)” の例文
のたまわくだ。なにしてやがるかと思って、やぶけた窓の障子からのぞくとね、ポンポチ米を徳久利とっくりきながら勉強してやがるんだ。
縁者えんじゃ親類加勢し合って、歌声うたごえにぎやかに、東でもぽったん、西でもどったん、深夜しんやの眠を驚かして、夜の十二時頃から夕方までもく。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
シロは米をきしらぐことをいう南洋系の語スラウと関係ある古い国語で、太陽を指すシラシラ又はシナシナなどと同語であるという。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
き大いにその妙を得、大抵両三人、同じく上り、会読かいどくしながらこれをき、『史記』など二十四葉読む間に米しろおわる、また一快なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
クリノコ 栗の粉、搗栗をさらにいて粉にしたもの、青森県の五戸ごのへ地方では商品になっていた(ひだびと六巻一〇号)。
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
サギをほうきを持つ役とし、カワセミを御料理人とし、スズメをうすく女とし、キジを泣く役の女として、かように定めて八日八夜というもの遊んでさわぎました。
十兵衛満面に笑みを含みつつ米くごとくむやみに頭を下げて、はい、はい、はいと答えおりしが、願いをお取り上げ下されましたか、ああありがとうござりまする
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
台所の庭の方から、遠く寂しく地響のやうに聞えるは、庄馬鹿が米をく音であらう。夜もけた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
尻餅しりもちく様に、捨てる様に下ろす。下ろすのではない、荷が下りるのである。どすと云ふはづみに大切の水がぱつとこぼれる。下ろすのも厄介だが、また担ぎ上げるのが骨だ。
水汲み (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
三月の節句に草餅をきまするに、よもぎが多くありまして、摘みましたものでござりますが、只今では、鉱毒地には蓬が少なき故、利根川堤や山の手へ行つて摘んで参ります。
政治の破産者・田中正造 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
カチグリというものがある。カチとはくことで、すなわちクリの実を干し搗いて皮を去りその中実なかみ(胚を伴うた子葉)を出したものである。それには普通にシバグリを用うる。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ふとお客様が金剛経をじゅするを聞いて開悟し、黄梅の五祖弘忍大師こうにんだいしのところへ行って米をいて允可いんかを受け、ついに達磨大師以来六代の伝衣でんえを受けて、法流を天下にいたこと
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一所不住いっしょふじゅう沙門しゃもん雲水行脚うんすいあんぎゃ衲僧のうそうは必ず樹下石上を宿やどとすとある。樹下石上とは難行苦行のためではない。全くのぼせをげるために六祖ろくそが米をきながら考え出した秘法である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いねけばかが今宵こよひもか殿との稚子わくごりてなげかむ 〔巻十四・三四五九〕 東歌
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
糯米もちごめぐことから小豆あずきを煮ること餅をくことまで男のように働き、それで苦情一つ言わずいやな顔一つせず客にはよけいなお世辞の空笑いできぬ代わり愛相あいそよく茶もくんで出す
置土産 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
馬鹿と気ちがいと病人とを七分三分にき合せたるもの此れを女房というとはヒステリーの妻に呆れたる夫の言にして、単に床の間の置きものとなすは敬して愛せざるものの言う処。
偏奇館漫録 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
追い追い穀をく事と、瓢に水を汲んで頭に載せ運び、またくしを廻して肉をあぶる事を教えたというも事実であろう(一七四五年板、アストレイの『新編航記紀行全集』二巻三一四頁)
此少年は此等あたりに、冬になると出るしゝの話を面白く話して聞かせた。『大きいのはあれ位ありますぜ』かう言つて、谷の流れに架つて終日米をいてゐる野碓の小屋を指し示した。
春雨にぬれた旅 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
けばかがる我が手を今宵もか殿の稚子わくごが取りて嘆かむ(万葉集巻十四、東歌)
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
……烏帽子えぼしかぶった鼠、素袍すおうを着た猿、帳面つける狐も居る、かまどを炊く犬もる、いたちこめく、蚯蚓みみずが歌う、蛇が踊る、……や、面白い世界じゃというて、殿たちがものとは較べられぬ。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「さようでございます。僧どもの食べる米をいておられました」
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
大きな水車がしぶきの息をふき、雫の汗をたらしてぐわらぐわらぐわらと恐しくまはつてゐる。糠埃のこもつたには無数の杵がこつとんこつとんとどんな音をたてて一本足の踊るやうに米をつく。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
我が泉氏ははつと云つてピタリと臀餅しりもちくやうにすわつた。
泉先生と私 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ところが、三月になつて、年米をく時に、稻舂いなつき女たちに間食おやつをやらうと家室さんが碓屋うすやにはいつてゆくと、彼の犬の仔が吠えておつかけた。
春宵戯語 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
必ず御案じ下されまじく候えども、はなはだ壮なり。隔日『左伝』『八家』会読かいどく。勿論塾中常居、七ツ過ぎ会読終る。それより畠または米き、在塾生とこれを同じうす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
尻餅く様に、捨てる様に下ろす。下ろすのではない、荷が下りるのである。どうと云うはずみに大切の水がぱっとこぼれる。下ろすのも厄介だが、またかつぎ上げるのが骨だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
白米はきて果実の皮と共に種子の皮をも併せ除きたるなり。時に胚もまた去りてただその胚乳のみ残れり。吾人はこの胚乳を炊きて飯と成し食て以て生命を維持しつつあるなり。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
私達の手許にはさいわいに実君が持って来た五升の米がある、今夜の野宿に差支はない、それで今から一斗五升の米をかして、明日早朝に源次郎がそれを背負って追い付く手筈に事は決ったのだ。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
実は趣味も理屈もやはり米から自分にいたる時にかわらぬ未亡人、何でもかでも自分でせねば頭が痛く、亡夫の時ぼくかなんぞのように使われし田崎某たざきなにがしといえる正直一図の男を執事として
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
青山に田地でんちがあって、そこから上って来る米だけでも、うちのものが食うには不足がなかったとか聞いた。現に今生き残っている三番目の兄などは、その米をく音を始終しじゅう聞いたと云っている。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
案内して是より直に汝が家へ老衲を連れて行ては呉れぬか、とすこし辺幅やうだいを飾らぬ人の、義理すぢみち明かに言葉渋滞しぶりなく云ひたまへば、十兵衞満面に笑を含みつゝ米くごとく無暗に頭を下げて、はい、唯
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一首の意は、稲をいてこんなにひびの切れた私の手をば、今夜も殿の若君が取られて、可哀そうだとおっしゃることでしょう、御一しょになる時にお恥しい心持もするという余情がこもっている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「さやうでございます。僧共そうどもべるこめいてをられました。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
今日は関守氏が、逢坂山の裏手から細道伝いに、大谷風呂の裏口へ下りて来て見ますと、小屋があって、その中で、地がらの米をいているのが例の三助の三蔵でありましたから、言葉をかけました
我が泉氏ははつと云つてピタリと臀餅しりもちくやうにすわつた。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
山畑やまはたいた茜草あかねぐさいて
米をきながら会読かいどくするの先生あれば、ぬかふるいながら講義を聞く生徒もあるべし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
例年れいねん隣家となりを頼んだもち今年ことし自家うちくので、懇意こんいな車屋夫妻がうすきね蒸籠せいろうかままで荷車にぐるまに積んで来て、悉皆すっかり舂いてくれた。となり二軒に大威張おおいばり牡丹餅ぼたもちをくばる。肥後流ひごりゅう丸餅まるもちを造る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)