トップ
>
諄々
>
じゅんじゅん
ふりがな文庫
“
諄々
(
じゅんじゅん
)” の例文
すると、その耳へ
諄々
(
じゅんじゅん
)
と入ってきたのは、善信の説いている真実な人間のさけびであった。他力の教えであった。念仏の
功力
(
くりき
)
だった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、お絹自身も真実を語らないし、冬木町の長屋をまわっても、誰一人として助力してくれる者のないこと、などを
諄々
(
じゅんじゅん
)
と述べた。
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
平次は
諄々
(
じゅんじゅん
)
として説き聞かせました。が、お美乃は涙にひたりながらも、頑固に頭を振って、平次の言葉を
享
(
う
)
け
容
(
い
)
れようともしません。
銭形平次捕物控:105 刑場の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
慈愛のこもった御嶽冠者の
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
訓
(
さと
)
す言葉に連れて、怒りと悲しみにいら立っていた山吹の心も静まったか言葉もなくて俯向いていた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこで私は、前に掲げた種々の実例を挙げて、如何にドッペルゲンゲルの存在が可能かと云う事を、
諄々
(
じゅんじゅん
)
として妻に説いて聞かせました。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
武者修行が、そのいとぐちを聞いて勇みをなし、膝を進ませて、それを引き出しにかかると、雲衲は
諄々
(
じゅんじゅん
)
と語り出でました
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
奴、
何
(
ど
)
んなことを
吐
(
ぬか
)
すだろうかと、私は好奇心があった。
滔々
(
とうとう
)
と弁じている。
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説いている。口は学生時代から達者で
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
自分も忍んで卑怯の名を受けなければならないと覚悟して、彼は黙って俯向いていると、伯母はまた
諄々
(
じゅんじゅん
)
といい聞かせた。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その
度毎
(
たんび
)
に苦い顔をされたが、何遍苦い顔をされても少しも
尻込
(
しりごみ
)
しないで口を
酸
(
す
)
くして
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説得するに努めたのは社中の
弓削田秋江
(
ゆげたしゅうこう
)
であった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
主人は、人間の性が如何に善であるかを、
諄々
(
じゅんじゅん
)
として説いてやった。皆んな一時の出来心で悪い事をするのだ、お前だってそうだろう、と云った。
忠僕
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
こう東雲師は
諄々
(
じゅんじゅん
)
と私に向って申されました。私は、いかにも御もっとものお話
故
(
ゆえ
)
、必ず師匠のお言葉を守って今後とも勉強致します旨を答えました。
幕末維新懐古談:21 年季あけ前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
四分の一世紀前の第一次欧州大戦のとき、ここが如何に安全であったかという歴史について、
諄々
(
じゅんじゅん
)
説明があった。
沈没男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
来り会する老若男女は、威風
傍
(
かたわら
)
を払い、
諄々
(
じゅんじゅん
)
として説法する美少年の風姿に、まずその眼を
瞠
(
みは
)
ったに相違ない。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それでないとこの先の見込みが
付
(
つか
)
ないからと
諄々
(
じゅんじゅん
)
と清吉の不勉強や不品行や
物覚
(
ものおぼえ
)
の悪い点を列挙して、清吉の教育法について
呉々
(
くれぐれ
)
も心配してくれたのである。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
諄々
(
じゅんじゅん
)
としてわが身のことを説き
諭
(
さと
)
さるるさま
宛
(
さなが
)
ら慈母の
児
(
こ
)
を見るが如くならずや。この一書によりてわが三田に入りし当時の消息もまたおのづから
分明
(
ぶんめい
)
なるべし。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
老婆などはわざわざ立かえりて、「お前さんそこにそうよっかかって居ては危のうございますよ、危ないことをするものではありませんよ」と
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
諭
(
さと
)
さるる
深切
(
しんせつ
)
。
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
あるいは
依頼
(
いらい
)
懇願
(
こんがん
)
するがごとく、あるいは
諄々
(
じゅんじゅん
)
として説くように、しきりに何かを明かしている弥生。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
『
最初
(
さいしょ
)
から
申
(
もう
)
しきかせた
通
(
とお
)
り、一
度
(
ど
)
逢
(
あ
)
った
位
(
くらい
)
ですぐ
後戻
(
あともど
)
りする
修行
(
しゅぎょう
)
はまだ
本物
(
ほんもの
)
とは
言
(
い
)
われない。』とお
爺
(
じい
)
さんは
私達
(
わたくしたち
)
夫婦
(
ふうふ
)
に
向
(
むか
)
って
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
説
(
と
)
ききかせて
下
(
くだ
)
さるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そして「色は空に異ならず、空は色に異ならず」とて、空の真理を
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説かれていったのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
私は彼女の顔色に絶えず注意を配りながら、あまり皮肉にならないように
諄々
(
じゅんじゅん
)
と話して行きましたが、話し終ってしまうまで、ナオミはじっと下を向いて聴いていました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
茶道は日常生活の俗事の中に存する美しきものを崇拝することに基づく一種の儀式であって、純粋と調和、相互愛の神秘、社会秩序のローマン主義を
諄々
(
じゅんじゅん
)
と教えるものである。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
学の
権威
(
けんい
)
について
云々
(
うんぬん
)
されては
微笑
(
わら
)
ってばかりもいられない。孔子は
諄々
(
じゅんじゅん
)
として学の必要を説き始める。
人君
(
じんくん
)
にして
諫臣
(
かんしん
)
が無ければ
正
(
せい
)
を失い、士にして教友が無ければ
聴
(
ちょう
)
を失う。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その物語を
聴
(
き
)
かんと欲する者、食を与えてこれを
請
(
こ
)
う時んば、一室を
鎖
(
とざ
)
してその内に入り、
諄々
(
じゅんじゅん
)
として人のごとくに談じた。しこうして人を害することなし、
尤
(
もっと
)
も怪獣なりとある。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いらっしゃいいらっしゃいと雛妓を
膝元
(
ひざもと
)
へ呼んで、背を
撫
(
な
)
でてやりながら、その希望のためには絶対に気落ちをしないこと、自暴自棄を起さないこと、
諄々
(
じゅんじゅん
)
と言い聞かした末に言った。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
黒瀬は檻の鉄棒に顔をくッつけて、涙ぐんだ声で、
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
悟
(
さと
)
し聞かせるのであった。ゴリラの方でも、久方振りの対面を懐かしがってか、黒瀬の側へすり寄って来て、じっと蹲まっていた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これらにむかってわれわれが冬季常食する天下唯一の美味、
摩訶
(
まか
)
不思議の絶味であるふぐの料理が、いささかの危険性なき事実を
諄々
(
じゅんじゅん
)
力説してみても、その確実を容易に信じようとはしない。
河豚食わぬ非常識
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
私は、その
洞
(
うつ
)
ろな
耳腔
(
みみ
)
に
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
囁
(
ささや
)
くことで驢馬の記憶を呼び
醒
(
さま
)
そうとした。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
人間の時々刻々が、献身でなければならぬ。いかにして見事に献身すべきやなどと、工夫をこらすのは、最も無意味な事である、と力強く、
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説いている。聞きながら僕は、何度も赤面した。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼はいかなる懐疑者、
煩悶者
(
はんもんしゃ
)
をも、
諄々
(
じゅんじゅん
)
として教え導くにつとめた。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
はた甚だ快しとせざる所なるをもて、妾は女生に向かいて
諄々
(
じゅんじゅん
)
その非を
諭
(
さと
)
し、やがて髪を延ばさせ、着物をも女の物に換えしめけるに、あわれ
眉目
(
びもく
)
艶麗
(
えんれい
)
の一美人と生れ変りて、ほどなく郷里に帰り
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
と老母は老母だけの心配を
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
説
(
とい
)
た。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
諄々
(
じゅんじゅん
)
と物語るのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説かれるうちに、関羽はいつか
頭
(
こうべ
)
を垂れて、眼の前の曹操を斬らんか、助けんか、悶々、情念と知性とに、迷いぬいている姿だった。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
声明の博士が、季麿青年を相手に
諄々
(
じゅんじゅん
)
として、こういうことを語り聞かせ、おたがいに夜の更くるを知らない時分に、不意に戸を叩く音がありました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平次は
諄々
(
じゅんじゅん
)
として説くのでした。三輪の万七と八五郎のガラッ八は、ただ
呆気
(
あっけ
)
に取られるばかり。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
率
(
いざ
)
という場合
懐
(
ふとこ
)
ろ育ちのお嬢さんや女学生上りの奥さんよりも
遥
(
はるか
)
に役に立つ事を
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説き
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それから
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説諭をして、『分ったかね? 改心してくれるだろうね。ね、君、ね』
ロマンスと縁談
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
また自分の体験から、貧しい女は
是非
(
ぜひ
)
腕に一人前の専門的職業の
技倆
(
ぎりょう
)
を持つてゐなければ結婚するにしろ、独身にしろ、不幸であることを
諄々
(
じゅんじゅん
)
と
諭
(
さと
)
して、ひろ子に看護婦になることを勧めた。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
老人はなおも、
諄々
(
じゅんじゅん
)
として諸戸屋敷の恐怖を説くのであったが、彼の口ぶりは何となく、私達も、十年以前の丈五郎の従兄弟という人と、同じ運命に陥るのだ、用心せよ、と云わぬばかりであった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説いて聴かせるようにすること、等々を注意して帰った。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
輿入
(
こしい
)
れをするまえ八郎右衛門はむすめに向って
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説いた。
日本婦道記:春三たび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
多年ふたりの行方をさがし歩いていることなど——誇張する気もなく誇張に落ちたが——何度も鼻をかみながら、
諄々
(
じゅんじゅん
)
と眼を濡らして語った。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう言って
諄々
(
じゅんじゅん
)
と語るところを見れば、必ずや相当の自信がないものではないと思わせられるのであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
美しい娘の肩に手を置いて、汚らしい
乞食
(
こじき
)
の
諄々
(
じゅんじゅん
)
として語る様子は、何んという奇観でしょう。
悪人の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この不しだらな夫人のために泥を塗られても少しも平時の沈着を
喪
(
うしな
)
わないで
穏便
(
おんびん
)
に済まし、恩を
仇
(
あだ
)
で報ゆるに等しいYの
不埒
(
ふらち
)
をさえも寛容して、
諄々
(
じゅんじゅん
)
と訓誡した上に帰国の旅費まで恵み
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
と先生は
諄々
(
じゅんじゅん
)
と説いてくれた。これは勉強しなければ危いという暗示だった。しかし然ういう直接為めになるのには感じが
鈍
(
にぶ
)
い
性分
(
しょうぶん
)
だから仕方がない。間もなく別の暗示が利いてしまったのである。
善根鈍根
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そして
諄々
(
じゅんじゅん
)
と、時代の一転を説き、新政の意義を
諭
(
さと
)
し、さらに、これに逆行しようとする小さい反抗の、小我に過ぎないことを云い聞かせた。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
駒井は自分の研究事項に対しては、その人をさえ得れば非常に親切な開放心を持っていて、
素人
(
しろうと
)
に向っても
諄々
(
じゅんじゅん
)
として説くことを
厭
(
いと
)
わない気風を持っている。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平次郎の耳の
垢
(
あか
)
の隙間から
諄々
(
じゅんじゅん
)
と入ってくる上人のことばは、皆平次郎にとって救いであり慰めであり、そして温かかった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今度は青年武士の冷笑を、白雲が、軽く受けて争わず、かえって
諄々
(
じゅんじゅん
)
として教えるの態度をとりました。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
諄
漢検1級
部首:⾔
15画
々
3画
“諄”で始まる語句
諄
諄諄
諄〻
諄和
諄朴
諄言