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ふりがな文庫
“
喋
(
しやべ
)” の例文
狭い階段を降りて、湯殿へ這入ると、深夜の湯殿に、パアマネントの長い髪をふりみだした若い女が二人、声高で
喋
(
しやべ
)
り散らしてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
その犬の尻尾には今も猫イラズを塗りつけてある筈だなどすらすら
喋
(
しやべ
)
り立てたが、しかし香櫨園の女中のことはさすがに言へなかつた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
母も、今夜は、余計なお
喋
(
しやべ
)
りはつゝしんでいるようにみえたが、しばらくたつて、彼が、茶碗をおくと、それへ茶を
注
(
つ
)
ぎながら
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
規律
(
きりつ
)
が守られた。五分の後に、今までゴタ/\になつてゐた群が整然となり、バベルの塔のお
喋
(
しやべ
)
り(喧騷)が止んで比較的
靜肅
(
せいしゆく
)
になつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
どの指へ
刺
(
とげ
)
をたてたとか埒もないことを
喋
(
しやべ
)
りあつて、お互に意気投合すればなんといふこともなく あははははは と笑ふ。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
▼ もっと見る
錢形の平次は跟いて來る八五郎の顏色などには頓着なく、一番先にお
厩
(
うまや
)
の喜三太の家を覗いて、その隣家のお
喋
(
しやべ
)
りらしいお神に聲を掛けました。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
信吾が入つて來た時、昌作は、窓側の机の下に毛だらけの長い脛を投げ入れて、
無態
(
ぶざま
)
に頬杖をついて熱心に
喋
(
しやべ
)
つてゐた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
けれども? あのお
喋
(
しやべ
)
りの、いつもずつと遠くから大声で呼ばはりながら駆け込んで来たり、犬の名を呼んだり、或は口笛を吹いたりしながら来る子
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
パンの
破片
(
かけら
)
、
紙屑
(
かみくづ
)
、
牛
(
うし
)
の
骨
(
ほね
)
など、
而
(
さう
)
して
寒
(
さむさ
)
に
顫
(
ふる
)
へながら、
猶太語
(
エヴレイご
)
で、
早言
(
はやこと
)
に
歌
(
うた
)
ふやうに
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
す、
大方
(
おほかた
)
開店
(
かいてん
)
でも
爲
(
し
)
た
氣取
(
きどり
)
で
何
(
なに
)
かを
吹聽
(
ふいちやう
)
してゐるので
有
(
あ
)
らう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
和尚さんは、この一生懸命に
喋
(
しやべ
)
る若者を、いとしむやうにやさしく見ながら、いひたいだけいはせてやつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
「わたしがお前さんに柴を刈つてあげたことを
誰
(
だれ
)
にもしらしてはならないよ。
若
(
も
)
しお前が余計なお
喋
(
しやべ
)
りをしたら、ひどい目にあふからそのつもりでゐなさい。」
豆小僧の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
私は最近の体験から、他人より余計に発言権を持つてゐるやうな気がして、得意になつて
喋
(
しやべ
)
つてゐた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
「長谷川君と二人で
遣
(
つか
)
つてるんだが、実際
其
(
その
)
通り目の下のどす
黒
(
ぐろ
)
い女でね、よく
喋
(
しやべ
)
るんだ。」滿谷が起きた様だから行つて見ると
小豆
(
あづき
)
色の寝巻の
儘
(
まゝ
)
で黒い
土耳其
(
トルコ
)
帽を
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
荒尾が又決して
喋
(
しやべ
)
る男ぢやない。それがどうして知れたのか、
衆
(
みんな
)
が知つてゐて……僕は実に驚いた。四方八方から
祝盃
(
しゆくはい
)
だ祝盃だと、十も二十も一度に
猪口
(
ちよく
)
を差されたのだ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
裏の
家主
(
おほや
)
さんでさう言つて下すつたんだけど、お安が言ふんでは、よくそこいらへ出てべちや/\下らない事を
喋
(
しやべ
)
つたりしてゐるといふから、そんな女では困ると思つてね。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
得ず夫婦
連立
(
つれだち
)
町役人に
誘引
(
いざなは
)
れ奉行所さして
出行
(
いでゆき
)
けり
頓
(
やが
)
て白洲へ
呼込
(
よびこま
)
れけるに長庵は
那
(
あ
)
の忠兵衞めが
入
(
いら
)
ざる事を
喋
(
しやべ
)
りて
斯
(
かゝ
)
る
時宜
(
じぎ
)
に及ばせたれば今日こそは目に物見せんと覺悟を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
殊に向隅に陣取つたのは清国留学生が七八名、遠い本国の言葉で高声に
喋
(
しやべ
)
り散らして居る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
『
私
(
わたくし
)
は
喋
(
しやべ
)
る
事
(
こと
)
が
下手
(
へた
)
だから、
分
(
わか
)
らなかつたら、
何度
(
なんど
)
でも
聽返
(
きゝかへ
)
して
下
(
くだ
)
さい。』と
例
(
れい
)
の
口調
(
くちよう
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
是
(
これ
)
は
貴方
(
あなた
)
も
御承知
(
ごしようち
)
の
石切河岸
(
いしきりがし
)
にゐた
故人
(
こじん
)
柴田是真翁
(
しばたぜしんをう
)
の
処
(
ところ
)
へ
私
(
わたくし
)
が
行
(
い
)
つて聞いた話ですが、
是
(
これ
)
は
可笑
(
をか
)
しいて……
私
(
わたくし
)
が
何処
(
どこ
)
へ
行
(
い
)
つても
口馴
(
くちな
)
れてお
喋
(
しやべ
)
りをするのは
御承知
(
ごしようち
)
の
塩原多助
(
しほばらたすけ
)
の
伝
(
でん
)
だが
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
家にゐたところで別に賑かに
喋
(
しやべ
)
り立てるわけでもなし、むしろ年中窮屈さうに不服ありげに無口で固い顔をしてゐる茂子が、今この家にゐないと知つただけで、こんなに伸び伸びし
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
彼の隣りにゐる、品のいい、うら若い佛蘭西人は、最初の三日ほどは、
喋
(
しやべ
)
つたり、笑つたりしてゐた。が、いまはもう、何にも分からないやうだつた。まるで睡りたがつてゐる子供のやう。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
陶は
烈
(
はげ
)
しく首を振つたり手を拡げたりして
喋
(
しやべ
)
つた。この男でもこんな感情を持ち合せるものかと思つて、僕は妙な時に一寸
可笑
(
をか
)
しかつた。が、曾老人はやはり身振りで陶の言ひ方を否定してゐた。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
このお
喋
(
しやべ
)
り男は大きな声で叫んだ。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
誰にもこの事は
喋
(
しやべ
)
らなかつた。
めたん子伝
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
一同は、やがて、サロンに陣取つて、様々な国語でお
喋
(
しやべ
)
りをはじめました。支配人が、いち/\挨拶をして廻つてゐます。
けむり(ラヂオ物語)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
女は早口に、
訛
(
なま
)
りの強い言葉で
喋
(
しやべ
)
り、ギター弾きを追ひかへした。そのアクセントが、何となくゆき子に似てゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
さうしてそれは平常、彼が考へても居ないやうな思ひがけない考への
片鱗
(
へんりん
)
であるのに、
喋
(
しやべ
)
りながら気がついた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
三助は
獰猛
(
どうまう
)
な
面構
(
つらがま
)
に似氣なく、一つ脅かされると、ペラペラと
喋
(
しやべ
)
つてしまひさうな樣子です。——腹からの惡黨ではないな——と平次が見て取つたのも無理はありません。
銭形平次捕物控:009 人肌地藏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私は何だかひどくうかされて夢中で
喋
(
しやべ
)
つてゐるやうな氣がする。この今の瞬間を ad infinitum(永遠)に長引かせたいやうに思ふ。しかし思ひ切つては出來ない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
芳の奴が
喋
(
しやべ
)
つたなと感付く。怎したものか、
既
(
もう
)
茶を入れて飮まうと云ふ氣もしない。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
道々
(
みち/\
)
も一
分
(
ぷん
)
の
絶間
(
たえま
)
もなく
喋
(
しやべ
)
り
續
(
つゞ
)
けて、カフカズ、ポーランドを
旅行
(
りよかう
)
したことなどを
話
(
はな
)
す。
而
(
さう
)
して
大聲
(
おほごゑ
)
で
眼
(
め
)
を
剥出
(
むきだ
)
し、
夢中
(
むちゆう
)
になつてドクトルの
顏
(
かほ
)
へはふツ/\と
息
(
いき
)
を
吐掛
(
ふつか
)
ける、
耳許
(
みゝもと
)
で
高笑
(
たかわらひ
)
する。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
すると
或日
(
あるひ
)
、
藪
(
やぶ
)
の中で、お
喋
(
しやべ
)
りの、みそさゞいが子鶉を呼びかけました。
孝行鶉の話
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
べら/\
喋
(
しやべ
)
りをると
然
(
さ
)
も恐ろしき顏色にて
睨付
(
ねめつけ
)
ければお民も今更一生懸命に
泣聲
(
なきごゑ
)
を出し久兵衞さん御前こそ
虚
(
うそ
)
を
御吐
(
おつき
)
なさる私しは御奉行樣より
有體
(
ありてい
)
に申せとの仰せ故
包
(
つゝ
)
まず申上るのさ決して私しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「さうか知らん? 今日は特別にいゝ血色をしてゐるから、さう思ふんだらう? 今日は加納にあ大出来さ。いや、悪口ぢやないよ」と野田は、子供を扱ふ事にはもう
馴
(
な
)
れたといふ調子で
喋
(
しやべ
)
るのだ。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
喋
(
しやべ
)
るのは湯村一人。二人の学生は黙つて聞くより外はなかつた。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
いやはや、これはお
喋
(
しやべ
)
りをしました。御免……。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
眠
(
ね
)
られないとなると、どうしても
眠
(
ね
)
つかれませんの。この人ですわ、人に
喋
(
しやべ
)
らしといて、ぐうぐう鼾をかいてるのは。
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
咽喉
(
のど
)
の乾いたゆき子は、そのコップの水をがぶがぶと
美味
(
うま
)
さうに飲み干して、わけのわからぬ事を
喋
(
しやべ
)
つてゐる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
片付けてゐると、五人の子供達が、何にか
脅
(
おび
)
えたやうに、ひとかたまりになつて
喋
(
しやべ
)
つて居たさうです。權次はそれつ切り中富坂の家へ歸つたから、後は何んにも知らないと言ふんで
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さうしてそれがまた、あの案内の女が、
喋
(
しやべ
)
りつづけに喋つて居るその家の由来に就て、何の興味も持たぬらしく、ただ無愛想に
空返事
(
そらへんじ
)
を与へて居るに過ぎなかつた
所以
(
ゆゑん
)
ででもある。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
と景氣づいて
喋
(
しやべ
)
つてゐた昌作は、信吾の顏を見ると神經的に太い眉毛を動かして
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
やがてまた、それらの一人一人が、なにやら彼に
喋
(
しやべ
)
りかけるように、唇を動かしはじめる。彼は、耳をすます。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
「うつかり
喋
(
しやべ
)
つて、どんなことになるか分りません。私は恐しかつたんです」
銭形平次捕物控:125 青い帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、
先刻
(
さつき
)
の事を
喋
(
しやべ
)
り出した。『ハハヽヽ。』と四五人一度に笑ふ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さつき、あんなお
喋
(
しやべ
)
りをしたからでございませうか……。なんですか、胸騒ぎがしてしやうがございません。
顔
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
歸つて定吉に訊くと、定吉は母の前だから、ペラ/\
喋
(
しやべ
)
つて了つたのさ。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
種々
(
いろ/\
)
な事を
詳
(
くど
)
く
喋
(
しやべ
)
つて聞かして、九時頃に寢る事になつた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
悲しい女の運命は、さういふところにも慰めが欲しいんだと、お思ひ下さいませ。あゝ、長々と、お
喋
(
しやべ
)
りをいたしました。ほんとに、よく御辛抱下さいました。
顔
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
それは/\
種々
(
いろ/\
)
な事を
喋
(
しやべ
)
り立てる。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
篠子 さ、お
喋
(
しやべ
)
りをしてないで、失礼しませう。でも、なんでせう、一体、そのお話つていふのは……。
ママ先生とその夫
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
喋
漢検準1級
部首:⼝
12画
“喋”を含む語句
喋舌
喋々
喋言
喋喋
喋々喃々
喃々喋々
喋々語
喋合
喋白
喋舌家
喋舌立
喋苦
御喋