いかなる災厄が除去せられようとしていたかを説いて「睡た」を流すということの必ずしも歴史なき空想でなかった例に引いて見よう。
しかしいずれにしても、今度のような烈風の可能性を知らなかったあるいは忘れていたことがすべての災厄の根本原因である事には疑いない。
災厄の情勢と進展について、新しい確実なことを知ろうと熱中して、かれは市中のコオヒイ店で、故郷の新聞にすみからすみまで目を通した。
といって、この思いもよらぬ災厄を逃れようと、呶鳴り立てて救いを求めたなら、忽ち警察の手に引渡されるは知れたこと。