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差支
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さしつかえ
ふりがな文庫
“
差支
(
さしつかえ
)” の例文
彼の赤十字社の如きは勿論必要なものであるけれども、しかし今赤十字社がないとして
忽
(
たちま
)
ち
差支
(
さしつかえ
)
を生ずるといふほどのものでもない。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
何
(
なに
)
なりと
訊
(
たず
)
ねて
貰
(
もら
)
います。
研究
(
けんきゅう
)
の
為
(
た
)
めとあれば、
俺
(
わし
)
の
方
(
ほう
)
でもそのつもりで、
差支
(
さしつかえ
)
なき
限
(
かぎ
)
り
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
打
(
う
)
ち
明
(
あ
)
けて
話
(
はな
)
すことにしましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
多分もっと以前からあったのであろうが、これはhiの音が既に普通に用いられていた時分のことであるから、あっても
差支
(
さしつかえ
)
ない。
駒のいななき
(新字新仮名)
/
橋本進吉
(著)
明治は四十年立った。まず初期と見て
差支
(
さしつかえ
)
なかろう。すると現代の青年たる諸君は
大
(
おおい
)
に自己を発展して中期をかたちづくらねばならぬ。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一向
差支
(
さしつかえ
)
ないが、紅葉山人と同時代に生きていて、我々の眼から見ても、立派な芸術小説をかいている人が外にあるのですからね。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
『中島五郎作の家を
訪
(
と
)
うて、それとなく探ってみたところ、六日は吉良どのに
差支
(
さしつかえ
)
があって、朝会は見合せになったと云うておる』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ウィインで
頗
(
すこぶ
)
る勢力のある一大銀行に、
先
(
ま
)
ずいてもいなくても
差支
(
さしつかえ
)
のない小役人があった。名をチルナウエルと
云
(
い
)
う小男である。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
「いずれ果し合いとか、山賊退治とか、これに
就
(
つい
)
ては面白いお話が御座いましょう、お
差支
(
さしつかえ
)
が無かったら、お聞かせ下さいませ」
禁断の死針
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは単に長屋の
金棒引
(
かなぼうひき
)
のみに
止
(
とど
)
まらない。日本の新聞紙はまず社会的の金棒引と見て
差支
(
さしつかえ
)
はない。日本ほど新聞の劣等なところはない。
独居雑感
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『しかし、ご覧のとおり、私の同室者は、もう靴を脱いでしまって、靴下だけで床を踏んでいるのです。それさえお
差支
(
さしつかえ
)
なければ——。』
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「池内さんたら、この前の日曜日の御約束をフイにしてしまって、ひどござんすわ。それとも、あなたにお
差支
(
さしつかえ
)
がありましたの」
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
言語を慎み寡黙を守ると言う、其寡黙も次第に之に慣るゝときは、人生に必要なる弁舌の能力を枯らして、実用に
差支
(
さしつかえ
)
を生ずるに至る可し。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
広い意味で春に包含すると見れば
差支
(
さしつかえ
)
ないようなものの、藤や山吹と前後して正月の句を説くのは、感じの上においてそぐわぬところがある。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
これらは他の大山脈に多く見られない現象で、日本アルプス山岳景の特色と言っても、大した
差支
(
さしつかえ
)
はなかろうかと思われる。
日本山岳景の特色
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
その癖群に加わっている子供の一人に、跡からその時の話を聞いて見れば、なんでもない、己に聞せても
差支
(
さしつかえ
)
ない事である。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
身も心も嬢次様のものでございます。わたくしの名は呉井嬢次と
思召
(
おぼしめ
)
して
差支
(
さしつかえ
)
ございませぬ。……お尋ねになる事は、それだけでございますか
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「そりゃどうせ貴様等は結婚することは出来ないんだからなあ。心で思ってる分には、幾ら思っていたって
差支
(
さしつかえ
)
はない——そりゃ差支はない」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
したがって「いき」とは東洋文化の、否、
大和
(
やまと
)
民族の特殊の存在様態の顕著な自己表明の一つであると考えて
差支
(
さしつかえ
)
ない。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
藩邸内に住んでいる者の外出について話してみれば、まず私どもの如く家族を携えて住んでる者は毎日出ても
差支
(
さしつかえ
)
無い。夜遅く帰っても許された。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
ここは政元も偉かった。
憾
(
うら
)
むらくは良い師を得なかったようである。婦人に接しない。これも
差支
(
さしつかえ
)
ないことであった。
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「倅の云うには、それが為に忠一さんを
態々
(
わざわざ
)
呼び戻すにも及ぶまい。どうで
歳暮
(
くれ
)
には帰郷するのだから、
其
(
その
)
時まで
延
(
のば
)
しても
差支
(
さしつかえ
)
はあるまいと……。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夜明けて後男共は
今暁
(
こんぎょう
)
の
死犢
(
しとく
)
を食料にせんことを請求してきた。全く
或
(
あ
)
る故障より起った早産で母牛も壮健であるのだから食うても少しも
差支
(
さしつかえ
)
はない。
牛舎の日記
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
詩を書く人を他の人が詩人と呼ぶのは
差支
(
さしつかえ
)
ないが、その当人が自分は詩人であると思ってはいけない、いけないといっては
妥当
(
だとう
)
を欠くかもしれないが
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
自分の考えた所では、イタクラの名の起りは道の島のユムンドリと、全然同じ心持から出たものと見て
差支
(
さしつかえ
)
がない。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そして私たち婦人はまた自分の実際問題として研究の要求を生じた場合に初めて研究して
差支
(
さしつかえ
)
のないことである。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
然
(
しか
)
れどもかくの如き者は、全局の方向を決するにおいて、何の力も無き者なれば、数えざるもまた
差支
(
さしつかえ
)
なきなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
日本の代表は
巴里
(
パリー
)
駐在の
石井菊次郎
(
いしいきくじろう
)
大使で、大使に
差支
(
さしつかえ
)
ある場合、
白耳義
(
ベルギー
)
の
安達峰一郎
(
あだちみねいちろう
)
大使が代って出席する。
国際聯盟とは如何なものか
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
古訓どおりにミダルトモと訓んでも
毫
(
ごう
)
も鑑賞に
差支
(
さしつかえ
)
はなく、前にあった人麿の、「ささなみの志賀の大わだヨドムトモ」(巻一・三一)の歌の場合と同じく
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
然し今は弁護士を依頼するどころか、明日の糧さえないのだ。その上近くこの家も立退かなければならない。そうすると差当り雨露を凌ぐ道にさえ
差支
(
さしつかえ
)
るのだ。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
私信ですけれども
差支
(
さしつかえ
)
がないと思いますから次に載せます。文中の緒方氏は森鴎外先生の「
雁
(
がん
)
」という小説の中に「岡田」という姓で書かれている医学生です。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
その頃こそ「魔風恋風」や「
金色夜叉
(
こんじきやしゃ
)
」などを読んではならんとの規定も出ていたが、文部省で干渉しない以前は、教場でさえなくば何を読んでも
差支
(
さしつかえ
)
なかった。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
私に話したくらいだから公々然と誰に話しても
差支
(
さしつかえ
)
ない金であったのだろう。また大杉が警視庁に頼まれて仏訳の
法華経
(
ほけきょう
)
の賃訳をした咄もやはり大杉から聞いた。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
人の前で、
母様
(
かあさん
)
と云おうが、
父様
(
とうさま
)
と云おうが、道義上あえて
差支
(
さしつかえ
)
はない、かえって結構なくらいである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
過ぎ
既
(
すで
)
に春琴も床を離れ起きているようになりいつ繃帯を
取
(
と
)
り
除
(
の
)
けても
差支
(
さしつかえ
)
ない状態にまで
治癒
(
ちゆ
)
した時分ある朝早く佐助は女中部屋から下女の使う鏡台と
縫針
(
ぬいばり
)
とを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
へえ、家主がうかがいましたか、あの老人は向ういきの強い先生ですから、さぞかし一人でまくしたてたでしょうが、私自身はこのままでも決して
差支
(
さしつかえ
)
ありません。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「それじゃ、自殺と考えても
差支
(
さしつかえ
)
ないね。若しそれが他殺だったら、たしかに奇蹟だ」と、言われた。
闘争
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
もし写生という言葉を文字どおりに生命を写すと解して、伝神にまで深めて来るとすると、写真でも写実でも、おなじ意味にとっても
差支
(
さしつかえ
)
ないということになるね。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
もっとも私はその頃
差支
(
さしつかえ
)
があってその紹介状はそのままにして狩野氏に逢う機会を見出さなかった。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
怪
(
け
)
しからぬ乱暴なことを云って、御冗談を仰しゃるが、手前
跡月
(
あとげつ
)
三十日
(
みそか
)
に少々金子に
差支
(
さしつかえ
)
があると申したら、
何時
(
いつ
)
でも
宜
(
よ
)
いと仰しゃるから宜いと心得て居りましたが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そりゃどっちでも好いさ。どっちでも好いが、その人へ渡す品だったら、そこは君の働き一つで、ほかの勾玉を持って行っても、大した
差支
(
さしつかえ
)
はなさそうじゃないか。」
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
仏国公使の答は徳川政府に対しては陸軍の
編制
(
へんせい
)
その他の事に関し少なからざる
債権
(
さいけん
)
あり、新政府にてこれを引受けらるることなれば、
毛頭
(
もうとう
)
差支
(
さしつかえ
)
なしとてその
挨拶
(
あいさつ
)
甚
(
はなは
)
だ
淡泊
(
たんぱく
)
なりしという。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
仁右衛門の畑はそうなるまでに一部分しか
耡起
(
すきおこ
)
されなかったけれども、それでも
秋播
(
あきまき
)
小麦を
播
(
ま
)
きつけるだけの地積は出来た。妻の勤労のお
蔭
(
かげ
)
で
一冬分
(
ひとふゆぶん
)
の燃料にも
差支
(
さしつかえ
)
ない準備は出来た。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「そんなことはなかろう。本務に
差支
(
さしつかえ
)
ない限り、何をしたって構わない筈だ」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
肝臓肥大は鶏に最も多いものでその肉を食べるのに
差支
(
さしつかえ
)
はありませんけれどもあの肝臓を食べると害になります。しかるに
昔
(
むか
)
し
風
(
ふう
)
の
食物通
(
くいものつう
)
は
鶏肝
(
けいかん
)
といって大層肝臓の料理を
悦
(
よろこ
)
んだものです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
いよいよそうしようとさえ思えば、
誰
(
たれ
)
も待てといって束縛するもののないのが、ほとんど慰めのようにも思われる。しようとさえ思えば、
何時
(
なんどき
)
でもこの世の
暇
(
いとま
)
を取るに、
差支
(
さしつかえ
)
はないのである。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
相当の理由があって第一位に置かんとならば、相当の理由があって等差を附するならば
差支
(
さしつかえ
)
ない。ただしできるかできぬかは疑問である。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
或人曰く、名所の特色いちじるく現れをらずとも、その名所を過ぎて詠みたる歌ならば
差支
(
さしつかえ
)
なかるべしと。この説には異論なし。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
もしお
差支
(
さしつかえ
)
が無かったら、何も彼も説明して頂けませんか、あの宝石は何んという宝石か、どうして多数の人があの宝石の為に争ったか……
呪の金剛石
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
第三に子供を養育して一人前の男女となし、二代目の世の中にては、その子の父母となるに
差支
(
さしつかえ
)
なきように仕込むことなり。
家庭習慣の教えを論ず
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
千代子も以前と変らず、いそいそして出て行くものの、話は楽屋の部屋でするのと同じく、誰にきかれても
差支
(
さしつかえ
)
のないような事ばかりに限られた。
心づくし
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
支
常用漢字
小5
部首:⽀
4画
“差支”で始まる語句
差支無