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追剥
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おいはぎ
ふりがな文庫
“
追剥
(
おいはぎ
)” の例文
加之
(
おまけ
)
に
路
(
みち
)
が悪い。
雪融
(
ゆきど
)
けの時などには、夜は
迂濶
(
うっかり
)
歩けない位であった。しかし
今日
(
こんにち
)
のように
追剥
(
おいはぎ
)
や
出歯亀
(
でばかめ
)
の噂などは甚だ稀であった。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
殊に、女が
誘拐
(
かどわか
)
されたとか、
追剥
(
おいはぎ
)
にあって裸にされたとかいう小事件は、街道筋には朝に夕にあることで、めずらしくもなんともない。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それには書記連も一言も返すことばもなく、その中の一人が署長を呼びに行った。署長は外套
追剥
(
おいはぎ
)
の話を何かひどく変なふうに解釈した。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
仙「エ、色里へ来て
塗箸
(
ぬりばし
)
見たような物を一本半分差して、斬るの殴るのと威張って、此の頃
道哲
(
どうてつ
)
へ来て
追剥
(
おいはぎ
)
をするのは
手前
(
てめえ
)
かも知れねえ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
喰
(
く
)
いつめた渡り職人、仕事にはなれた土方、
都合
(
つごう
)
次第で乞食になったり
窃盗
(
せっとう
)
になったり
強盗
(
ごうとう
)
になったり
追剥
(
おいはぎ
)
になったりする手合も
折々
(
おりおり
)
来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
『
義残後覚
(
ぎざんこうかく
)
』七、太郎次てふ大力の男が鬼面を
冒
(
かぶ
)
り、鳥羽の作り道で行客を脅かし
追剥
(
おいはぎ
)
するを、松重岩之丞が
斫
(
き
)
り
露
(
あら
)
わす条、『石田軍記』三
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
これは
針
(
はり
)
ヶ
別所
(
べっしょ
)
というところに住んでいて、表面は猟師、内実は
追剥
(
おいはぎ
)
を働いていた「
鍛冶倉
(
かじくら
)
」という
綽名
(
あだな
)
の悪党であります。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「人臭いぞ——路上にすがたがないのに、人臭いとは、いぶかしいな? ふうむ、さては物とり
追剥
(
おいはぎ
)
のたぐいでも、この杜中に隠れておるかな?」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
追剥
(
おいはぎ
)
の出そうなロンドン・ドック附近を通り、ホワイト・チャペルの周辺の曲りくねった道へはいって行った。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
追剥
(
おいはぎ
)
の仕業のように見せて二度も彼を待ち伏せして、僕自身の監視のもとに厳重に体を捜させたんだから」
盗まれた手紙
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
「驚いたね、親分、お舟でなくお袖でなく、勘三郎でなきゃ、——流しの
追剥
(
おいはぎ
)
か、気違いじゃありませんか」
銭形平次捕物控:097 許嫁の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
刀の柄へ手を掛けながら相手の様子を
窺
(
うかが
)
った。——極悪非道の
追剥
(
おいはぎ
)
としてまた素晴らしい手利きとして陶器師の名は聞いていた。昔は
由縁
(
ゆかり
)
ある武士であった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「葛木さん、もう遅いわ。……電車も無し……巡査に咎められたりなんかして、こんな時はつけが悪い、山の手の夜道だもの、無理をすると
追剥
(
おいはぎ
)
が出ますよ。」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
是より夜の明るまで余は眠るにも眠られず、様々の想像を浮べ来りて是か
彼
(
あ
)
れかと考え廻すに目科は
追剥
(
おいはぎ
)
か
盗坊
(
どろぼう
)
か
但
(
たゞ
)
しは又強盗か、何しろ
極々
(
ごく/\
)
の悪人には相違なし。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ゆくゆくはアフリカ行きの
流刑船
(
エグジレ
)
の水夫になるとか、
闘技場
(
アレエヌ
)
の暗闇に出没して
追剥
(
おいはぎ
)
を働くとか、女ならば
碁磐縞
(
ごばんじま
)
の服を着て、けちなルウレットを廻す縁日の
廻し屋
(
クルウピエール
)
ノンシャラン道中記:01 八人の小悪魔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あの往来は
丁度
(
ちょうど
)
今の神田橋一橋外の高等商業学校のある
辺
(
あたり
)
で、
素
(
も
)
と
護持院
(
ごじいん
)
ヶ
原
(
はら
)
と云う大きな松の樹などが
生繁
(
おいしげ
)
って居る恐ろしい淋しい処で、
追剥
(
おいはぎ
)
でも出そうな処だ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
飢饉
(
ききん
)
、不正利得、困窮から来る
売淫
(
ばいいん
)
、罷工から来る悲惨、絞首台、剣、戦争、および事変の森林中におけるあらゆる臨時の
追剥
(
おいはぎ
)
、それらももはや恐るるに及ばないだろう
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
汗を流して斬り込むならまだしも、斬り込んで置きながら
悠々
(
ゆうゆう
)
として柱に
倚
(
よ
)
って人を見下しているのは、酒を飲みつつ
胡坐
(
あぐら
)
をかいて
追剥
(
おいはぎ
)
をすると同様、ちと虫がよすぎる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
唯さえ夜になれば人通りの絶がちな丸の内の道路は、この風とこの
闇
(
やみ
)
とに
一際
(
ひときわ
)
物寂しく、
屹立
(
きつりつ
)
する建物の間の小路から突然
追剥
(
おいはぎ
)
でも出て来はせぬかと思われるような気がする。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼等はそれから
嶮岨
(
けんそ
)
な山道を越えたり、
追剥
(
おいはぎ
)
や猛獣の住む荒野原を横切ったり、零下何度の高原沙漠を、案内者の目見当一ツで渡ったりして、やがて崑崙山脈の奥の秘密境に在る
狂人は笑う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
追剥
(
おいはぎ
)
のようで失礼ですが、ポケットの中のものを
悉皆
(
すっかり
)
こゝへお出し下さい」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「たいへんでございます。伊兵衛さまが
追剥
(
おいはぎ
)
に殺されましてございます!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そこは同じ
旧
(
ふる
)
い街道筋ではあるが、
白木
(
しらき
)
の番所の跡があるような深い森林の間で、場処によっては
追剥
(
おいはぎ
)
の出たといううわさの残った寂しいところをも通り過ぎなければ、馬籠峠の上に出られない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
初めは行き暮れた旅人を泊らしては路銀を
窃
(
ぬす
)
む悪猟師の女房、次には
媳
(
よめ
)
いびりの
猫化郷士
(
ねこばけごうし
)
の妻、三転して
追剥
(
おいはぎ
)
の女房の女按摩となり、最後に
折助
(
おりすけ
)
の
嬶
(
かかあ
)
となって亭主と馴れ合いに賊を働く
夜鷹
(
よたか
)
となり
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
近所の人がお客に来るどころか、大へんな暑さで、
追剥
(
おいはぎ
)
さえ出かねないありさまだ。ラエーフスキイもべつに急いで土地を手に入れようとする気配もない。これは彼女にとってありがたいことだった。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「
追剥
(
おいはぎ
)
にでもお会いなすったかね、当世珍らしくもねえ話だ」
狢
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夜の
追剥
(
おいはぎ
)
は
昼間
(
ひるま
)
は
本市
(
シティー
)
★
で商売をしている男であった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「この辺は、夜、
追剥
(
おいはぎ
)
が出るでのう」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
追剥
(
おいはぎ
)
を弟子に
剃
(
そ
)
りけり秋の旅
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「逃げて行ったじゃないか、
追剥
(
おいはぎ
)
か何かにちがいないよ。こッちだってこれだけの人数がいるのだから、何も驚くことはありゃあしない」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「多分、
追剥
(
おいはぎ
)
にでもつかまったのでございましょう……そうでなければ、人に恨みを受けるような姉ではございません」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
其の
芋茎
(
ずいき
)
へ火縄を巻き付けて、それを持って
追剥
(
おいはぎ
)
がよく
旅人
(
りょじん
)
を
威
(
おど
)
して金を取るという事を、
予
(
かね
)
て龜藏が聞いて知ってるから、そいつを持って孝助を威かした。
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夜鷹と
追剥
(
おいはぎ
)
と辻斬を名物にした柳原は、遠い町家に五日月が落ちて、地獄の底を行くような無気味さです。
銭形平次捕物控:126 辻斬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
勿論
(
もちろん
)
、
死人
(
しにん
)
に口無しで、誰に
何
(
ど
)
うされたのか判らないが、祖父さんは
他
(
ひと
)
から
恨
(
うらみ
)
を受けるような
記憶
(
おぼえ
)
も無し、又普通の
追剥
(
おいはぎ
)
ならば
斯
(
こ
)
んな残酷な殺し方をする筈がない。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
北多摩郡中では最も東京に近い千歳村字
粕谷
(
かすや
)
の
南耕地
(
みなみこうち
)
と云って、昔は
追剥
(
おいはぎ
)
が出たの、大蛇が出て
婆
(
ばば
)
が腰をぬかしたのと伝説がある徳川の
御林
(
おはやし
)
を、明治近くに
拓
(
ひら
)
いたものである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
金やピストルに眼が
眩
(
くら
)
んで毛唐の
追剥
(
おいはぎ
)
や泥棒の手伝いが出来るかってんだ。「ふおるもさ、ううろんち」を知らねえかってんで、イキナリその毛唐に組付いて大腰をかけようとしたもんです。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人が
追剥
(
おいはぎ
)
にかかっても知らないでいるんだ、とどなりだした。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「なんだって、
無頼者
(
ならずもの
)
を
使嗾
(
しそう
)
して僕をこんな所へ引っぱって来たんですか。君たちは白昼に
追剥
(
おいはぎ
)
でもやろうっていうのか」
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人を嚇してみるにはよいところ、
朱雀野
(
すざくの
)
の
真只中
(
まっただなか
)
、近来ここでは
追剥
(
おいはぎ
)
と
辻斬
(
つじぎり
)
とが
流行
(
はや
)
る、遊客は非常な警戒をした上でなければ通らないところです。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
是程の騒ぎで村の者は出掛けて
追剥
(
おいはぎ
)
の行方を詮議致し、又四方八方八州の手が廻ったが、殺した一角は横曾根村に枕を高く寝ておりまするので容易に知れません。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
年始の酒に酔って穴の中に倒れ
凍死
(
こごえし
)
んだのを物取りが来て
剥
(
は
)
いだか、それとも
追剥
(
おいはぎ
)
が殺して着物を剥いだか、
死骸
(
しがい
)
は何も告げなかった。彼は新家の直ぐ西隣にある墓地に葬られた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蒲原
(
かんばら
)
の酒屋に押込が入って、売溜を
奪
(
と
)
って逃げ、七月二十八日は
小夜
(
さよ
)
の中山で
追剥
(
おいはぎ
)
が旅人を脅かし、九月十七日には飛んで
鈴鹿峠
(
すずかとうげ
)
で大坂の町人夫妻が殺されて大金を取られ、十月七日は
銭形平次捕物控:071 平次屠蘇機嫌
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
堪へ兼ねて
追剥
(
おいはぎ
)
を
猟奇歌
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
また帰りに泥棒や
追剥
(
おいはぎ
)
につけられるという心配でもなく、それは、平さんという男の人柄を見てもわかることで、持ちつけない大金を持ったため、途中
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
むかし源頼光が
鬼童丸
(
きどうまる
)
を斬ったとか、
著聞集
(
ちょもんじゅう
)
に見える
追剥
(
おいはぎ
)
のはなしなどが、みなこの辺りの事となって、里の者や旅人の頭に沁みこんでいるからであろう。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今土手で五人の
追剥
(
おいはぎ
)
が出て己の
胸
(
むな
)
ぐらを
掴
(
つか
)
まえたのを、払って漸く逃げて来たが、おみねは土手下へ降りたから、悪くすると怪我をしたかも知れない、
何
(
ど
)
うも案じられる
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
追剥
(
おいはぎ
)
にしちゃ腕が良すぎましたよ」
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
追剥
(
おいはぎ
)
でも出たらどうなさる、去年のように辻斬が
流行
(
はや
)
らないで仕合せ、それでも雲助の悪いのや、無宿者の通り
易
(
やす
)
いこの道を、怖いとも思わず女一人で……
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「やれやれ、
追剥
(
おいはぎ
)
にでも会ったのか、かわいそうに」夜はいつか明けて、範宴のまわりにも、性善坊や朝麿のそばにも、旅人だの
馬子
(
まご
)
だのが、取り巻いていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大方
追剥
(
おいはぎ
)
でも殺したのだろうと云って済ませます、当人さえ居なければ名主へ
一寸
(
ちょっと
)
話をして置きますから、時が経ったら丹三さんは病身でお屋敷奉公は出来ないという所から
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
追
常用漢字
小3
部首:⾡
9画
剥
部首:⼑
10画
“追剥”で始まる語句
追剥ぎ
追剥稼
追剥強盗