トップ
>
廃
>
すた
ふりがな文庫
“
廃
(
すた
)” の例文
旧字:
廢
スリバチ山なんぞに登って大喜びするのは男が
廃
(
すた
)
れるから、僕は黒百合平で高山植物を鑑賞したり、ヒュッテで弁当を食べたりした。
八ガ岳に追いかえされる
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
今あることどもを
廃
(
すた
)
れしめんがために、この世の卑しきことどもと、
蔑
(
さげす
)
まれしことどもと、あるなきことどもとを選みたまえり……。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
一概に武士は
廃
(
すた
)
れたともいえない。人は元来いろいろだ。この日に会して、生き方、死に方、武人もさまざまだったのは是非がない。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いゝえ、掃溜よ。士族でも
華族
(
かぞく
)
でも分家をすれば平民に降るんですから、平民はつまり
廃
(
すた
)
れものゝ落ちどころでございましょう?」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
関所は
廃
(
すた
)
れ、街道には草蒸し、交通の要衝としての箱根には、昔の面影はなかったけれども、
温泉
(
いでゆ
)
は
滾々
(
こんこん
)
として
湧
(
わ
)
いて尽きなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
私の少年時代の玩具といえば、春は
紙鳶
(
たこ
)
、これにも
菅糸
(
すがいと
)
で
揚
(
あ
)
げる
奴凧
(
やっこたこ
)
がありましたが、今は
廃
(
すた
)
れました。それから獅子、それから
黄螺
(
ばい
)
。
我楽多玩具
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
六区と吉原を鼻先に控えてちょいと横丁を一つ曲った所に、
淋
(
さび
)
しい、
廃
(
すた
)
れたような区域を作っているのが非常に私の気に入って
了
(
しま
)
った。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
堂宮の
廃
(
すた
)
れたるを起こし、剣鎗に一流を極わめ、忍術に妙を得、力量三十人に倍し、日に四十里を歩し、昼夜ねぶらざるに倦む事なし。
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
できない相談だという事がよく分って来るからである。これだけでもロマンチックの道徳はすでに
廃
(
すた
)
れたと云わなければならない。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
奇蹟的異言や奇蹟的医癒は止み、預言や知識は
廃
(
すた
)
れても、愛は永久に絶えることがない。そして愛のあるところ、常に奇蹟が伴う。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
土地の人はそれほどにも想わないのか、当然守るべき市の特産品でありながら、
廃
(
すた
)
ってゆくままにしてあるのは惜しい限りであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「孔子世家」もまた一方では「孔子の時、周室は微にして、礼楽は
廃
(
すた
)
れ、詩書は欠く」(『孔子全集』一九六二)と記している。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
しかも容太郎は新鮮な果実のようなお里の心や肉体よりも、
廃
(
すた
)
りかけた蒼白な馴染深いお信の魂と体を愛さずにいられなかった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
今晩中の約束だから、夜明けまでには何とかして、お蘭どのの鼻先へ突きつけて見せなければ、がんりきの男が
廃
(
すた
)
る三百両の金。
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あの
慾張婆
(
よくばりばばあ
)
め、これも
廃
(
すた
)
れた
柄
(
がら
)
だ、あれも
老人
(
としより
)
じみてるといっちゃ、かねの生きてるうちから、ぽつぽつ運んでいたものさ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
このような読書の仕方は、かつて先ず四書五経の素読から学問に入るという一般的な慣習が
廃
(
すた
)
れて以後、今日では稀なことになってしまった。
読書遍歴
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
炭坑に機械力が這入って来てから、馬は、次第に
廃
(
すた
)
れて行ったのであるが、古くからの炭坑へ行くと、今でも、馬の残っているところがある。
狂馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
軽薄な細工物は云はば
廃
(
すた
)
り易い
流行物
(
はやりもの
)
、一流の
操
(
みさを
)
を立てゝ
己
(
おのれ
)
の分を守るのが名人気質だと云ふのが分らぬか、この不了簡者。
名工出世譚
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
藩札は
赭
(
あか
)
き紙ぎれ、皺に
寂
(
さ
)
び
黴
(
かび
)
くさき
札
(
さつ
)
、うち
廃
(
すた
)
り忘られし屑、うち束ね山と積めども、用も無し邪魔ふさげぞと、
放
(
はふ
)
られてあはれや朽ちぬ。
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
なおその一郭は、古く寂れてるというよりもむしろ
廃
(
すた
)
れ切ったようなありさまではあったが、その当時からしだいに面目が変わりつつあった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
上の方から段々
廃
(
すた
)
れて、果てはこれも赤毛布の御親類となり、田舎のお婆さんまで着て来るようになって、東京はショールの時代と入れ替った。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
とうとうなんだか見定めの附かない物になつて、陶器の欠けや、
古鉄
(
ふるかね
)
や、
廃
(
すた
)
れた家の先祖の肖像と一しよに、
大道店
(
だいだうみせ
)
に恥を晒して終つたのである。
クサンチス
(新字旧仮名)
/
アルベール・サマン
(著)
多「
廃
(
すた
)
るものだが、斯うして有れば売れやすが、あれで始めれば
沢山
(
たんと
)
お借り申しても二十五両でやる積りでござりやす」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
近頃は大した束髪ばやりで、日本髷はとんと
廃
(
すた
)
ってしまいましたが、私は日本髷の方がどうも束髪より好きです。
好きな髷のことなど
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
わたしは
廃
(
すた
)
れもの。池の金魚を見て暮そう。庭の花をむしって喰べましょう。今夜はうち、支那料理の
御馳走
(
ごちそう
)
よ。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
三千年前から聖人が心配していた世道人心が、今日迄も案外
廃
(
すた
)
れ切らないのは、
偏
(
ひとえ
)
にこの鼻の表現の御蔭ではありますまいかと考えられる位であります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今では同じく京都のやうに悲しく
廃
(
すた
)
れ果てゝはゐるものゝ、
猶
(
なほ
)
絶えず海と船とによつて外国の空気が
通
(
かよ
)
つてゐるが為めか京都ほど暗くはない。狭くはない。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「親分、ちょっと行ってみて下さい。あっしが
下手人
(
げしゅにん
)
を挙げなきゃ、金釘流の手紙の手前、男が
廃
(
すた
)
りますよ」
銭形平次捕物控:129 お吉お雪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから次は
油揚
(
あぶらあげ
)
です。油揚は昔は大へん供給が
充分
(
じゅうぶん
)
だったのですけれども、今はどうもそんなじゃありません。それで、実はこれは
廃
(
すた
)
れた食物であります。
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「団十郎はやはり歌舞伎でなければ納まらんので、イクラ給金が良くても公園の舞台で踊っては名が
廃
(
すた
)
れる」
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかしこのイチシという方言は、
今日
(
こんにち
)
あえて見つからぬところから
推
(
お
)
してみると、これはほんの
狭
(
せま
)
い一地方に行われた名で、今ははやく
廃
(
すた
)
れたものであろう。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
肉屋の亭主に言わせると、牛は殆んど
廃
(
すた
)
る部分が無い。頭蓋骨は肥料に売る。臓腑と角とは屠手の
利
(
もうけ
)
に成る。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
などと、飲み足りなそうな人に盃をさす
戯
(
たわむ
)
れは、愚劣なものだが、まだまるっきり
廃
(
すた
)
れてもいない。これと「中の中の小坊主」のお茶あがれとは近いのである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
廃
(
すた
)
れたる世なりと
雖
(
いえど
)
も、一人や、二人の義人はあろう。それでいい、一人もいなくとも、平山先生が
在
(
おわ
)
そう
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
もとは巣鴨の染井や麻布の狸穴だけのものだったが、そのほうは
廃
(
すた
)
れ、このせつは谷中の名物になり、地元の植木職が腕によりをかけていろいろと趣向を凝らす。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「気の毒な、宮様がたいへん大事になすった
女王
(
にょおう
)
さんを、そんな
廃
(
すた
)
り者にしてしまおうとするなどとは」
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「うなり」は鯨を第一とし、次ぎは
籐
(
とう
)
であるが、その音がさすがに違うのである。また
真鍮
(
しんちゅう
)
で造ったものもあったが、値も高いし、重くもあるので
廃
(
すた
)
ってしまった。
凧の話
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
一方は盛栄の余に
廃
(
すた
)
れ、他方は失望の極に陥落せしなり、自然の結果ほど恐るべきものはあらじ。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
そこから雑草と禿げた空地があって学校のような建物に、何かの遺跡と歴史めいた白堊の円柱が朝日をあびて六本建っているのが、
廃
(
すた
)
れた城のあとを見るようであった。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それは
廃
(
すた
)
れたるを起し、新しきを招かれたそればかりでなく、音楽や芸術のたぐいにとりてばかりでなく、すべての文教のために、忘れてならないお方でおわしました。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
絵を描いて生成の理に満足するなぞといふ事はもう
廃
(
すた
)
るだらう。しかし昔はこれで助かつて来たのさ。戦乱は続くし、家に隠れてゐて賢人学者に
遭
(
あ
)
ふわけにもゆかない。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
私は子供のときは腰巻をまいていた。その頃は男女共に腰巻を
纏
(
まと
)
う習慣がまだ
廃
(
すた
)
れてはいなかった。それでも子供も学校へ行くようになれば、もう腰巻はしていなかった。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
それを改革して文学的生命あるものとしたのが前言った松尾芭蕉で、それ以来かかる流行は
廃
(
すた
)
れたが、なお時にその種の句も存在しないではなかった。その一例を言えば
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
大事の御身までも世の
廃
(
すた
)
り物に致させ候かと思ひまゐらせ候へば、何と申候私の罪の程かと、今更
御申訳
(
おんまをしわけ
)
の致しやうも
無之
(
これなく
)
、唯そら
可恐
(
おそろ
)
しさに消えも
入度
(
いりた
)
く
存
(
ぞんじ
)
まゐらせ候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
思うに、人事において
流行
(
はやり
)
や
廃
(
すた
)
りのある如く、自然においても旧式のものと新式のものが自らある、空中飛行機に
駭
(
おどろ
)
く心は、やがて彗星を
異
(
あや
)
しむ心と同一であると云えよう。
高山の雪
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
前者は早くより
廃
(
すた
)
れて後者之に代りたるも、明治十年頃に至りて漸く地図に採録されたりとすれば、其間に出版されたる絵図は依然としてツウラ沼なる名称を存するを以て
古図の信じ得可き程度
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「あなた方は我々夫婦を
廃
(
すた
)
れものにしておしまひなさる。これで夫婦は食へなくなります。」
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
直ぐその下を私が通りがかりつつある一八〇〇年代の建造らしい南欧風洋館の
廃
(
すた
)
れた大露台の欄干では、今、一匹の
印度
(
インド
)
猿が緋のチョッキを着、四本の肢で一つ
翻筋斗
(
もんどり
)
うった。
長崎の一瞥
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
親孝行——なぞというと近頃はすっかり流行おくれの肩身のせまい
廃
(
すた
)
り言葉になっているが、子供の権利だとか義務だとかいうことがうるさく宣伝されない時代のことである。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
そして多くの芸術品は、君主や貴族の栄誉のために、その権力感の
悦
(
よろこ
)
びを充たすべく製作された。然るに近代の平民的な社会に至って、この種の芸術は根本的に
廃
(
すた
)
ってしまった。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
“廃(娼婦/廃)”の解説
「娼婦/廃」(しょうふ/はい)は、ムックの1枚目のシングル。
(出典:Wikipedia)
廃
常用漢字
中学
部首:⼴
12画
“廃”を含む語句
荒廃
廃物
廃止
廃墟
廃屋
廃業
頽廃
廃頽
頽廃的
廃址
御廃
廃品
廃園
廃者
廃兵院
廃嫡
廃頽的
廃頽期
弛廃
興廃
...