ふね)” の例文
大砲をうつとき、片脚をぷんとうしろへ挙げるふねは、この前のニダナトラの戦役での負傷兵で、音がまだ脚の神経にひびくのです。
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
私は、潜水艦クロクロ島の偉力いりょくを、真に天下無敵と信ずる者である。そして、敵艦は遂に、わがふねを発見することが出来ないのである。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『や、や、あのはたは、あのふねは。』とばかり、焦眉せうびきふわすれてをどつ、わたくしいそそのほうまなこてんぜんとしたが、ときすでおそかつた。
乘組のりくんだふね帆柱ほばしらに、夕陽せきやうひかりびて、一ゆきごとたかきたとまつたはうつたとき連添つれそ民子たみこ如何いかかんじたらう。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
れ永楽帝のおそうれうるところたらずんばあらず。鄭和ていかふねうかめて遠航し、胡濙こえいせんもとめて遍歴せる、密旨をふくむところあるが如し。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
魚雷は発射されてから、命中するまで、やゝ長い時間がかゝるので、その間に敵が気づいて、ふねむきを変へたら、あるひれるかも知れない。
怪艦ウルフ号 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
「紅頭嶼なら、僕、知つてますよ。上陸したことはないけど、そばをふねで通つたことがある。千久馬君、あんなとこへ何しに行くんです?」
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ふねの出帆は、それから一時間半の後——真夜中まよなかに馬関を発して、ここからはもうまっすぐに、大坂の安治川あじがわへ向かうという予定なのである。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼の最初に乗込んだふねは“U. S. S. Stockton”なる水雷艇で、西インデア州のクルブラ島詰であつた。
淡雪 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
四千何百トンのふねが三四十度ぐらいに傾いてさ、山のようなやつがドンドン甲板かんぱんを打ち越してさ、ふねがぎいぎいるとあまりいい心地こころもちはしないね
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
そして相手が血ぶるいしつゝ大きなふねが沈む時のように倒れきらないでいる間に、もう一人の小姓に襲いかゝった。
……それからもう一人……このふねに乗っている俺たちの司令官たいしょうを怨みたけあ怨むがいいってんだ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
潜水遊撃隊のどのふねかが、五百キロ爆弾の餌食えじきになるのではないだろうか? それとも、『荒鷲』が又『第十三号光線』を放射されて、あわれな最期をとげるのだろうか?
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
米艦が浦賀うらがったのは、二年ぜんの嘉永六年六月三日である。翌安政元年には正月にふねが再び浦賀に来て、六月に下田しもだを去るまで、江戸の騒擾そうじょうは名状すべからざるものがあった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
このふね、文禄征韓の役に用ひられ、迅速なること神のごとかりしかば、豊太閤あやしみて、これを神庫にをさめきといふ。一片の扁額、なほ当年の遺物たり。そも名護屋の古城趾は如何の観かある。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
みいくさのふねの帆づなにいかりづなに召せや千すぢの魔もからむ髪
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
赤銅色しゃくどういろの大きなふねが、海上に焔を投げている。
神助の凪にふねてて月落ちかかるバイヤス灣
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ふね等みな歸港の情に渇けるなり。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
さつまはおふね
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
大砲をうつとき、片脚かたあしをぷんとうしろへ挙げるふねは、この前のニダナトラの戦役せんえきでの負傷兵で、音がまだ脚の神経にひびくのです。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「へツ! 魚雷を撃沈するつもりだな。さうはいかないぞ! ——そら、とうとうふねの向を変へたぞ、畜生奴ちくしやうめ!」
怪艦ウルフ号 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
さうですね、例へば、こんなユーモアも陸上勤務ぢや味はへません——ふねの上ぢや、第一に水を節約します。だから、風呂へはいるなんて贅沢ですからね。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ソ連のふねであり、そして船火事をおこしてウラル丸が沈むのを見まもっているのであろうと考えていた。
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
五月初旬はじめ、武男はその乗り組めるふねのまさにくれより佐世保させほにおもむき、それより函館はこだて付近に行なわるべき連合艦隊の演習に列せんため引きかえして北航するはずなれば
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
馬関に住めば、誰も幾度かは見ているはずのふねである。めずらしくはないが、何事だろうか、奇兵隊はほとんどといっていいくらい、波止場一帯と海岸を警備している。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「清君。武装が変ったから、名前も変って、このふねの名は、今では『八島やしま』です。」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
つまり時間が来るまでは、他の話で釣っといて、ふねの中を見まわらせねえようにしとくんだ。そうしてイヨイヨ動き出してから談判を始めせえすれあ、十が十までこっちのもんじゃねえか。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この軍艦ぐんかん最新式さいしんしきの三とう巡洋艦じゆんやうかんで、排水量はいすいりよう二千八百とん速力そくりよく二十三ノツト帝國軍艦ていこくぐんかん明石あかし」に髣髴ほうふつたるふねだが、もつと速力そくりよくはやい、防禦甲板ぼうぎよかんぱん平坦部へいたんぶ二十ミリ傾斜部けいしやぶ五十三ミリ砲門ほうもんは八インチ速射砲そくしやほうもん
「八日。晴。ふね造作御出来に付、朝四時乗船。八半時出帆。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「昔のふねは斯んなものが附いてゐたんだね。」
淡雪 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「いや、別にむづかしいことぢやないんですよ。ただ、軍人は何時死ぬかもわからないし、ふねへでも乗り込むやうになると、長く留守もさせなきやならず……」
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
何条もってたまるべき、ふねも機も敵兵も大感電して、たちまち白熱する一抹の煙になって……。
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
このふねの○番分隊士として、当直の航海長とともに、副直の四時間を艦橋に立てるなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「スミス少佐。敵ながら、武田博士のつくった『最上』は、いいふねだね。」
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
いくさでなければ、また、外国のふねでもくるのか。鉄砲弾丸だまは、ご免だぞ)
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一撃いちげきもとなんぢふね粉韲ふんさいすべきぞ。
どのふねもすこしも動きません。
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
あのとき夜の甲板かんぱんへ、新鮮なる空気を吸いに出たことまでは覚えているが、あとは知らない。そうそう、大爆発があったことは知っている。とたんに、ふね大震動だいしんどうしたっけ。
沈没男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ない。まあ当分、都住ひだ。ふねの上は呑気は呑気なんだがなあ。」
花問答 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
どのふねもすこしも動きません。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それから先は、機関をどんなにうごかしてみても、びくともふねはゆるがず、そのうちに軍艦の底の割れ目から海水がはいってきて、大きな艦体は、へさきを上にしてかたむいてしまいました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
で、ジュリアンとおんなじふね
放浪者 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ふねには、ふしぎにも、水兵一人居らなかった。そしてぷんぷんとゴムくさかった。
「そして金博士に贈るに、ナイアガラ瀑布一帯の……いや、瀑布のように水が入ってくるわい。おや、ふねがひどく傾いて沈下ちんかしてきたが、まさかこの不沈軍艦が沈むのではあるまいな」
「この見本軍艦の用もすんだから、わしはもうこの辺で沈めて置こうと思うのじゃ。さあルーズベルト君。ぐずぐずしていると、ふねもろとも沈んでしまうよ。いそいで本艦を退去したまえ」
ボタン一つ押すと紫電しでん一閃いっせん。太い二本の光の柱です。一本は真直に空中を飛び上る。もう一本は敵陣の中につっこむ。するとパッと黄煙こうえんあがると見る間に、ふねも敵兵も瞬間に煙となって空中に飛散する。
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
「どこの国のふねだか分らないか」
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)