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娘子
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をとめ
翁が
祖父の其の祖父すらも
生れぬはるかの
往古の事よ。此の
郷に
一五二真間の
手児女といふいと美しき
娘子ありけり。
後に伊耶那岐の命「あなにやし、え
娘子を」とのりたまひき。
只今
暇給はらば、
三六六娘子の命も
恙なくおはすべしといふを、庄司
更に
肯けず、我
三六七弓の
本末をもしりながら、かく
三六八いひがひなからんは、
大宅の人々のおぼす心もはづかし。
此の佐用が家は
頗る富みさかえて有りけるが、丈部母子の
賢きを
慕ひ、
娘子を
娶りて親族となり、
屡事に
托せて物を
餉るといへども、
九口腹の為に人を
累さんやとて、
敢て
承くることなし。