“をとめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヲトメ
語句割合
少女46.2%
處女24.2%
処女9.8%
乙女5.3%
童女3.0%
娘子2.3%
媛女0.8%
嬢子0.8%
孃子0.8%
童貞女0.8%
美人0.8%
乙名0.8%
小女0.8%
少婦0.8%
未通女0.8%
稚女0.8%
童貞0.8%
𡢳嬬0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今この処を過ぎんとするとき、とざしたる寺門の扉に倚りて、声を呑みつゝ泣くひとりの少女をとめあるを見たり。年は十六七なるべし。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それは十八九にもなるでせうか、身のこなしの輕捷けいせふな、歎きのうちにも愛嬌と明るさを失はない、世にも可愛らしい處女をとめでした。
毎年に一度の祭りあるごとに、生贄いけにへをぞ供へけるが、その生贄は、国人くにびといまとつがざる処女をとめをば、浄衣じやういに化粧してぞ奉りける。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふと、その過ぎ行く快樂の夢を米國の浪漫的ろうまんちく詩人アランポーが歌つた「おほがらす」の姿にして見た。レノアと云ふ世に亡き乙女をとめを戀して
『神無月の一夜』には至上の光に見とるる和魂の物蔭ほしげの童女をとめさびに、恭謙の柔輭の徳を称ふべく
『二十五絃』を読む (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
後に伊耶那岐の命「あなにやし、え娘子をとめを」とのりたまひき。
ここに七媛女をとめ高佐士野たかさじのに遊べるに、伊須氣余理比賣いすけよりひめその中にありき。ここに大久米の命、その伊須氣余理比賣を見て、歌もちて天皇にまをさく
また天皇、丸邇わに佐都紀さつきの臣が女、袁杼をど比賣をよばひに、春日にいでましし時、媛女をとめ、道に逢ひて、すなはち幸行いでましを見て、岡邊をかびに逃げ隱りき。かれ御歌よみしたまへる、その御歌
出雲宿禰の分れの家の嬢子をとめが、多くの男の寄つて来るのを煩はしがつて、身をよけよけして、何時か山の林の中に分け入つた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
今枚岡の御神に仕へて居るいつひめの罷める時が来ると、あの嬢子をとめが替つて立つ筈だ。其で、貴い所からのお召しにも応じかねて居るのだ。……結局誰も彼も、あきらめねばならぬ時が来るのだ。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
日向の國の諸縣もらがたの君が女、名は髮長かみなが比賣それ顏容麗美かほよしと聞こしめして、使はむとして、し上げたまふ時に、その太子ひつぎのみこ大雀の命、その孃子をとめの難波津にてたるを見て
かれその孃子をとめ、「仕へまつらむ」とまをしき。ここにその伊須氣余理比賣の命の家は、狹井さゐ一〇うへにあり。天皇、その伊須氣余理比賣のもとにでまして、一夜御寢みねしたまひき。
君こそは君こそはまこと童貞女をとめよ。
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
君こそは童貞女をとめよ。
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かれ天の下治らしめさむとせしほどに、平群へぐりの臣がおや、名は志毘しびの臣、歌垣うたがきに立ちて、その袁祁をけの命のよばはむとする美人をとめの手を取りつ。
かれ相感でて共婚まぐはひして、住めるほどに、いまだ幾何いくだもあらねば、その美人をとめはらみぬ。
ればかりはと子細しさいもなく、千扁一律せんべんいちりついやいやをとほして、はては世上せじやういまはしきうたはれながら、せま乙名をとめにもかけず、けゆくとししみもせず、しづかに月花つきはなをたのしんで
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼はまたニッコロが小女をとめ等の若き生命いのちを導きて貞淑みさをに到らしめんため彼等にをしまず物を施せしことをかたれり 三一—三三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
また慾にかわいて因業いんごふ世渡よわたりをした老婆もあツたらう、それからまただ赤子に乳房をふくませたことの無い少婦をとめや胸に瞋恚しんいのほむらを燃やしながらたふれた醜婦もあツたであらう。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
寢かしてやうなは今宵こよひとまらん積ならんいつまでかうしてゐたらばとてはてしなければ此方こなたよりいざなひ立ねば未通女をとめの事ゆゑ面伏おもぶせにもおもふしと一人ひとり承知しようち押入おしいれより夜具やぐ取出し其所へとこ敷延しきのべてお光に向ひ吾儕わたし御免ごめん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また「汝の哭く故は何ぞ」と問ひたまひしかば、答へ白さく「我が女はもとより八稚女をとめありき。ここに高志こし八俣やまた大蛇をろち、年ごとに來てふ。今その來べき時なれば泣く」
童貞をとめをまもる心には
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
はるそのくれなゐにほふももはなしたみち𡢳嬬をとめ 〔巻十九・四一三九〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)