振廻ふりまわ)” の例文
しかるに前述せし通りヨブは信仰において知識において遥かに三友を凌駕りょうがせる故、ゾパルの振廻ふりまわす天然知識くらいにてひるむべきはずがない。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
丁々坊 何か知らぬが、それはけ。はて、なんとやら、テンツルテンツルテンツルテンか、のこぎりをひくより、早間はやまな腰を振廻ふりまわいて。やあ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だつてぼくよわいもの。よわくてもいよ。万燈まんどう振廻ふりまわせないよ。振廻ふりまわさなくてもいよ。ぼく這入はいるとけるがいかへ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
う云いながら、巡査は無闇に松明を振廻ふりまわすと、火の光は偶中まぐれあたりに岩蔭へ落ちて、さんたる金色こんじきの星の如きものがやみうかんだ。が、あれと云う間に又朦朧もうろうと消えてしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なつかしき海岸かいがん景色けしきゆめのやうにおろしたとき海岸かいがんのこれる水兵等すいへいら吾等われらみとめたとぼしく、屏風岩べうぶいわうへから、大佐たいさいへから、に/\ぼうり、手巾ハンカチーフ振廻ふりまわしつゝ
で、川のケイズ釣は川の深い処で釣る場合は手釣てづりを引いたもので、竿などを振廻ふりまわして使わずとも済むような訳でした。長い釣綸つりいと篗輪わっかから出して、そうして二本指であたりを考えて釣る。
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ドアを蹴放すようないきおいでとび込んで来た祐吉ゆうきちは、新聞を片手に振廻ふりまわしながら
天狗岩の殺人魔 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
棕櫚箒しゅろぼうきの朽ちたのに、溝泥どぶどろ掻廻かきまわして……また下水の悪い町内でしたからな……そいつを振廻ふりまわわすのが、お流儀でしたな。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わたしにもうまれたいゑ御座ござんするとて威丈高いたけたかになるにをとここらえずはふき振廻ふりまわして、さあけととき拍子ひやうしあやふくなれば、流石さすが女氣おんなぎかなしきことむねせまりて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかも権次が無闇に振廻ふりまわす松明の火に恐れて、彼はたちまち逃げ去った。畚は滞りなく底に着いた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かんがへたので、いそ武村兵曹たけむらへいそう談合だんがふすると、兵曹へいそう無論むろん不同意ふどうゐはなく、たゞちにしろ手巾ハンカチーフ振廻ふりまわして、救難きゆうなん信號しんがうをすると、彼方かなた白色巡洋艦はくしよくじゆんやうかんでも、吾等われら輕氣球けいきゝゆうみとめたと
れが私立しりつぼけ生徒せいとといはれゝばおまへこと同然どうぜんだから、後生ごせうだ、どうぞ、たすけるとおもつて大萬燈おほまんどう振廻ふりまわしておくれ、れはしんからそこから口惜くやしくつて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
講師は不意に飛び出して取押とりおさえようとすると、賊は刃物を振廻ふりまわして激しく抵抗した。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
斷崖だんがい尖端せんたんち、こゑかぎりにさけびつゝ火光くわくわう縱横じゆうわう振廻ふりまわした。
信如しんによつくえ引出ひきだしから京都きやうとみやげにもらひたる、小鍛冶こかぢ小刀こがたな取出とりだしてすれば、よくれそうだねへとのぞ長吉ちようきちかほ、あぶなし此物これ振廻ふりまわしてなることか。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)