)” の例文
ことに歌麿板画のいひあらわしがたき色調をいひ現すにくの如き幽婉ゆうえんの文辞を以てしたるもの実に文豪ゴンクウルをいて他に求むべくもあらず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
何故なぜ家はうなんだらうと、索寞さくばくといふよりは、これぢやむし荒凉くわうりやうツた方が適當だからな。」とつぶやき、不圖ふとまた奧をのぞいて、いらツた聲で
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
而してかる特質(理想)は今やはなはだしき化醇の途次にありていまだ劃然たる定質を鋳成するに至らざるにはあらざるか
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
まことこのみな聖人せいじんなるも、えきしてわたくのごとひくきことあたはず。すなは(一〇〇)能仕のうしづるところあらず。そう富人ふうじんあり、あめりてかきやぶる。
付け置かるゝとぞ同じ虫でもかひこの如く人に益し國をとますあればく樹を枯して損を與たふるものありに世はさま/″\なりと獨り歎じて前面むかふを見れば徃來は道惡き爲めに避けてか車の行くを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
うなると、狼狽うろたへる、あわてる、たしかに半分は夢中になツて、つまずくやらころぶやらといふ鹽梅あんばいで、たゞむやみと先を急いだが、さてうしても村道へ出ない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
而してくの如き理想を以て果して今の我が国民に普遍なる特質なりと言ふを得べきか。けだし我が社会は今や新旧過渡の期に際して挙世の趨向すうかうに迷はんとす。
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
星巌もまた題詩を寄せて、同じく老をなげき「後起駸駸有如此。衰残吾輩復何云。」〔後起駸駸トシテクノ如キ有リ/衰残ノ吾輩また何ヲカ云ハン〕といっている。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そして片手の指頭を屍體の腹部に置いたまゝ、宛然さながらに化石でもしたやうに突ツ立ツてゐた。くして幾分間。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ソノ安キト否トハ国運ノ由ツテ以テ隆替スル所ナリ。朕ガ身ハ億兆ノ父母ナリ。夙夜しゅくや怵惕じゅってきス。汝ラソレこれヲ体セヨト。アヽ皇上ノ民ヲ憂フルノ深キコトクノ如シ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
但だ予はくの如くに神を見、而してこれよりいて天地の間の何物を以てしても換へがたき光栄無上なる「吾れは神の子なり」てふ意識のうつとしてうちより湧き出づるを覚えたり。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
たまらんな、う取付けられちや!」と周三は、その貧弱ひんじやくきわまる經濟けいざい前途ぜんとむかツて、少からぬ杞憂きいういだいた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
獄舎の庭では夜陰やいんに無情の樹木までがたがいに悪事の計画たくらみささやきはせぬかと疑われるので、くは別々に遠ざけへだてられているのであろうというように見えてなりません。
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
されどくの如き作は到底国民としての意識を満足せしむる能はざるが故に国民と為すなきの文学なりと言はんか、ふところ国民は普通の新聞的読者の一団を指せるの語か、言ひ換ふれば
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
其樣そんうそくもんぢやない。お祖樣ぢいさんは能く知ツてゐるぞ。其の螢籠はんだ、」失敗しまツた! 自分は螢籠を片手にぶらさげてゐた。うなツてはもう爲方しかたが無い。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
コレヲ聞キテ曰クなんじラワレノ故ヲ以テ起程ヲ延ベント欲スル。私情ヲ以テ公事ヲ堕スルハ先君ノにくム所ナリ。不肖クノ如クンバ子ナキニカズト。湯薬ヲ絶ツコト一日ナリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すきな讀書にもいてしまツた。とツて泥濘ぬかるみの中をぶらついても始まらない。でうしてんといふことは無く庭を眺めたり、またんといふことはなく考込むでボンヤリしてゐた。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
時代の變遷をくまで激しく感じる處は、世界中日本を除いては何處にもあるまい。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
う此の老爺に頑張られて了ツては、學生等は一歩も解剖室に踏入ることが出來ない。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
下水の落合つて川となつた流れは道に沿ひ坂の麓をめぐり流れ流れて行くうちに段々広くなつて、天然の河流又は海に落込むあたりになるとうやらうやら伝馬船てんませんを通はせるくらゐになる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そして、「何だツて俺の感情は、鋭敏えいびんなんだ、恰ではりねずみのやうさな。些とでも觸ツたらプリツとする………だから誰とも融和ゆうわすることが出來ないのよ。何故もそツとおツとりしない。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
然し今わたくしが親しく窓から見る風景と、親しく身に感じる気候とは、くの如き過去の記録をして架空な小説のやうにしか思惟させない。それほどまでに、風景は穏に気候は軟かなのだ。
冬日の窓 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
何しろひやツこくなつた人間ばかり扱ツてゐるせゐか、人間が因業いんごふに一酷に出來てゐて、一度うと謂出したら、首が扯斷ちぎれてもを折はしない。また誰が何んと謂ツても受付けようとはせぬ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
然し自分がくまで長く外國に居て、猶且つ故郷を思はなかつたのは、決して女の爲めのみぢやない。外國と云ふ空氣全體を愛して居たからで、外國と云ふ空氣全體が自分をはして居たからである。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
從ツてめしふ、寢る、起きる、べて生活が自堕落じだらくとなツて、朝寢通すやうなこともある、くして彼は立派ななまけ者となツて、其の居室きよしつまでもやりツぱなしに亂雜らんざつにして置くやうになツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
う呼掛けて、ひよツくり俊男の前に突ツ立ツたのはさい近子ちかこで。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
うまではれては、自分は默ツてゐるわけに行かない。で
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)