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孰
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いづれ
ふりがな文庫
“
孰
(
いづれ
)” の例文
亜
(
つ
)
いで男の声は
為
(
せ
)
ざりしが、
間有
(
しばしあ
)
りて
孰
(
いづれ
)
より語り出でしとも分かず、又
一時
(
ひとしきり
)
密々
(
ひそひそ
)
と話声の
洩
(
も
)
れけれど、調子の低かりければ
此方
(
こなた
)
には聞知られざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
實際主義といひ、極實主義といひ、自然主義といふ、その言葉はおなじからずといへども、
孰
(
いづれ
)
か沒理想ならざる。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
途端
(
とたん
)
に
又
(
また
)
指
(
ゆび
)
を
立
(
た
)
てつゝ、
足
(
あし
)
を
一巾
(
ひとはゞ
)
、
坊主
(
ばうず
)
が
退
(
さが
)
つた。
孰
(
いづれ
)
も
首垂
(
うなだ
)
れた
二人
(
ふたり
)
の
中
(
なか
)
へ、
草
(
くさ
)
に
甲
(
かう
)
をつけて、あはれや、
其
(
それ
)
でも
媚
(
なまめ
)
かしい、
優
(
やさ
)
しい
腕
(
かひな
)
が
仰向
(
あふむ
)
けに
落
(
お
)
ちた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ふと気が附いて舞台の直ぐ近くに坐つて居る校長や職員などの顔を見ると
孰
(
いづれ
)
も「困つた奴等だな」と云ふやうに、苦り切つて居るので愈々悄げてしまつて
学生時代の久米正雄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
七歳の時から感應院の
手元
(
てもと
)
で
育
(
そだ
)
ち殊には
利發
(
りはつ
)
で
愛敬者
(
あいきやうもの
)
なり誰か
違背
(
いはい
)
すべき
孰
(
いづれ
)
も其儀然るべしと
相談
(
さうだん
)
爰
(
こゝ
)
に決したり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
言ふこころは方に皇惑、死を避くるの際、城南に往かんと欲して、乃ち
孰
(
いづれ
)
が南北なるやを記する能はざる也。然るに荊公集句両篇、皆な欲往城南望城北と
作
(
な
)
す。
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
紙片
(
かみきれ
)
は
果
(
はた
)
して
横罫
(
よこけい
)
の
西洋紙
(
せいやうし
)
で、
其
(
それ
)
が
拡
(
ひろ
)
げて
見
(
み
)
ると、四五
通
(
つう
)
もある。
孰
(
いづれ
)
もインキでノート
筆記
(
ひつき
)
やうの
無造作
(
むざうさ
)
な
字体
(
じたい
)
で、
最初
(
さいしよ
)
の一
通
(
つう
)
が一
番
(
ばん
)
長
(
なが
)
く、
細字
(
さいじ
)
で三
頁半
(
ページはん
)
にも
亘
(
わた
)
つてゐる。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
鎮火と聞いて
孰
(
いづれ
)
も胸を安めたやうなものの、かう毎晩の様に火事があつては、とても安閑として生活して居られぬといふそは/\した不安の情が村一体に満ち渡つて、家々の角には、
婦
(
をんな
)
やら
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
或は聖情と
称
(
い
)
ふ、何を以て劣と聖との別をなす、何が故に一は劣にして、一は聖なる、若し人間の細小なる眼界を離れて、造化の広濶なる妙機を
窺
(
うかゞ
)
えば、
孰
(
いづれ
)
を聖と呼び、
孰
(
いづ
)
れを劣と
称
(
よ
)
ぶを
容
(
ゆ
)
るさむ。
「桂川」(吊歌)を評して情死に及ぶ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
其處
(
そこ
)
には
鰌
(
どぜう
)
がちよろ/\と
跳返
(
はねかへ
)
りつゝ
其
(
その
)
身
(
み
)
を
慌
(
あわたゞ
)
しく
動
(
うご
)
かして
居
(
ゐ
)
る。さうすると
彼等
(
かれら
)
は
孰
(
いづれ
)
も
聲
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
てゝ
騷
(
さわ
)
ぎながら、
其
(
そ
)
の
小
(
ちひ
)
さな
泥
(
どろ
)
だらけの
手
(
て
)
で
捉
(
とら
)
へようとしては
遁
(
に
)
げられつゝ
漸
(
やうや
)
くのことで
笊
(
ざる
)
へ
入
(
い
)
れる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
富山が
交
(
まじは
)
るところは、その地位に
於
(
おい
)
て、その名声に於て、その家柄に於て、
或
(
あるひ
)
はその資産に於て、
孰
(
いづれ
)
の一つか取るべき者ならざれば決して取らざりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
門人録には福岡の森隆仙の
下
(
もと
)
に塾頭と註してある。渡辺と森との塾頭は
孰
(
いづれ
)
か先、孰か後なるを知らない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
買
(
か
)
はん
哉
(
かな
)
、
甘
(
あま
)
い/\
甘酒
(
あまざけ
)
の
赤行燈
(
あかあんどう
)
、
辻
(
つじ
)
に
消
(
き
)
ゆれば、
誰
(
た
)
そ、
青簾
(
あをすだれ
)
に
氣勢
(
けはひ
)
あり。
閨
(
ねや
)
の
紅麻
(
こうま
)
艷
(
えん
)
にして、
繪團扇
(
ゑうちは
)
の
仲立
(
なかだち
)
に、
蚊帳
(
かや
)
を
厭
(
いと
)
ふ
黒髮
(
くろかみ
)
と、
峻嶺
(
しゆんれい
)
の
白雪
(
しらゆき
)
と、
人
(
ひと
)
の
思
(
おもひ
)
は
孰
(
いづれ
)
ぞや。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
卷上
(
まきあぐ
)
れば
二疊臺
(
にでふだい
)
に
雲間縁
(
うんけんべり
)
の
疊
(
たゝみ
)
の上に天一坊
威儀
(
ゐぎ
)
を
正
(
たゞ
)
して
着座
(
ちやくざ
)
なし大膳が名前を披露に及べば天一坊は
言葉
(
ことば
)
少
(
すく
)
なに
孰
(
いづれ
)
も神妙と
計
(
ばか
)
り大樣の
一聲
(
ひとこゑ
)
に皆々
低頭
(
ていとう
)
平身誰一人
面
(
おもて
)
を上て顏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
聲をかけられたのは、三
人連
(
にんづれ
)
の女である。
孰
(
いづれ
)
も
縞
(
しま
)
か
無地
(
むぢ
)
かの
吾妻
(
アヅマコート
)
に、紺か
澁蛇
(
しぶじや
)
の
目
(
め
)
かの傘を
翳
(
さ
)
して、
飾
(
めか
)
し込んでゐるが、聲には氣もつかず、何やら笑ひさゞめきながら通過ぎやうとする。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
子爵と富山との交際は近き頃よりにて、彼等の
孰
(
いづれ
)
も日本写真会々員たるに
因
(
よ
)
れり。
自
(
おのづか
)
ら宮の
除物
(
のけもの
)
になりて二人の興に
入
(
い
)
れるは、想ふにその物語なるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
末女とあるから幾勢より
穉
(
をさな
)
かつたことは知られるが、蘭軒と
孰
(
いづれ
)
か長孰か幼なるを知ることが出来ない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
手代
(
てがはり
)
とも四人打物手代とも二人跡箱二ツ手代とも四人
傘持
(
かさもち
)
草履取合羽籠兩掛
茶辨當
(
ちやべんたう
)
等なり引續いて常樂院天忠
和尚
(
をしやう
)
藤井左京山内伊賀亮等
孰
(
いづれ
)
も長棒の乘物にて大膳が供立に同じ
惣
(
そう
)
同勢二百餘人其
體
(
さま
)
美々
(
びゞ
)
しく長洞村を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
是に由つて観れば、春水春風
杏坪
(
きやうへい
)
の三兄弟の中で、蘭軒が旧く江戸に於て相識つたのは杏坪だけである。只其時日が山陽の伊沢氏に来り投じたのと
孰
(
いづれ
)
か先孰か後なるを
詳
(
つまびらか
)
にすることが出来ない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
孰
漢検1級
部首:⼦
11画
“孰”を含む語句
孰方
孰方道
孰與