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一塊
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ひとかたまり
ふりがな文庫
“
一塊
(
ひとかたまり
)” の例文
それはそれらの団体が
一塊
(
ひとかたまり
)
となって共通的な行動を取るように仕組まれた組織で、一つの組合には組長、副組長というものがあって
幕末維新懐古談:47 彫工会の成り立ちについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
最後に
瘠
(
や
)
せた
一塊
(
ひとかたまり
)
の肉団をどぶりと湯の中に
抛
(
ほう
)
り込むように
浸
(
つ
)
けて、敬太郎とほぼ同時に身体を拭きながら上って来た。そうして
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小學校歸りの兒童が五人八人ぐらゐづつ
一塊
(
ひとかたまり
)
になつて來て、二人の姿をヂロヂロ見やつては、不思議さうな顏をして
駈
(
か
)
け去つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
今
茲
(
ここ
)
に空気の
一塊
(
ひとかたまり
)
が高い所へ昇って行くと、四方からこれを圧している外気の圧力が減ずるから、その空気の塊は漸次膨脹する。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
煙草入
(
たばこいれ
)
にも入れてなく、
嚢
(
ふくろ
)
にも入れてなくして、
暖炉
(
ストーブ
)
枠の上、食器棚の上、ピアノの上
等
(
とう
)
至る所に
一塊
(
ひとかたまり
)
づゝにして載せてある。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
▼ もっと見る
大
(
おお
)
きく
開
(
ひら
)
いた
目
(
め
)
、
真
(
ま
)
っ
赤
(
か
)
な
顔
(
かお
)
、
火
(
ひ
)
がだるまのようになって、
敵陣
(
てきじん
)
目
(
め
)
がけて、
一塊
(
ひとかたまり
)
となって、
突
(
つ
)
っ
込
(
こ
)
んでいった
友軍
(
ゆうぐん
)
の
姿
(
すがた
)
が……。
少女と老兵士
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
辰さんは田の中から、
一塊
(
ひとかたまり
)
の土を取って来て、青い毛のような草の根が隠れていることを私に示した。それは「ひょうひょう草」とか言った。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
氷を取り寄せて女房たちに薫は割らせ、その
一塊
(
ひとかたまり
)
を取って宮にお持たせしたりしながら心では自身の稚態がおかしかった。
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
座鋪に帰って、親子のものの遠慮して這入口に
一塊
(
ひとかたまり
)
になっているのを見て、末造は
愛想
(
あいそ
)
好く席を進めさせて、待っていた女中に、料理の注文をした。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼はすべてを承認した。人は真理の方へ進みながら途中
誤謬
(
ごびゅう
)
に出会うことがある。彼は一種の熱烈な誠意を持っていて、すべてを
一塊
(
ひとかたまり
)
にしてのみ込んだ。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
或日、同僚数名が
一塊
(
ひとかたまり
)
になって話し込んでいる時、一人が咳をして窓を開けた。煙草の煙に
噎
(
む
)
せたのだった。
善根鈍根
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
椰子の樹下のタクシーに英国人十数人が一人の女を胴あげにして
一塊
(
ひとかたまり
)
になると喚声の間に泣き叫ぶ女の哀調をのこして
砂塵
(
さじん
)
をたてて見えなくなってしまった。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
あるいはまたもの見高い
市女笠
(
いちめがさ
)
やらが、
数
(
かず
)
にしておよそ二三十人、中には竹馬に跨った
童部
(
わらべ
)
も交って、皆
一塊
(
ひとかたまり
)
になりながら、
罵
(
ののし
)
り騒いでいるのでございます。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
風通しのよい二階では、障子をしめた窓の片蔭に、浅井や婆さんや、よくここへ遊びに来る近所の医者などが
一塊
(
ひとかたまり
)
になって、目を光らせながら花に
耽
(
ふけ
)
っていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「臭いはする。あの燐の
一塊
(
ひとかたまり
)
を空気中に放出しておけば、ふすふすと白煙を
揚
(
あ
)
げて自燃作用を起す、そのおりに発散するむせるような臭い、そんな臭いがする」
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
唯不気味な息づかいの荒々しさが
一塊
(
ひとかたまり
)
となって、丁度機関車の煙突の音と間違うばかりの壮烈なる促音調を響かせながら、一陣の突風と共に私の眼の先をかすめた。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
いつとはなしに霊気といつたやうなものが、中に潜り込んでゐるらしい気持がするので、家に帰つてそつと口を開けてみると、真白な綿のやうなちぎれ雲の
一塊
(
ひとかたまり
)
が
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
セエラがそう思ったとたん、
一塊
(
ひとかたまり
)
の石炭が燃え砕け、炉枠にぶっつかって、音を立てました。ベッキイは怯えて飛び上り、息をはずませながら、大きな眼をあけました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
中田屋杉之助の顏は眞つ蒼、——その
藍
(
あゐ
)
のやうな額に油汗が浮かんで、恐ろしい苦惱の色が
鞭打
(
むちう
)
つたやうに顏中を走ると、胸を押へてクワツと吐いたのは
一塊
(
ひとかたまり
)
の血潮です。
銭形平次捕物控:167 毒酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一塊
(
ひとかたまり
)
づつ散つてしまふ、一人立ち去るその度に、広い海に囲まれて白々と鈍く輝やく岩壁の背がまるで零れた
汚点
(
しみ
)
を抜くやう、遠い
海風
(
うみかぜ
)
に吹き渡られて妙に侘しく漂白されるが
海の霧
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
勘左衛門の三人が
三鉄輪
(
みつがなわ
)
に座を構えて、浮世
雑談
(
ぞうだん
)
の序を開くと、その向うでは類は友の
中間
(
ちゅうげん
)
同志が
一塊
(
ひとかたまり
)
となッて話を始めた,そこで自分は少し離れて、女中連の中へはいり込み
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
海に接した部分は風に吹かれる幕の裾のやうに煽られながら惡夢の物凄さを以て近よつて來る。見る/\近よつて來る。突然吹きちぎられた濃霧の
一塊
(
ひとかたまり
)
が彼れを包んだ。彼れの眼は盲ひた。
潮霧
(旧字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
そして、その婆さんの、白い
一塊
(
ひとかたまり
)
の石のやうになつた頭を、蹴つて見ますと
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
端には
一塊
(
ひとかたまり
)
の腐れ縄、そこに、蛙がひょんと跳んで、
凝
(
じ
)
っと動かないのだ。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
保名
(
やすな
)
が
驚
(
おどろ
)
いて
振
(
ふ
)
り
返
(
かえ
)
って
見
(
み
)
るひまもなく、すぐ
目
(
め
)
の
前
(
まえ
)
に
一人
(
ひとり
)
、りっぱな
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
った
大将
(
たいしょう
)
らしい
侍
(
さむらい
)
を
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
てて、こんどは
何
(
なん
)
百
人
(
にん
)
という
侍
(
さむらい
)
が、
一塊
(
ひとかたまり
)
になって
寄
(
よ
)
せて
来
(
き
)
て、
保名主従
(
やすなしゅじゅう
)
を
取
(
と
)
り
囲
(
かこ
)
みました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
……(運八が銀の鶏……ではあれども、職人
頭
(
がしら
)
は兄弟分、……まず出来た。この形。)と雪を、あの
一塊
(
ひとかたまり
)
……
鳥冠
(
とさか
)
を
捻
(
ひね
)
り、
頸
(
くび
)
を据え、翼を
形
(
かた
)
どり、尾を
扱
(
しご
)
いて、丹念に、でも、あらづもりの形を。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大玄関前の
駒寄
(
こまよせ
)
を離れて、
一塊
(
ひとかたまり
)
の騎馬の影が
此方
(
こなた
)
へ流れて来る。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
重い液体の
一塊
(
ひとかたまり
)
の様に、横わっていた。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ああ、
一塊
(
ひとかたまり
)
の蠅は
雲
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
黒い鉄の扉が左右へ
開
(
あ
)
くと、薄暗い奥の方に、灰色の丸いものだの、黒いものだの、白いものだのが、形を成さない
一塊
(
ひとかたまり
)
となって
朧気
(
おぼろげ
)
に見えた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
人々は土を
掴
(
つか
)
んで、穴をめがけて投入れる。叔父も丑松も
一塊
(
ひとかたまり
)
づゝ投入れた。最後に
鍬
(
くは
)
で掻落した時は、崖崩れのやうな音して烈しく棺の蓋を打つ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
小學校の兒童が五人、八人づつ
一塊
(
ひとかたまり
)
になつて歸つて來る。其の
塊
(
かたまり
)
の中から可愛らしいお光を見出して家へ呼び込む。それが小池の毎日の仕事のやうになつてゐた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
野犬
(
やけん
)
の一
群
(
ぐん
)
は、ジャックを
中心
(
ちゅうしん
)
にして、
自分
(
じぶん
)
たちの
生活
(
せいかつ
)
を
営
(
いとな
)
むことにしました。
彼
(
かれ
)
らは、どこへいくにも
一塊
(
ひとかたまり
)
となって、いつでも
敵
(
てき
)
に
当
(
あ
)
たる
用意
(
ようい
)
をしていました。
花の咲く前
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
はげしい
太刀音
(
たちおと
)
と叫喚の声とが、
一塊
(
ひとかたまり
)
になった敵味方の中から、ひっきりなしにあがって来る。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小使い部屋の物置きに石炭が
貯蔵
(
ちょぞう
)
してある。大きなのを
一塊
(
ひとかたまり
)
持ってくるとさしあたりしのげる。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
子供の姿は、まるで
一塊
(
ひとかたまり
)
の
襤褸
(
ぼろ
)
でした。赤い泥まみれな素足が、その襤褸の中から覗き出していました。恐ろしくこんがらがった髪の下から、大きな、ひもじそうな眼を見張っていました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
次の段に乗せてあった
摺鉢
(
すりばち
)
と、摺鉢の中の
小桶
(
こおけ
)
とジャムの
空缶
(
あきかん
)
が同じく
一塊
(
ひとかたまり
)
となって、下にある火消壺を誘って、半分は
水甕
(
みずがめ
)
の中、半分は板の間の上へ転がり出す。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
眼に
入
(
い
)
る低い軒、近頃
砂利
(
じゃり
)
を敷いたらしい狭い道路、貧しい電灯の影、
傾
(
かた
)
むきかかった
藁屋根
(
わらやね
)
、黄色い
幌
(
ほろ
)
を
下
(
おろ
)
した
一頭立
(
いっとうだて
)
の馬車、——新とも旧とも片のつけられないこの
一塊
(
ひとかたまり
)
の配合を
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
塊
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“一塊”で始まる語句
一塊片