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鰻屋
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うなぎや
ふりがな文庫
“
鰻屋
(
うなぎや
)” の例文
二、三人の募集員が、汚い折り鞄を抱えて、時々格子戸を
出入
(
ではい
)
りした。昼になると、お庄はよく
河岸
(
かし
)
の
鰻屋
(
うなぎや
)
へ、丼を
誂
(
あつら
)
えにやられた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
帳面を繰りひろげて、
鰻屋
(
うなぎや
)
では米幾俵、
薪炭屋
(
すみや
)
では店の品
幾駄
(
いくだ
)
というように、それぞれ寄進の金高と品物の数が記されたのを見せると
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「この間の小説はもう出来上ったか。」と唖々子はわたしに導かれて、電車通の
鰻屋
(
うなぎや
)
宮川へ行く
途
(
みち
)
すがらわたしに問いかけた。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ
鮨屋
(
すしや
)
に
鰻屋
(
うなぎや
)
を兼ねた「お」の字亭のお
上
(
かみ
)
の話によれば、色の浅黒い、髪の毛の
縮
(
ちぢ
)
れた、小がらな女だったと言うことです。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それは最初拵えたものへ少しずつ拵え足して行って段々古くなるほどよく
醗酵
(
はっこう
)
して来ると申しますからちょうど
鰻屋
(
うなぎや
)
のタレのようなものです。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
前の年の暮に露領の方へ行く中根の送別会が
駒形
(
こまがた
)
の
鰻屋
(
うなぎや
)
であった折なぞは未だ嫂はピンピンしていた。岸本はそのことを兄の前に言出して見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
見付是は
珍
(
めづ
)
らしやと表へ呼出し向ふ横町の
鰻屋
(
うなぎや
)
へ
上
(
あが
)
りて物語りけるに三吉は
膝
(
ひざ
)
を進め
扨々
(
さて/\
)
面目なき
仕合
(
しあはせ
)
なれども誠に此體なれば
何卒
(
なにとぞ
)
少々の合力を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
蒲焼
(
かばやき
)
の折詰は山城屋が初めてくふうしたものであり、ほかの
鰻屋
(
うなぎや
)
ではまだどこでもやっていないのだ、と芳造は云った。
枡落し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
出羽
(
でわ
)
の山形は江戸から九十里で、弘前に至る行程の
半
(
なかば
)
である。常の旅には
此
(
ここ
)
に来ると祝う
習
(
ならい
)
であったが、五百らはわざと旅店を避けて
鰻屋
(
うなぎや
)
に宿を求めた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その当時の日記によると、丘の裾には
鰻屋
(
うなぎや
)
が一軒あったばかりで、丘の周囲にはほとんど人家がみえなかった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
其処は「
守喜
(
もりき
)
」という
鰻屋
(
うなぎや
)
の離れ座敷に建てたところで、狭くても気に入った住居であったらしかった。家賃三円にて高しといったのでも、質素な暮しむきが見える。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
引切
(
ひっきり
)
の無い人通りも、およそ途中で
立停
(
たちどま
)
って、芸者の形を見物するのは、
鰻屋
(
うなぎや
)
の前に
脂気
(
におい
)
を
嗅
(
か
)
ぐ、奥州のお婆さんと同じ恥辱だ、という心得から、誰も知らぬ顔で行違う。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「犬は大丈夫だが、橋詰の
鰻屋
(
うなぎや
)
の匂ひを嗅いだら、フラフラつとなるかも知れませんよ」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
娑婆
(
しゃば
)
の夜景にのびのびとして、
雪踏
(
せった
)
を軽く擦りながら町の軒並を歩きますに、茶屋の赤い灯、
田楽
(
でんがく
)
屋のうちわの音、
蛤鍋
(
はまなべ
)
、
鰻屋
(
うなぎや
)
の薄煙り、
声色屋
(
こわいろや
)
の
拍子木
(
ひょうしぎ
)
や影絵のドラなど、目に鼻に耳に
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
路を歩くにも上を見し事なく、筋向ふの筆やに子供づれの声を聞けば我が事を
誹
(
そし
)
らるるかと情なく、そしらぬ顔に
鰻屋
(
うなぎや
)
の
門
(
かど
)
を過ぎては
四辺
(
あたり
)
に人目の
隙
(
すき
)
をうかがひ、立戻つて駈け入る時の心地
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
二人
(
ふたり
)
は園遊会を辞して、
車
(
くるま
)
に乗つて、
金杉橋
(
かなすぎばし
)
の
袂
(
たもと
)
にある
鰻屋
(
うなぎや
)
へ
上
(
あが
)
つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
東京ならば
牛鍋屋
(
ぎゅうなべや
)
か
鰻屋
(
うなぎや
)
ででもなければ見られない茶ぶだいなるものの前に座を設けられた予は、岡村は
暢気
(
のんき
)
だから、
未
(
ま
)
だ気が若いから、遠来の客の感情を
傷
(
そこの
)
うた事も心づかずにこんな事をするのだ
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
祖父に当る富五郎は
八丁堀
(
はっちょうぼり
)
に
鰻屋
(
うなぎや
)
をしていたこともありました。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
磯野とも一度
鰻屋
(
うなぎや
)
で二人一緒に飯を食ったきりで、三日目の午後には、もう
利根川
(
とねがわ
)
の危い舟橋を渡って、独りで
熊谷
(
くまがや
)
から汽車に乗った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
紅葉
(
こうよう
)
小波
(
さざなみ
)
の門人ら折々宴会を催したるところなり。
鰻屋
(
うなぎや
)
の
大和田
(
おおわだ
)
また箱を入れたりしが陸軍の
計吏
(
けいり
)
と芸者の無理心中ありしより店を
閉
(
とざ
)
したり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
八官町の大輪田という
鰻屋
(
うなぎや
)
へ来ていっぱいやっているところを見ると、七兵衛が推察通り、薩摩屋敷の注意人物に相違ない。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その夕方、寒藤先生は八田塾生をともなって、中通りの「のんべ横丁」へ遠征し、屋台の
鰻屋
(
うなぎや
)
で鰻の頭を焼いたのを
肴
(
さかな
)
に、したたか
焼酎
(
しょうちゅう
)
を飲んで酔った。
季節のない街
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ちょうど
鰻屋
(
うなぎや
)
のタレのようなもので新しい内はよくなれていません。もしやパンが焼く前によく膨れていなかったら
一旦
(
いったん
)
蒸籠
(
せいろう
)
で蒸してそれから手水を振ってお焼きなさい。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「犬は大丈夫だが、橋詰の
鰻屋
(
うなぎや
)
の匂いを嗅いだら、フラフラッとなるかも知れませんよ」
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
外
(
ほか
)
に
鮨屋
(
すしや
)
の
与平
(
よへい
)
、
鰻屋
(
うなぎや
)
の
須崎屋
(
すさきや
)
、牛肉の
外
(
ほか
)
にも冬になると
猪
(
しし
)
や猿を食はせる
豊田屋
(
とよだや
)
、それから
回向院
(
ゑかうゐん
)
の表門に近い
横町
(
よこちやう
)
にあつた「
坊主
(
ぼうず
)
軍鶏
(
しやも
)
」——かう一々数へ立てて見ると
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
路
(
みち
)
を
歩
(
ある
)
くにも
上
(
うへ
)
を
見
(
み
)
し
事
(
こと
)
なく、
筋向
(
すじむか
)
ふの
筆
(
ふで
)
やに
子供
(
こども
)
づれの
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
けば
我
(
わ
)
が
事
(
こと
)
を
誹
(
そし
)
らるゝかと
情
(
なさけ
)
なく、そしらぬ
顏
(
かほ
)
に
鰻屋
(
うなぎや
)
の
門
(
かど
)
を
過
(
す
)
ぎては
四邊
(
あたり
)
に
人目
(
ひとめ
)
の
隙
(
すき
)
をうかゞひ、
立戻
(
たちもど
)
つて
駈
(
か
)
け
入
(
い
)
る
時
(
とき
)
の
心地
(
こゝち
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
鰻屋
(
うなぎや
)
の神田川——今にもその頃にも、まるで
知己
(
ちかづき
)
はありませんが、あすこの前を向うへ抜けて、大通りを
突切
(
つっき
)
ろうとすると、あの黒い雲が、聖堂の森の方へと
馳
(
はし
)
ると思うと、頭の上にかぶさって
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『毎日、
鶴
(
つる
)
の
餌
(
え
)
を持って上がる、お出入の
鰻屋
(
うなぎや
)
の
雇人
(
やといにん
)
でございますが』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手一ツの
女世帯
(
おんなじょたい
)
に追われている身は空が青く晴れて日が窓に
射込
(
さしこ
)
み、
斜向
(
すじむこう
)
の「
宮戸川
(
みやとがわ
)
」という
鰻屋
(
うなぎや
)
の
門口
(
かどぐち
)
の柳が緑色の芽をふくのにやっと時候の変遷を知るばかり。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それは
茨城
(
いばらき
)
の方で、以前関係のあった男が、そこで
鰻屋
(
うなぎや
)
の板前をしていることも打ち明けた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
猪之は手を振りながら
遮
(
さえぎ
)
った。
慥
(
たし
)
かに自分はそう思った、ところがこのあいだ、お松に暇が出たので、さそい合わせて浅草寺へ参詣にゆき、その帰りに
駒形
(
こまがた
)
の
鰻屋
(
うなぎや
)
で飯を
喰
(
た
)
べた。
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
手一
(
てひと
)
ツの
女世帯
(
をんなじよたい
)
に追はれてゐる身は空が青く晴れて日が窓に
射込
(
さしこ
)
み、
斜向
(
すぢむかう
)
の「
宮戸川
(
みやとがは
)
」と
云
(
い
)
ふ
鰻屋
(
うなぎや
)
の
門口
(
かどぐち
)
の
柳
(
やなぎ
)
が緑色の芽をふくのにやつと
時候
(
じこう
)
の
変遷
(
へんせん
)
を知るばかり。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それは松島と目と鼻の間の
駒込
(
こまごめ
)
に、古くから大きな店を構えている石屋で、二月か三月に一度くらい、船で観音
参詣
(
さんけい
)
に来て、そのたびに人目につかぬ裏道にある
鰻屋
(
うなぎや
)
などで彼女を呼び
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
鰻
漢検準1級
部首:⿂
22画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“鰻”で始まる語句
鰻
鰻飯
鰻丼
鰻掻
鰻谷
鰻上
鰻登
鰻針
鰻鱺
鰻釣