くひ)” の例文
蛸がすぐにくひつかないのも道理で、その捕へてゐるのは、蛸にとつては恐しい大敵の海豚いるかだつたのです。
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
アヽ左様さやうかい、汁粉しるこくひたのか、それうも千萬せんばんかたじけないことだ、サ遠慮ゑんりよせずにこれからあがれ、履物はきものわきはう片附かたづけて置け。「へい。「サ此方こつちあがれ。「御免下ごめんくださいまして。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
一日いちにちとこいてふせつてこと一度いちど二度にどでは御座ござりませぬ、わたし泣虫なきむし御座ございますから、その強情がうじやう割合わりあひ腑甲斐ふがひないほど掻卷かいまきえりくひついてきました、唯々たゞ/\口惜くやなみだなので
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のこし己はめしくひにぞ下りけり跡には寶澤たゞ一人熟々つら/\思ひめぐらせばいまの二品をぬすかば用ゆる時節はこれかうと心の中に點頭うなづきつゝやが懷中紙くわいちうがみを口にくはへ毒藥のつぼ取卸とりおろし彼中なる二品を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
愕然びつくりしてむねさけるやう也しがにげるに道なく、とても命のきはなりしぬいきるも神仏にまかすべしと覚悟かくごをきはめ、いかに熊どのわしたきゞとりに来り谷へおちたるもの也、かへるには道がなくいきをるにはくひ物がなし
くすりくひ隣の亭主箸持参
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
おい……ハヽヽ彼方あつちげてきやアがつた、馬鹿ばかやつだなア……先刻さつきむぐ/\つてゐた粟饅頭あはまんぢう……ムンこゝにけむ饅頭まんぢうがある、くひかけてのこしてきやアがつたな。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
云から待てゐよ必ず忘るゝ事なかれと憤怒ふんぬ目眥まなじり逆立さかだつてはつたと白眼にらみ兩の手をひし/\とにぎりつめくひしばりし恐怖おそろしさに忠兵衞夫婦は白洲しらすをも打忘うちわすれアツと云樣立上りにげんとするを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人のあねは色白くして玉をならべたる美人びじん也、菓子をくひながらかほ見あはして打ゑみたるおもざし、愛形あいきやうはこぼるゝやう也。かゝる一双いつさうの玉を秋山の田夫でんぶつまにせんは可憐あはれむべしことたきゞとしてすつほんるがごとし。
くひ勘定をするをりから表の方より雲助ども五六人どや/\と這入はひり來りもう仕舞れしかモシ面倒めんだうながら一ぱい飮ませて下せいと云つゝはちにありし鹽漬しほづけ唐辛子たうがらしさかなに何れも五郎八茶碗ぢやわんにて冷酒ひやざけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ア、あれくひやアがる、うもひどやつだナあれ/\。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)