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極
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きょく
ふりがな文庫
“
極
(
きょく
)” の例文
その
極
(
きょく
)
あなたは私の過去を
絵巻物
(
えまきもの
)
のように、あなたの前に展開してくれと
逼
(
せま
)
った。私はその時心のうちで、始めてあなたを尊敬した。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
されば孤独のわびしさを忘れようとしてひたすら詩興の
救
(
すくい
)
を求めても詩興更に湧き来らぬ時憂傷の情ここに始めて
惨憺
(
さんたん
)
の
極
(
きょく
)
に
到
(
いた
)
るのである。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
狼狽
(
ろうばい
)
の
極
(
きょく
)
、
逆上
(
ぎゃくじょう
)
したようになっている音松を案内して、若侍は、
予
(
かね
)
て
命令
(
いいつ
)
けられていたものらしく、ドンドン奥へ通って行く。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その
極
(
きょく
)
鳥羽上皇に奉仕して熊野に来たり
駐
(
とど
)
まりし女官が開きし古尼寺をすら、神社と称して公売せんとするに至れり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「泣いたり、怒鳴ったりするのは、まだ悲しみや怒りの
極
(
きわ
)
みじゃない。悲痛の
極
(
きょく
)
は沈黙だ。沈黙が最も深い悲痛だ。」
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
更に最後に言って置くべきは、此の
極
(
きょく
)
遂
(
つい
)
に死を讃美する、そして此れを希うという事が出来るのが当然である。
絶望より生ずる文芸
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
各藩相互に自家の
利害
(
りがい
)
栄辱
(
えいじょく
)
を重んじ
一毫
(
いちごう
)
の
微
(
び
)
も他に
譲
(
ゆず
)
らずして、その競争の
極
(
きょく
)
は他を損じても自から利せんとしたるがごとき事実を見てもこれを証すべし。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
老齢な袁紹は、日夜、数百里を逃げつづけてきたため、心身疲労の
極
(
きょく
)
に達し、馬のたてがみへうつ伏したまま、いつか、口中から血を吐いていたのであった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
極
(
きょく
)
の雪の様にいさゝか青味を帯びた純白の
葩
(
はなびら
)
、
芳烈
(
ほうれつ
)
な其香。今更の様だが、梅は
凜々
(
りり
)
しい気もちの好い花だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
(恐らく
澄心
(
ちょうしん
)
の
極
(
きょく
)
とはこうした無音だろう。)
閑
(
しず
)
かに、無気味に、降りて、その円弧の端が触れると
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
あとになって考えて見ても
激昂
(
げっこう
)
の
極
(
きょく
)
、目がくらんでしまって、何をしたのかハッキリは覚えていない。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
強いて破壊しようとすれば、ます/\苦悶が加わって来て、懊悩の
極
(
きょく
)
は発狂するような始末になる。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
天災地変の禍害というも、これが単に財産居住を失うに止まるか、もしくはその身一身を処決して済むものであるならば、その悲惨は必ずしも惨の
極
(
きょく
)
なるものではない。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
鈴江の行方については
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、一方お千代の
惨死体
(
ざんしたい
)
が、又もやカフェ・ネオンの三階に発見されて大騒ぎが始まった。またしても言うが、お千代の最後は
惨鼻
(
さんび
)
の
極
(
きょく
)
だった。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
高等遊民が出来ることを恐れて教育の手加減をするなどは愚の
極
(
きょく
)
だ。
文明国には必ず智識ある高等遊民あり
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
六 勿論新星の出現は
極
(
きょく
)
の昔から二年目又は三年目ごとには有った。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
在獄中に出獄せば
如何
(
いか
)
にせん
志
(
こころざし
)
を達せばかくなさんと、種々の空想に耽りしも、出獄
間
(
ま
)
もなくその空想は全く
仇
(
あだ
)
となり、失望の
極
(
きょく
)
われとはなしに
堕落
(
だらく
)
して、
半生
(
はんせい
)
を夢と過ごしたることの口惜しさよ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
もし我エルサレムをわがすべての
歓喜
(
よろこび
)
の
極
(
きょく
)
となさずば
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
旅行費に千円とは、
贅沢
(
ぜいたく
)
の
極
(
きょく
)
のように勝代は思って
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
煩悶
(
はんもん
)
も坊ちゃんとしての煩悶であったのは
勿論
(
もちろん
)
だが、煩悶の
極
(
きょく
)
試みたこの
駆落
(
かけおち
)
も、やっぱり坊ちゃんとしての駆落であった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
門閥の人を悪まずしてその悪習を悪む所がその不平の
極
(
きょく
)
は、人から侮辱されるその侮辱の事柄を
悪
(
にく
)
み、
遂
(
つい
)
には人を忘れて
唯
(
ただ
)
その事柄を見苦しきことゝ思い
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そこで、僕に云わせると、失恋の
極
(
きょく
)
、命をなげだして、
恋敵
(
こいがたき
)
と無理心中をやった熊内中尉は、大馬鹿者だと思う。鰻の
香
(
におい
)
を嗅いだに終った竹花中尉も、
小馬鹿
(
こばか
)
ぐらいのところさ。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
丹波は、そう謎のようなことを口ずさんだが、その心中は悲壮の
極
(
きょく
)
です。斬られる覚悟。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
心痛の
極
(
きょく
)
一時的狂気の
発作
(
ほっさ
)
を起し、窓から飛降りる様なことになったのです。
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
半成牡
(
はんせいぼ
)
も去り、そうして、かの絶倫なる諸王、ブル中の英雄たちも、不眠と絶食と間断なき性交とに、疲労困憊の
極
(
きょく
)
は、へとへとによろよろになってようやくに後から後から
蹤
(
つ
)
いて去るのだ。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そうしてその
極
(
きょく
)
いつでも同じ言葉を
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
すようになった。それは「ええまあどうかこうか生きています」という変な
挨拶
(
あいさつ
)
に
異
(
こと
)
ならなかった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不潔に頓着せず塾員は不規則と
云
(
い
)
わんか不整頓と云わんか乱暴
狼藉
(
ろうぜき
)
、丸で物事に
無頓着
(
むとんじゃく
)
。その無頓着の
極
(
きょく
)
は世間で
云
(
い
)
うように潔不潔、汚ないと云うことを気に
止
(
と
)
めない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
三根夫は緊張の
極
(
きょく
)
、身体がぶるぶるふるえだした。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
心配の
極
(
きょく
)
は
怖
(
こわ
)
くなって、ちょっと立ち懸けたが、まあ大丈夫だろう、人間はそう急に死ぬもんじゃないと、度胸を
据
(
す
)
えてまた尻を落ちつけた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
軍艦を
以
(
もっ
)
て脱走する者もあり、策士論客は将軍に謁して一戦の奮発を促がし、
諫争
(
かんそう
)
の
極
(
きょく
)
、声を
放
(
はなっ
)
て号泣するなんぞは、
如何
(
いか
)
にもエライ
有様
(
ありさま
)
で、忠臣義士の共進会であったが
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
煩悶の
極
(
きょく
)
尻尾
(
しっぽ
)
をぐるぐる振って見たが何等の功能もない、耳を立てたり寝かしたりしたが駄目である。考えて見ると耳と
尻尾
(
しっぽ
)
は餅と何等の関係もない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
左
(
さ
)
れば自国の
衰頽
(
すいたい
)
に際し、敵に対して
固
(
もと
)
より
勝算
(
しょうさん
)
なき場合にても、
千辛万苦
(
せんしんばんく
)
、力のあらん限りを
尽
(
つく
)
し、いよいよ勝敗の
極
(
きょく
)
に至りて始めて和を講ずるか、もしくは死を決するは立国の公道にして
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼女は
昂奮
(
こうふん
)
の
極
(
きょく
)
訴える所がないので、わざわざ自分を
訪
(
と
)
うたものとは思えなかった。だいち訴えという言葉からしてが彼女の態度には不似合であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
云々
(
うんぬん
)
するのは恥辱の
極
(
きょく
)
である。退いて保護を受くるより進んで自己に適当なる租税を天下から払わしむべきである
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを心得んで金のある所には理窟もあると考えているのは
愚
(
ぐ
)
の
極
(
きょく
)
である。しかも世間一般はそう誤認している。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
悪
(
に
)
くいと云う念を通り過すと張り合が抜けてぼーとする。ぼーとしたあとは勝手にしろ、どうせ気の
利
(
き
)
いた事は出来ないのだからと
軽蔑
(
けいべつ
)
の
極
(
きょく
)
眠
(
ねむ
)
たくなる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
煩悶
(
はんもん
)
の
極
(
きょく
)
そこいらを
迷付
(
まごつ
)
いている血が
逆
(
さか
)
さに
上
(
のぼ
)
るはずである。敵の
計
(
はかりごと
)
はなかなか巧妙と云うてよろしい。
昔
(
むか
)
し
希臘
(
ギリシャ
)
にイスキラスと云う作家があったそうだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしただ仮定だけでは、いかに臆病の結果幽霊を見ようとする、また迷信の
極
(
きょく
)
不可思議を夢みんとする余も、信力をもって彼らの説を奉ずる事ができない。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「君は構わなくってもこっちは大いに構うんだよ。その上旅費は奇麗に
折半
(
せっぱん
)
されるんだから、
愚
(
ぐ
)
の
極
(
きょく
)
だ」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その尺度に合せざる作家はことごとく落第の悲運に際会せざるを得ない。世間は学校の採点を信ずるごとく、評家を信ずるの
極
(
きょく
)
ついにその落第を当然と認定するに至るだろう。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
物騒の
極
(
きょく
)
子規はとうとう骨になった。その骨も今は腐れつつある。子規の骨が腐れつつある
今日
(
こんにち
)
に至って、よもや、漱石が教師をやめて新聞屋になろうとは思わなかったろう。
京に着ける夕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いっさいの声はことごとく彼の鋭敏なる神経を刺激して
懊悩
(
おうのう
)
やむ
能
(
あた
)
わざらしめたる
極
(
きょく
)
ついに彼をして天に最も近く人にもっとも遠ざかれる住居をこの四階の天井裏に求めしめたのである。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
未来にこの法を超越した連続が出て来ないなどと思うのは
愚
(
ぐ
)
の
極
(
きょく
)
であります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「こいつは降参だ。ちょっと失敬して、流しの方へ出るよ」と碌さんは
湯槽
(
ゆぶね
)
を飛び出した。飛び出しはしたものの、感心の
極
(
きょく
)
、流しへ突っ立ったまま、
茫然
(
ぼうぜん
)
として、仁王の行水を眺めている。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分がこの顔を一目見た時の感じは憐れの
極
(
きょく
)
全く
怖
(
こわ
)
かった。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実は疲労の
極
(
きょく
)
声を出す元気を失ったのだと知れた。
変な音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“極”の意味
《名詞》
(きょく)2端のうちの一方。
(ごく)1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 = 1048を表す。載の次で恒河沙の前の位。
《形容動詞》
(ごく)程度の大きい様。
(出典:Wiktionary)
極
常用漢字
小4
部首:⽊
12画
“極”を含む語句
京極
極刑
見極
極端
極光
北極
極微
至極
極々
極彩色
取極
極月
極熱
極楽寺
感極
北極星
終極
結極
極限
極付
...