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不相変
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あいかわらず
ふりがな文庫
“
不相変
(
あいかわらず
)” の例文
旧字:
不相變
けれども相手は
不相変
(
あいかわらず
)
「お金をおくれよう」を繰り返している。Nさんはじりじり引き戻されながら、もう一度この少年をふり返った。
春の夜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「君
不相変
(
あいかわらず
)
やってるな」と今までの行き掛りは忘れて、つい感投詞を奉呈した。黒はそのくらいな事ではなかなか機嫌を直さない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
検事の論告、私の弁論、この間、被告人は美しい顔を少しも乱さず、
不相変
(
あいかわらず
)
、しずかな表情をもって黙ってきいて居たのでした。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
間
(
ま
)
もなく
良人
(
おっと
)
の
姿
(
すがた
)
がすーッと
浪打際
(
なみうちぎわ
)
に
現
(
あら
)
われました。
服装
(
ふくそう
)
その
他
(
た
)
は
不相変
(
あいかわらず
)
でございますが、しばらく
見
(
み
)
ぬ
間
(
ま
)
に
幾
(
いく
)
らか
修行
(
しゅぎょう
)
が
積
(
つ
)
んだのか、
何所
(
どこ
)
となく
身
(
み
)
に
貫禄
(
かんめ
)
がついて
居
(
お
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
人を知ることに於ても人に知られる事に於ても
不相変
(
あいかわらず
)
自分は貧弱極まるものである、現在生きて居られる諸名士のうちにも随分不朽の人物がおいでになるに相違あるまいと思うが
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
ニコル文学士は
不相変
(
あいかわらず
)
例の
洋傘
(
こうもり
)
や汚い古帽子や手袋などを抱えて応接室に待っていた。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
君は余の
不相変
(
あいかわらず
)
ぼんやりして
麦扱
(
むぎこ
)
きをして居るのを見て、正気だと
鑑定
(
かんてい
)
をつけたと見え、来て見て安心したと云った。
而
(
そう
)
して此れから北海道の
増毛
(
ましげ
)
病院長となって赴任する所だと云った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
田舎の先生は一向
無頓着
(
むとんちゃく
)
にて
不相変
(
あいかわらず
)
元勲崇拝なるも腹立たしき訳に候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
凡て近来の俳句一般に上達、巧者に相成候様子に存じ候。『読売』などに時々出るのは
不相変
(
あいかわらず
)
まずきよう覚え候。まずしといえば小生先頃自身の旧作を検査いたし、そのまずきことに一驚を喫し候。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「宗さん、
不相変
(
あいかわらず
)
いけますね」と三吉が戯れて言った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
不相変
(
あいかわらず
)
の独りで、偉がって
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし彼等は
不相変
(
あいかわらず
)
一町ほど向うの
笹垣
(
ささがき
)
を後ろに何か話しているらしかった。僕等は、——殊にO君は拍子抜けのしたように笑い出した。
蜃気楼
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「僕ですか、僕はなかなか散歩する暇なんかないです。
不相変
(
あいかわらず
)
多忙でね。今日はちょっと上野の図書館まで調べ物に行ったです」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
母親は、直に、ソレイランが嘘をついているなと思って、引かえして彼を詰問したが、
不相変
(
あいかわらず
)
、同じ事を彼は主張した。
殺人狂の話:(欧米犯罪実話)
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
漸
(
ようや
)
く
心
(
こころ
)
を
落
(
おち
)
つけて
私
(
わたくし
)
の
方
(
ほう
)
から
訊
(
たず
)
ねました。すると
先方
(
せんぽう
)
は
不相変
(
あいかわらず
)
にこやかに——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
というのはこの地方では
不相変
(
あいかわらず
)
囲炉裡
(
いろり
)
で
焚火
(
たきび
)
をやっているが、それは燃料の経済からいっても、住居の構造と衛生からいっても損するところが多いものだ、それに
薪
(
まき
)
の材料も年々不足して来るし
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
不相変
(
あいかわらず
)
ちっとも売れないね。作者と読者との間には伝熱作用も起らないようだ。——時に長谷川君の結婚はまだなんですか?」
寒さ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「僕らは
不相変
(
あいかわらず
)
教場内でワーっと笑ったあね。生意気だ、生意気だって笑ったあね。——どっちが生意気か分りゃしない」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
而
(
そし
)
て小田夫妻は極めて平穏に、平和に暮して居るように見えました。ただ道子が
不相変
(
あいかわらず
)
若い男達と交際して居た事は、或る人達の眉を
顰
(
ひそ
)
めさせて居たのです。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
丁度
(
ちょうど
)
その
時
(
とき
)
私
(
わたくし
)
は
海
(
うみ
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
で
不相変
(
あいかわらず
)
統一
(
とういつ
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
三
昧
(
まい
)
に
耽
(
ふけ
)
って
居
(
お
)
りましたので、
右
(
みぎ
)
の
婦人
(
ふじん
)
の
熱誠
(
ねっせい
)
こめた
祈願
(
きがん
)
がいつになくはっきりと
私
(
わたくし
)
の
胸
(
むね
)
に
通
(
つう
)
じて
来
(
き
)
ました。これには
私
(
わたくし
)
も一と
方
(
かた
)
ならず
驚
(
おどろ
)
きました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
小生は
不相変
(
あいかわらず
)
都新聞の第一面の編輯でくすぶっていたのだ、そのうち松岡君は政友会へ入り込んだ、これは市政記者として出入している間に森久保系や何かと懇意なものが出来たせいもあるだろう
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、お蓮は
不相変
(
あいかわらず
)
、ぼんやりそこに
佇
(
たたず
)
んだまま、植木の並んだのを眺めている。そこで牧野は相手の
後
(
うしろ
)
へ、忍び足にそっと近よって見た。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いや黒君おめでとう。
不相変
(
あいかわらず
)
元気がいいね」と
尻尾
(
しっぽ
)
を立てて左へくるりと廻わす。黒は尻尾を立てたぎり挨拶もしない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
露子はどう考えていたかわかりませぬが、
不相変
(
あいかわらず
)
少しも不平らしい言葉も出さず私を迎えました。
悪魔の弟子
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
しかし当の摩利信乃法師は、
不相変
(
あいかわらず
)
高慢の
面
(
おもて
)
をあげて、じっとこの
金甲神
(
きんこうじん
)
の姿を眺めたまま、眉毛一つ動かそうとは致しません。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
拝啓
柳暗花明
(
りゅうあんかめい
)
の好時節と相成候処いよいよ御壮健
奉賀
(
がしたてまつり
)
候
(
そうろう
)
。小生も
不相変
(
あいかわらず
)
頑強
(
がんきょう
)
、
小夜
(
さよ
)
も息災に候えば、
乍憚
(
はばかりながら
)
御休神
可被下
(
くださるべく
)
候
(
そうろう
)
。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
君は知ってるだろうが、ワイフは
不相変
(
あいかわらず
)
弱くてね、正月から小田原にずっと行ってるんだ。
正義
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
僕の左に坐ったのは僕のおととい
沅江丸
(
げんこうまる
)
の上から
僅
(
わず
)
かに
一瞥
(
いちべつ
)
した支那美人だった。彼女は水色の夏衣裳の胸に
不相変
(
あいかわらず
)
メダルをぶら下げていた。
湖南の扇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「君は
不相変
(
あいかわらず
)
勉強で結構だ、その読みかけてある本は何かね。ノートなどを入れてだいぶ
叮嚀
(
ていねい
)
に調べているじゃないか」
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
不相変
(
あいかわらず
)
何も知らぬの一てんばりで押通したが丁度その時、刑事の一人が、しきりに燃えているストーブの蓋をあけて中の物を引出してみると、それは血がついた肉塊であった。
殺人狂の話:(欧米犯罪実話)
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
田中中尉は
不相変
(
あいかわらず
)
晴ればれした
微笑
(
びしょう
)
を浮かべている。こう云う
自足
(
じそく
)
した微笑くらい、
苛立
(
いらだ
)
たしい気もちを
煽
(
あお
)
るものはない。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから
天井
(
てんじょう
)
を見た。
不相変
(
あいかわらず
)
ひびが入っていて不景気だ。上で何かごとごという音が聞こえる。下女が四階の室で靴でもはいているんだろう。部屋はますますあかるくなる。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その時は風はやみましたが雨は
不相変
(
あいかわらず
)
降って居たので、主人夫妻は二人の客に頻りと泊って行くようにすすめたのでしたが、友田はK町に家があるので之を断って車で帰りました。
彼が殺したか
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
そうして、ほどなく、見た所から
無骨
(
ぶこつ
)
らしい伝右衛門を伴なって、
不相変
(
あいかわらず
)
の微笑をたたえながら、
得々
(
とくとく
)
として帰って来た。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「天然居士と云うなあやはり偶然童子のような戒名かね」と迷亭は
不相変
(
あいかわらず
)
出鱈目
(
でたらめ
)
を云う。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
相手は
不相変
(
あいかわらず
)
にやにやして居る。
途上の犯人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
堂内は
不相変
(
あいかわらず
)
ひっそりしている。神父も身動きをしなければ、女も
眉
(
まゆ
)
一つ動かさない。それがかなり長い
間
(
あいだ
)
であった。
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
寒気
(
かんき
)
相加わり
候処
(
そろところ
)
如何
(
いかが
)
御暮し
被遊候
(
あそばされそろ
)
や。
不相変
(
あいかわらず
)
御丈夫の事と
奉遥察候
(
ようさつたてまつりそろ
)
。私事も無事」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分はすぐに顔を洗いに行った。
不相変
(
あいかわらず
)
雲のかぶさった、
気色
(
きしょく
)
の悪い天気だった。
風呂場
(
ふろば
)
の
手桶
(
ておけ
)
には
山百合
(
やまゆり
)
が二本、
無造作
(
むぞうさ
)
にただ
抛
(
ほう
)
りこんであった。
子供の病気:一游亭に
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
村鍛冶の音は
不相変
(
あいかわらず
)
かあんかあんと鳴る。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
妻や赤子は
不相変
(
あいかわらず
)
静かに寝入っているらしかった。けれども夜はもう白みかけたと見え、妙にしんみりした
蝉
(
せみ
)
の声がどこか遠い木に澄み渡っていた。
死後
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
治修
(
はるなが
)
はちょっと
眉
(
まゆ
)
をひそめた。が、目は
不相変
(
あいかわらず
)
厳
(
おごそ
)
かに三右衛門の顔に注がれている。三右衛門はさらに言葉を続けた。
三右衛門の罪
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
オルガンティノは気味悪そうに、声のした方を
透
(
す
)
かして見た。が、そこには
不相変
(
あいかわらず
)
、
仄暗
(
ほのぐら
)
い薔薇や
金雀花
(
えにしだ
)
のほかに、人影らしいものも見えなかった。
神神の微笑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
保吉は予言者的精神に富んだ二三の友人を尊敬しながら、しかもなお心の一番底には
不相変
(
あいかわらず
)
ひとりこう思っている。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
が、
後
(
あと
)
では毛利先生が、明るすぎて寒い電燈の光の下で、客がいないのを
幸
(
さいわ
)
いに、
不相変
(
あいかわらず
)
金切声
(
かなきりごえ
)
をふり立て、熱心な給仕たちにまだ英語を教えている。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
不相変
(
あいかわらず
)
慎ちゃんは
煮
(
に
)
え切らないのね。高等学校へでもはいったら、もっとはきはきするかと思ったけれど。——」
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
進退共に
窮
(
きわ
)
まった尼提は
糞汁
(
ふんじゅう
)
の中に
跪
(
ひざまず
)
いたまま、こう如来に歎願した。しかし如来は
不相変
(
あいかわらず
)
威厳のある微笑を
湛
(
たた
)
えながら、静かに彼の顔を
見下
(
みおろ
)
している。
尼提
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしお
蓮
(
れん
)
の憂鬱は、二月にはいって
間
(
ま
)
もない頃、やはり
本所
(
ほんじょ
)
の
松井町
(
まついちょう
)
にある、手広い二階家へ住むようになっても、
不相変
(
あいかわらず
)
晴れそうな
気色
(
けしき
)
はなかった。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
保吉の隣りにいる少女も、——しかし少女は
不相変
(
あいかわらず
)
編みものの手を動かしながら、落ち着き払った返事をした。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし辰子は
不相変
(
あいかわらず
)
落ち着いた微笑を浮べながら、
眩
(
まぶ
)
しそうに黄色い電燈の笠へ目をやっているばかりだった。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
相
常用漢字
小3
部首:⽬
9画
変
常用漢字
小4
部首:⼡
9画
“不相変”で始まる語句
不相変欝々