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手水
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ちょうず
ふりがな文庫
“
手水
(
ちょうず
)” の例文
それから子供の時からの習慣で、朝はきっと
肌抜
(
はだぬぎ
)
になって
手水
(
ちょうず
)
を
遣
(
つか
)
った。寒い風が吹こうが冷たい雨が降ろうが決してやめなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし塗るのをその人たちに
悟
(
さと
)
られてはいかないからお
手水
(
ちょうず
)
に行くという都合にしてある岡の
蔭
(
かげ
)
に隠れて油をすっかり塗って来たです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
この朝、彼は念入りに
手水
(
ちょうず
)
を使った——ナスターシャのところに石けんがあったので——髪から首、とりわけ両手をていねいに洗った。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「姉さん、風呂には及ばないが、顔が洗いたい。
手水
(
ちょうず
)
……何、洗面所を教えておくれ。それから、
午飯
(
おひる
)
を頼む。ざっとでいい。」
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やがて、幕が下ってから、
手水
(
ちょうず
)
を使いに廊下へ出ると、気の付かない間に、私を追いかけて来たらしく私の用をしていた出方が
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
枕許の酔ざめの水を飲んで、うまいと思い、それから
手水
(
ちょうず
)
に行こうとして、ひとり立ち上った足どりも、あんまり危なげはない。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かれは朝に目をさますと
寝床
(
ねどこ
)
の中で校歌を一つうたう、それから
床
(
とこ
)
をでて
手水
(
ちょうず
)
をつかい茶の間へゆくと父と母と妹が待っている。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
それで奥さんは
手水
(
ちょうず
)
に起きる
度
(
たび
)
に、廊下から見て、秀麿のいる洋室の窓の
隙
(
すき
)
から、火の光の漏れるのを気にしているのである。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「目が覚めたから、ついでに
手水
(
ちょうず
)
に起きて、雨戸をあけると、若い男の後ろ姿が、離室の前を駆けて行ったようでしたが——」
銭形平次捕物控:079 十七の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
佐助を呼んで下されと云うのを無理に
遮
(
さえぎ
)
り
手水
(
ちょうず
)
ならばわいが附いて行ったげると
廊下
(
ろうか
)
へ連れて出て手を
握
(
にぎ
)
ったか何かであろう
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
井戸ばたの流し場に
手水
(
ちょうず
)
をすました自分も、鶏に
興
(
きょう
)
がる子どもたちの声に引かされて、覚えず彼らの後ろに立った。先に父を見つけたお児は
奈々子
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
朝の
手水
(
ちょうず
)
を済ませ、
浴衣
(
ゆかた
)
がけにパッチ、
紺足袋
(
こんたび
)
に
草鞋
(
わらじ
)
ばきという、どんなに汗をかいても心配のない、気楽な身ごしらえの出来上ったところへ
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
「覚えていらっしゃい、菊ちゃん、あたしが
手水
(
ちょうず
)
に行って着物を着替えてもまだ次の室で寝ていたくせに、ひとのことを言えるわけじゃないわ」
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
婆「それが年のいかない
娘子
(
あまっこ
)
一人で看病するだから、病人は男だし、
手水
(
ちょうず
)
に行くたって大騒ぎで、誠に可愛想でがんすが、
只
(
たっ
)
た今おっ
死
(
ち
)
にましたよ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
漸
(
や
)
っと十一時近くにそれを読み了えて、
手水
(
ちょうず
)
をしに下りて往くと、丁度例の娘達が外から帰って来たところだった。
晩夏
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
こう云うと立ち上がって台所へ行き、
口洗
(
うがい
)
手水
(
ちょうず
)
をしたものである。さて立ち帰ってピタリと端座、封を解いて読み下した。中山備前とは何者であろう。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お蓮は顔を洗ってしまうと、
手水
(
ちょうず
)
を使うために
肌
(
はだ
)
を脱いだ。その時何か冷たい物が、べたりと彼女の背中に
触
(
ふ
)
れた。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
厠
(
かわや
)
から出て、何気なく、掛樋縁で
手水
(
ちょうず
)
をつかっているところへ、ぶすッと、すぐそばの妻戸を、物凄い音がつらぬき、一本の矢がそこに突き立ッたので
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朝
手水
(
ちょうず
)
の水を汲むとて井戸縄にすがる細い腕を見ると何だかいたいたしくも思われ、また散歩に出掛ける途中
雪ちゃん
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「いいえね、さっき
手水
(
ちょうず
)
に行ったとき、あすこに大きなお人形さんがいたのを思い出してね、君や、おいでよ」
牡丹
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
張り抜きにした上の方を
刳
(
く
)
り抜いて、戸障子や
手水
(
ちょうず
)
鉢、石燈籠、植え込みなぞいう舞台の仕掛けものや、書き割りなどの模様を
提灯
(
ちょうちん
)
の絵描きに頼むのですが
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私が下のお
手水
(
ちょうず
)
の前を通っていると、十一番さんの、あのおひげさんね、あの人がやって来て、今ここを長吉が通らなかったかって、ひどい
剣幕
(
けんまく
)
で聞くのよ。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
侍は
庖厨
(
かって
)
の方へ往って、其処から庭におりて
手水
(
ちょうず
)
をつかい、それが済むとそのあたりの戸を静に静に開けたが、女は疲れているのか起きて来る容子がなかった。
花の咲く比
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何だ、なんで泣くんだ、おっちにどうかされたのかと聞くと、かぶりを振って、ぽんぽが痛えんだという。
手水
(
ちょうず
)
に行きたいんではないかと訊くと、いやいやする。
米
(新字新仮名)
/
犬田卯
(著)
翌朝もゆるりと寝ておいでになって、お起きになってからは
手水
(
ちょうず
)
も朝の
粥
(
かゆ
)
もこちらでお済ませになった。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
若い時から身だしなみのよい人だったそうで、老いてからも毎朝丁寧に
手水
(
ちょうず
)
を使い、切下げの髪を
綺麗
(
きれい
)
に
撫
(
な
)
でつけて、火鉢の側にきちんと坐っていられるのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
それが済んで、半七は縁側の
手水
(
ちょうず
)
鉢で手を洗っていると、幸八が付いて来てささやくように訊いた。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私の部屋(図622)は約十二フィート四方で、その中に私は二人用の寝台一台と、大鞄二個と、机一台と、衣裳戸棚二台と、椅子二脚と、
手水
(
ちょうず
)
台一台とを持っている。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
男先生はあわてて
手水
(
ちょうず
)
をつかっているどころでなく、はだしになって働いている。奥さんは
七輪
(
しちりん
)
などとっくにすまして、きりりとしたたすきがけで働いているではないか。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
手水
(
ちょうず
)
を使つたものとみえて、お湯に刺激された
頸
(
くび
)
すぢや顔が冴え/″\と紅くなつてゐる。
散歩
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
といいながら、兜を脱ぎ、
手水
(
ちょうず
)
うがいして、うやうやしく拝むのであった。源氏の兵も義経の言葉に、勇気の、ひとりでにみなぎってくるのをおぼえながら、白旗を伏し拝んだ。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ちょうどその時起って
手水
(
ちょうず
)
に行った女の、しょい揚の赤いのに疑念がかゝって、小歌ではあるまいかと用も無い
椽境
(
えんざか
)
いの
紙障
(
しょうじ
)
をあけて、こちらへ這入ろうとするその女に
衝当
(
つきあた
)
り
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
すっかり
黄金色
(
こがねいろ
)
に染って、夕風が立ったら、散るさまが、さぞ
綺麗
(
きれい
)
だろうと思われる大
銀杏
(
いちょう
)
の下の、
御水下
(
みたらし
)
で、うがい
手水
(
ちょうず
)
、
祠前
(
ほこらまえ
)
にぬかずいて、しばし
黙祷
(
もくとう
)
をつづけるのだったが
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
母さんお
手水
(
ちょうず
)
にと立って障子を明けると、夕闇の庭つづき、崖の下はもう
真暗
(
まっくら
)
である。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それでみんなはへんな
姿
(
すがた
)
だ、へんな
姿
(
すがた
)
だといって
気味
(
きみ
)
を
悪
(
わる
)
がって、
鉢
(
はち
)
かつぎとはろくろく口も
利
(
き
)
きませんでしたけれど、
宰相
(
さいしょう
)
だけは
朝晩
(
あさばん
)
手水
(
ちょうず
)
の
水
(
みず
)
や
洗足
(
せんそく
)
の
湯
(
ゆ
)
を
運
(
はこ
)
んで
来
(
く
)
るたんびに
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
縁ばたに、杉の
手水
(
ちょうず
)
だらいと、
房楊子
(
ふさようじ
)
と塩が出ていた。お高が置いて行ったのだろう。惣七は、ふうっと腹中にたまっていた夜気を吹き出して、かわりに、思い切り日光を吸い込んだ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
蔵人は乗りかかって止めを刺すと、脇差の血も拭って鞘におさめ、それを床の間に置き、さっきのとおりに、風呂場へ行って
手水
(
ちょうず
)
をつかい、
白帷子
(
しろかたびら
)
に
麻裃
(
あさかみしも
)
を着て、ぶらりと玄関へ行った。
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
窓はほんの
光線取
(
あかりと
)
りにして、鉄の棒を
廻
(
めぐ
)
らし
如何
(
いか
)
なる
剛力
(
ごうりき
)
の者来ればとて、
破牢
(
はろう
)
など思いも寄らぬ
体
(
てい
)
、いと堅牢なり。水を乞うて、
手水
(
ちょうず
)
をつかえば、やがて
小
(
ち
)
さき窓より朝の物を差し入れられぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
平井勝家に会うて
手水
(
ちょうず
)
を請うに、
缸
(
かめ
)
に水満ちて小姓二人
舁
(
かつ
)
ぎ出し、平井洗手済んで残れる水を小姓庭へ棄てたので平井還って城内水多しと告げ、一同疑惑するところへ勝家撃ち出で
勝軍
(
かちいくさ
)
したと記す。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
便所から出て、
手水
(
ちょうず
)
を使っていた大庭春吉が
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「わたし、お
手水
(
ちょうず
)
に行きたくなって、それで目がさめちまったの——そうすると、あなたはいい心持で舟を漕いでいらっしゃる」
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこに待っていて
手水
(
ちょうず
)
の水をかけてやるのに今日は佐助がうっかりしていたのでそのまま
独
(
ひと
)
り手さぐりで行ったのである。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「何だ、お前も
手水
(
ちょうず
)
か。馬鹿な、今の話しで不気味だからって。お客様の居る処を、連立って便所へ行く奴があるかい。」
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手水
(
ちょうず
)
に起きた
主人
(
あるじ
)
の治兵衛が、フト昨夜の話を思い出して手洗い場の障子を開けて、丈夫に出来た格子から、月明りにすかして中庭を見やりました。
銭形平次捕物控:005 幽霊にされた女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかしこっちじゃそれほどにも思っていないから、
先方
(
さき
)
でもそう苦にしちゃいまい。母は寝られないと
手水
(
ちょうず
)
に起きる。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こんな
家
(
うち
)
で
手水
(
ちょうず
)
を使う気にもなられないので、急いで勘定をして、この家を飛び出した。角刈の男が革包を持って附いて来そうにするのをもことわった。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そのあと、老公はつねの如く、うがい
手水
(
ちょうず
)
をつかい、遠く皇居の空を拝し、
祖廟
(
そびょう
)
に礼をし、静かに朝食を
摂
(
と
)
った。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手水
(
ちょうず
)
つかうというが一騒、御膳たべるというが一混難、ようやく八時過ぐる頃に全く朝の事が済んだのである。
浅草詣
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
美「何処へ往ったろう………旦那は何処かへお出でなすった………
兼
(
かね
)
や(下女の名)旦那はお
手水
(
ちょうず
)
かえ」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ゆっくりと
手水
(
ちょうず
)
を使って食事を済ませると、態と暢気らしく、一渡り新聞に目を通し、ふだん散歩に出るのと同じ調子で、口笛さえ吹きながら、ブラブラと宿を出た。
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“手水”の解説
手水(ちょうず、てみず)とは、神社や寺院において参拝前に手や口を清める水、またはその行為のことである。それを行う施設を手水舎(ちょうずや、てみずや)という。
なお、「ちょうず」の名は「てみず」の転訛で、ウ音便化を含む規則的な変化(テミヅ → テウヅ → チョーズ )によるものである。
(出典:Wikipedia)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
“手水”で始まる語句
手水鉢
手水場
手水盥
手水口
手水所
手水桶
手水洗
手水流
手水石