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はをり
恭助は
太く
疲れて
禮服ぬぎも
敢へず
横に
成るを、あれ
貴郎お
召物だけはお
替へ
遊ばせ、
夫れではいけませぬと
羽織をぬがせて、
帶をも
奧さま
手づから
解きて
我が
不器用をあきらめて、
羽織の
紐の
長きをはづし、
結ひつけにくる/\と
見とむなき
間に
合せをして、これならばと
踏試るに、
歩きにくき
事言ふばかりなく
越ぬと見え
丈高く
面體柔和にて
眉毛濃く
鼻筋通りて
齒並び
揃ひ
否みなき天晴の美男にして
婦人の
好風俗なり衣類は
黒七子の小袖に
橘の
紋所を
付同じ
羽折を
さゝめこと
頭巾にかつく
羽折かな
取て
突退け名主手代を左右へ
押分て
動乎と
居りし男を見れば下に
結城紬の小袖二ツ上は
紺紬に二ツ
井桁の
紋所付し小袖を着五本手縞の
半合羽を
羽折鮫鞘の大脇差を
聞て幸八は
心得其夜の中に
部屋から
撰で呉服屋の六
團扇の源
入墨七箱根傳助小僧の吉品川の松
抔何も當宿の
腕こき六人
體へは
赤合羽を
羽折各自向ふ
鉢卷をなし
腰に
挾しは
叺莨入手には竹の
息杖を