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薔薇色
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ばらいろ
ふりがな文庫
“
薔薇色
(
ばらいろ
)” の例文
薔薇色
(
ばらいろ
)
の、朝日の光りが、障子の破れ目から射し込んだ時、女は青い顔をして始めて、
蘇生
(
よみがえ
)
った思いがした。早速、森に行って見た。
森の暗き夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そうして今も今、彼はドロシイの白い脛に
薔薇色
(
ばらいろ
)
の血が滲み出ているのを見ているうちに、どうやらそいつを起したらしいのである。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
コゼットのぼろの着物が、人形のリボンと
薔薇色
(
ばらいろ
)
のぱっとしたモスリンとに並んで押しつけられてるのはすこぶる異様な様であった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
太陽は、いま
薔薇色
(
ばらいろ
)
の雲をわけて、小山のうえを越える所でした。小さい子供は、白い小さい
床
(
ベッド
)
の中で、まだ眠って
居
(
お
)
りました。
朝
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
近頃は
有頂天
(
うちょうてん
)
の
山名宗三
(
やまなそうぞう
)
であった。何とも云えぬ暖かい、柔かい、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の、そして
薫
(
かおり
)
のいい空気が、彼の身辺を包んでいた。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
薔薇色
(
ばらいろ
)
の服を着け、黒い髪の上には薔薇の冠を載せ、まるで薔薇色の
蝶々
(
ちょうちょう
)
のように、新しい舞蹈の練習をしていたのでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
朝日が、木の葉をとほして、射すときには、その小さなお
家
(
うち
)
は、なんともいへない、可愛らしい
薔薇色
(
ばらいろ
)
にそまつて、それはきれいに見えるのです。
虹猫と木精
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
その美しい
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
頬
(
ほお
)
を猫の額へ押し当て、真珠のような美しい歯を現わしてゆッたりと
微笑
(
わら
)
ッたが、そのにっこりした風はどんなにあどけなく
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
この匂は
藍色
(
あいいろ
)
の
大空
(
おおぞら
)
と、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の土とを
以
(
も
)
て、暑き夏の造り
醸
(
かも
)
せしものなれば、うつくしき果実の肉の
中
(
うち
)
には、明け行く大空の色こそ含まれたれ。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
燭台
(
しょくだい
)
のような形に
坐
(
すわ
)
り、柔らかく息をしながら、しっかり
脣
(
くち
)
を閉じ、眼の縁を
薔薇色
(
ばらいろ
)
にして、彼はじっと眼を据える。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
やがて日落ちて
黄昏
(
たそがれ
)
寒き風の立つままに、
二片
(
ふたつ
)
の雲今は
薔薇色
(
ばらいろ
)
に
褪
(
うつろ
)
いつつ、
上下
(
うえした
)
に吹き離され、しだいに暮るる夕空を別れ別れにたどると見しもしばし
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
主人の
着故
(
きふ
)
るしめく、茶の短い
外套
(
がいとう
)
をはおり、はしばしを
連翹色
(
れんぎょういろ
)
に染めた、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の頸巻をまいて、金モールの
抹額
(
もこう
)
をつけた黒帽を
眉深
(
まぶか
)
にかぶッていた。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
緊張のあまり
薔薇色
(
ばらいろ
)
に上気して、いかにもがっしりと精力的なその姿が、ひどく好もしいものに思えるのだった。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
肌理
(
きめ
)
の細かい女のような皮膚の下から
綺麗
(
きれい
)
な血の色が、
薔薇色
(
ばらいろ
)
に透いて見える。黒褐色の服に雪白の
襟
(
えり
)
と
袖口
(
そでぐち
)
。濃い
藍
(
あい
)
色の絹のマントをシックに羽織っている。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
燁代さんも、つやつやした
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
頬
(
ほお
)
を染めて、近づいて来る槍ヶ岳洞窟を、じっと見つめるのであった。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
瞬間
脂汗
(
あぶらあせ
)
が額や鼻ににじみ出た。メスをもった婦人科のドクトルは驚いて、ちょっと手をひいた。——今度は内科の院長が、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の肉のなかへメスを入れた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
芝生
(
しばふ
)
の
端
(
はし
)
が
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
っている崖の上の広壮な
邸園
(
ていえん
)
の
一端
(
いったん
)
にロマネスクの半円
祠堂
(
しどう
)
があって、一本一本の円柱は六月の
陽
(
ひ
)
を受けて
鮮
(
あざや
)
かに紫
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
陰
(
かげ
)
をくっきりつけ
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
霰
(
あられ
)
交りの激しい
驟雨
(
しゅうう
)
が降りだして、遠くで笛が鳴った。クリストフはある村落に近づいていた。人家の
薔薇色
(
ばらいろ
)
の正面や赤い屋根などが、木の茂みの間に見えていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そして、遠くエストゥレルの
群峰
(
やまやま
)
が夕陽をあびて
薔薇色
(
ばらいろ
)
に染っているのを眺めていた。
初雪
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
彼女から見れば不慮の出来事と云わなければならないこの
破綻
(
はたん
)
は、
取
(
とり
)
も
直
(
なお
)
さず彼女にとって復活の
曙光
(
しょこう
)
であった。彼女は遠い地平線の上に、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の空を、薄明るく眺める事ができた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
硝子
(
ガラス
)
窓を透していながら左は浅間から右は谷川岳附近まで望まれる。苗場も見えた。ことに仙ノ倉が立派であった。昨日降った新雪が折からさし登る朝日の光に燃えて、
薔薇色
(
ばらいろ
)
に輝いた。
皇海山紀行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
彼を苦しめた中学の校舎は
寧
(
むし
)
ろ美しい
薔薇色
(
ばらいろ
)
をした薄明りの中に
横
(
よこた
)
わっている。
大導寺信輔の半生:――或精神的風景画――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これは
暁方
(
あけがた
)
の
薔薇色
(
ばらいろ
)
ではない。南の
蝎
(
さそり
)
の赤い光がうつったのだ。その
証拠
(
しょうこ
)
にはまだ夜中にもならないのだ。雨さえ晴れたら出て行こう。街道の星あかりの中だ。次の町だってじきだろう。
ガドルフの百合
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
半刻余りも歩いた頃、遙か行く手の闇を染めて
薔薇色
(
ばらいろ
)
の光が射して来た。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
十二歳のとき自分より六つ年上の少女——大きな
眼
(
め
)
をして
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
靴
(
くつ
)
をはいた——エステルに寄せた
憧憬
(
しょうけい
)
を、五十年後の六十一歳まで忘れ兼ねて、七十歳近い老婆エステルの、
皺
(
しわ
)
だらけの顔から
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
……雲の後から幅のひろい緑色の光が
射
(
さ
)
して、空の
央
(
なか
)
ばまで達している。暫くするとこの光は紫色の光が来て並ぶ。その隣には金色のが、それから
薔薇色
(
ばらいろ
)
のが。が空はやがて柔かな
紫丁香
(
ライラック
)
色になる。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
氏は安心したし、夫人は
薔薇色
(
ばらいろ
)
の頬を輝かして夫君に抱きついた。
奇賊は支払う:烏啼天駆シリーズ・1
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
裸形
(
らぎやう
)
の
兒
(
こ
)
——
哀
(
かなし
)
いかな——
或
(
ある
)
は
惱
(
なやみ
)
の
床
(
とこ
)
に
母
(旧字旧仮名)
/
アダ・ネグリ
(著)
容顔の
清
(
すが
)
しさ、胸に
薔薇色
(
ばらいろ
)
の薄ぎぬはふり
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
頬
(
ほ
)
っぺたの奥に
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
土は
薔薇色
(
ばらいろ
)
、空には
雲雀
(
ひばり
)
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
そして朝日の光を頭に浴び、眠りの足りた
薔薇色
(
ばらいろ
)
の顔をし、心沈める老人からやさしくながめられながら、
雛菊
(
ひなぎく
)
の花弁をむしっていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
なんの本だか、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の娘の方が低い声でそれを音読している。ポロシャツの娘はそれを聞きながら、ときどき他愛ない笑い声を立てる。
晩夏
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
止め度もなく
嗚咽
(
すすりな
)
いた後で、英国のある老政治家と少女との恋のロオマンスについて彼女特得の
薔薇色
(
ばらいろ
)
の感傷と熱情とで、あたかもぽっと出の田舎ものの老爺に
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
紅鶴
(
フレミンゴ
)
を見に行ってやりたまえ。
薔薇色
(
ばらいろ
)
の下着の
裾
(
すそ
)
が泉水の水に
濡
(
ぬ
)
れるのを心配して、ピンセットの上に乗って歩いている。白鳥と、その様子ぶった鉛の
頸
(
くび
)
。
駝鳥
(
だちょう
)
。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
火鉢の上にさしかざしたる
掌
(
てのひら
)
にぽうっと
薔薇色
(
ばらいろ
)
になりし頬を押えつ。少し吐息つきて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
お
磯
(
いそ
)
は、
可愛
(
かあ
)
い博多人形を持っていました。その人形は、黒い
眼
(
め
)
と
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
頬
(
ほお
)
を持った、それはそれは
可愛
(
かあい
)
らしい人形でありましたから、お磯はどの人形よりも可愛がっていました。
博多人形
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
空が次第に蒼味を増し、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の光も射して来た。
淡紅
(
とき
)
色は
漸次
(
だんだん
)
緋
(
ひ
)
色となり、緋色は忽ち
黄金
(
こがね
)
色となり、
四方
(
あたり
)
瞬く明かるむに連れて、朝
靄
(
もや
)
分けて一つ一つ、山や林や高原が三人の前に現われ出た。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それから
色白粉
(
いろおしろい
)
ですが、青白い人は
薔薇色
(
ばらいろ
)
のを用いるのが普通であるにも拘らず、ここにある水白粉は赤ら顔に適当な緑色のものです。又花つばき香油なんていうものは、洋髪には余り使いません。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
四肢は気品よく細長く、しっとりと重くて、乳白色の皮膚のところどころ、すなわち
耳朶
(
みみたぶ
)
、すなわち頬、すなわち掌の裡、一様に薄い
薔薇色
(
ばらいろ
)
に染っていて、小さい顔は、かぐようほどに清浄であった。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
童
(
わらべ
)
は
薔薇色
(
ばらいろ
)
薄きシヤツをかきあげつる
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
影の所から出てるその
薔薇色
(
ばらいろ
)
の輝いた足が、突然アゼルマの目についた。彼女はエポニーヌに言った。「あら! 姉さん!」
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そして
薔薇色
(
ばらいろ
)
の
寝衣
(
ねまき
)
らしいものを着た、一人の若い娘が、窓の縁にじっと
凭
(
よ
)
りかかり出した。それはお前だった。……
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
皮が
生毛
(
うぶげ
)
の下で
薔薇色
(
ばらいろ
)
を残している。どうしてわれわれがそれを苦しませたと思えよう。また、女どもが台所へ運んで行くあの血が、みんなこのからだから出たと思えよう。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
大地に落ちて静まるや、岩の抜け出た大穴から、
薔薇色
(
ばらいろ
)
の火光ほのめき立ち次第次第に昇ると共に、神女か妖女か髪長く
束
(
たば
)
ね、草色の衣裳身に纏い、合掌の指を固く結び、両眼を垂れて幽かに結んだ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その顔が美しく
薔薇色
(
ばらいろ
)
に
火照
(
ほて
)
っていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
四、五歳の青い目の子供が聞いた次の話が、六歳の
薔薇色
(
ばらいろ
)
の口から即席に作られたのも、この庭の
芝生
(
しばふ
)
の上においてである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「アヴェ・マリア!……」向うの卓で
薔薇色
(
ばらいろ
)
の娘がそう甘えるような声を出した。ポロシャツの方はセロリを口に入れながら、黙ってうなずいていた。
晩夏
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
薔薇色
(
ばらいろ
)
の着物を着た婦人は、
肥
(
ふと
)
った子供を、黒い着物を着た婦人は
瘠
(
や
)
せた子供を連れている。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
彼はその夢想のうちにほとんど幸福であった。コゼットは彼のそばに立って、
薔薇色
(
ばらいろ
)
に染められてゆく雲をながめていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“薔薇色”の解説
薔薇色(そうびいろ、ばらいろ)は、 RGBシステムによれば、赤とマゼンタの間の色、バラの赤い花の色。
(出典:Wikipedia)
薔
漢検1級
部首:⾋
16画
薇
漢検1級
部首:⾋
16画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“薔薇”で始まる語句
薔薇
薔薇園
薔薇花
薔薇乳香
薔薇香
薔薇根
薔薇叢
薔薇形
薔薇新
薔薇科