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曠野
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あらの
ふりがな文庫
“
曠野
(
あらの
)” の例文
天
(
そら
)
を仰ぎ、地を
敲
(
たた
)
きて
哭悲
(
なきかな
)
しみ、
九三
ともにもと物狂はしきを、さまざまといひ
和
(
なぐさ
)
めて、かくてはとて
遂
(
つひ
)
に
九四
曠野
(
あらの
)
の
烟
(
けぶり
)
となしはてぬ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
芭蕉の「
曠野
(
あらの
)
の夢、宗祇の月をながめて」といった、あの臨終の言葉にこもるあくがれごこち、どちらも芸術の執心に
萌
(
きざ
)
さぬものはない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
歌にていはば万葉調、俳句にていはば
曠野
(
あらの
)
調、詩にていはば『
詩経
(
しきょう
)
』とか何とかいふ、
極
(
ごく
)
古き調の上において始めてしか申すべきにやと存候。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
今日
(
けふ
)
も我等に日毎のマンナを與へたまへ、これなくば、この
曠野
(
あらの
)
をわけて進まんとて、最もつとむる者も退く 一三—一五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
一面
(
いちめん
)
に
草
(
くさ
)
が
茂
(
しげ
)
つて、
曠野
(
あらの
)
と
云
(
い
)
つた
場所
(
ばしよ
)
で、
何故
(
なぜ
)
に
一度
(
いちど
)
は
人家
(
じんか
)
の
庭
(
には
)
だつたか、と
思
(
おも
)
はれたと
云
(
い
)
ふのに、
其
(
そ
)
の
沼
(
ぬま
)
の
眞中
(
まんなか
)
に
拵
(
こしら
)
へたやうな
中島
(
なかじま
)
の
洲
(
す
)
が
一
(
ひと
)
つ
有
(
あ
)
つたからです。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
されど斯くてわれカムパニアの
曠野
(
あらの
)
に日を送ることなくば、かゝる貴人の
爭
(
いか
)
でか我を認め得給はん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
だから
索寞
(
さくばく
)
たる
曠野
(
あらの
)
の方角へ向けて生活の
路
(
みち
)
を歩いて行きながら、それがかえって本来だとばかり心得ていた。温かい人間の血を枯らしに行くのだとは決して思わなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
我儕
(
われら
)
エジプトの地において、肉の鍋の側に坐り、
飽
(
あく
)
までにパンを食いし時に、エホバの手によりて、死にたらばよかりしものを。汝はこの
曠野
(
あらの
)
に我等を導きいだして、この全会を
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
其後、
頻
(
しき
)
りなく断続したのは、山の獣の叫び声であった。大和の内も、都に遠い広瀬・葛城あたりには、人居などは、ほんの忘れ残りのように、山陰などにあるだけで、あとは
曠野
(
あらの
)
。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
と氣のついた時は、此
曠野
(
あらの
)
に踏込んでから、もう彼是十哩も歩いてゐた。朝に旅籠屋を立つてから七八哩の間は
潦
(
みづたまり
)
に馬の足痕の新しい路を、森から野、野から森、二三度人にも
邂逅
(
でつくわ
)
した。
散文詩
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それから急に思いついて「
曠野
(
あらの
)
」という中世風なものがなしい物語を書いた。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
吹きさらす
曠野
(
あらの
)
の駅に兎をさげてぽつつりと待てる
爺
(
をぢ
)
も居り午後
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
彼等は
曠野
(
あらの
)
と山と地の洞と穴とに
周流
(
さまよ
)
いたり
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
彼は
曠野
(
あらの
)
を
彷徨
(
さまよ
)
って行った。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
曠野
(
あらの
)
集の付句に
かはたれ時
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
蜜と
蝗蟲
(
いなご
)
とはかの
洗禮者
(
バテイスタ
)
を
曠野
(
あらの
)
にやしなへる
糧
(
かて
)
なりき、是故に彼榮え、その大いなること 一五一—一五三
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
汽車
(
きしや
)
はたゞ、
曠野
(
あらの
)
の
暗夜
(
やみ
)
を
時々
(
とき/″\
)
けつまづくやうに
慌
(
あわたゞ
)
しく
過
(
す
)
ぎた。あとで、あゝ、あれが
横濱
(
よこはま
)
だつたのかと
思
(
おも
)
ふ
處
(
ところ
)
も、
雨
(
あめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れしよびれた
棒杭
(
ぼうぐひ
)
の
如
(
ごと
)
く
夜目
(
よめ
)
に
映
(
うつ
)
つた。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
汝
(
なんじ
)
はこの
曠野
(
あらの
)
に我等を導きいだして、この全会を
飢
(
うえ
)
に死なしめんとするなり。」
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
世の人はポンチネの
大澤
(
たいたく
)
(パルウヂ、ポンチネ)といふ名を聞きて、見わたす限りの
曠野
(
あらの
)
に泥まじりの死水をたゝへたる間を、旅客の心細くもたどり行くらんやうにおもひ
做
(
な
)
すなるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
曠野
(
あらの
)
行く四等車といふに
面
(
かほ
)
群れて生きたかりける冬も
頼
(
たの
)
めし
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
曠野
(
あらの
)
のようにしらじらと残っているばかりであった。
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
曠野
(
あらの
)
ゆく汽車のごとくに
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
雲
(
くも
)
暗
(
くら
)
し、
雲
(
くも
)
暗
(
くら
)
し、
曠野
(
あらの
)
を
徜徉
(
さまよ
)
ふ
狩
(
かり
)
の
公子
(
こうし
)
が、
獸
(
けもの
)
を
照
(
てら
)
す
炬火
(
たいまつ
)
は、
末枯
(
うらがれ
)
の
尾花
(
をばな
)
に
落葉
(
おちば
)
の
紅
(
べに
)
の
燃
(
も
)
ゆるにこそ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
群れにけり
曠野
(
あらの
)
寒きにぶしゆぶしゆと黒豚づれが
土饅頭
(
どまんぢゆう
)
食む
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
曠野
(
あらの
)
の汽車の窓を
照
(
てら
)
せり
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
曠野
(
あらの
)
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
雲は低く
灰汁
(
あく
)
を
漲
(
みなぎ
)
らして、
蒼穹
(
あおぞら
)
の奥、黒く流るる処、げに
直顕
(
ちょっけん
)
せる飛行機の、一万里の荒海、八千里の
曠野
(
あらの
)
の
五月闇
(
さつきやみ
)
を、
一閃
(
いっせん
)
し、
掠
(
かす
)
め去って、飛ぶに似て、似ぬものよ。
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
曠野
(
あらの
)
より帰るごとくに
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
曠野
(
あらの
)
の、鳴る沢の
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
羨
(
うらやま
)
しさうに
視
(
なが
)
めながら、
喜多八
(
きたはち
)
は
曠野
(
あらの
)
へ
落
(
お
)
ちた
團栗
(
どんぐり
)
で、とぼんとして
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこを——三光坂上の
葭簀張
(
よしずばり
)
を出た——この老人はうら
枯
(
がれ
)
を摘んだ
籠
(
かご
)
をただ一人で手に提げつつ、
曠野
(
あらの
)
の路を
辿
(
たど
)
るがごとく、烏瓜のぽっちりと赤いのを、
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
に
搦
(
から
)
めて
支
(
つ
)
いて、青い鳶を
目的
(
めあて
)
に
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鷹狩の連中は、
曠野
(
あらの
)
の、塚の
印
(
しるし
)
の松の根に、
澪
(
みお
)
に寄った
鮒
(
ふな
)
のように、うようよ
集
(
たか
)
って、あぶあぶして、あやい笠が泳ぐやら、陣羽織が流れるやら。大小をさしたものが、ちっとは雨にも濡れたが
可
(
い
)
い。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
見果
(
みは
)
てぬ
曠野
(
あらの
)
に。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
曠野
(
あらの
)
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“曠野”の意味
《名詞》
曠 野(こうや 「広野」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
広野(こうや)と同義。使用例として、20世紀前半の日本における満蒙開拓団に関する文献やその題名がある(「曠野」「開拓」でYAHOO検索)。
(出典:Wiktionary)
曠
漢検1級
部首:⽇
19画
野
常用漢字
小2
部首:⾥
11画
“曠野”で始まる語句
曠野集