晴天せいてん)” の例文
低い声であったが、これは実に晴天せいてん霹靂へきれきだ。一郎も二郎も、余りに意外な明智の言葉に、あっけにとられて、暫くは口も利けなかった。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
当院たうゐん屋根普請やねふしん勧化くわんけため本堂ほんだうおい晴天せいてん七日の間芝居興行こうぎやうせしむるものなり、名題なだい仮名手本かなでほん忠臣蔵役人替名とありて役者やくしやの名おほくは変名へんみやうなり。
がかりなくもは、くろかげで、晴天せいてんにむら/\といたとおもふと、颶風はやてだ。貴女あなた。……だれもおばあさんの御馬前ごばぜん討死うちじにする約束やくそくかねいらしい。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白氏はくし晴天せいてんの雨の洒落しやれほどにはなくそろへども昨日さくじつ差上さしあそろ端書はがき十五まいもより風の枯木こぼくの吹けば飛びさうなるもののみ、何等なんら風情ふぜいをなすべくもそろはず
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
高山こうざんのはひまつたいにはらいちょう(雷鳥らいちよう)といふものがゐます。晴天せいてんにはくさむらにかくれてませんが、くもつたなどには、とんでおどろかされることがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
聞て如何にも今日は晴天せいてんにて長閑のどかにはあれど得て斯樣かやうなる日は雨下あまおろしといふ事あり能々天氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
十年前のころは、夜が明けて、空が晴れていると、空襲があるという予想から、晴天せいてんうらんだものである。この頃は、晴れていようが、曇っていようが、どっちでも大した差違さいはない。
つち空気くうきや水のいぶき、またはやみの中にうごめいてる、んだりはったりおよいだりしているちいさな生物いきものの、歌やさけびや音、または晴天せいてんや雨の前兆ぜんちょう、またはよる交響曲シンフォニーかぞえきれないほどの楽器がっきなど
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
大豆だいづいたのはそれでもまれ晴天せいてんであつたので「いひがへし」にはずつてみなみ女房にようばうたのんだ。彼等かれら相互さうご便宜上べんぎじやう手間てま交換かうくわんをするのであるが、彼等かれらはそれを「いひどり」というてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
当院たうゐん屋根普請やねふしん勧化くわんけため本堂ほんだうおい晴天せいてん七日の間芝居興行こうぎやうせしむるものなり、名題なだい仮名手本かなでほん忠臣蔵役人替名とありて役者やくしやの名おほくは変名へんみやうなり。
ピイロロロピイ——これはけて、晴天せいてんとびいたこゑではない。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかし、風が相当吹いていたから、やがて晴天せいてんになるであろう。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
見定みさだめ出帆しゆつぱん然るべしといふ吉兵衞はじめ皆々今日のごとき晴天せいてんによも雨下あまおろしなどのなんは有べからずと思へば杢右衞門又々水差みづさしに向ひ成程足下そくかの云るゝ處も一理なきにも有ねどあまよき天氣てんきなればよも難風なんぷうなど有まじく思ふなりおし出帆しゆつぱんすべく存ずると云に水差みづさしも然ばとて承知し兵庫のおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此ふゞきは晴天せいてんにもにはかにおこり、二日も三日も雪あれしてふゞきなる事あり、往来ゆきゝもこれがためにとまること毎年なり。
御紋ごもん唐草からくさ蒔繪まきゑ晴天せいてんに候へば青貝柄あをかひえの打物に候大手迄は御譜代ふだい在江戸の大名方出迎でむかへ御中尺迄ちうしやくまでは尾州紀州水戸の御三方さんかたの御出迎でむかひにて御玄關げんくわんより御通り遊ばし御白書院おんしろしよゐんに於て公方樣くばうさま對顏たいがん夫より御黒書院くろしよゐんに於て御臺みだい樣御對顏ふたゝ西湖せいこの間に於て御三方樣御さかづき事あり夫より西の丸へ入せられ候御事にて御たかの儀は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此ふゞきは晴天せいてんにもにはかにおこり、二日も三日も雪あれしてふゞきなる事あり、往来ゆきゝもこれがためにとまること毎年なり。
連日れんじつ晴天せいてんも一時にへんじて雪吹となるは雪中の常也。其ちからぬきいへくじく。人家これがためくるしむ事枚挙あげてかぞへがたし。
此ふゞきは不意ふいにあるものゆゑ、晴天せいてんといへども冬の他行たぎやうには必蓑笠みのかさを用ること我国の常なり。