トップ
>
扉
>
ドア
ふりがな文庫
“
扉
(
ドア
)” の例文
扉
(
ドア
)
の隙間から飛んで出て、よろしく斯る古めかしい田舎者の小説などは弾劾すべきが順当ならむといふ冷笑の風が吹きまくつてゐた。
喧嘩咄
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
扉
(
ドア
)
に背を向けているのは若い院長の健策で、
糊
(
のり
)
の
利
(
き
)
いた診察服の前をはだけて、質素な黒
羅紗
(
らしゃ
)
のチョッキと、ズボンを露わしている。
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
講堂入口をみたが、
扉
(
ドア
)
はチャンと閉まっている。さっき棺桶を置いてあった長椅子の蔭をみたが、さらに小山ミチミの姿はなかった。
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何か異変を感じた三人は、力を合わせて
扉
(
ドア
)
を破って、転がるように這入ってみると、船室は空である。ジャネット夫人は居ないのだ。
海妖
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
幽里子はそういって、百円札を一枚、使い残りのレター・ぺーパーの下へ押込むように、身をかえしてヒラリと
扉
(
ドア
)
の外へ出たのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
……すると全く不意に、ガタンと激しい音がして、
歩廊
(
プラット・ホーム
)
へ出る
扉
(
ドア
)
が開き、どっと
吹込
(
ふきこ
)
んで来た風に
煽
(
あお
)
られて
卓子
(
テーブル
)
の上の
洋灯
(
ランプ
)
が消えた。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私達が馬車に乗ろうとすると、一人の若者が
扉
(
ドア
)
を押えていてくれた。ホームズはつと何か考えついたらしく若者の袖を引いて訊ねた。
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
コン吉とタヌが次の朝起きて見ると、
扉
(
ドア
)
の前にドロ山の険しい
巓
(
みね
)
に生えている輝やくばかりの見事な
瑠璃草
(
るりそう
)
が十六束置かれてあった。
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その時、
扉
(
ドア
)
の外へ、何かぶつかって来たような大きな音がした。
産衣
(
うぶぎ
)
につつまれている赤い小さい顔は
衝動
(
ショック
)
をうけて突然泣きだした。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふと、サラ/\と云ふ衣擦れの音がしたかと思ふと、
背後
(
うしろ
)
の
扉
(
ドア
)
が音もなく開かれた。信一郎が、
周章
(
あわて
)
て立ち上がらうとした時だつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
檜
(
ひのき
)
の生垣に囲まれた平家の日本建で、低い石門に気取った板の
扉
(
ドア
)
が閉まって、その五六間奥にガラスの格子戸がぼんやり見えていた。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
階段を
降
(
お
)
り、階下の校舍の一部を横切り、それから二つの
扉
(
ドア
)
を音を立てないやうに
巧
(
うま
)
く
開
(
あ
)
けて、また
閉
(
し
)
めて、別の階段の所まで來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
比較的間口の広いその玄関の入口はことごとく
細
(
ほそ
)
い
格子
(
こうし
)
で仕切られているだけで、
唐戸
(
からど
)
だの
扉
(
ドア
)
だのの装飾はどこにも見られなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
強い勢いで
扉
(
ドア
)
が内側からあけられた。ともしびがサッと広く歩道へさした。が、そこから出て来たのは案外小さい一人の女だった。
モスクワの辻馬車
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
けれども戸締りがしてないのに家の中に人の気配がないと、ふと不審を覚えていつもの軽い気持で玄関から奥へ通ずる
扉
(
ドア
)
を開けてみた。
寒の夜晴れ
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「本当で御座いますねえ! やつと冬から出て来たばかし——」女中はかう言たが、そのまゝ徐かに
扉
(
ドア
)
を閉めて出て行つて了つた。
時子
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
馬はまた
息
(
いき
)
をつぐために立ち止り、車掌は下りて来て、下り坂の用心に車輪に
歯止
(
はどめ
)
をかけ、乗客を入れるために馬車の
扉
(
ドア
)
を
開
(
あ
)
けた。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
長女は時々
扉
(
ドア
)
のガラスに顔をつけて父の様子を視に来た。そして彼の飲んでるのを見て安心して、また笑いながら兄と遊んでいた。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
コーリヤが
扉
(
ドア
)
のかげから現れて来た。窓から屋内へ這入ろうとするかのように、よじ上っている武石を見ると、彼は急に態度をかえて
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
扉
(
ドア
)
が半分開けたままんなっていて、パトラッシュの求める足跡は、そこからてんてんと白い雪を落して奥へつづいているのでした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
と云うのは、
現場
(
げんじょう
)
が
扉
(
ドア
)
と鍵で
閉
(
とざ
)
されていたにもかかわらず、艇内をくまなく探しても、八住を刺した凶器が発見されなかったのである。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
薄暗い
扉
(
ドア
)
に紙を
貼
(
は
)
って、
昨日
(
きのう
)
の日づけで、診療の都合により面会を謝絶いたし候——医局、とぴたりと貼ってある。いよいよ
穏
(
おだやか
)
でない。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
新聞売子は
扉
(
ドア
)
をあけて、勢よく診察室に入つて来た。そして毎日の事なので、
其辺
(
あたり
)
に気も
注
(
つ
)
けないで、ずつと
卓子
(
テーブル
)
の前までやつて来た。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
翌朝、例刻にめざめて、例の通りまず主人の部屋を訪れて見ると、昨日は固く
鎖
(
とざ
)
された
扉
(
ドア
)
が、今日は押せばすぐにあきました。金椎は
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その時、実験室兼応接室の
扉
(
ドア
)
をたたく音がしました。私があけにゆくと、来訪者は、他ならぬ、警視庁の小田刑事でありました。
自殺か他殺か
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
気の利いたタキシーがすぐ側へ乗りつけて来て無言で
扉
(
ドア
)
をあける。後れ走せに馳けつけた巴里の巡査が二人を軽く押し込んで扉を締める。
街頭:(巴里のある夕)
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
廊下で、一つ時
戸迷
(
とまどひ
)
した挙句、やつとトイレットを見つけて
扉
(
ドア
)
を押した。そして、鏡の前に立つと自分の泣顔に「イ、イ」をしてみせた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
彼の喫っている一本の葉巻が
殆
(
ほとん
)
ど半分に成った頃、重々しい足音が近かづいて来た。そして正面の
扉
(
ドア
)
が開いた。其処から老人が現われた。
闘牛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ノックをしてみたが返事がないので、
扉
(
ドア
)
を押すとあきましたから、中へはいってみると、薄暗がりだのにまだ電気もついていないのです。
アパートの殺人
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
鏡にうつっている部屋の
扉
(
ドア
)
をあけて、音もなく、声もなく、全身に白い物をまとっている婦人の美しい姿があらわれたのである。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
そして大通を偵察しようとして鉄門の方へ走って、門の
扉
(
ドア
)
へ手をかけた途端、家の中から一発の銃声、続いてアッと
消魂
(
たまぎ
)
る叫び。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
だから日本人は嫌いと云うのですよ、嘘つき、今私が締めた
扉
(
ドア
)
が、どうして
開
(
あ
)
いてるのです、なにか私の秘密でも探ろうと思って、合鍵を
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ふと前面の鏡の中をのぞくと、そこに
扉
(
ドア
)
がスーッと開いていてポウルが例の通りの光沢の悪い無表情の顔をして立っているのを見たのだ。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
僕は、いよいよ不審におもっていると、不意に
扉
(
ドア
)
が開いて、水色の作業服を着た一青年が入って来た。彼は、僕をじろりみて、いきなり
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
猫がどこから這入ってくるのかを見定めるため、
扉
(
ドア
)
の蔭にかくれていて、終日鍵穴から
覗
(
のぞ
)
いてみようと考えた。翌日、彼女は出勤を休んだ。
ウォーソン夫人の黒猫
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
応接室に通されておよそ十五分ばかりも待ってると、やがて軽い
靴
(
くつ
)
の音が聞えてスウッと
扉
(
ドア
)
を
排
(
ひら
)
いて現れたのは
白皙
(
はくせき
)
無髯
(
むぜん
)
の美少年であった。
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
満坐霊気に打れて、皆な頭を垂れた。翁は立つたまゝ、後ろ向きになつて暫く泣いて居られたが、やがて
扉
(
ドア
)
を開けて顔洗いに出て行かれた。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そうして私の肩に手をかけて、フレンチ
扉
(
ドア
)
から、何んだか危かしそうな足つきをしながら、おずおずと芝生の上へ出て行った。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「ええ。一人いるのです。その先生ときたら、夜なかに戸締りをはずして、
扉
(
ドア
)
をあけ放しておくという厄介者なのですからね」
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
坊や、お前と己とはちょいと
談話室
(
パーラー
)
へ戻って、
扉
(
ドア
)
の
後
(
うしろ
)
にいてさ、ビルをちょっとばかりびっくりさせてやろうよ、——うん、確かにそうだ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
東向きの三階四室ばかりはことごとく太子一行のために貸切りとなっているらしく、その一番突端の
扉
(
ドア
)
を今ジャヴェリが開こうとした途端
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その時には
無賃
(
ただ
)
で置かれた家なしの女房は、
後
(
うしろ
)
の
扉
(
ドア
)
を開けて出て来て、ストーブに
薪
(
たきぎ
)
を
投
(
くべ
)
て行く。家なしの夫は昼間は
働
(
はたらき
)
に出て夜帰って来る。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
笠松博士はそう
喚
(
わめ
)
きながら、私を研究室の
扉
(
ドア
)
の外に残して置いて、研究の実験に供する女を部屋の中に拉れ込むのであった。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
知らずに
扉
(
ドア
)
のハンドルと一緒に守宮を握ったりして、その冷やりとした、柔かい感じが、何とも云えず心持が悪いと云って
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
そして
爪先
(
つまさき
)
でぐるっとまわって、ふりむくと、
半開
(
はんびら
)
きの
扉
(
ドア
)
の
間
(
あいだ
)
から、こちらを見ている
祖父
(
そふ
)
の顔が見えた。祖父に笑われてるような
気
(
き
)
がした。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
階段を降りて
凡
(
およ
)
そ三間ばかり進んだと思うころ、彼らは壁のようなものにばったりと進路を遮られた。捜ってみると、それは
扉
(
ドア
)
であるらしい。
凍るアラベスク
(新字新仮名)
/
妹尾アキ夫
(著)
しかし、彼女の仕事は立派に爲し
遂
(
と
)
げられたのであつた。彼女の
彈
(
ひ
)
いた音色は、
閉
(
と
)
ざされた記憶の
扉
(
ドア
)
を打ち落したのである。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
扉
(
ドア
)
がいっぱいにひらいて、警備中隊長オルダコフ大尉が、兵卒四五名と何食わぬ顔のヤアフネンコ、支那人ボウイを随えて厳然と立っている。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
扉
(
ドア
)
に近寄って見ると、さっき潜航をはじめた時には、固く閉っていたはずの扉が、今は何の抵抗もなく、やすやすと開いた。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
扉
(
ドア
)
を開いてはいって来た毛利先生は、何より
先
(
さき
)
その背の低いのがよく縁日の見世物に出る
蜘蛛男
(
くもおとこ
)
と云うものを聯想させた。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“扉”の意味
《名詞》
(とびら)片方を蝶つがいなどで固定して、それを軸に回転させることにより開け閉めを行う戸。
(出典:Wiktionary)
“扉”の解説
扉(とびら、en: door、ドア)とは、建物や部屋などの入口などにつけられ、開口部を閉じたり、外部と遮断する機能をもつ部分。
(出典:Wikipedia)
扉
常用漢字
中学
部首:⼾
12画
“扉”を含む語句
硝子扉
扉口
大扉
鎧扉
鉄扉
門扉
開扉
車扉
土扉
両扉
石扉
格子扉
二重扉
小扉
閉扉
玻璃扉
片扉
樫扉
諸扉
御扉
...