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一口
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ひとふり
ふりがな文庫
“
一口
(
ひとふり
)” の例文
道理で、辻斬りが
流行
(
はや
)
るというのにこのごろはなお何かに呼ばれるように左膳は夜ごとの
闇黒
(
やみ
)
に迷い出る——もう
一口
(
ひとふり
)
の刀さがしに!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
平次は落着払ってその下を見ると、底の方へ押込むように入れてあるのは、
一口
(
ひとふり
)
の
匕首
(
あいくち
)
、抜いてみると、思いの外の凄い道具です。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大地へ両手を突いて、頭を下げた子鉄は、その時に懐中へ手を入れて取り出して、二三間ばかり向うへ投げ出したのが
一口
(
ひとふり
)
の短刀です。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
自分の
鍛
(
う
)
つ剣に、自分が抱いた新しい信念を吹きこんで、その
一口
(
ひとふり
)
を、彼はまず、佐久間象山へ贈ろうと、発心したのであった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ト諸君はお竹蔵と云うのを御存じの
筈
(
はず
)
と思う。あの屋根から、誰が投げて、どのがらくたに交ったか、二尺ばかりの
蝋鞘
(
ろざや
)
が
一口
(
ひとふり
)
。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
若侍は
鷹揚
(
おうよう
)
に二ツ割の青竹の筒を出した。それを開くと中から錦の袋が出た。その袋の中からは普通の
脇差
(
わきざし
)
が
一口
(
ひとふり
)
。
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
又或る時、杉山法螺丸が何かのお礼の意味か何かで、頭山満に千円以上もする銘刀を
一口
(
ひとふり
)
贈った事がある。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこで、寄は
一口
(
ひとふり
)
のよい剣と一匹の蛇喰い犬とを用意して、いよいよ生贄にささげられた。
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
測らず
跬歩
(
きほ
)
敢て忘れん慈父の訓
飄零
(
ひようれい
)
枉
(
ま
)
げて受く美人の憐み 宝刀
一口
(
ひとふり
)
良価を求む 貞石三生宿縁を証す 未だ必ずしも世間偉士無からざるも 君が忠孝の双全を得るに
輸
(
つく
)
す
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
狸から謝礼を受けるわけにはいかないといつて拒絶してしまつたところ、その日は悄然と帰つたが、日を改めて再び現はれ短刀
一口
(
ひとふり
)
差出して謝礼を受けてもらへないのは苦しい。
日本の山と文学
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
作りつけの
蝋
(
ろう
)
人形のように、凄まじい眼を
剥
(
む
)
いている夫人の内ポケットを探って、
毒蛇
(
コブラ
)
の取り出したものは、万年筆型に仕込んだ五
吋
(
インチ
)
ばかりの、研ぎ澄ました
短剣
(
ドルク
)
がもう
一口
(
ひとふり
)
……後は時計
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
彼女は、当座の着替や化粧道具などを、一杯に詰め込んだ大きなトランクの底深く、
一口
(
ひとふり
)
の短剣を入れることを忘れなかった。それが、夫と二人
限
(
き
)
りの別荘生活に対する第一の準備だった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
木下大佐は、清君と燁代さんに、
一口
(
ひとふり
)
ずつの短刀を残してくれた。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
一番上は節用集が一冊、着物が五六枚、それを一枚一枚取出すと一番下に渋紙に包んであったのは、
鞘
(
さや
)
も
柄
(
つか
)
もない、
匕首
(
あいくち
)
が
一口
(
ひとふり
)
。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
うつくしき人はなかばのりいでたまいて、とある
蒔絵
(
まきえ
)
ものの手箱のなかより、
一口
(
ひとふり
)
の
守刀
(
まもりがたな
)
を取出しつつ
鞘
(
さや
)
ながら
引
(
ひき
)
そばめ、
雄々
(
おお
)
しき声にて
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
秀吉からは、その日、手みやげとして、黄金二十枚、
不動国行
(
ふどうくにゆき
)
の刀
一口
(
ひとふり
)
を、かれに贈り、なお伊勢地方での戦利品米、三万五千俵をも、
贈与
(
ぞうよ
)
した。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ところで、あるとき一人の浪人が、その花屋のお爺さんに
一口
(
ひとふり
)
の刀と、まだ
乳
(
ち
)
ばなれのしない女の子を預けてどこかへ行ってしまいました、この女の子が、あのお若さんなのです。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
見ろといえ。石の上に一本の松が生えていて、その石のうしろに
一口
(
ひとふり
)
の剣が秘めてある
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
うつくしき人はなかばのりいでたまひて、とある
蒔絵
(
まきえ
)
ものの手箱のなかより、
一口
(
ひとふり
)
の
守刀
(
まもりがたな
)
を
取出
(
とりだ
)
しつつ
鞘
(
さや
)
ながら
引
(
ひき
)
そばめ、
雄々
(
おお
)
しき声にて
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
残る一枚の
袷
(
あわせ
)
と、
一口
(
ひとふり
)
の刀を売って、最後の糧を手に入れると、相も変らず奇瑞の枕を抱いて、歓楽の夢を追う愚劣無残の彼の姿だったのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
清麿が欣んでくれたので、清人は、行燈を片手に、白鞘に仕立てたばかりの
一口
(
ひとふり
)
を持って来て、差出した。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、ゆくりなく拾い上げたのは
一口
(
ひとふり
)
の刀であります。それを駒井が提灯の光で見ている時、今まで眠れるもののように静かであった大川の水音が、
遽
(
にわ
)
かにざわついてきました。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
質の出入れ——この質では、ご新姐の蹴出し……
縮緬
(
ちりめん
)
のなぞはもう
疾
(
とっ
)
くにない、青地のめりんす、と短刀
一口
(
ひとふり
)
。数珠一
聯
(
れん
)
。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「後ろから脇差で刺されてをりましたが、見ると、脇差は柴田家のもの——父上御祕藏の
一口
(
ひとふり
)
ではございませんか」
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『お
座右
(
ざう
)
へ置くには足りませぬが、いずれ
一口
(
ひとふり
)
、その心をもって鍛ったものを持って参りまする』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袷を投げ出した時——衣類の間に見えたのは袋に入れた
一口
(
ひとふり
)
の懐剣です。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「後ろから脇差で刺されておりましたが、見ると、脇差は柴田家のもの——父上御秘蔵の
一口
(
ひとふり
)
ではございませんか」
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
一口
(
ひとふり
)
渡せ、一挺貸せ。——持たんのか。一本しかない刃物なら、
暗撃
(
やみうち
)
にしろ。離れて狙え。遠くから打て。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
金六は縁側の隅から、手拭に包んだ
一口
(
ひとふり
)
の短刀を持つて來て見せました。拵へも金具もよく、柄の
鮫
(
さめ
)
に血がこびり附いて居るのは、何んとなく不氣味です。
銭形平次捕物控:255 月待ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
恁
(
こ
)
う
仰々
(
ぎょうぎょう
)
しく
言出
(
いいだ
)
すと、
仇
(
かたき
)
の
髑髏
(
しゃれこうべ
)
か、毒薬の
瓶
(
びん
)
か、と驚かれよう、
真個
(
まったく
)
の事を言ひませう、さしたる儀でない、
紫
(
むらさき
)
の
切
(
きれ
)
を掛けたなりで、一
尺
(
しゃく
)
三
寸
(
ずん
)
、
一口
(
ひとふり
)
の
白鞘
(
しらさや
)
ものの刀がある。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
匕首を
一口
(
ひとふり
)
懷ろに入れ、切戸から庭へ入り、幸ひ開けたまゝになつて居る此部屋に入つて、匕首を敷居の上に置いたまゝ、お通さんの返事を訊かうとしたのだ
銭形平次捕物控:256 恋をせぬ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
恁
(
か
)
う
仰々
(
ぎやう/\
)
しく
言出
(
いひだ
)
すと、
仇
(
かたき
)
の
髑髏
(
しやれかうべ
)
か、
毒藥
(
どくやく
)
の
瓶
(
びん
)
か、と
驚
(
おどろ
)
かれよう、
眞個
(
まつたく
)
の
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひませう、さしたる
儀
(
ぎ
)
でない、
紫
(
むらさき
)
の
切
(
きれ
)
を
掛
(
か
)
けたなりで、一
尺
(
しやく
)
三
寸
(
ずん
)
、
一口
(
ひとふり
)
の
白鞘
(
しらさや
)
ものの
刀
(
かたな
)
がある。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
土をかき退けるように、掘り出してみると、見事な短刀が
一口
(
ひとふり
)
、
柄
(
つか
)
の
鮫
(
さめ
)
がすっかり血に汚れて、刃もひどい血曇りですが、どうしたことか
鞘
(
さや
)
が見当りません。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
得三は他に
一口
(
ひとふり
)
の
短刀
(
かいけん
)
を取り
出
(
いだ
)
して、腰に帯び、下枝を殺さんと心を
決
(
さだ
)
めて、北の台に赴き見れば、小手高う
背
(
そびら
)
に
捻
(
ね
)
じて
縛
(
いまし
)
めて、柱に結え附け置きたるまま、下枝は膝に額を
埋
(
うず
)
め
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土をかき退けるやうに、掘り出して見ると、見事な短刀が
一口
(
ひとふり
)
、柄の
鮫
(
さめ
)
がすつかり血に汚れて、刄もひどい血曇りですが、何うしたことか
鞘
(
さや
)
が見當りません。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
投出して手を
支
(
つ
)
くまでも、短刀を
一口
(
ひとふり
)
持っています——母の
記念
(
かたみ
)
で、峠を越えます日の暮なんぞ、随分それがために気丈夫なんですが、
謹
(
つつしみ
)
のために
桐油
(
とうゆ
)
に包んで、風呂敷の結び目へ
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
平次は手燭を借りると、一寸庭へ出ましたが、間もなく長目の刀を
一口
(
ひとふり
)
、
血錆
(
ちさび
)
のまゝ持つて來たのでした。
銭形平次捕物控:264 八五郎の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
背後
(
うしろ
)
から
視
(
なが
)
めて
意気
(
いき
)
昂
(
あが
)
つて、
腕
(
うで
)
を
拱
(
こまぬ
)
いて、
虚空
(
こくう
)
を
睨
(
にら
)
んだ。
腰
(
こし
)
には、
暗夜
(
あんや
)
を
切
(
き
)
つて、
直
(
たゞ
)
ちに
木像
(
もくざう
)
の
美女
(
たをやめ
)
とすべき、
一口
(
ひとふり
)
の
宝刀
(
ほうたう
)
を
佩
(
お
)
びたる
如
(
ごと
)
く、
其
(
そ
)
の
威力
(
ゐりよく
)
に
脚
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
んで、
胸
(
むね
)
を
反
(
そ
)
らした。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なるほどそういえば、音松の持っていたのは匕首が
一口
(
ひとふり
)
だけ、その辺に太刀も脇差も落ちてはいません。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
須弥壇は
四座
(
しざ
)
あって、壇上には
弥陀
(
みだ
)
、
観音
(
かんおん
)
、
勢至
(
せいし
)
の
三尊
(
さんぞん
)
、
二天
(
にてん
)
、
六地蔵
(
ろくじぞう
)
が安置され、壇の中は、真中に
清衡
(
きよひら
)
、左に
基衡
(
もとひら
)
、右に
秀衡
(
ひでひら
)
の
棺
(
かん
)
が納まり、ここに、各
一口
(
ひとふり
)
の
剣
(
つるぎ
)
を
抱
(
いだ
)
き、
鎮守府将軍
(
ちんじゅふしょうぐん
)
の
印
(
いん
)
を帯び
七宝の柱
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
廊下で刺したのも、三千麿のやうな氣がしない、刀に血が附いて居なかつた——いや刀は外にもう
一口
(
ひとふり
)
位はあるだらうが、三千麿が曲者なら、ワケも無く金兵衞を
銭形平次捕物控:261 弱い浪人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
魔とも、妖怪変化とも、もしこれが
通魔
(
とおりま
)
なら、あの火をしめす宮奴が気絶をしないで
堪
(
こら
)
えるものか。で、般若は一
挺
(
ちょう
)
の
斧
(
おの
)
を提げ、天狗は
注連
(
しめ
)
結いたる半弓に矢を取添え、狐は腰に
一口
(
ひとふり
)
の太刀を
佩
(
は
)
く。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
弁次郎は観念したらしく、腹巻を
捜
(
さぐ
)
って
匕首
(
あいくち
)
を
一口
(
ひとふり
)
取出し、柄を逆にして、平次の
掌
(
て
)
の上に載せます。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
香炉
(
こうろ
)
に線香を立てて、床に短刀が
一口
(
ひとふり
)
あった。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
成程さう言へば、音松の持つてゐたのは匕首が
一口
(
ひとふり
)
だけ、その邊に太刀も脇差も落ちてはゐません。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
一口
(
ひとふり
)
か一挺か
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「羽織が一枚と、匕首が
一口
(
ひとふり
)
と、血だらけの雜巾が一つ、尤も羽織も匕首やひどい血ですがね」
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手拭に包んで来たのは、
匕首
(
あいくち
)
が
一口
(
ひとふり
)
、切っ先が血に染んで、少し刃こぼれがあります。
銭形平次捕物控:100 ガラッ八祝言
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
手拭に包んで來たのは、
匕首
(
あひくち
)
が
一口
(
ひとふり
)
、切先が血に染んで、少し刄こぼれがあります。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
覗いて見ねえ、底に脇差が
一口
(
ひとふり
)
沈んでいるのが、よく見えるぜ
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“一口”の意味
《名詞》
(イッコウ)人数が一人。
(イッコウ)刀剣一振り。
(イッコウ、ひとくち)短い又はわずかな言葉。一言。
(イッコウ、ひとくち)同じ口、意見が一致すること、異口同音。
(イッコウ、ひとくち)一回で口に入るだけの少しの飲食。また、それだけの分量。
(ひとくち)詳細は同記事参照。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“一口”で始まる語句
一口噺
一口剣
一口話
一口物
一口阪