トップ
>
手套
>
てぶくろ
ふりがな文庫
“
手套
(
てぶくろ
)” の例文
『
梅子
(
うめこ
)
さん!
梅子
(
うめこ
)
さん!
直
(
す
)
ぐに
手套
(
てぶくろ
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
て
頂戴
(
てうだい
)
!』と
云
(
い
)
ふ
聲
(
こゑ
)
がして、
軈
(
やが
)
てパタ/\と
梯子段
(
はしごだん
)
を
上
(
のぼ
)
る
小
(
ちひ
)
さな
跫音
(
あしおと
)
がしました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「警官なんか一般に
手套
(
てぶくろ
)
をはめていないんだからね。
疾
(
やま
)
しい者でなくても、そこに余りきれいでない手の痕がくっつく筈です」
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
或
(
あるひ
)
は
曰
(
いは
)
く——
禮服
(
れいふく
)
や
一千兩
(
いつせんりやう
)
を
土用干
(
どようぼし
)
——
此
(
こ
)
の
大禮服
(
たいれいふく
)
は
東京
(
とうきやう
)
で
出來
(
でき
)
た。が、
帽
(
ばう
)
を
頂
(
いたゞ
)
き、
劍
(
けん
)
を
帶
(
お
)
び、
手套
(
てぶくろ
)
を
絞
(
しぼ
)
ると、
坐
(
すわ
)
るのが
變
(
へん
)
だ。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
時々彼は何か捜すように、彼女の前髪だの、薄い藤色の
手套
(
てぶくろ
)
を
脱
(
と
)
った手だのを眺めて、どうかするとその眼でキッと彼女を見ることもある。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
聖母
(
せいぼ
)
の
手套
(
てぶくろ
)
」、
刺罌粟
(
とげけし
)
、
母子草
(
はゝこぐさ
)
、どんなに
眞白
(
ましろ
)
な手よりも、おまへたちの
方
(
はう
)
が、わたしは
好
(
すき
)
だ。
滅
(
ほろ
)
んだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
▼ もっと見る
因みに『狐の
手套
(
てぶくろ
)
』と云ふのは、あの夏の日ざかりに紫いろの花を咲かせるヂギタリスの花の異名ださうだ。
狐の手套〈小序〉
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
黄色の
手套
(
てぶくろ
)
のやうな色をした、小さな
狸犬
(
ダツハフンド
)
は、何もかも相變らずだと云つたやうな顏つきで、窓の傍の、ゆつたりとした、絹張りのソファに坐り込んでゐた。
「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
あとはネクタイ、ズボン、
胴衣
(
チヨツキ
)
、
上衣
(
コート
)
、と苦もなく着せられ、白の
手套
(
てぶくろ
)
は胸のポツケツトに半分出して入れて置くものと教へられて、此れで装束は一先づ成りぬ。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
私たちは、長靴を持つてゐなかつたし、雪が靴の中に這入つて來て中で
溶
(
と
)
けるし、
手套
(
てぶくろ
)
を嵌めない手は、すつかりかじかんで、兩足と同じく、
凍傷
(
とうしやう
)
が出來てゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
馬車の下にはジプシイが横たはつてをり、魚を積んだ車のうへには車力が寝てゐた。帯や
手套
(
てぶくろ
)
を持つた髭もぢやの大露西亜人が道の真中に両脚を投げ出してゐた……。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:06 紛失した国書
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
囚人たちが使ってぼろになったチョッキ、
足袋
(
たび
)
、作業用
手套
(
てぶくろ
)
を糸と針とで修繕する仕事であった。
風知草
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
前に出した写生図でも判る通り、
足袋
(
たび
)
は、拇指が他の四本の指と離れた
手套
(
てぶくろ
)
に似ているので、下駄なり草履なりを脱ぐのが、実に容易に行われる。あたり前の家の断面図を第9図で示す。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
名高い
紐育
(
ニユーヨーク
)
の百貨店ワナメエカアの
手套
(
てぶくろ
)
部に近く入つて来た売子娘があつた。ある日の事、婦人のお得意に手套を一つ売つた
後
(
あと
)
で、今度は直ぐ
側
(
そば
)
に立つてゐる紳士のお客の方に振向いた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
靴、靴下、
手套
(
てぶくろ
)
、美しい上衣、それから見事な帽子、雨傘——すべて、上等な高価な品ばかりでした。その上、上衣のポケットには、こんなことを書いた
紙片
(
かみぎれ
)
が、ピンで留めてありました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
この間からせびられていた妻の
手套
(
てぶくろ
)
と肩掛とを買って、———あのハイカラな彼女の顔に似合うようなどっしりした毛皮の奴を買って、———そうして早く
家
(
うち
)
へ帰って彼女を喜ばせてやろう
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しばらくすると、宣告文を書いた紙と、宣告文を持った、白い手——
手套
(
てぶくろ
)
を
穿
(
は
)
めない——を角燈が照らした。読上げんでも
可
(
よ
)
かろうという声がした。その声は
顫
(
ふる
)
えていた。やがて角燈が消えた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「君の
手套
(
てぶくろ
)
の匂いかね。
幽
(
かす
)
かながらもいい匂いだ。しかし、けっして心持ちのいい匂いではないね。こんな匂いに長くひたっていると、僕などは気分が悪くなる。花の匂いのようでもあるが、この部屋には花はないね」
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
手套
(
てぶくろ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぐ手ふと
休
(
や
)
む
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
手套
(
てぶくろ
)
手ぶくろ
(新字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
「カロリイン夫人」は
紅
(
あか
)
い
薔薇
(
ばら
)
の花のついた帽子を
冠
(
かぶ
)
り、白の
手套
(
てぶくろ
)
をはめ、朝から晩までその
界隈
(
かいわい
)
を
往
(
い
)
ったり来たりしていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
若い男は、
手套
(
てぶくろ
)
をはめた指先で窓硝子を拭いて外を覗きこんだが、駅の時計も、ランプも、駅名札ももう闇にかくれていた。
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
すると
兎
(
うさぎ
)
は
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
つたか
大急
(
おほいそ
)
ぎで、
白
(
しろ
)
い
山羊仔皮
(
キツド
)
の
手套
(
てぶくろ
)
も
落
(
おと
)
せば
扇子
(
せんす
)
も
打捨
(
うツちや
)
つて、一
目散
(
もくさん
)
に
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
へ
駈
(
か
)
け
込
(
こ
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
と
凛々
(
りり
)
しき声に
前
(
さき
)
を払わして
手套
(
てぶくろ
)
を脱ぎつつ入り来る武男のあとより、
外套
(
がいとう
)
と
吾妻
(
あずま
)
コートを
婢
(
おんな
)
に渡しつつ、浪子は夫に引き沿うてしとやかに座につき、手をつかえつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
直子はやがて、自分の云うだけのことは云ったという実際家らしさで、袋や
手套
(
てぶくろ
)
をかきよせた。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そこには、鼻の上に
鼈甲縁
(
べつかふぶち
)
の
眼鏡
(
めがね
)
をかけ、黒い
手套
(
てぶくろ
)
をはめた老婦人が事務を
執
(
と
)
つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
しばらくすると、宣告文を
書
(
か
)
いた
紙
(
かみ
)
と、宣告文を持つた、白い手——
手套
(
てぶくろ
)
を
穿
(
は
)
めない——を角燈が
照
(
て
)
らした。
読上
(
よみあ
)
げんでも
可
(
よ
)
からうといふ声がした。其の声は顫へてゐた。やがて角燈が消えた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
手套
(
てぶくろ
)
の
穿
(
はま
)
つた
掌面
(
てのひら
)
でそつと顔を撫でまはした。小僧はとうと切り出した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
聖母
(
せいぼ
)
の
手套
(
てぶくろ
)
」即ち
實※答利斯
(
ジキタリス
)
の花、
信心
(
しんじん
)
の
諸人
(
しよにん
)
みなこれに
接吻
(
せつぷん
)
する。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
其扇子
(
そのせんす
)
と
手套
(
てぶくろ
)
とを
取上
(
とりあ
)
げ、
將
(
まさ
)
に
其處
(
そこ
)
を
立去
(
たちさ
)
らうとして、
姿見鏡
(
すがたみ
)
の
傍
(
そば
)
にあつた
小
(
ちひ
)
さな
壜
(
びん
)
に
眼
(
め
)
が
止
(
と
)
まりました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
すっかり
草臥
(
くたび
)
れてしまって、『どうじゃ一銭』を云うさえ億劫だし、手をのべたくても、
手套
(
てぶくろ
)
なしの手は我慢にも
衣嚢
(
かくし
)
から出せないほど
凍
(
かじ
)
かんでいた。
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
それを
提
(
さ
)
げて旅館へ戻ると、丁度年とった仏蘭西の婦人の
訪
(
たず
)
ねて来るのに逢った。黒い帽子、黒い着物、黒い
手套
(
てぶくろ
)
、一切黒ずくめだ。顔にまで黒い網を掛けていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
女の体にそって柔らかく流れおちる線を、快い抵抗でうけとめるように、その年の女の
手套
(
てぶくろ
)
は、
西洋剣術
(
フェンシング
)
用の手套のように高く、さき開きになった装飾のふちをもっていた。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私は黒い毛織の旅行服に
刷毛
(
ブラシュ
)
をかけ、帽子と
手套
(
てぶくろ
)
とマフとを用意し、何も後に殘らないようにと
抽斗
(
ひきだし
)
全部を改めて、全く、もう何もすることがなくなつたので腰かけて休まうとした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
犯人は一生涯寝ても起きても
手套
(
てぶくろ
)
を離さないという決心をしなければ、必ずこの手から発覚します。それが厭なら男らしく自分で手首を
截断
(
せつだん
)
するんですね。
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ギャラントという言葉をそのまま
宛嵌
(
あては
)
め得るような、巴里に滞在中も黄色い皮の
手套
(
てぶくろ
)
を集めていたことがまだ岸本には忘れられずにある青年の紳士らしい
風采
(
ふうさい
)
をしたその留学生は
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
手套
(
てぶくろ
)
をとり乍ら室内を見廻し、私はひとりでに一種の微笑が湧くのを感じた。
長崎の一瞥
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
“手套”の意味
《名詞》
手 套(しゅとう)
手袋。
(出典:Wiktionary)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
套
漢検準1級
部首:⼤
10画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭