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縁臺
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えんだい
婦たちは
怨んだ。が、
結句此がために
勢づいて、
茣蓙縁臺を
引摺り/\、とにかく
黒塀について、
折曲つて、
我家々々の
向うまで
取つて
返す
事が
出來た。
る
夫惣蒐りにて叩き倒せと手に/\
息杖を振り上打て
蒐るに半四郎も酒屋の
軒下にありし
縁臺を
地震が
搖つて
地が
動き、
町が
此方へ
傾いたやうに、わツと
起る
聲と
齊しく、
御神輿は
大波を
打つて、どどどと
打つて
返して、づしんと
其處の
縁臺に
据つた。
して
呉れ
然うして
何ぞ
肴を出し呉よと云ながら
縁臺にどつかと
腰を
打掛やれ/\日の
短かひ事だ十月の中の十日に心なしの者を
遣ふなとは
能云しものだコレ/\若い者大急ぎだ早く酒と肴を
其の
縁臺がめい
込んで、
地が
三尺ばかり
掘下つたと
言ふのである。
女房は
即座に
癒えて、
軒の
花が
輝いた。
で、
風呂敷包みと
笠を
持つて
立ちながら、
煙管を
其のまゝ
片手に
持つて、づいと
縁臺を
離れて
立つて
出た。
二時さがりに
松葉こぼれて、
夢覺めて
蜻蛉の
羽の
輝く
時、
心太賣る
翁の
聲は、
市に
名劍を
鬻ぐに
似て、
打水に
胡蝶驚く。
行水の
花の
夕顏、
納涼臺、
縁臺の
月見草。
そのうち、
隙を
見て、
縁臺に、
薄べりなどを
持出した。
何が
何うあらうとも、
今夜は
戸外にあかす
覺悟して、まだ
湯にも
水にもありつけないが、
吻と
息をついた
處へ——
煙草を
買ひながら
聞くと、
土地に
數の
多い
犬が、
俥に
吠附き
戲れかゝるのを
追拂ふためださうである。
駄菓子屋の
縁臺にも、
船宿の
軒下にも、
蒲燒屋の
土間にも
成程居たが。
それ、
自動車が
來たぜ、と
婦まじりで、
道幅が
狹い、しば/\
縁臺を
立つのだが、
俥は
珍らしいほどである。これから、
相乘——と
云ふ
處を。……おゝ、
銀河が
見える——
初夜すぎた。
と
今はたいたまゝで、
元二が、
財布の
出入れをする
内、
縁側の
端に
置いた
煙管を
取つて、
兩提の
筒へ
突込まうとする
時、
縁臺の
下から、のそ/\と
前脚を
黒く
這ひ
出した一
疋の
黒猫がある。