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駐
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とど
ふりがな文庫
“
駐
(
とど
)” の例文
私は以前とは反対に溪間を冷たく沈ませてゆく夕方を——わずかの時間しか地上に
駐
(
とど
)
まらない
黄昏
(
たそがれ
)
の厳かな
掟
(
おきて
)
を——待つようになった。
冬の蠅
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
彼はこのままむなしく
還
(
かえ
)
らないと決心して、病いと称してここに軍を
駐
(
とど
)
め、毎日四方を駈けめぐって険阻の奥まで探り明かした。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
御者はこの
店頭
(
みせさき
)
に馬を
駐
(
とど
)
めてけり。わが物得つと、車夫はにわかに勢いを増して、手を
揮
(
ふ
)
り、声を
揚
(
あ
)
げ、思うままに侮辱して駈け去りぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我が日本の開国についで政府の革命以来、全国人民の気風は開進の一方に
赴
(
おもむ
)
き、その進行の勢力はこれを
留
(
とど
)
めて
駐
(
とど
)
むべからず。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼は進みきたり、威嚇し、嘲笑し、我々の門口に立っている。しかし我々は絶望してはいけない。ハンニバルの
駐
(
とど
)
まる野は売るべしである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
八月
耿炳文
(
こうへいぶん
)
等
(
ら
)
兵三十万を率いて
真定
(
しんてい
)
に至り、
徐凱
(
じょがい
)
は兵十万を率いて
河間
(
かかん
)
に
駐
(
とど
)
まる。炳文は老将にして、太祖創業の功臣なり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
全軍が
駐
(
とど
)
まると、勝家の主隊から命をうけ立ち別れた部将たちが、声を張って、前後の部隊にそれぞれ令を伝えていた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
極
(
きょく
)
鳥羽上皇に奉仕して熊野に来たり
駐
(
とど
)
まりし女官が開きし古尼寺をすら、神社と称して公売せんとするに至れり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
さるお金持の
好奇
(
ものずき
)
なお医者さんが来て、この関ヶ原にあんぽつを
駐
(
とど
)
め、道中の雲助の
溢
(
あぶ
)
れをすっかり
掻
(
か
)
き集め、それにこのあたりの人夫をかり出して
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
思わずも足を
駐
(
とど
)
めて視ると、何か哀れな悲鳴を揚げている
血塗
(
ちみどろ
)
の白い物を皆
佇立
(
たちどまっ
)
てまじりまじり視ている
光景
(
ようす
)
。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
枳園の
終焉
(
しゅうえん
)
に当って、伊沢
徳
(
めぐむ
)
さんは
枕辺
(
ちんぺん
)
に侍していたそうである。印刷局は前年の功労を忘れず、葬送の途次
柩
(
ひつぎ
)
を
官衙
(
かんが
)
の前に
駐
(
とど
)
めしめ、局員皆
出
(
い
)
でて礼拝した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それは十八世紀の時にワーレン・ヘスチングが貿易を開くために、ジョージ・ボーグルを
遣
(
つか
)
わしてかの国の第二の府シカチェに
駐
(
とど
)
まらしめた一事を見ても分ります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
且
(
かつ
)
里人のかたるを聞けば、
九四
東海東山の道はすべて新関を
居
(
す
)
ゑて人を
駐
(
とど
)
むるよし。又きのふ京より
九五
節刀使
(
せつとし
)
もくだり給ひて、上杉に
与
(
くみ
)
し、総州の
陣
(
いくさ
)
に向はせ給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
臨死
(
みまから
)
むとする時、長歎息して曰く、伝へ聞く
仮合
(
けがふ
)
の身滅び易く、
泡沫
(
はうまつ
)
の命
駐
(
とど
)
め難し。
所以
(
ゆゑ
)
に千聖
已
(
すで
)
に去り、百賢留らず、況して凡愚の
微
(
いや
)
しき者、何ぞも
能
(
よ
)
く逃避せむ。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
木場道
(
きばみち
)
の三
分
(
ぶんの
)
一
位
(
くらい
)
を下ったところで自動車を
駐
(
とど
)
め、谷を分け
下
(
くだ
)
るとすぐ
稚児落
(
ちごおとし
)
滝である。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
昔の印度で書き記されたある経論に、東方に大乗経典有縁の国があって、仏教は最後にそこに
駐
(
とど
)
まると予言してあるそうでありますが、この現状から言えば予言は当っております。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
汽車の
駐
(
とど
)
まる駅々に、お島は自分の
生命
(
いのち
)
を縮められるような苦しさを感じた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
而して一鳥
過
(
よ
)
ぎらず
片雲
(
へんうん
)
駐
(
とど
)
まらぬ
浅碧
(
あさみどり
)
の
空
(
そら
)
を、何時までも何時までも眺めた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
風過ぎて風
光
(
ひかり
)
を
駐
(
とど
)
めず
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
庸
乃
(
すなわ
)
ち呉傑、平安をして西の方
定州
(
ていしゅう
)
を守らしめ、徐凱をして東の方
滄州
(
そうしゅう
)
に
屯
(
たむろ
)
せしめ、自ら徳州に
駐
(
とど
)
まり、
猗角
(
きかく
)
の勢を
為
(
な
)
して
漸
(
ようや
)
く燕を
蹙
(
しじ
)
めんとす。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこの本郷山に、以前のままな
古館
(
ふるやかた
)
がある。義経は貢ぎの荷駄や五百騎と共に
駐
(
とど
)
まって、ひたすら鎌倉から二度目の急使が訪れるのを待っていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仏の風にあたれば仏に化し、儒の風にあたれば儒に化す。周囲の空気に感じて一般の公議輿論に化せらるるの勢は、これを
留
(
とど
)
めんとして
駐
(
とど
)
むべからず。
徳育如何
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
聖武天皇が紀伊国岡の宮に
駐
(
とど
)
まりたまいしという御旧蹟なるを見出だせしゆえ、今の名に改めたるなり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
去年柴を苅った木立ちのほとりに来たので、厨子王は足を
駐
(
とど
)
めた。「ねえさん。ここらで苅るのです」
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彦六、正太郎にむかひて、
京
(
みやこ
)
なりとて
七八
人ごとにたのもしくもあらじ。ここに
駐
(
とど
)
まられよ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
渠は実に死すべしと
念
(
おも
)
いぬ。しだいに風
歇
(
や
)
み、馬
駐
(
とど
)
まると覚えて、直ちに
昏倒
(
こんとう
)
して
正気
(
しょうき
)
を失いぬ。これ御者が静かに馬より
扶
(
たす
)
け下ろして、茶店の座敷に
舁
(
か
)
き入れたりしときなり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし彼が軍を
駐
(
とど
)
めて、ここへ立ち寄ったのは、この日さらに、
蹴上
(
けあげ
)
を進んで、大津にまで出る行軍の途中であった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こゝに
於
(
おい
)
て諸州燕に
降
(
くだ
)
る者多く、
永平
(
えいへい
)
、
欒州
(
らんしゅう
)
また燕に帰す。
大寧
(
たいねい
)
の
都指揮
(
としき
)
卜万
(
ぼくばん
)
、
松亭関
(
しょうていかん
)
を
出
(
い
)
で、
沙河
(
さが
)
に
駐
(
とど
)
まり、遵化を攻めんとす。兵十万と号し、
勢
(
いきおい
)
やゝ振う。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
巨勢君にはかしこなる画堂にて逢ひ、それより
交
(
まじわり
)
を結びて、こたび巨勢君、ここなる美術学校に、しばし足を
駐
(
とど
)
めむとて、旅立ち玉ふをり、われも
倶
(
とも
)
にかへり
路
(
じ
)
に上りぬ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
貴州の紅崖山の深洞中より時に銅鼓の声聞ゆ、諸葛亮ここに兵を
駐
(
とど
)
めたといい、夷人祭祀ごとに
烏牛
(
くろうし
)
、白馬を用うれば
歳
(
とし
)
稔
(
みの
)
る(『大清一統志』三三一)てふ支那説に近い。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
空の
碧
(
あお
)
はすみとおって、海よりも深い。すこし
駐
(
とど
)
まると、馬は眠げに落ち、山畑の麦には
雲雀
(
ひばり
)
、木々には、ひよどりの声ばかりが、折々、高かった。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
川を隔てゝ霞の蒸したる一ト村の奥に
尽頭
(
はづれ
)
に咲き誇りたるを見たる、谷に臨みて春風ゆるく
駐
(
とど
)
まるべき崖下などの小家包みて賑はしく咲けるを見たる、いづれをかしき趣あらぬは無し。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ここに足を
駐
(
とど
)
めんときょうおもい
定
(
さだ
)
めつ、
爽旦
(
あさまだき
)
かねてききしいわなという
魚
(
さかな
)
売
(
うり
)
に来たるを
買
(
か
)
う、五尾十五銭。鯉も
麓
(
ふもと
)
なる里より
持
(
も
)
てきぬというを、一尾買いてゆうげの時まで
活
(
いか
)
しおきぬ。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
既に実情を知られた上は久しく
駐
(
とど
)
まるべきでないから別れよう、しかるに汝に知らさにゃならぬ一事あり、前日汝の父の冤家が、冥王庁へ汝の父にその孫や兄弟を食われたと訴え出たが
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「天神山の
裾
(
すそ
)
。椿坂。あのあたりには、柴田の先鋒がだいぶおる。
木之本
(
きのもと
)
、今市、坂口辺にも、大部隊が
駐
(
とど
)
まりおると申す。眠るにも油断をすまいぞ」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寒さは強く、路上の雪は
稜角
(
りょうかく
)
ある氷片となりて、晴れたる日に映じ、きらきらと輝けり。車はクロステル街に曲がりて、家の入口に
駐
(
とど
)
まりぬ。この時窓を開く音せしが、車よりは見えず。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
さてその秀吉の精力と迫敵心は、まだまだこんな所に
駐
(
とど
)
まって、
凱歌
(
がいか
)
に酔っているものではなかった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、前後に心を疲らせたり、情報の確かめられるまで行軍を
駐
(
とど
)
めたり、隊伍を戦闘形態に改めたりなどして、寸時も、万一の変を思うことなくしては進めなかったのである。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わずか百余の兵でも、軍が
駐
(
とど
)
まると、
幽邃
(
ゆうすい
)
な庭も、一夜に殺伐な辻と変ってしまう。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「早々、船を
渚
(
なぎさ
)
へつけ、兵馬を
悉
(
ことごと
)
く、岸へ上げい。そこでまた、その方どもは、急いで船を返し、
海津
(
かいづ
)
に
駐
(
とど
)
めてある鍋丸の軍勢の三分の一を分けて、即刻、当所への加勢に駈けつけさせよ」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀吉は、洛中に馬を
駐
(
とど
)
めるたびに、ここ二、三年は、いつも同じ感激を抱く。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀吉は、将士を城下に
駐
(
とど
)
めて、登城したが、家臣からその旨を聞いて
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼のいるところ
即
(
そく
)
本営といってよい。その本陣は堀川に
駐
(
とど
)
まっていた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駐
常用漢字
中学
部首:⾺
15画
“駐”を含む語句
駐在所
駐剳
駐屯軍
駐屯
駐箚
駐劄
御駐輦
駐輦
駐紮
駐外武官
駐春亭
駐止
駐在官
駐蔵
駐蔵大臣
駐蹕
駐車場
駐馬坡
駐馬塘
駐在巡査
...