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白湯
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さゆ
ふりがな文庫
“
白湯
(
さゆ
)” の例文
茶といえばふけたような匂いのする安い番茶で、それを色の出なくなるまで淹れて使うから、
白湯
(
さゆ
)
を飲むのとさして変りがなかった。
落葉の隣り
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一生安楽に暮される
守護符
(
おまもり
)
になる……というので……もっとも雁八はその貰うた
黒穂
(
くろんぼ
)
を
白湯
(
さゆ
)
で飲んだと申しましたが……ハハハ……
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
... スープは
白湯
(
さゆ
)
より長く温度を保つというのも密度のためだね。牛乳は何故に水よりも速く
沸立
(
にえた
)
つやというのもやっぱり同じ事だね」中川
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「どうやら小屋へ参りました。お急ぎでなくばお立ち寄り、休んでおいでなさいまし。へえへえ
白湯
(
さゆ
)
ぐらいは差し上げます」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
信長の機嫌はいよいよ
麗
(
うるわ
)
しい。それからも侍臣が
燭
(
しょく
)
を
剪
(
き
)
ること数度だったが、
白湯
(
さゆ
)
のみ飲みながらなお時の移るも知らない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
葉子は自分の
部屋
(
へや
)
に行って懐中物などをしまって、湯飲みでなみなみと一杯の
白湯
(
さゆ
)
を飲むと、すぐ二階に上がって行った。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
大僧正がお介添えまいらせて、予定のとおり
御霊屋
(
みたまや
)
へご参拝が終わると、ご接待というのは塩花お
白湯
(
さゆ
)
がたった一杯。召し上がるか上がらないかに
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
何を考えても、何を見ても、何をしても
白湯
(
さゆ
)
を飲むような気持もしなかった。……けれども、斯様なことを言うと、お前に何だか
愚痴
(
ぐち
)
を言うように当る。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
それは、その日の玉之助の高座に用いる湯呑のなかへ、水銀を
白湯
(
さゆ
)
にまぜておくという秘密を知ったからだった。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その
中
(
うち
)
湯が
沸騰
(
わい
)
て来たから例の通り氷のように
冷
(
ひえ
)
た飯へ
白湯
(
さゆ
)
を
注
(
か
)
けて
沢庵
(
たくあん
)
をバリバリ、待ち兼た風に食い初めた。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一日の障りなしに断へず楽しき
団欒
(
まどゐ
)
の室に
白湯
(
さゆ
)
の香を漲らせ、清閑の韻をひゞかせたる永き歴史を有するなり。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
祝ってくれたのか。オレはお茶だと思うが、しかしお前は
白湯
(
さゆ
)
をのんでいたのかも知れないな。いまオレにかけたのはお茶だろうか白湯だろうか、どっちの方だ
明治開化 安吾捕物:13 その十二 愚妖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
勘定の時に、それを言って
断
(
ことわ
)
った。——「うまくないもののように、皆残して済みません。」ああ、娘は、茶碗を
白湯
(
さゆ
)
に汲みかえて、熊の
胆
(
い
)
をくれたのである。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「これはお心づけ
忝
(
かたじけ
)
のう存ずる、それでは早速」と云って伴助を見て、「これ、てめえ、
白湯
(
さゆ
)
をしかけろ」
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主婦は六十餘とも覺しき老婆なり、一椀の
白湯
(
さゆ
)
を乞ひて
喉
(
のんど
)
を
濕
(
うるほ
)
し、何くれとなき
浮世話
(
うきよばなし
)
の末、瀧口
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
謂わばまだ
白湯
(
さゆ
)
がねれていず、散文という結構なお茶を立てるには適せぬだけの話かも知れぬ。
翻訳遅疑の説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
それから
飲料
(
いんりょう
)
としては
桜
(
さくら
)
の
花漬
(
はなづけ
)
、それを
湯呑
(
ゆの
)
みに
入
(
い
)
れて
白湯
(
さゆ
)
をさして
客
(
きゃく
)
などにすすめました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
朝の
白湯
(
さゆ
)
、昼下りの白湯にも、筒井は呼ばれて、主人、娘、息子の端の座にすわっていた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
居間へ
這入
(
はい
)
ッて手探りで
洋燈
(
ランプ
)
を
点
(
とぼ
)
し、
立膝
(
たてひざ
)
の上に両手を重ねて、何をともなく
目守
(
みつめ
)
たまま
暫
(
しば
)
らくは唯
茫然
(
ぼんやり
)
……不図手近かに在ッた
薬鑵
(
やかん
)
の
白湯
(
さゆ
)
を
茶碗
(
ちゃわん
)
に
汲取
(
くみと
)
りて、一息にグッと飲乾し
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
晩年には「
白湯
(
さゆ
)
」か「水」のやうに淡々とした存在になつてしまつたのかと思ふ。
中村梅玉論:大根か名優か
(新字旧仮名)
/
三宅周太郎
(著)
湯気で裏表紙が丸くしめり
脹
(
ふく
)
らんだ
蓋
(
ふた
)
の本をわきへはねて、
鉢
(
はち
)
の中にほどよく
膨
(
ふく
)
れた焼米を小さい
飯茶椀
(
めしぢゃわん
)
に取分け、
白湯
(
さゆ
)
をかけて
生味噌
(
なまみそ
)
を
菜
(
さい
)
にしながら、秋成はさつさと夕飯をしまつた。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
働いてこの
蟹
(
かに
)
の穴のような小さな家庭を
培
(
つちか
)
って行きたいと思った。僕は急に、久し振りに
履歴書
(
りれきしょ
)
をまた書きたくなって、
硯
(
すずり
)
に
白湯
(
さゆ
)
を入れ、桐の窓辺に机を寄せて、いっときタンザしてみた。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
などとお言いになって、
白湯
(
さゆ
)
を勧めたりして院はおいでになるのであった。
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
眉毛をつり上げるようにして熱い
白湯
(
さゆ
)
をすこしずつ啜りながら
その年
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
今沸かしまっさかい、お
白湯
(
さゆ
)
でも飲んで行っとくなはれ
起ち上る大阪:――戦災余話
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「序にお
白湯
(
さゆ
)
を一杯頂戴、婆やに然う仰有ってね」
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
毎食後
(
まいしよくご
)
三十
分
(
ぷん
)
を
經
(
へ
)
て
白湯
(
さゆ
)
にて
用
(
もち
)
ゆかね。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
がぶ/\と
白湯
(
さゆ
)
呑みなれて冬籠
普羅句集
(新字旧仮名)
/
前田普羅
(著)
秋立つや
白湯
(
さゆ
)
香
(
かんば
)
しき施薬院
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
そうしてその
白湯
(
さゆ
)
を
凝
(
こ
)
りに
凝
(
こ
)
った茶碗に
注
(
つ
)
いで、上から白紙の蓋をして、その上に、黒い針みたような崑崙の緑茶を
一抓
(
ひとつま
)
みほど載せます。
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あとの暗い北窓には枕をつけたままの武大が、口の
渇
(
かわ
)
きにも、
白湯
(
さゆ
)
一つままにはならず、身を起そうにも、
肋骨
(
あばら
)
が痛んで身動きもできない有様。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
使い、茶から食事までぜんぶ家従の料理人がやる、宿屋で出すものは
白湯
(
さゆ
)
一杯も口にしない、というのは、毒害のおそれがあるから、というのです
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
帳場は妻のさし出す
白湯
(
さゆ
)
の茶碗を受けはしたがそのまま飲まずに蓆の上に置いた。そしてむずかしい言葉で昨夜の契約書の内容をいい聞かし初めた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
……それはそうとようおいで、せめてお茶でも、オヤいけない、
生憎
(
あいにく
)
切れておりましてね、あのそれでは
白湯
(
さゆ
)
なりと。と云って珍らしいものではなし。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのコルンスタッチを大匙一杯入れて今のバターでよくよくいためて
貴郎
(
あなた
)
のお家なら万年スープを一合
注
(
さ
)
すのですがスープがない時は
白湯
(
さゆ
)
を一合注します。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
磯は黙って煙草をふかしていたが、
煙管
(
きせる
)
をポンと強く
打
(
はた
)
いて、
膳
(
ぜん
)
を引寄せ
手盛
(
てもり
)
で飯を食い初めた。ただ
白湯
(
さゆ
)
を
打
(
ぶっ
)
かけてザクザク流し込むのだが、それが
如何
(
いか
)
にも
美味
(
うま
)
そうであった。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一時だ、一時を打っても、お糸さんは一向平気で
咽喉
(
のど
)
が
乾
(
かわ
)
くとかいって、私の湯呑で
白湯
(
さゆ
)
を飲んだり何かして落着いている所は、何だか私が
如何
(
どう
)
かするのを待ってるようにも思われる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
筒井もこと偶然ではあったが、父同士の知り合いには、くすしき
縁
(
えにし
)
を感じざるをえなかった。彼らは簀の子にあつまり、梅花の匂いをこもらせた
白湯
(
さゆ
)
を
味
(
あじわ
)
った。貞時はなんとなくいった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「私は
白湯
(
さゆ
)
にしてもらふ。この方はお茶にして、……此の方はお茶にして。」
湖光島影:琵琶湖めぐり
(旧字旧仮名)
/
近松秋江
(著)
と、あたしのお残りへ
白湯
(
さゆ
)
をさして飲んでくれる。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
西洋の人たちは
白湯
(
さゆ
)
を飲まなかったかしら。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
秋立つや
白湯
(
さゆ
)
香
(
こうば
)
しき
施薬院
(
せやくいん
)
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
二度まで、そう云いながら、かれは飯のあと
白湯
(
さゆ
)
を
唇
(
くち
)
の辺でふウふウ
冷
(
さ
)
ましては、近衆の者へ、
目皺
(
めじわ
)
で微笑して見せた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中央に立った銀次は、すこし得意そうに汗を拭き拭きお辞儀をしては、横の火鉢に掛かっている
薬鑵
(
やかん
)
の
白湯
(
さゆ
)
を飲んだ。
骸骨の黒穂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二日間は
白湯
(
さゆ
)
だけ、三日めから
葛湯
(
くずゆ
)
になりおも湯になったが、五日めに半粥が出されたとき、栄二はまた
嘔吐
(
おうと
)
した。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
よくお医者が病人にスープを飲ませろというが牛肉屋から配達してくれる一合十銭位な
白湯
(
さゆ
)
同様のスープを飲ませたって興奮剤にはなるけれども
身体
(
からだ
)
の滋養にはなりません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そこから
白湯
(
さゆ
)
を汲み出しては、桜の花をポッチリ落とし、それを
厚手
(
あつで
)
の茶碗などへ入れて、お客の前へ持って来る。持って来る茶屋女が
仇者
(
あだもの
)
であって、この土地の名物である。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼女が先刻、
白湯
(
さゆ
)
をはこんで来たときに、早くも
瞼下
(
まぶたした
)
のつかれをうすくはいだように見えていたことで分った。しかも、彼女はそういう自分の顔の中にあるつかれたものを知っていることだった。
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
お縫はあまり物事にくよくよしない性格だが、「なぜ、私に嘘を……」と思いつめると、食後の
白湯
(
さゆ
)
も、胸につかえた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金は要らぬから、とにかく服んで見イ……と云ううちに兼は
白湯
(
さゆ
)
を汲んで来て、薬の袋と一緒に私の枕元へ並べました。私は兼の親切に涙がこぼれました。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“白湯”の意味
《名詞》
(ハクトウ、しらゆ、さゆ)沸かしただけで何も加えていない飲用の湯。さゆ。
(ハクトウ)何も加えていない沐浴用の湯。
(パイタン)豚骨や鶏がらを煮込んでとった白色のスープ。
(出典:Wiktionary)
“白湯”の解説
白湯(さゆ)は、水を沸かしただけで何も入れていない湯のこと。
湯冷まし(ゆざまし)は、湯をぬるく冷ました物。
(出典:Wikipedia)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
湯
常用漢字
小3
部首:⽔
12画
“白”で始まる語句
白
白粉
白髪
白痴
白洲
白眼
白衣
白銀
白刃
白々