“羽織(はをり)” の例文
一人(にん)は三尺(じやく)帶(おび)に突(つツ)かけ草履(ぞうり)の仕事師(しごとし)の息子(むすこ)、一人(にん)はかわ色(いろ)金巾(かなきん)の羽織(はをり)に紫(むらさき)の兵子帶(へこおび)といふ坊樣仕立(ぼうさましたて)、思(おも)ふ事(こと)はうらはらに、話(はな)しは常(つね)に喰(く)ひ違(ちが)ひがちなれど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
エモンを字の如(ごと)くイモンと読んで衣(きぬ)に附(つ)けた紋(もん)と心得(こゝろえ)て居(ゐ)た小説家(せうせつか)があつたさうだが、或(ある)若(わか)い御新造(ごしんぞう)が羽織(はをり)を幾枚(いくまい)こしらへても、実家(じつか)の紋(もん)を附けるのを隣の老婢(ばあや)が怪(あやし)んでたづねると
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
恭助(あるじ)は太(いた)く疲(つか)れて禮服(れいふく)ぬぎも敢(あ)へず横(よこ)に成(な)るを、あれ貴郎(あなた)お召物(めしもの)だけはお替(か)へ遊(あそ)ばせ、夫(そ)れではいけませぬと羽織(はをり)をぬがせて、帶(おび)をも奧(おく)さま手(て)づから解(と)きて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我(わ)が不器用(ぶきよう)をあきらめて、羽織(はをり)の紐(ひも)の長(なが)きをはづし、結(ゆわ)ひつけにくる/\と見(み)とむなき間(ま)に合(あわ)せをして、これならばと踏試(ふみこゝろむ)るに、歩(ある)きにくき事(こと)言(い)ふばかりなく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一ト言(こと)心(こゝろ)に染(そ)まる事(こと)のあれば跡先(あとさき)も無(な)く其者(そのもの)可愛(かわ)ゆう、車夫(しやふ)の茂助(もすけ)が一人子(ひとりこ)の與太郎(よたらう)に、此新年(このはる)旦那(だんな)さま召(めし)おろしの斜子(なゝこ)の羽織(はをり)を遣(つか)はされしも深(ふか)くの理由(わけ)は無(な)き事(こと)なり
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
羽織(はをり)の袂(たもと)も泥(どろ)に成(な)りて見(み)にくかりしを、居(ゐ)あはせたる美登利(みどり)みかねて我(わ)が紅(くれない)の絹(きぬ)はんけちを取出(とりいだ)し、これにてお拭(ふ)きなされと介抱(かいほう)をなしけるに、友達(ともだち)の中(なか)なる嫉妬(やきもち)や見(み)つけて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
平常着(ふだんぎ)のまゝで御座(ござ)りましたかと問(と)へば、はあ羽織(はをり)だけ替(か)えて行(ゆ)かれたやうで御座(ござ)んす、何(なに)か持(も)つて行(ゆき)ましたか、いゑ其(その)やうには覺(おぼ)えませぬと有(あ)るに、はてなと腕(うで)の組(く)まれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お取(とり)かへには寫眞(しやしん)をくれとねだる、此次(このつぎ)の土曜日(どようび)に來(き)て下(くだ)されば御一處(ごいつしよ)にうつしませうとて歸(かへ)りかゝる客(きやく)を左(さ)のみは止(と)めもせず、うしろに廻(まは)りて羽織(はをり)をきせながら、今日(けふ)は失禮(しつれい)を致(いた)しました
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大藤村(おほふぢむら)にお作(さく)が夢(ゆめ)ものどかなるべし、四月の十五日歸國(きこく)に極(き)まりて土産物(みやげもの)など折柄(をりから)日清(につしん)の戰爭畫(せんさうぐわ)、大勝利(だいしようり)の袋(ふくろ)もの、ぱちん羽織(はをり)の紐(ひも)、白粉(をしろい)かんざし櫻香(さくらか)の油(あぶら)、縁類(ゑんるい)廣(ひろ)ければとり/″\に香水(かうすい)
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
父(ちゝ)は歎息(たんそく)して、無理(むり)は無(な)い、居愁(ゐづ)らくもあらう、困(こま)つた中(なか)に成(な)つたものよと暫時(しばらく)阿關(おせき)の顏(かほ)を眺(なが)めしが、大丸髷(おほまるまげ)に金輪(きんわ)の根(ね)を卷(ま)きて黒縮緬(くろちりめん)の羽織(はをり)何(なん)の惜(を)しげもなく、我(わ)が娘(むすめ)ながらもいつしか調(とゝの)ふ奧樣風(おくさまふう)
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)