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茅屋
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かやや
ふりがな文庫
“
茅屋
(
かやや
)” の例文
遠くは
山裾
(
やますそ
)
にかくれてた
茅屋
(
かやや
)
にも、咲昇る
葵
(
あおい
)
を
凌
(
しの
)
いで牡丹を高く見たのであった。が、こんなに心易い処に咲いたのには逢わなかった。またどこにもあるまい。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう葉を失つて枯れ黒んだ豆がショボ/\と泣きさうな姿をして立つて居たりして、其の
彼方
(
むかふ
)
に古ぼけた勾配の急な
茅屋
(
かやや
)
が二軒三軒と飛び/\に物悲しく見えた。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼は
奇特
(
きどく
)
の男で、路ばたにたくさんの
楡
(
にれ
)
の木を
栽
(
う
)
えて、日蔭になるような林を作り、そこに幾棟の
茅屋
(
かやや
)
を設けて、夏の日に往来する人びとを休ませて水をのませた。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その家は高い樹に囲まれた寂しい中にぽつんと一軒だけある
茅屋
(
かやや
)
であった。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
アノ
椿
(
つばき
)
の、燃え落ちるように、向うの
茅屋
(
かやや
)
へ、続いてぼたぼたと
溢
(
あふ
)
れたと思うと、
菜種
(
なたね
)
の
路
(
みち
)
を葉がくれに、
真黄色
(
まっきいろ
)
な花の上へ、ひらりと
彩
(
いろど
)
って出たものがある。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
その
彼方
(
むこう
)
に古ぼけた勾配の急な
茅屋
(
かやや
)
が二軒三軒と飛び飛びに物悲しく見えた。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
青い山から靄の麓へ
架
(
か
)
け渡したようにも見え、低い
堤防
(
どて
)
の、
茅屋
(
かやや
)
から茅屋の軒へ、
階子
(
はしご
)
を
横
(
よこた
)
えたようにも見え、とある大家の、
物好
(
ものずき
)
に、長く渡した廻廊かとも
視
(
なが
)
められる。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
射干
(
ひあふぎ
)
にも似、
菖蒲
(
あやめ
)
にも似たる葉のさま、
燕子花
(
かきつばた
)
に似たる花のかたち、取り出でゝ云ふべきものにもあらねど、さて捨てがたき風情あり。雨の後など古き
茅屋
(
かやや
)
の棟に咲ける、おもしろからずや。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
洪水
(
でみづ
)
は
急
(
きふ
)
なりけり。
背戸續
(
せどつゞ
)
きの
寮屋
(
はなれや
)
に、
茅屋
(
かやや
)
に
侘
(
わ
)
ぶる
風情
(
ふぜい
)
とて、
家
(
いへ
)
の
娘
(
むすめ
)
一人
(
ひとり
)
居
(
ゐ
)
たる
午
(
ひる
)
すぎよ。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大鷲
(
おおわし
)
の
翼
(
つばさ
)
打襲
(
うちかさ
)
ねたる
趣
(
おもむき
)
して、左右から
苗代田
(
なわしろだ
)
に
取詰
(
とりつ
)
むる峰の
褄
(
つま
)
、
一重
(
ひとえ
)
は
一重
(
ひとえ
)
ごとに迫って次第に狭く、奥の
方
(
かた
)
暗く
行詰
(
ゆきつま
)
ったあたり、
打
(
ぶッ
)
つけなりの
茅屋
(
かやや
)
の窓は、山が開いた
眼
(
まなこ
)
に似て
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其
(
そ
)
の、いま、
鎭守
(
ちんじゆ
)
の
宮
(
みや
)
から——
道
(
みち
)
を
横
(
よこ
)
ぎる、
早
(
は
)
や
巖
(
いは
)
に
水
(
みづ
)
のせかるゝ、……
音
(
おと
)
に
聞
(
き
)
く
溪河
(
たにがは
)
の
分
(
わかれ
)
を
思
(
おも
)
はせる、
流
(
ながれ
)
の
上
(
うへ
)
の
小橋
(
こばし
)
を
渡
(
わた
)
ると、
次第
(
しだい
)
に
兩側
(
りやうがは
)
に
家
(
いへ
)
が
續
(
つゞ
)
く。——
小屋
(
こや
)
が
藁屋
(
わらや
)
、
藁屋
(
わらや
)
茅屋
(
かやや
)
が
板廂
(
いたびさし
)
。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
父は——同じ
錺職
(
かざりしょく
)
だったんですが、
盛
(
さかん
)
な時分、二三人居た弟子のうちに、どこか村の夜祭に行って、いい月夜に、広々とした畑を
歩行
(
ある
)
いて、あちらにも
茅屋
(
かやや
)
が一つ、こちらにも茅屋が一つ。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
清き光天にあり、
夜鴉
(
よがらす
)
の
羽
(
は
)
うらも輝き、瀬の
鮎
(
あゆ
)
の
鱗
(
うろこ
)
も光る。
隈
(
くま
)
なき月を見るにさえ、
捨小舟
(
すておぶね
)
の中にもせず、峰の堂の縁でもせぬ。夜半人跡の絶えたる処は、かえって
茅屋
(
かやや
)
の屋根ではないか。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
臺所
(
だいどころ
)
より
富士
(
ふじ
)
見
(
み
)
ゆ。
露
(
つゆ
)
の
木槿
(
むくげ
)
ほの
紅
(
あか
)
う、
茅屋
(
かやや
)
のあちこち
黒
(
くろ
)
き
中
(
なか
)
に、
狐火
(
きつねび
)
かとばかり
灯
(
ともしび
)
の
色
(
いろ
)
沈
(
しづ
)
みて、
池子
(
いけご
)
の
麓
(
ふもと
)
砧
(
きぬた
)
打
(
う
)
つ
折
(
をり
)
から、
妹
(
いも
)
がり
行
(
ゆ
)
くらん
遠畦
(
とほあぜ
)
の
在郷唄
(
ざいがううた
)
、
盆
(
ぼん
)
過
(
す
)
ぎてよりあはれさ
更
(
さら
)
にまされり。
逗子だより
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
五月雨
(
さみだれ
)
の
茅屋
(
かやや
)
雫
(
しづく
)
して、じと/\と
沙汰
(
さた
)
するは、
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
の
古社
(
ふるやしろ
)
、
杉
(
すぎ
)
の
森
(
もり
)
の
下闇
(
したやみ
)
に、
夜
(
よ
)
な/\
黒髮
(
くろかみ
)
の
影
(
かげ
)
あり。
呪詛
(
のろひ
)
の
女
(
をんな
)
と
言
(
い
)
ふ。かたの
如
(
ごと
)
き
惡少年
(
あくせうねん
)
、
化鳥
(
けてう
)
を
狙
(
ねら
)
ふ
犬
(
いぬ
)
となりて、
野茨
(
のばら
)
亂
(
みだ
)
れし
岨道
(
そばみち
)
を
要
(
えう
)
して
待
(
ま
)
つ。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
片山家
(
かたやまが
)
の暮れ
行
(
ゆ
)
く風情、
茅屋
(
かやや
)
の低き納戸の障子に
灯影
(
ほかげ
)
映る。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
茅屋
(
かやや
)
の軒へ、
鶏
(
にわとり
)
が二羽
舞上
(
まいあが
)
ったのかと思った。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
月の
桂
(
かつら
)
が
茅屋
(
かやや
)
にかかる。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
茅
漢検準1級
部首:⾋
8画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“茅屋”で始まる語句
茅屋根
茅屋婆
茅屋破窓
茅屋親爺