縁臺えんだい)” の例文
新字:縁台
をんなたちはうらんだ。が、結句けつくこれがためにいきほひづいて、茣蓙ござ縁臺えんだい引摺ひきずり/\、とにかく黒塀くろべいについて、折曲をりまがつて、我家々々わがや/\むかうまでつてかへこと出來できた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それ惣蒐そうがかりにて叩き倒せと手に/\息杖いきづえを振り上打てかゝるに半四郎も酒屋の軒下のきしたにありし縁臺えんだい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
地震なゐつてうごき、まち此方こちらかたむいたやうに、わツとおここゑひとしく、御神輿おみこし大波おほなみつて、どどどとつてかへして、づしんと其處そこ縁臺えんだいすわつた。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
してうしてどうさかなを出し呉よと云ながら縁臺えんだいにどつかとこし打掛うちかけやれ/\日のみじかひ事だ十月の中の十日に心なしの者をつかふなとはよくいひしものだコレ/\若い者大急ぎだ早く酒と肴を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
縁臺えんだいがめいんで、つち三尺さんじやくばかり掘下ほりさがつたとふのである。女房にようばう即座そくざえて、のきはなかゞやいた。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、風呂敷包ふろしきづつみとかさつてちながら、煙管きせるのまゝ片手かたてつて、づいと縁臺えんだいはなれてつてた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二時やつさがりに松葉まつばこぼれて、ゆめめて蜻蛉とんぼはねかゞやとき心太ところてんおきなこゑは、いち名劍めいけんひさぐにて、打水うちみづ胡蝶てふ/\おどろく。行水ぎやうずゐはな夕顏ゆふがほ納涼臺すゞみだい縁臺えんだい月見草つきみさう
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのうち、すきて、縁臺えんだいに、うすべりなどを持出もちだした。なにうあらうとも、今夜こんや戸外おもてにあかす覺悟かくごして、まだにもみづにもありつけないが、ほついきをついたところへ——
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
煙草たばこひながらくと、土地とちかずおほいぬが、くるま吠附ほえつれかゝるのを追拂おひはらふためださうである。駄菓子屋だぐわしや縁臺えんだいにも、船宿ふなやど軒下のきしたにも、蒲燒屋かばやきや土間どまにも成程なるほどたが。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それ、自動車じどうしやたぜ、とをんなまじりで、道幅みちはゞせまい、しば/\縁臺えんだいつのだが、くるまめづらしいほどである。これから、相乘あひのり——とところを。……おゝ、銀河あまのかはえる——初夜しよやすぎた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いまはたいたまゝで、元二げんじが、財布さいふ出入だしいれをするうち縁側えんがははしいた煙管きせるつて、兩提りやうさげつゝ突込つゝこまうとするとき縁臺えんだいしたから、のそ/\と前脚まへあしくろした一ぴき黒猫くろねこがある。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)