズラリ並んで首でもつる時来るべ。んだら
見物
(
みもの
)
だ。」
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
口
渇
(
かわ
)
きし者の叫ぶ声を聞け、風にもまるる
枯葉
(
こよう
)
の音を聞け。君なくしてなお事業と叫ぶわが声はこれなり。声かれ血
涸
(
か
)
れ
涙
(
なみだ
)
涸れてしかして成し遂ぐるわが事業こそ
見物
(
みもの
)
なりしに。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
物珍らしい
見物
(
みもの
)
があれば、みな大丸の角に集まってゆく。鉄道馬車がはじめて通った時もそうなら、西洋人が来たと騒いで駈附けるのも大丸であるし、お開帳の休憩もそこであった。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いやはや!——ヴァンダーヴォットタイムイティスの良民にはとんでもない
見物
(
みもの
)
だ。
鐘塔の悪魔
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
これが又珍らしい
見物
(
みもの
)
で、大変な人出が致します。切りました角は一週間の角祭りを済ました後春日様の出入商人へ払い下げられ、お土産の
角細工
(
つのざいく
)
になって皆様の御調法を致します。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その頃まだ珍らしい
見物
(
みもの
)
になっていた
眼鏡橋
(
めがねばし
)
の
袂
(
たもと
)
を、柳原の方へ向いてぶらぶら歩いて行く。川岸の柳の下に大きい傘を張って、その下で十二三の娘にかっぽれを踊らせている男がある。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
石が問題じゃない、後が
見物
(
みもの
)
だ、と思って、彼は勢よく跣足で飛び下りた。
古井戸
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「はあ、そうですか。なに訳はありません。すぐ行って見ましょう。
容子
(
ようす
)
は帰りがけに御報知を致す事にして。面白いでしょう、あの
頑固
(
がんこ
)
なのが
意気銷沈
(
いきしょうちん
)
しているところは、きっと
見物
(
みもの
)
ですよ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
贅沢
(
ぜいたく
)
——日本一の
見物
(
みもの
)
じゃぞ! すばらしいのう! これを見ながら一ぱいはどうじゃ! 酒を持って来い! は、は、
酒肴
(
しゅこう
)
の用意をととのえろ! ほほう! ほほう! 何ともいえぬ眺めじゃなあ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「へーイ! 尺取り虫が? そいつア
見物
(
みもの
)
だ」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
積み上げて、ついに見られぬ
奢
(
おごり
)
の優れた
見物
(
みもの
)
を
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
変わった
見物
(
みもの
)
と云わざるを得ない。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
他
(
ほか
)
の
馬
(
うま
)
「ええ。いい
見物
(
みもの
)
ですよ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
とにかく、こうして
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
をさして、ゆらりと江戸の浅草の駒形堂の前の土を踏んだ白雲の
恰好
(
かっこう
)
は、かなりの
見物
(
みもの
)
でありました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「今日は特別な見世物を御覧に入れる。一度あって二度とない
見物
(
みもの
)
、こんな日に入り当てたお客様は仕合せだ、サア、いいか」
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
湖畔のフラミンゴーの大群もおもしろい
見物
(
みもの
)
である。一面におり立った群れの中に一か所だけ円形な空地があるのはどういうわけかと思って考えてみた。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼は露骨な冗談やりっぱな
御馳走
(
ごちそう
)
が好きだった。食卓の彼は
見物
(
みもの
)
だった。
息子
(
むすこ
)
のアントアーヌがその相手をし、他に会食者としては数名の老人仲間がいた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
中でもこの私なぞは、大殿樣にも二十年來御奉公申して居りましたが、それでさへ、あのやうな凄じい
見物
(
みもの
)
に出遇つた事は、ついぞ又となかつた位でございます。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
海豹島こそ
見物
(
みもの
)
だろうと人はいった。私にしろこの樺太旅行の眼目は全くこの海豹島だと期待していた。恐らく三百の観光団員総てがそうであったにちがいない。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
原敬氏がこの
自惚
(
うぬぼれ
)
を、どんな
塩梅
(
あんばい
)
に取扱ふかは
見物
(
みもの
)
である。これを巧く利用したものに徳川家康がゐる。ある時何かの席で、福島正則が家康にお
追従
(
ついしよう
)
を言つた事があつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その木賊はそこの縁先に非常に夥しく
蕃殖
(
はんしょく
)
し、青い細い茎が雨の脚のように一面にすくすくと群生しているのがちょっと奇異な
見物
(
みもの
)
なので、珍しいなあと思った当時の印象が
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ことにそのなかに、面白き思附き、興ある
見物
(
みもの
)
として大名行列があった。それは旧大名の
禄高
(
ろくだか
)
多く、格式ある家柄の
参覲交代
(
さんきんこうたい
)
の道中行列にならい、奥向の行列もつくったのであった。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
見物
(
みもの
)
、聞きものもあろう。しかしこの中に「買物のため」が沢山あるのは否まれぬ。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
怪しさも、
凄
(
すご
)
さもこれほどなら朝茶の子、こいつ
見物
(
みもの
)
と、裾を
捲
(
まく
)
って、
蹲
(
しゃが
)
み込んで
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
持主が
怒
(
おこ
)
っているのに髯だけ落ちついていてはすまないとでも心得たものか、一本一本に
癇癪
(
かんしゃく
)
を起して、勝手次第の方角へ猛烈なる勢をもって突進している。これとてもなかなかの
見物
(
みもの
)
である。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はこうして新しい
見物
(
みもの
)
ができたことを、欣んだのである。
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“見物”で始まる語句
見物人
見物席
見物場
見物日
見物連
見物順序
見物の場所
見物人自身
見物自動車